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119.決戦準備
しおりを挟む1週間がたち全軍が反攻作戦のために移動を始める、目指す拠点は先日ニコルが魔王軍に強襲をかけた町ハーモニア街道の先につながるハーモの町である。
町に軍が入るのをスムーズに済ませるためにニコル達が先行して町に向かう。
「さて、受け入れなどの雑務処理などは抱えてきた騎士たちに任せて僕らはどうしましょうか?」
「マスターニコル、カズハは騎士たちに護衛を付けるべきだと進言します」
カズハがニコルに提案する、そこでカズハとミツバを騎士たちの護衛に向かわせる、まぁ一人でも過剰戦力だから大丈夫か。
「”ストーンショット”」
突然石礫が飛んでくる、ニコルは抜き身のファルシオンで切り落とす。
「”ファイアボール”」「”ウォーターカッター”」「”ウィンドアロー”」
次々と魔法が飛んでくる、がすべて”マナイーター”で消し飛ばす。
と今度はひゅんひゅんと矢が飛んでくる・・・しかしそれもすべて斬り落とす。
攻撃がやむとフタバとヨツバが歩いてくる。
「マスターニコル、フタバはマスターに魔法攻撃を行っていた者たち人を仕留めることができました」
「マスターニコル、ヨツバはマスターに弓矢での狙撃を行っていた者たちを仕留めてきましたが途中で気配を消され数人逃げられてしまいました」
と報告してくる、ふむ。
「気にしないでもいいです、期待以上には働いていますから」
ニコルの言葉に二人は表情を緩ませる、ただニコルは二人にあまり期待してないだけだったりするんだけどね・・・黙っとくか。
「それにしてもなんだったんでしょうね?あの程度じゃ僕は殺せませんけど?」
『しまったな、俺の能力をはかってきたんだと思う』
「兄さんの?」
『俺が”マナイーター”魔法攻撃は無力化できるが矢なんかの物理攻撃は無力化できないというのを前回、前々回で確認してて今回ので確信するために仕掛けたんだろう』
「ということは逃がしたのは不味かったですかね?」
ニコルが忌々し気に転がってる矢を睨みつける、が。
『まぁ問題ないだろう、俺には”オールイーター”があるし』
そう、特に問題じゃないのだ。
俺に弱点を知ったとでも浮かれてくれてたらそれでもいいさ、それで相手が絶望に落ちやすくなるだろう、まぁ落ちたからなんだって話ではあるのだが。
その後は特に襲撃などもなく帰ってきた騎士の手伝いを少しして神国軍が到着するのを数日待つだけだった、大体4日から5日だと。
「やはりな」
魔王軍本陣の自分の部屋にいるフォウルは報告を聞き自分の建てた仮説がどうやら正しかったようだと確信し喜び出す。
「何か嬉しいことでもあったんですかい?」
カノンがフォウルの部屋にノックをしながら入ってくる。
「お前のその癖直せと言っただろう!」
返事を聞く気のないノックに起こりながらも顔が締まらないフォウルを見てカノンは何があったのかを考える、が分からないので素直に訊くことにした。
「一体どうしたんですかね?」
「ふふん、聞きたいか?」
「へい」
「一応機密事項になるから注意しろよ、実はな、ニコル・ファルシオンの弱点が分かったのだ!」
その言葉にカノンは驚愕する、あの人知を超える化け物に弱点!
だが確かにあんな化け物だ何らかの弱点が無いと世の中成り立たないんじゃないかとも思えなくもない・・・訳ない。
理不尽な存在だから化け物なのだから、だが・・・聞くだけの価値はありそうだと思い聞くことにした。
「どんな弱点なんです?」
「実はな奴が現れた最初の戦場で見ていて不思議に思っていたんだがな、あいつはこちらから魔法を無力化するには足を止めてしないといけないみたいなんだ。
また、魔法でも土系統の呪文や弓矢などの飛び道具は消滅しなかった。
つまり土魔法と大量の矢での一斉攻撃で仕留めることが可能なのかもしれないということだ!」
興奮して喋るフォウルにカノンは自分でも考えてみる。
土系統の魔法で視界を塞いでバリスタなどの弓矢なんか比べ物にならない威力の飛び道具を用いれば確かに行けそうな気がする。
ただし、ここでカノンは一つの可能性があることを黙っておくべきか迷う。
それは、無力化できたのにしなかっただけなのではないかという事だ。
だが、今それを言ってもフォウルに逆になぜ今まで圧倒的なあいつがこちらをだます必要があるのだ?と聞かれても答えられる気がしなかった・・・が言って後悔するのと言わないで後悔するのでは言って後悔する男のカノンはいうことにした。
「フォウル様、機嫌を損ねるようなことを言いますけどもし土魔法も無効化できるのに今までワザとしてなかったのだとしたら軽率な作戦はかえって危険じゃありませんかね?」
その言葉を聞いたフォウルも少し考える、確かに保険が欲しいところだと・・・
そこで、
「カノン、この町にAランクの冒険者がいたよな?」
「冒険者は国同士のいざこざには不介入ですよ?」
「国に巣くおうとしている魔物の駆除を依頼するだけだ・・・無理っぽいか?」
「無理っぽいですよ、というわけで直接交渉するのはどうですか?」
カノンの提案にフォウルは2つ返事で了承し交渉をカノンに任せる。
「では任したぞ」
「へいよっと、報酬は成功で言い値で払うってことでいいですかね?」
「構わん、その程度であの悪魔が片付くのならな」
「それじゃあ行ってきまさー」
と部屋を後にするカノンを見送り溜息を吐く、今回カノンがいなければ何も考えずにぶっつけでニコルと事を構えているところだったのだ。
自身の迂闊さに冷や汗が流れた、自分はいつからこんなに短慮になったのだろうか、少なくとも普段ならこのくらいの事言われなくても考えつくことだというのに。
自分が何かに操られている?いや今の自分の意識は自分を認識している、ということは意識を誘導されているのでは・・・だが誰に?
終わらない応えてくれるものの無い問いに頭を悩ませるフォウルを部屋の外から悪魔が笑うのだった。
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