一振りの刃となって

なんてこった

文字の大きさ
124 / 130

120.Aランク冒険者

しおりを挟む

 魔王軍本陣からちょいと離れた天幕の中に所狭しとぎゅうぎゅうに座る筋骨隆々な男女がいた。
「狭すぎるな」
 彼らのリーダーだろうか?一人の男が代表して自分の対面に腰を下ろす男に文句を投げかける。
「すまんなぁ、6人ならこの天幕で充分入る予定だったんだが・・・聞いてたよりも立派な体格で予定が狂っちまった。
 場所を移すか?」
「そうしよう、これではまともな話し合いもできん」
 そういうと彼らは天幕をでる、と文句を言ってきた一行に各種属性の魔法が飛んでくる。

「これはどういうことか訊いてもいいだろうか?」
 襲撃を受けた彼らは攻撃を確認すると素早く展開しすべての属性魔法に対して各々が得意とする属性に向かい突進消滅させるという荒業をやってのける。
 そう、彼らは全員がドラゴニュートで構成されているAランク冒険者パーティ”ドラゴントゥース”それぞれが地水火風雷氷のスペシャリストである。
「悪いな、今回の依頼ははっきり言って成功してもらわないと困る要件だからこちらも依頼する相手に慎重にならないといけなくてね。
 気を悪くさせちまっただろうけどそれだけこっちも切羽詰まってんだ」
「確かに切羽詰まっていることは分かるがな、今までの快進撃がこのざまだからな」
 軽口をたたく交渉人カノンに、”ドラゴントゥース”のリーダー地のグランが嫌味で返す。
「そうなんだよ、笑えんだろ?順調に神国を攻めてあと少しで落とせる所までいっていたのに突然文字どうりに降ってわいた化けもんにこの体たらくだ。
 まぁ今回の依頼はそれに関係してるんだが」
 カノンはもう一つの大き目の天幕に案内し交渉を続ける。

「まぁお前たちの”狂った思想で他種族を迫害する神聖とは名ばかりの悪しき国を亡ぼす”という思想には少しばかり共感できるものがあるが、冒険者は基本戦争に介入することは無いぞ?」
 グランが言った言葉に他のメンバーも同意とばかりに頷く。
「それは知っている、だから今回はあくまで化け物退治を依頼したい」
「化け物退治?」
「そう、はっきり言ってあれはドラゴンの化身か上位の悪魔なのではとウチの上の方は当たりを付けてるところだ。
 んで、そんな個体としての強さが飛びぬけた存在に兵としては優れていても常識の範囲内にいる者たちでははっきり言って死体の量が増えるだけだ。
 そこであんた達にあの化け物の退治を任せたい、手段は問わない成功後の報酬は可能な限り言い値でだそう、どうだ?引き受けてくれないか?」
 そういうとカノンは頭を下げる、実際にニコルさえどうにかできたらまた攻勢に出れるだけの戦力差はあるが・・・これ以上の無為な損害はもはや許されないだけの損害を先日のニコルの強襲で受けてしまったので魔王軍には跡が無くなっている。
「どれだけの情報が集まっているかにもよるな、それだけの化け物なら数日程度の準備では返り討ちに会っておしまいだろう。
 最低でも弱点、苦手な物、立ち回りの癖なんかは教えてほしいな」
 という返事を聞きカノンは内心ガッツポーズをとる、これでこいつらをニコルにぶつけることができると内心安心して。

「・・・聞けば聞くほど圧倒的な強さだな」
 呟くグランに他のメンバーも、
「一太刀で兵士に紛れ込ませていた悪魔を全滅させたとか、突然の襲撃で軍の約二割を殺しまわったとか、それなのに手持ちの武器には一切の刃こぼれが起きてない可能性もあるとか・・・確かに化けもんだな」
 そういったことを改めて聞くとカノンも溜息しか出ない、
「しかも魔法は殆どキャンセルされるんだろ?
 唯一の救いは土系統の魔法は通じるかもしれないのと弓矢の攻撃は割かし効果がありそうだってことか・・・」
 それを聞いてから目を閉じていたグランが目を開けてパーティメンバーに語り掛ける。
「とりあえずこの依頼は受けるぞ、それから今貰った情報からある程度の作戦を考えてみた。
 実行前にあと一回は情報を引き出したいところなんだが、カノンさん、あんたらにあと一回情報収集を頼めるかい?」
 との質問にカノンは二つ返事で了承し契約を交わす。
「では、さっそく行動を開始しよう・・・時間がなさすぎるからな」
 そういって”ドラゴントゥース”は飛び立っていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─

石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」 貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。 「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」 かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。 ときどき舞い込んでくるトラブル。 慌ててミーナを探しているルカ。 果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。 甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。 *サイトより転載になります。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...