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リザードとアントワネット
ルイ、迂回する
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「ぐぬぬぬぬ……」
またルイの思い通りの展開にならず、不快に喉の奥を鳴らす。
南東はストームが発生しやすく足止めをくらっているのだ。
飛行船の運転席からは、黒と灰色の雲が見れる。稲妻が光るのも見える。
雨が窓に激しく打ち付ける様に、乗員たちは怯んでしまう。
ストリームも飛行船もいつ動きが止まるか分からない。
飛行船は大きなボディを揺らしながら、なんとか持ちこたえている。
足元をふらつかせる兵隊を横に、ルイは椅子に座り踏ん張っている。
「ルイ様、いつ墜落するか分かりません!
少し遠回りになりますが……ホグルトの街に行きましょう」
「迂回しましょう、王子!」
「迂回……」
ルイは眉間に皺を寄せ、なんとかストームを脱出できないものかと考えた。
さっき兵が言ったホグルトの街と言うのは、ドールドから150km程離れた街のことだ。
パンが美味しくて有名でよく取り寄せているが、パン喰ってる場合じゃねえ!
「わっ」
乗員の短い悲鳴に、一気に床が斜めになる。
「このままでは本当に墜落しますぞ……!」
「わ、わかった……。迂回する」
渋々承諾したルイ王子の声に、乗員は少し表情を和らげる。
飛行船は来た道を引き換えしていく。
「くそ……。一直線ではやはり行けぬか」
「ドールドへ行くのに、ストームに出会わなければ奇跡でしょうな」
ルイの傍につく執事は先ほどの衝撃でズレた眼鏡をかけ直し、ごほんと咳き込んだ。
場を引き返す事に見舞われたルイは、再び「ぐぬぬ」と喉を鳴らす。
「姫はドールドにずっといるのか、それとも移動しているのか――」
「目撃証言を待つしかありません、王子……」
「それにしても、どうして姫を誘拐したんだ? 犯人は」
「はっ。それが、犯人は盗賊団の頭・リザードではないかと推測されています」
「リザード? 何者だ?」
「聞いた話によりますと、旧ダンドロ王国の王子だったそうです。
アントワネット様が幼い頃にお見合いされたそうなのですが――。
かくかくしかじかで処刑が決まり、牢屋にいたのですが脱獄したようなのです。
ですが、お付きの者はアントワネット様を安心させようと処刑したと嘘を言った、と私は聞かされております――」
「脱獄した……?」
その言葉にルイは首をかしげる。
またルイの思い通りの展開にならず、不快に喉の奥を鳴らす。
南東はストームが発生しやすく足止めをくらっているのだ。
飛行船の運転席からは、黒と灰色の雲が見れる。稲妻が光るのも見える。
雨が窓に激しく打ち付ける様に、乗員たちは怯んでしまう。
ストリームも飛行船もいつ動きが止まるか分からない。
飛行船は大きなボディを揺らしながら、なんとか持ちこたえている。
足元をふらつかせる兵隊を横に、ルイは椅子に座り踏ん張っている。
「ルイ様、いつ墜落するか分かりません!
少し遠回りになりますが……ホグルトの街に行きましょう」
「迂回しましょう、王子!」
「迂回……」
ルイは眉間に皺を寄せ、なんとかストームを脱出できないものかと考えた。
さっき兵が言ったホグルトの街と言うのは、ドールドから150km程離れた街のことだ。
パンが美味しくて有名でよく取り寄せているが、パン喰ってる場合じゃねえ!
「わっ」
乗員の短い悲鳴に、一気に床が斜めになる。
「このままでは本当に墜落しますぞ……!」
「わ、わかった……。迂回する」
渋々承諾したルイ王子の声に、乗員は少し表情を和らげる。
飛行船は来た道を引き換えしていく。
「くそ……。一直線ではやはり行けぬか」
「ドールドへ行くのに、ストームに出会わなければ奇跡でしょうな」
ルイの傍につく執事は先ほどの衝撃でズレた眼鏡をかけ直し、ごほんと咳き込んだ。
場を引き返す事に見舞われたルイは、再び「ぐぬぬ」と喉を鳴らす。
「姫はドールドにずっといるのか、それとも移動しているのか――」
「目撃証言を待つしかありません、王子……」
「それにしても、どうして姫を誘拐したんだ? 犯人は」
「はっ。それが、犯人は盗賊団の頭・リザードではないかと推測されています」
「リザード? 何者だ?」
「聞いた話によりますと、旧ダンドロ王国の王子だったそうです。
アントワネット様が幼い頃にお見合いされたそうなのですが――。
かくかくしかじかで処刑が決まり、牢屋にいたのですが脱獄したようなのです。
ですが、お付きの者はアントワネット様を安心させようと処刑したと嘘を言った、と私は聞かされております――」
「脱獄した……?」
その言葉にルイは首をかしげる。
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