一振りの刃となって

なんてこった

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63.雷刃竜

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「賭けは俺の勝ちだな、これでお前は俺の配下だ!」
 声高に俺はサンダーエッジにそう告げる、だが・・・
「グゥルオオオオオオオ!」
「へっ?」
 サンダーエッジは暴れはじめ掴まれたままの俺はそのまま思いっきり投げ飛ばされ木を2本ほど倒木に変えると地面に落ちた。
「クハッ!レジストしたのかよ!できるもんなんだな”マインドハック”も完璧に決まるモノじゃないってか!」
 ファルシオンを剣の形状のままで杖として使いフラフラ立ち上がる、さてもう殺すか・・・もう一度試すか。
「グゥルオオオオオオオ!」
 唸り声と共にサンダーエッジはフラフラな俺にブレスを放とうと魔力を高める、まぁそんなのは俺に効かないんだが。
「ガァァァァ!」
 放たれたブレスは至近距離で撃たれたブレスと違い範囲が非常に広く普通ならこのまま逃げられずに消し炭になっていただろうが・・・俺はファルシオンなんだよ!
「”マジックイーター”!」
 フラフラした足に活を入れてしっかり立ち杖にしていた剣を前に構え周囲の魔力を喰らう、高密度のドラゴンのブレスも例外じゃ無く喰らい尽す。
 必殺のブレスが2度も防がれたサンダーエッジは俺に向かって突進してくる。
 体の損傷が思ったよりひどいせいか躱すのは無理そうだ・・・勿体ないが仕方ないか。
 殺意を込めて左手に握ったファルシオンを強く握るとサンダーエッジは足を慌てて止める、こいつ・・・俺の間合いもわかってるのかぎりぎり届かない。
 まずいな・・・そう思っていると、
『その力、人のものではないな?貴様は何者だ!』
 なんか大気が震える、声っぽいものが聞こえた気がする、
『貴様たちの言語に合わせたつもりだが聞き取れなかったか?』
 また聞こえた、これはあれか剣の時に魔力で空気を振動させて声を出したやつとおんなじもんか、
「ナニヲイッテルカワッカリマッセーン!」
『むう、そうか・・・いや通じて無ければ今のタイミングでその言葉は出まい』
「ばれたか、で?会話するってことは何らかの交渉でもする気なのか?」
『そうだ、貴様が我に何の術式を施したのだ!」
 この反応はなるほど、
「教えてやってもいいが俺の状態を見たらわかるようにもうフラフラなんだよ、大声あげるのも辛いからもうちょいよって来てくれる?」
『ならん、貴様の力は未知数だ!これ以上近づくのは嫌な予感しかしない』
 勘のいい奴だな、ならこうしたらどうだ?
「だったらこうしよう、俺はこの武器をここに置いて5歩下がる、そうしたらお前が歩いて来てくれ」
 と提案するとファルシオンを地面に突きたて5歩下がる、
『まて!貴様我はまだ了承しておらんぞ!』
「ここまでやってまだビビってんのか?興ざめだな、もう尻尾を丸めて帰ってもいいぞ、う・せ・な!」
 俺は低い声でもう興味が失せたとばかりにシッシッと手でジェスチャ-すると案の定サンダーエッジは、
『なめるなよ人風情が!』
 と跳びかかろうと踏みだしてきた、はいおしまい。
「”マインドハック”」
 さっき抵抗されたのは、こいつがただの魔物だと思い刻み込む魔力が少なかったからのようだ、知恵や理性を持っていると魂に刻む魔力がより多く必要になるらしい、なんでかは分かんないがそういうものらしい。

『主よ、数々の非礼容赦してもらいたい』
「やっと眷属化ができた・・・ったくこの体ボロボロじゃねーか」
 うまく(?)サンダーエッジを眷属にしたのはいいのだが体のダメージは大きく身を包んだ衣服や防具はボロボロ、全身には大小裂傷が多々あり木に打ち付けた背中はぶつかった木の形に皮がベロンとはがれ、右腕はコブシも砕け肩から骨が飛び出ていた場所に折れた木の破片が入り込んでいる。
『申し訳ない』
「とりあえずお前は明後日、俺らがシーフォートからケイベルに帰るときに合流しろ!人目がつかないように森の中で移動するようにな、それまでツーサン太郎と一緒に自由行動しといていいぞ!」
『御意!』
 指示を出したら元気よく返事をしてサン太郎の許に歩いていく・・・サン太郎はいまだにビビっているようだが。

「レッド!大丈夫なの!?」
 俺とサンダーエッジのやり取りを遠目から見て戦いに終わりを感じたのかサラとニナが俺の戦闘中に目が覚めたニナと雪鱗を引っ張ってやってきた。
「大丈夫に見えたら目を医者にでも見せるほうがいいな」
「うわ~遠目からじゃ分かりにくかったけどこの怪我は~」
「サラの魔法でも治癒しきれるかわかんにゃいよ?ここまでひどいと」
 この世界の回復魔法は魔力依存で治癒力が上下するのだが、かける側の魔力がかけられる側の魔力より強くないと対象の纏っている魔力に妨害されてうまく治療ができない、自信を回復する分には自分の魔力ってこともあり妨害はないに等しいのだが。
「問題ない自前で治癒くらいできる・・・が手が届かないから肩に刺さってる木片はとりだしてもらえるか?」
「分かったわ・・・よくこれだけの怪我をしているのに平気な顔してられるわね?」
 と不思議そうに訊きながら木片を取り出していく、結構入ってたのね。
「痛みに泣き喚いていたほうがいいかな?俺の中ではやせ我慢は「男の美学」の一つなんだけど」
 軽口で応えてみる、実際は痛覚を戦闘が終わった時に遮断したんだけどね。
 というか一人静かな気がする。
「レッド!」
 静かだと思った矢先にこれか、
「レッド!あんたすごいね!あんな強そうな竜を従えられるなんて!今度から師匠って呼んでいい?」
 俺から何をどう学んでいくつもりか知らないが弟子志願者が来たので、
「いいぞ!ただし、俺は厳しいぞ!たぶん」
 許可を出してやる、俺に今日新しく眷属と弟子ができた。
 サンダーエッジのあだ名はなんにしようかな?
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