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84.一振りの剣に戻って
しおりを挟む何やかんやあって、今俺はニコルの腰の鞘に収まっている。
これからはこの状態を俺のスタイルにすることにした。
まぁ理由はニコルが十分に強くなってきたことと、俺自身が体を使って戦うのにはあまりセンスがないってことに気づいたってことだ。
半面ニコルの伸びは中々なものがあると俺は思っている。
最初にそう思ったのが自分の元主の娘、お嬢様の首を鈍ではねた姿を見てそう思ったんだけどね・・・まぁこの時点では伸びもくそも言えないかな?
まぁこないだの浜辺での戦闘で割かし手こずったってのがショックだったってのもある。
あんだけ身体能力で優っておいて手こずったんだ、多分本体からの意志が肉体に反映するのにわずかにラグがあったようなのだ。
そう・・・いいわけでもしないとやってらんないのだ。
単純に60倍の戦力で一瞬とはいえ負けかけたのは俺にセンスがないというには十分な理由になるってなもんだ。
なまじ剣としての俺と扱う肉体の性能が良すぎたために調子に乗っていたが、実際使っているのは俺の意志、つまるところ自殺寸前までいった社会の底辺野郎なのだ。
そんな奴が調子に乗っててひどい目に合わないはずがない。
おかげで今回はブレド・ファルシオンを失ったのだ、まぁ自分で人の体を辞めることにしたのだが・・・はっ!
俺は人間をぉぉぉぉ!
ってよく考えたら大分前から捨ててるんだから今更言っても面白くないな。
とか下らないこと考えててもニコルたちは勝手に行動してくれるし、一々俺が指示出さなくてもよくなるし剣の姿なら悠々自適でいいな・・・まぁ話し相手とか不自由しちゃうんだけどね。
夕方頃にニコルたちは元盗賊たちのアジトに到着する。
『よく来たな、我が主の友たちよ』
とこのアジトの守護を任されている雷凄が迎えてくれる、その言葉に表情が曇るニコル以外の4人。
『むっどうしたのだ?何やら元気がないようだが』
「雷凄、彼女たちはレッド兄さんがいなくなったことを悲しんでいるんですよ」
ニコルが雷凄に俺の体が死刑になった経緯を伝え、未だに彼女たちが俺の正体を知らないということも小声で伝えた。
『なるほど、どうやら我は失言をしたようだな・・・済まぬ』
「いえ、彼女たちも主が知らないところで死んでしまったあなたにどんな顔をしたらいいのかが今は分からないだけなんだと思います」
『知らないところで死んだ・・・か』
その言葉を聞きさらに表情が曇っていく4人、そんな4人を見て雷凄は。
『我が主の事だ、あれだけ面白い方がこのまま死んだままということもあるまい』
とおかしなことを言いだし更には、
『そのうちひょっこり復活するやもしれんぞ?』
等と無駄に彼女たちにあり得もしない事を宣い出した・・・全く、できんこともないから厄介だ。
「雷凄どうしたのだ?」
特に騒いでいたわけでもないのだが雷凄の大きな体の様子がおかしかったのが見えたのかアジトの方から赤毛で肉付きのいい体を露出させた服と鎧に身を包んだ赤目のビーストの女性が現れた。
見覚えはあるんだが名前が分からない、そういや聞いて無かったなって今気づいた俺・・・まぁ全員初対面だし適当に自己紹介でもしてくれるだろう。
元盗賊アジトの中まで先ほどのビースト娘に案内されるニコルたち、
「テレ-ズさん案内ありがとうございます」
「これも見張りの仕事なのだ、礼はいらないのだ」
ビーストの娘はテレ-ズというらしい猫人族らしいが赤毛の猫なんているのかすごいな異世界。
「ところで兄さんから僕にとあるものが届けられていると思いますけど、それはどこにありますか?」
「それは・・・」
「それは私が預からせてもらっております」
とテレ-ズの言葉をさえぎって話に乱入してきた男が言葉をつづける。
「お久しぶりです皆さん!私は此処を亡き主ブレド様に任されておりますファイルにございます、皆さんのご到着心よりお待ちしておりました」
とファイルが仰々しい挨拶をし頭を下げる、毎回思うけどこいつ何なの?
「お久しぶりですねファイルさん、早速ですが僕に兄さんの遺品を渡してもらいたいのですが?」
「はい、それではニコル様はこちらにいらしてください・・・他の方々にはその間湯あみでもしていてください、テレ-ズ案内を頼みます」
とファイルはテレ-ズに指示を出す。
「チッ偉そうに・・・皆さんこっちなのだ」
あからさまに舌打ちをした後テレ-ズは4人を案内し始める。
テレ-ズのせいで流しかけたけどこのアジト、木の上に立っているからにはここは樹上になるのだが何故か温泉が湧き出ている場所があり温泉を立てていたりするんだよね。
「明らかに舌打ちされてますけどファイルさんどういうコオですか?」
「はい、彼女はかつてここに捕まっていた女性です。ここまで言えばわかってもらえますでしょう?」
おい、ニコルはこう見えて12だぞ、もうすぐ13らしいけど。
「なるほど、ではもう興味もないので案内をお願いします」
「はっ!こちらです」
・・・なかなかドライなニコル君。
まぁ俺があった頃にそういう体験したみたいだし、まぁいいか・・・いいかぁ?
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