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85.新装備
しおりを挟む「あれが兄さんが僕用にと残した物ですか?」
ファイルに案内されて着いたのは宝物庫だった場所だ・・・今は部屋の中央に俺が用意したものがポツンとあるだけの広い部屋だ。
「はっあちらが・・・」
『あれがお前に持っておいてもらいたいものだ』
ここなら事情が分かってる者しかいないので声を作ることができる。
『あれは、俺が創ったお前用の鎧になる』
そう、あそこに置いてあるのは俺が2週間暇だったのでブレドダミーを牢屋に置いて(自暴自棄になって無気力なのだと牢屋番に思わせていた)砂浜でブレドの体でカニ狩りしまくって集めた殻を”カスタマイズ”なんかで創った赤い鎧だ。
もちろんカニ狩り中は顔は隠して周りはワンツーサン太郎に警戒させていた、同じ失敗はしたくなかったからネ。
「兄さんには悪いんですけど僕にはあの鎧は大きいと思いますが?それに僕の戦闘スタイルにはだいぶ重すぎるかと」
確かにニコルの戦い方は力任せってよりスピードをうまく乗せて戦うスピード特化の戦い方だ。
『それを踏まえてお前用なのだ、こいつには大きな機能がいくつかある』
「いくつかの機能ですか」
『そう、まずは俺を抜き身状態にしてから”納刀”と唱えろ』
とニコルに指示を出す、ニコルは指示どうりに俺ことファルシオンを抜くと、
「”納刀”」
と唱える。
すると部屋の中央にあったカニアーマーがまるで液状化したみたいに形を変えて抜き身の俺に纏わりついてくる。
「これは?」
ニコルも少し驚いたみたいだが、驚いた拍子に俺を離して落とさなかった点は評価しよう+10点だ。
『普段からあんなもんつけてたらだるいだろ?重いだろうし、だから形状を変えられるように設定しておいた』
「そんなことができるんですか?」
ニコルの疑問も当然だろう、俺もうまくいって出来るもんなんだなーって感心したもん。
『ある状態であるワードを唱えるとこういう機能が発揮される状態になるって条件付けをしてみたら意外と簡単にできた、因みに俺を背中や腰に添えながら”納刀”って言うとベルトまで着くぞ』
「つまりこの形状は兄さんの鞘ってことですか?」
『そういう事だ、しかも俺の形状に合わせて形や大きさが変わる優れものだ・・・まぁ宝飾なんかは無いんだけど』
因みに今の俺の形状は普段ブレド・ファルシオンの時に使ってた片手剣状態である。
「これは便利ですね」
『そうだろう!んじゃあ次はその状態で”抜刀”って唱えてみて』
「はい!”抜刀”」
その瞬間俺を纏っていた鞘がまた液状化して今度はニコルに纏わりついていく。
すぐに赤い全身鎧に身を包んだニコルが現れる。
この鎧状態になった時は俺の鞘状態の時と同じように纏った者の体格に自動で合わせるようになっている。
「これはかなりぴったりですね」
ニコルが感想を述べる、口元まで覆われてるため若干ぐぐもった声になっているようだ。
『自動調整付きだ』
「なるほど」
フェイスガードを開いて話すニコル息苦しかったらしい。
『形はお前が纏うときにお前に意思を反映して決まる、今回はそこに置いてあった時の形を想起して組み上がったんだろう・・・ところで重さなんかはどうだ?』
俺は最もニコルが危惧していたであろう重さのことを聞いてみた。
「あっそういえば重さは全く感じません!これはどういうことなのでしょうか?」
ふふふ、さすがに驚いたであろう。
『種明かしするとドラゴンたちの体重調整用の魔法を使ってるんだ』
「ドラゴンは魔法で体重調整を行っているのですか?」
あっ変なとこに食いついちゃった。
そういやこの世界だとあんな巨体でも飛んでいる者は飛べるから飛べるんだって感じで物事はこういうものって変に納得して、なぜ飛べるか?ってことまで考えること自体無かったんだろうな。
まぁいいや、詳しく説明しないでも。
『そうドラゴンなんかのでかい連中は魔力で重さを誤魔化して飛んでんだ、で、この鎧も魔力で重さを誤魔化してるってわけ』
簡単に説明してみる、
「なるほど」
わかってるのかね?別にいいけどさ。
『因みにこの鎧は自己修復も可能だ、またいい感じの素材があれば鞘状態鎧状態に関わらず”吸収強化”と対象に触れた状態で唱えれば対象を吸収して強化されていく』
「それって兄さんと同じ力ってことですか?」
うん、今説明しておいて俺もあれ?って思ったよ。
『まぁ似たような力だな、だが俺と違って意志を持っていないし魂や魔力の吸収まではできない』
「そうですか」
ニコルはほっとしたような残念なような微妙な顔をして溜息をつく。
『それからこの鎧は魔力を吸収する事は出来無いが各種機能を使うためには魔力が必要となる、その魔力は基本は俺が供給していくのだが何らかのトラブルで俺から離れた時には使用者であるお前に負担がいくから気をつけるようにな』
「分かりました、因みにどれくらいの供給量が必要になるのでしょうか?」
『今の鎧の強さならニコルの魂が生成する魔力でお釣りがくるくらいだろうが、鎧が強化されていくたびに必要魔力が上がっていく仕様だ』
「分かりました、今後気をつけていきますね」
『さて、この鎧の名前なんだが』
「決まっているんですか?」
『決まっているぞ』
「なんという名前でしょう?」
俺は少し間を溜めてこの鎧の名前を放つ。
『レッドアーマーだ!』
「なるほど、まんまですね」
俺は無いはずの胸に酷い痛みを感じながら、あれ~いい名前だと思ったのにな~
等と無言で考えていた・・・
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