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プロローグ
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え!?
魔法ってあの魔法?
紳士の国の児童作家のおかげで世界的に有名なあの?
「あの、いわゆるあの魔法ですか?」
「そう。魔法。杖振ったり、本持ったり、呪文唱えたりするアレ」
はあ。
あの魔法。
「いいんですか?」
「ん?なにが?」
「破門になったりとかしませんか?」
「ん?大丈夫よ」
全くもって理解できないという顔をされた。
心外だ。
キリスト教系の宗教家は魔法なんて口にするのもダメだと思って心配したのに。
ほら。
魔女狩りとか異端審問とか習っただろ?
魔法なんて異端審問の対象じゃないのか?
知らんけど。
知らんから心配したら頭大丈夫か?みたいな反応されたけど。
気を取りなおして。
魔法がなんだって言われてもよくわからんとしか言いようがない。
だってあれは空想だ。
いつだって科学的根拠にとぼしく突拍子もない。
それを説明しろだなんて無理じゃないか?
あーでもないこーでもないと考えてたら宗教家からツッコミが入った。
「あなた真面目すぎね。そう深く考えないでいいのに。例えば、種も仕掛けも本当にないのに火が出たり水が出たりしたとしてそれをどう説明したいかってこと」
説明するんじゃなくてしたいって言ったなこの人。
つまり超常現象が起きたとしてそれをどう俺が説明したいかという話らしい。
「もし今なにもない所に火が出たり水が出たりしたら俺はどう説明するかって話ですか?」
「そう。こんな感じで」
そう言って女性は両手を皿の形にした。
掌を上にむけて両手をくっつけるあの形だ。
朝起きて顔を洗うとき水をすくう際のあの形。
その手を見ているとあっという間に掌に水が溜まった。
驚いて女性を見る。
彼女はイタズラが成功したようにどや顔していた。
「これをキミはどう説明する?」
「水蒸気を集めたとかじゃダメですよね?」
貴女がほしい答えは。
と聞いてみる。
「ええそうね。あなた流に言えば窒素を水にしたとでも思ってほしい」
なるほど。
窒素を水。
魔法らしく突拍子もない。
だとすれば突拍子もない空想で説明すればいいのか?
なんか面白い話ないかな?
あ。
言い回しが面白い超ひも理論とかどうだろう。
弦理論はtheory of everythingだもんな。
それならなんでも説明できるだろ。
きっと。
よし。
超弦理論にしよ。
「ならDブレーン上の弦の振動を変化させてなんらかの影響を及ぼしたとしてみたいです、かね?」
Dブレーン上の弦の振動を変化なんて適当に答えたけど要はうろ覚え超弦理論だ。
なんちゃって超ひも理論とも言う。
10次元つーわけわからん空間から出発するスゲェひもがくっついてるDブレーンっていうナンカスゴイ面がある。
スゲェとスゴイとか使いすぎてゲシュタルト崩壊しそうだなこの説明。
まあ15行ぐらい適当に読み飛ばしてほしい。
え?
メタいって?
そんな細かいことは言わないでほしい。
このスゲェひもが超弦理論の弦の由来。
そんでこのスゲェひも。
なんやかんやで端っこが9次元空間に固定されているらしい。
そのスゲェひもの端がペタってくっついて半円アーチ作って揺れている。
その端がくっついてるナンカスゴイ場所をDブレーンって呼んでるのが超弦理論。
実は9次元だから面つってるけど平面じゃなかったりする。
まあ今は関係ないけど。
そのスゲェひもが科学的にウンチャラカンチャラらしいけどそれは別の機会に別の人から。※一番下に注意書きがあります。
そのひもの揺れの向きとか速度を変えれば別の物質になるんじゃねって思っただけ。
別に正解かどうかは求められてないんだし適当に言っただけ。
魔法なんてありえないものを聞いてくるんだし向こうも正確に説明しろなんて言ってないし適当でいいだろ。
何が言いたかったかっていうとこうだ。
スゲェひもの揺らし方変えるのが魔法じゃねって説明したいってこと。
「ええと、Dブレーン上の、えーとなんだっけ?もう一度いい?」
「Dブレーン上の弦の振動です」
「えー、弦の、振、動、をー」
「変化させて」
「変化ね」
やっぱり女性は書きこみながらウンウンとうなずいてニコリとこちらを見る。
「そのための手段ってなんだと思う?」
そのための手段?
