一振りの刃となって

なんてこった

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70.帰路

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 明朝、シーフォートの出入り口で依頼人のルベロさん、試験官のコリン、そして先輩Dランクパーティ”ハモニアの剣”の面々と合流する。
「おいおいおい!おまえ、なんだぁその様は!階段から転げ落ちたかぁ?」
「そんなところだ、ルベロさんすみませんが俺はこんな状態なので急遽彼女を俺のパーティに同行してもらうことになりました、こいつの分・・・彼女の分の費用なんかはこちらが持ちますので許可願います」
「ふむ、その体じゃあ無理に護衛はできないでしょうし私たちに迷惑がかからないでしたら同行も許可しましょう」
「ありがとうございます」
と ちゃんと雪鱗の同行の許可を得て隊列やらの打ち合わせをして馬車に乗り込む、今日が昇りだしたような時間帯での出発である。

 帰りの馬車のスピ-ドは行きよりちょっと遅くなる。
 真ん中を走るルベロさんたちの馬車が商品を詰め込んでいる為重くなっているのが原因だ。
 まぁ実際は行きより安全な旅路であるのだが。
 本来なら動きも遅くなった馬車なんて盗賊どころか野生の魔物なんかにとってもいい獲物ではあるのだが、馬車に並行して森の中を進む影のおかげでほとんど警戒しなくて済んでいる。
「Dランクの依頼だけど護衛依頼って暇なんだね~」
「暇だよな~」
「だからといってそうやって寝転がっていられると困りますよ!ブレドさん」
 暇暇言ってんのは一緒に最後尾のゴーレム馬車に乗っている雪鱗もなんだが俺だけ怒られる・・・解せぬ。
「あなたが寝転がっているからですよ!」
 なるほど納得、喉に刺さった小骨が取れた気分だ、ゆっくり寝よう。
「だーかーらー!寝るなって言ってるんですよ!」
 まったく!コリンはうるさいな、いいじゃん俺の代わりに雪鱗がいるんだから雪鱗が警戒してたら万事OKじゃん、
「この依頼は”ファルシオン”の昇格依頼で私は”ファルシオン”の昇格依頼の試験官なんです!だからあなたにうるさく言うんです!」
 こいつ、さっきから俺が思ってることに反応するかのように答えてくるけど何なの?エスパー?
「どうせしょうもないことを考えてるんでしょうけど、あなたの顔見てたら何言いたいのかくらいわかりますよ」
 なんとコリンはエスパーだった、今度からエスパーコリンと呼ぼう・・・心の中で。
「ダメです」
 なに?あだ名まで読まれたか!
「どうせ自分の心の中でくだらないあだ名をつけたんでしょう、そんな名前は許可しません」
 くっ!エスパーコリンめ、俺の心の中に間で干渉してくるとは。
 このままでは俺の心の平穏がこいつ一人に脅かされるということだ・・・どうする、殺すか?
「何か物騒なことを考えてるんじゃないでしょうね」
 そんなわけないだろう?平和を手に入れるための考えだ、主に俺の平和なんだがな。

 といった平和な時間が過ぎていき特に大きな問題もなく2日3日と日にちは過ぎていった。
 4日目の夜、
「順調すぎてつまらん」
 俺の言葉に、
「順調なのはいいことじゃないんですか?」
 ニコルが答え、
「確かにこのまま終わればDランクになってより刺激的な依頼を受けられるんだからここは我慢するところよ!」
 慌てて自制を促すサラ、
「まぁ、このまま順調にいけば明後日にはついて依頼は成功だ」
「でしょ?ならいいじゃない」
「だがこのまま終わるなんてつまらない!」
「やばい・・・これはまたにゃにか禄でもにゃい事を考えてしまった後みたい」
「ま~ここのところ1日中~コリンさんに説教されてますから~ストレス溜まってるんでしょうね~」
「なるほど、師匠はいつもに無視しているのに勝手に考えを読み取られて延々説教されてるのは面白くなかったんですね、ウチは・・・」
 ウチは見てて楽しんでますけどねって繋げそうになったので睨んで黙らせとくだッてニコルが、
「なるほど、ではコリンさんを事故に見せかけてってことですね?」
「しないよ!そんな事、試験管死んだら昇格依頼は達成しても昇格できないんだからね」
「昇格云々以前にそんな犯罪めいたことはしたらだめでしょ?」
 サラが至極まっとうなことを言う俺とニコルはさっと視線を逸らす・・・後ろ暗いことしちゃってるつもりのせいかとっさに視線をそらしてしまった。
「なぜ視線を逸らすのかしら?」
 さすがに疑問に思ったか、
「まぁいいけど、とにかく明日明後日余計なことは慎んでよね!」
「はぁい」×3
 俺、ニナ、雪鱗が返事する・・・俺はともかくなぜ二人が?
「二人とも何かするつもりだったの?」
 サラも疑問に思ったのか訊いてくれた、
「ウチは何となく」
 雪鱗は残念な子だった、
「あたしも何となく」
 残念な子は二人もうちのパーティにいるようだ、
「まあ余計なことはしないが、サンダーエッジ~」
『呼んだか主よ』
 どうやっているかは分からないが大きな足音もなくサンダーエッジが首を俺の横まで伸ばしてきた、俺は地図を広げて。
「明日の朝からでいいんだけど、地図で言うと今この辺だろ?でこのあたりにワン太郎がいるはず・・・ワン太郎はお前の先輩でブレードウルフだ、がいるはずだからワン太郎と一緒にいる奴に自己紹介した後、そいつらの指示に従っててくれ。後日迎えに行くから」
『心得た』
 了承したサンダーエッジにもう一つ重要なことを伝える、
「ついでにお前に名前は雷凄だ」
『は?』
「だから名前だよ!いつまでもサンダーエッジじゃ長いんだよ」
『はぁ・・・雷凄ですね、しかと受け取りました』
 うん、結構頭を抱えたんだぞこの名前、いくら考えてもサンダーエッジを省略した名前しか浮かんでこなくてマジで悩んだ・・・だから雷から考えて”凄まじき事雷のごとし”から貰うことにした、微妙に言い回しとか違う気もするけど貰うことにした。
「その名前ってどんにゃ意味にゃの?」
 まぁ聞かれると思ったが、フッ説明してやるか。
「カミナリは凄まじいってことさ」
 うん、俺の口下手・・・伝えたかったことが纏まりすぎてしまったようだ。
 聞いた皆も、「そ、そうだね・・・雷はすごいもんね」って俺から視線を外していく。
 いいんだ・・・俺が納得した名前を付けたんだからそれでさ・・・
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