一振りの刃となって

なんてこった

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42.今、ここにいれることの奇跡(side of nikoru)

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「うぅん?なんだろう」
 朝、まどろみながら意識がもどってくる。
「ふあぁ~あ!あれ?ここは?確か昨日は・・・あのまま寝ちゃったんだ」
 朝、冒険者ギルドに賑わいが出始めたころに目覚めた赤みがかった茶髪の美少年がそのきれいな青い瞳を持つ目を手でこすりながら呟く、向こう側で冒険者たちがワイワイやってるのが見える、
「お早うニコル、疲れてるようだしまだ寝ててもよかったんだが・・・いや、やめたほうがいいかここも五月蠅くなってきたし2度寝には向かないな」
と 少年の耳の近くで聞きなれた声が聞こえる長椅子に横向きで寝てて姿が見えてないのに声がしたということは・・・ニコルは首を横に回す、そこには燃えるような瞳の目がのぞき込んでいた、
「に!兄さん!なんで!」
 パニックになったニコルは自分の現状を理解して慌てて転がりながら起きる、
「お!器用な起き方だな、それだけ元気なら昨日の疲れも気にしなくていいかな?・・・あーでも丁寧に伸びしとけよ?この椅子ちょっと硬かったから」
と 笑いながら話す兄と呼ばれた青年、
「え?あっはい・・・あれ?僕昨日兄さんを待っててそのあと記憶がないから寝てて起きたらレッド兄さんが膝枕してて・・・もしかして一晩中しててくれてたんですか?」
と 兄に確認する、
「ん?まぁやってたかな?枕代わりになるモノも他のが思いつかなかったし」
と いたずらが成功したって顔でニコルに笑いかける兄、
「そんな!なら起こしてくれればよかったじゃないですか!」
 なおも慌てているニコル、
「疲れてたみたいだしせっかく寝てるのを起こすのも可哀相だったからな~おかげでニコルの寝顔を堪能できたからいいさ~・・・俺はブラコンに目覚めつつあるようだな・・・」
と 悪びれることもなく話す、後半は声が小さくニコルには聞き取れなかった、
「ダメですよ!一晩中膝枕してたってことはほとんど寝れてないってことじゃないですか!昨日僕より働いていた兄さんが僕の疲れを心配してどうするんですか!?」
「弟を気遣うのは当然だろ?これでも俺はお前の兄ちゃんなんだぜ?」
 今はなっと語尾につなげて笑いながら言う、ニコルは絶句する・・・今までここまで自分を気遣ってくれたものがいなかったからだニコルの母もニコルを奴隷商に売って、ニコルを生んで初めてよかったと思えたと大目に貰ったはした金をニコルに見せつつ言い放ったくらいだからである。
 思えばこの自分の兄を名乗りだした男はあった時から不思議な男であった普通なら自分のような子供なんかただの足手まといでしかないのにこうして気を使いながらも連れ歩き挙句に先に寝てしまった自分に膝枕をして自身はほとんど寝てない、しかもその理由が「弟を気遣うのは当然だろ?」の一言である・・・形だけの兄弟でしかないのに。
「さて、ニコルも起きたしケイベルに戻る前にどっかで飯にしようか?」
と 衝撃に絶句していたニコルにそんな提案をしといて返事も聞かないでさっさと歩きだす兄・・・ちなみにニコルは兄の本体がファルシオンであると知っているのだが船旅中やケイベルの港町で兄が人並みに寝ているために睡眠が必要なのだと勘違いしているために若干話が食い違ってたりする。
「おはよー!まだここにいたんだ!今日はこの後どおすんのかにゃ?」
と 元気に挨拶してくるビーストの少女、昨日マントに裸という18禁な格好でいたために仕方なくニコルの持っていた客船にあった服をあげたニナという娘だ、因みに今もその服を着ている、
