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Ceci n'est pas une rêve.(これは夢ではない)
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玄関ポーチの屋根の下。
ジェラード君の出迎えに10名弱のモーニングを着た集団がが待ち構えていた。
侍従だろう。
その内の1人。
年かさの侍従がお帰りなさいませと声をかけて馬車の扉を開いた。
開かれた扉からジェラード君が降りる。
すると今度は侍従君たちが馬車に入ってきた。
「失礼します」
と侍従君たちは口々に言って近づいてくる。
え?
どういうこと?
なにが起こるんだろうとあたふたしていたら背中を押された。
ああ。
降りろってことか。
これだけ待っててくれたのってジェラード君の出迎えだけじゃなくて。
俺を馬車から降ろすためもあったの?
それはありがたいような。
申し訳ないような。
侍従君たち6名に。
背中を押され手を引かれて馬車から降りる。
ありがとう、と伝えたかったが例によって声が出ない。
そこで。
手を貸してくれてありがとうの意をこめて会釈した。
すると。
侍従君たちは口々に気にしないでいいと言ってくれた。
ちゃんとしたとこの人たちってすごく礼儀正しい。
そう改めて認識した。
こんなドスコイ体系の人間なんて相手にしたかないだろうに。
それをおくびにも出さないのは恐れ入る。
侍従君たちにうながされたのでジェラード君たちの所へ行こうとした。
すると尻尾が侍従君の1人にあたってしまった。
ごめん!
振り向いてその侍従君にペコペコ謝る。
痛くはなかったかもしれないけど嫌だったよね。
「いえ、大丈夫です。むしろ御利益を頂けそうでありがたいです」
御利益?
俺にも尻尾にも御利益はないと思うけど。
首をひねるも侍従君に
「どうぞ。アンバーランド公がお待ちです」
と言われては急がざるを得ない。
アンバーランド公って誰だろうと思いながら。
ジェラード君たちの所へ急ぐ。
後ろからほうじょうの~とか聞こえてきたけどなんだったんだろう?
こっちにも北条っていう苗字があるんだろうか。
それともホウジョーっていう変わった苗字があるんだろうか。
どちらも誰のことだかさっぱりだが。
うだうだ考えてもいられない。
ジェラード君たちに置いてかれたら迷子になるから。
玄関ポーチで待っていてくれたジェラード君と白ジャケットさんたち。
彼らは俺がそちらに向かうのを確認するとすぐに動き出した。
俺も彼らに続いて城に入る。
先ほどの城に比べれば少しだけ質素な気がするが十二分に荘厳な城だ。
玄関をくぐってすぐ。
そこは中庭へと抜ける廊下だった。
薄暗い室内と。
中庭で茜色に染まる花。
その対比がより中庭の美しさを引き立てている。
陰っている夕暮れ時でこんなに綺麗なら日中はもっと綺麗なんだろうな。
「お~い」
中庭に見とれているとジェラード君に呼ばれた。
キョロキョロとジェラード君を探す。
彼は2階の手すりから身を乗り出していた。
隣には金髪碧眼のギャルロンさんと栗さんも居る。
2階へ続く階段の近くにはミントさんと榛君が居た。
みんな俺を待っていてくれたらしい。
申し訳ない。
ペコペコしながらミントさんと榛君に続いて2階へ上った。
こちらの城は機能性を重視したようで。
階段の幅は一般の住宅より少し広いぐらい。
マホガニーだろうか。
それともチェスナット?
はたまたウォルナット?
そのどれでもないかもしれない。
黒に近い焦げ茶の木材でできた階段。
それは年季の入った重厚感があり外装にも負けない荘厳さがある。
余計な装飾のない手すりがそれをより際立たせる。
踊り場は人がすれ違えるほどしかない。
ここからも機能性を重視していることがうかがえる。
「中庭、気に入ってくれたかな?また後日案内するよ」
2階にたどり着いたところで。
中庭に見とれていたことを指摘されて恥ずかしくなる。
異国情緒あふれる綺麗な庭に年甲斐もなく見とれてしまった。
今が夕方でよかった。
花がよく見える日中だったら中庭を見つめて5分ぐらい梃でも動かなかったと思う。
ジェラード君たちの後について2階を歩く。
落ち着いた紺のビロードの絨毯が足音を軽減する。
ろうそくの淡い光がともる燭台が静やかに俺たちを出迎えてくれていた。
少し歩いた先。
ちょうど左翼の真ん中あたりだろうか。
そこにある中庭側の扉の前でジェラード君が立ち止まった。
ジェラード君の出迎えに10名弱のモーニングを着た集団がが待ち構えていた。
侍従だろう。
その内の1人。
年かさの侍従がお帰りなさいませと声をかけて馬車の扉を開いた。
開かれた扉からジェラード君が降りる。
すると今度は侍従君たちが馬車に入ってきた。
「失礼します」
と侍従君たちは口々に言って近づいてくる。
え?
