一振りの刃となって

なんてこった

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86.方針

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「それがレッドが残した物・・・」
 俺がニコルに送った鎧を見てサラがそう呟く。
「はい、これが兄さんが創っていた物らしいです”納刀”」
 ニコルは腰にファルシオンを添えて鎧を鞘に変える、もう使い慣れてきたようだな。
「それってウチが”抜刀”って言っても機能しないの?」
「はい、いくつか発動に条件があるそうで・・・その条件の一つが”僕”が”ファルシオン”を持って唱えることが条件らしいです」
 そう、一応盗難防止にってそんなセーフティーを付けてみた・・・まぁ盗まれたら俺自身でかたを付けるけどね。
「それにしても~レッドさんの形見になるだろうからって~レッドアーマ~って名前は~どうなんですかね~」
「えっ?僕はてっきり鎧の色で決めたのかと」
 俺も色で決めたつもりだったけど、そういう受け止め方があったか~。
「少し気ににゃってたけどニコルはレッドが死んでもあまり堪えてないみたいだよね?」
「ニナ!」
「ニナちゃんそれはあんまりな物言いですよ~」
 ニナの物言いにサラとライカが注意する。
 一気に場の空気が悪くなってきた、確かにニコルは堪えてないよな俺生きてるもん。
 ・・・この剣の体でいる事でも生きてるって言えるならね。
「二人ともありがとうございます、ですがいいんですよ、確かに僕は兄さんの死にあまり堪えて無いように見えるでしょうね」
 ニコルからの開き直り宣言にニナの眼が細くなる、なんか怒ってるのかな?
 そんなニナを放って置きニコルは言葉をつづける。
「ですが兄さんは死んでません」
 ハイ爆だ~ん。
 何言っちゃってるのこの子、もーやだー何なのー。
「死んでにゃいってどういう事」
「兄さんはこの剣の中で生きています、代々この剣の・・・ファルシオンの継承者の魂はこの剣の中に取り込まれるそうです」
 何その設定?アドリブ?
「僕もその話を兄さんに聞いていた時には半信半疑でしたが、代理人としてですがファルシオンの継承者となった今、この剣から兄さんの存在を感じるんです」
 その設定無理ないかな?ニコルがファルシオン回収したのって今日の昼じゃん、時間的に俺の存在感じるまでのラグ広すぎるじゃん。
「そんにゃはにゃし信じらんにゃいよ!」
 だよねー無理あるよねー。
「それじゃあ死んでもあの魔剣に憑りつかれてるもんじゃにゃい!それじゃあレッドも浮かばれにゃいよ!」
 あっれー?信じてるっぽい?信じたうえで否定しなきゃだめ~って流れっぽい?
「それならもしかしたら師匠生きかえらせることもできるんじゃない?」
 あー雪鱗余計なこと言った~。
「・・・それはダメよ」
 よし!常識人サラよく言った、どうせなら「それは無理よ」って言ってほしかったけど。
「レッドは魔法による禁忌に触れて死刑になったのよ?なのに私たちまで禁忌である死者の魂を弄ぶ術を探すわけ?レッドはなんで無抵抗だったのかを考えなさい」
 場に沈黙が訪れる。

 しばらくして沈黙を破る者が現れた、レベッカだ。
「なんだいこりゃ?みんな湿気た顔しちゃってさ!こんなんじゃ旦那が浮かばれないよ」
「失礼ですがあなた方は?」
 ニコルが的確に突っ込む、後ろにライラもいたようだ。
「あん?ああ悪ぃ自己紹介はした気になってたわ」
 とレベッカは笑い出す後ろでライラも笑ってた、対照的にニコル以外は彼女たちを警戒しているようだが。
「それじゃああたいはレベッカこっちはライラ、ここの維持を任されてるもんさ」
 といって親指で後ろを差す、もしやそれでここってジェスチャーのつもりか?
「レベッカさんとライラさんですね、僕は・・・」
 と順々に自己紹介をしてゆく、最後の雪鱗まで終わるとレベッカが、
「この際だから全員挨拶してもらった方がいいね、さっきみたいに声かけただけで殺気放たれてたら大変だし」
 といい始めたので急遽アジトにいる者たち全員を集めて自己紹介が始まる、”カスタマイズ”で治療した連中もいるようだ。

 一通りの自己紹介が終わり”ファルシオン”メンバーのファイルに対する目が厳しくなってきたころ夜も深くなってきたので解散し各々の割り振られた部屋へと向かう・・・
 
 そして日が昇った頃、俺からニコルにある提案をしてみる。
『ニコル、これからの方針なんだが・・・俺をこの剣の姿にした錬金術師の研究所に行かないか?』
「そうですね、最初の目的の一つでしたし行きたいのですが・・・皆をどう説得しましょうか?」
 そう、そこが問題だったのだがラッキーなことに、このアジトにはどこから来たのかがよくわかっていない武芸者がいるのだ。
『テレ-ズに案内させればいい、あいつに腕のいい錬金術師の知り合いがいたって言わせてそこを尋ねに行くんだ』
「なるほど、でその知り合いの錬金術師に兄さんを調べさせたらどうかって話を進めれば尋ねる口実にもなりますね」
『決まりだな、テレ-ズを探すぞ!』
「はい!」
 こうして俺とニコルで、ニコルを英雄に仕立て上げるって方針の次の段階に移行する。
 今ニコルは英雄的エピソードに必要な大切な肉親を亡くしたってエピソードができた、今度は何らかの武勲を多数挙げて名を広める番だ。
 その為にはパーティのメンバーにもいいものが必要になってくる足を引っ張らせるわけにはいかんからね。
 あの研究所にはなかなかいいものが多数あったので(情報提供:”ライブラリ”)そろそろ行っておきたいと思ってたんだ。
 というわけで次の方針も決まり次の目的地に向けて準備をする。
 俺たちの物語はこれからだ!
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