「おはよう、今日は今から朝飯にして終わったらケイベルに帰るところだ、そういうお前たちは?森に荷物を取りにでも行くのか?」
「食事ならご一緒してもいいわよ?なんならおごらせてあげるわ」
と ニナの横にいた昨日ニナ同様の格好だったため服を恵んであげたヒューマンの少女サラが何やらふざけたことを言っていたのでニコルが噛みつく、
「馬鹿なんですか?なぜ兄さんがあなた方に朝ご飯まで恵んであげなきゃいけないんですか?そうやってたかるなら、ホラ!そこにいる鼻の下伸ばしてあなた方を見ている彼らにでも恵んでもらってください、何より兄さんに対する言葉使いが不愉快です!」
「おおぅ、よくそこまで言えるなニコル・・・兄ちゃんちょっと引いてるぞ?」
 ニコルの言葉を聞いて兄が小声を漏らす
「も~サラちゃん!そんないい方したらレッドさんはともかく~ニコル君が怒るのは仕方ないですよ~、ごめんねニコル君じつは昨日の一件で~お金なんかもほとんど無くなっちゃってて~昨日親切にしてくれたレッドさんに頼ってみようと思って来たんですよ~」
「まぁ飯くらいならいいけど昨日行った宿は飯代込みの宿じゃなかったのか?」
と 兄が質問するちなみにやたらのんびり話していたのが昨日のゴブリン騒ぎでニコルの兄であるレッドにサラ・ニナの救助を求めたデモン種の少女ライカである。
「食事を用意してくれる宿にゃんてこの町にはにゃいよ~」
「じゃあオススメの店を紹介するからおごってくれないかしら?」
「まぁいいけど俺らがいなくなったらどうしていく気なんだ?」
 3人とも口を閉じて考え始める・・・どうやら考えて無かったようだ、そのことを察した兄がこんな提案をしてきた、
「なら俺らとパーティでも組むか?しばらくの間なら面倒見てもいいぞ?拠点はケイベルに変わるけど」
「兄さん!」
 当然ニコルは驚くまさかこんな足手まといになるであろう者たちを態々抱え込むと言いだしたのだから、
「まぁ俺から一つ条件が出るけどね」
「それは拠点が移ることじゃないわけね?」
「あ・・・んじゃ2つ・・・」
「・・・兄さん」
 いまいちカッコつかない人なんだなと苦笑する、結局彼はお人好しなんだろうとニコルは思う、
「ふふっ分かったわ、それじゃ二つ目は?」
「ニコルの剣の稽古に付き合ってくれないか?模擬戦に丁度いい相手になりそうだしさ」
 またニコルは絶句した、正直兄はこの少女たちが気にいったから誘ったのかと思って話を聞いていたのだが、まさかニコルのためだったとは・・・ニコルをダシに使っただけかもしれないのだが、
「ニコル君の稽古くらいにゃらいくらでもしてあげるよ!」
「そうね、その二つくらいなら別にいいわね」
「わ~い!これからよろしくお願いします~」
と 3人娘が了承の意を示す
「おう!よろしく!んじゃあ改めて俺の名前はブレド・ファルシオン!敬意と親しみを込めてレッドと呼んでくれ!でこっちが」
「改めまして、ニコル・ファルシオンと申します、今後ともよろしくお願いします」
「ニナっていうにゃ前だよ!改めてよろしくね!」
「サラよ、しばらく厄介になるわね」
「ライカで~す!よろしくお願いしますね~」
と 一通り挨拶も終えて飯屋に案内される・・・移動中にニコルが、
「兄さん・・・気を使わせ過ぎてすみません、僕はもっと強くなってお役に立てるようになります見ていてください!」
 決意を新たに自分がこの最初の印象から徐々にお人好しな印象に変わってきた兄に必ず報いようと、兄とともに今、ここにいれることの奇跡を感謝し朝日を全身に浴びて歩き出した・・・飯屋に向けて。
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