どういうこと?
なにが起こるんだろうとあたふたしていたら背中を押された。
ああ。
降りろってことか。
これだけ待っててくれたのってジェラード君の出迎えだけじゃなくて。
俺を馬車から降ろすためもあったの?
それはありがたいような。
申し訳ないような。
侍従君たち6名に。
背中を押され手を引かれて馬車から降りる。
ありがとう、と伝えたかったが例によって声が出ない。
そこで。
手を貸してくれてありがとうの意をこめて会釈した。
すると。
侍従君たちは口々に気にしないでいいと言ってくれた。
ちゃんとしたとこの人たちってすごく礼儀正しい。
そう改めて認識した。
こんなドスコイ体系の人間なんて相手にしたかないだろうに。
それをおくびにも出さないのは恐れ入る。
侍従君たちにうながされたのでジェラード君たちの所へ行こうとした。
すると尻尾が侍従君の1人にあたってしまった。
ごめん!
振り向いてその侍従君にペコペコ謝る。
痛くはなかったかもしれないけど嫌だったよね。
「いえ、大丈夫です。むしろ御利益を頂けそうでありがたいです」
御利益?
俺にも尻尾にも御利益はないと思うけど。
首をひねるも侍従君に
「どうぞ。アンバーランド公がお待ちです」
と言われては急がざるを得ない。
アンバーランド公って誰だろうと思いながら。
ジェラード君たちの所へ急ぐ。
後ろからほうじょうの~とか聞こえてきたけどなんだったんだろう?
こっちにも北条っていう苗字があるんだろうか。
それともホウジョーっていう変わった苗字があるんだろうか。
どちらも誰のことだかさっぱりだが。
うだうだ考えてもいられない。
ジェラード君たちに置いてかれたら迷子になるから。
玄関ポーチで待っていてくれたジェラード君と白ジャケットさんたち。
彼らは俺がそちらに向かうのを確認するとすぐに動き出した。
俺も彼らに続いて城に入る。
先ほどの城に比べれば少しだけ質素な気がするが十二分に荘厳な城だ。
玄関をくぐってすぐ。
そこは中庭へと抜ける廊下だった。
薄暗い室内と。
中庭で茜色に染まる花。
その対比がより中庭の美しさを引き立てている。
陰っている夕暮れ時でこんなに綺麗なら日中はもっと綺麗なんだろうな。
「お~い」
中庭に見とれているとジェラード君に呼ばれた。
キョロキョロとジェラード君を探す。
彼は2階の手すりから身を乗り出していた。
隣には金髪碧眼のギャルロンさんと栗さんも居る。
2階へ続く階段の近くにはミントさんと榛君が居た。
みんな俺を待っていてくれたらしい。
申し訳ない。
ペコペコしながらミントさんと榛君に続いて2階へ上った。
こちらの城は機能性を重視したようで。
階段の幅は一般の住宅より少し広いぐらい。
マホガニーだろうか。
それともチェスナット?
はたまたウォルナット?
そのどれでもないかもしれない。
黒に近い焦げ茶の木材でできた階段。
それは年季の入った重厚感があり外装にも負けない荘厳さがある。
余計な装飾のない手すりがそれをより際立たせる。
踊り場は人がすれ違えるほどしかない。
ここからも機能性を重視していることがうかがえる。
「中庭、気に入ってくれたかな?また後日案内するよ」
2階にたどり着いたところで。
中庭に見とれていたことを指摘されて恥ずかしくなる。
異国情緒あふれる綺麗な庭に年甲斐もなく見とれてしまった。
今が夕方でよかった。
花がよく見える日中だったら中庭を見つめて5分ぐらい梃でも動かなかったと思う。
ジェラード君たちの後について2階を歩く。
落ち着いた紺のビロードの絨毯が足音を軽減する。
ろうそくの淡い光がともる燭台が静やかに俺たちを出迎えてくれていた。
少し歩いた先。
ちょうど左翼の真ん中あたりだろうか。
そこにある中庭側の扉の前でジェラード君が立ち止まった。
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