弦なんだから弾くための指?
それとも琴を弾くみたいな爪?
いや。
さっき彼女はなにもしてなかった。
だから他になにかあるはずだ。
あの現象が起きたとき彼女はなにをしていた?
『こんな感じで』としゃべっていなかったか?
なら手段は声だとすればいい。
「声とかどうですか?」
「声、ね」
声と書きこんだであろう女性は満面の笑みで一つうなずいた。
なにやら俺は女性にとって面白い回答ができたらしい。
楽しそうでなによりだ。
「あなたは神を信じていて神使は狐だと思っている」
別に神を信じているわけではないが話の腰を折る気はないので指摘しない。
さっきの俺の突拍子もない答えを復唱してる。
間違いがないかの確認だろうか。
ってことはこれで宗教家の質問は終わりのようだ。
こんなおかしな質問と回答なんて間違っていたとしても問題ないと思うんだけど。
まあ向こうも仕事だ。
確認することはマニュアルに則っているんだろう。
「そして魔法はディー、ブレーンの弦、の、振動を、変化させることによって発動する。そしてその手段は声」
俺がうなずいて回答の確認は終わった。
やっと帰れる。
ぶっちゃけ知らない宗教家と話してドッと疲れたので早く帰って寝たい。
名前は知られたけど住所も電話番号も聞かれなかったし後日押し売りに来ることもないだろう。
拇印も強要されてないから勝手に借金されることもないはず。
「お疲れ様でした」
「いえいえ。どうもお疲れ様でした」
「では豊見勢さん。行ってらっしゃい。お元気で」
宗教家の見送りの声が遠ざかる。
「え?」
来たとき同様唐突に。
今度は椅子が無くなった。
そのせいで後ろに尻餅をつくような感じで落ちた。
※超弦理論はナンカスゴイ面の説明部分だけであり、その下のテキトーな話はエセ科学です。
現実にはありえません。
超弦理論の説明も迷走しすぎておかしなことになっています。
正確な話はジョセフ・ポルチンスキー先生や橋本幸士先生をはじめとする専門家の本をご覧ください。
魔法ってあの魔法?
紳士の国の児童作家のおかげで世界的に有名なあの?
「あの、いわゆるあの魔法ですか?」
「そう。魔法。杖振ったり、本持ったり、呪文唱えたりするアレ」
はあ。
あの魔法。
「いいんですか?」
「ん?なにが?」
「破門になったりとかしませんか?」
「ん?大丈夫よ」
全くもって理解できないという顔をされた。
心外だ。
キリスト教系の宗教家は魔法なんて口にするのもダメだと思って心配したのに。
ほら。
魔女狩りとか異端審問とか習っただろ?
魔法なんて異端審問の対象じゃないのか?
知らんけど。
知らんから心配したら頭大丈夫か?みたいな反応されたけど。
気を取りなおして。
魔法がなんだって言われてもよくわからんとしか言いようがない。
だってあれは空想だ。
いつだって科学的根拠にとぼしく突拍子もない。
それを説明しろだなんて無理じゃないか?
あーでもないこーでもないと考えてたら宗教家からツッコミが入った。
「あなた真面目すぎね。そう深く考えないでいいのに。例えば、種も仕掛けも本当にないのに火が出たり水が出たりしたとしてそれをどう説明したいかってこと」
説明するんじゃなくてしたいって言ったなこの人。
つまり超常現象が起きたとしてそれをどう俺が説明したいかという話らしい。
「もし今なにもない所に火が出たり水が出たりしたら俺はどう説明するかって話ですか?」
「そう。こんな感じで」
そう言って女性は両手を皿の形にした。
掌を上にむけて両手をくっつけるあの形だ。
朝起きて顔を洗うとき水をすくう際のあの形。
その手を見ているとあっという間に掌に水が溜まった。
驚いて女性を見る。
彼女はイタズラが成功したようにどや顔していた。
「これをキミはどう説明する?」
「水蒸気を集めたとかじゃダメですよね?」
貴女がほしい答えは。
と聞いてみる。
「ええそうね。あなた流に言えば窒素を水にしたとでも思ってほしい」
なるほど。
窒素を水。
魔法らしく突拍子もない。
だとすれば突拍子もない空想で説明すればいいのか?
なんか面白い話ないかな?
あ。
言い回しが面白い超ひも理論とかどうだろう。
弦理論はtheory of everythingだもんな。
それならなんでも説明できるだろ。
きっと。
よし。
超弦理論にしよ。
「ならDブレーン上の弦の振動を変化させてなんらかの影響を及ぼしたとしてみたいです、かね?」
Dブレーン上の弦の振動を変化なんて適当に答えたけど要はうろ覚え超弦理論だ。
なんちゃって超ひも理論とも言う。
10次元つーわけわからん空間から出発するスゲェひもがくっついてるDブレーンっていうナンカスゴイ面がある。
スゲェとスゴイとか使いすぎてゲシュタルト崩壊しそうだなこの説明。
まあ15行ぐらい適当に読み飛ばしてほしい。
え?
メタいって?
そんな細かいことは言わないでほしい。
このスゲェひもが超弦理論の弦の由来。
そんでこのスゲェひも。
なんやかんやで端っこが9次元空間に固定されているらしい。
そのスゲェひもの端がペタってくっついて半円アーチ作って揺れている。
その端がくっついてるナンカスゴイ場所をDブレーンって呼んでるのが超弦理論。
実は9次元だから面つってるけど平面じゃなかったりする。
まあ今は関係ないけど。
そのスゲェひもが科学的にウンチャラカンチャラらしいけどそれは別の機会に別の人から。※一番下に注意書きがあります。
そのひもの揺れの向きとか速度を変えれば別の物質になるんじゃねって思っただけ。
別に正解かどうかは求められてないんだし適当に言っただけ。
魔法なんてありえないものを聞いてくるんだし向こうも正確に説明しろなんて言ってないし適当でいいだろ。
何が言いたかったかっていうとこうだ。
スゲェひもの揺らし方変えるのが魔法じゃねって説明したいってこと。
「ええと、Dブレーン上の、えーとなんだっけ?もう一度いい?」
「Dブレーン上の弦の振動です」
「えー、弦の、振、動、をー」
「変化させて」
「変化ね」
やっぱり女性は書きこみながらウンウンとうなずいてニコリとこちらを見る。
「そのための手段ってなんだと思う?」
そのための手段?
弦なんだから弾くための指?
それとも琴を弾くみたいな爪?
いや。
さっき彼女はなにもしてなかった。
だから他になにかあるはずだ。
あの現象が起きたとき彼女はなにをしていた?
『こんな感じで』としゃべっていなかったか?
なら手段は声だとすればいい。
「声とかどうですか?」
「声、ね」
声と書きこんだであろう女性は満面の笑みで一つうなずいた。
なにやら俺は女性にとって面白い回答ができたらしい。
楽しそうでなによりだ。
「あなたは神を信じていて神使は狐だと思っている」
別に神を信じているわけではないが話の腰を折る気はないので指摘しない。
さっきの俺の突拍子もない答えを復唱してる。
間違いがないかの確認だろうか。
ってことはこれで宗教家の質問は終わりのようだ。
こんなおかしな質問と回答なんて間違っていたとしても問題ないと思うんだけど。
まあ向こうも仕事だ。
確認することはマニュアルに則っているんだろう。
「そして魔法はディー、ブレーンの弦、の、振動を、変化させることによって発動する。そしてその手段は声」
俺がうなずいて回答の確認は終わった。
やっと帰れる。
ぶっちゃけ知らない宗教家と話してドッと疲れたので早く帰って寝たい。
名前は知られたけど住所も電話番号も聞かれなかったし後日押し売りに来ることもないだろう。
拇印も強要されてないから勝手に借金されることもないはず。
「お疲れ様でした」
「いえいえ。どうもお疲れ様でした」
「では豊見勢さん。行ってらっしゃい。お元気で」
宗教家の見送りの声が遠ざかる。
「え?」
来たとき同様唐突に。
今度は椅子が無くなった。
そのせいで後ろに尻餅をつくような感じで落ちた。
※超弦理論はナンカスゴイ面の説明部分だけであり、その下のテキトーな話はエセ科学です。
現実にはありえません。
超弦理論の説明も迷走しすぎておかしなことになっています。
正確な話はジョセフ・ポルチンスキー先生や橋本幸士先生をはじめとする専門家の本をご覧ください。
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