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89.タークで
しおりを挟むシーフォートを出て2日目のことである。
「今日の昼くらいには村が見えるはずだから今日はそこに泊まるのだ」
案内のテレ-ズがそう提案する。
「よらなければいけないんですか?」
「よらなければいけないのだ」
「テレ-ズ、なんでなのか理由を聞いてもいいかしら?」
サラがテレ-ズに理由を聞く、ニコルは笑顔だ。
「次の村からしばらく行くと戦場跡地があるのだ、そこは夜になるとアンデットが沸くため村を出るなら明け方じゃないと色々しんどいのだ」
なるほど、一晩寝ないで戦闘三昧はさすがにきついし、実は俺もアンデットと闘えるか不安もあったりする。
”ソウルイーター”は効くかわかんないからな・・・いや、意外とかなり効きがいいかもレイス系とかいるみたいだし。
「まぁあんにゃい役の言葉を尊重していいんじゃにゃい?急ぐ旅って訳じゃにゃいし」
「そうですね~観光も大事ですよね~」
ニナとライカはテレ-ズに賛成。
「焦ってもしょうがないってことですね、サラさん雪鱗さんはどうですか?」
ニコルも賛成なようだ。
「私も異存はないわね」
「・・・」
「雪鱗さん?」
雪鱗は固まっていた・・・
「お化け・・・苦手なんですね・・・」
ニコルが溜息と共に呟く、色白の頬を真っ赤に染めて。
「苦手なものはしょうがないじゃん」
どうやら一晩中アンデットと戯れる自分を想像して固まっていたらしい。
「それじゃあここで一晩泊りましょう」
いつの間にか村についていたようだ、そういえば。
「テレ-ズ、ここの村の名前はなんていうのかしら?」
うん、俺も気になった。
そんな村を早朝出発して昼過ぎに戦場跡地を抜ける・・・村の名前?そんなもの無かったんだ!やめておけ、死にたいのか!
なんてどうでもいいので村の名前を言ってしまうとキタク村だそうだ。
で次の村の名前がジタク村、ネーミングセンスが・・・いや、言うまい。
野盗やブレードドックなどと何度かエンカウントしたが特に損害もなく、日に日に成長してるんだねって俺も安心してみてられたのだが、ようやくチェックポイントの1つタークに着いた。
「日も高いうちについたので宿もとりやすいでしょう」
とニコルが呟くと
「それじゃあ、あたしたちはちょっと買い物でもしてくるよ」
「宿の方は頼むわね」
「それじゃ~あとでね~」
サラたちが別行動を取ろうとしたのでニコルが慌てて、
「では宿の場所はギルドに聞きに行ってください、僕達はギルドで聞いた宿にいますから!」
と伝えておく、今回はニコル、テレ-ズ、雪鱗の3人でのギルドイベントのようだ。
ギルドイベント?そりゃー毎回入っただけで絡まれるしそう呼んでもいいんじゃないかな。
「おいおいおい!お前ニコル・ファルシオンじゃないか?」
ギルドに入ってしばらくして強面のおっさんが絡んできた、見覚えがあるような無いような。
「お久しぶりですガデムさん」
おお、ガデムじゃないか!覚えてたよちゃんと!・・・ニコルが。
「雪鱗も久しぶりだな、あんたは?」
テレ-ズとは初対面だったな、知り合いだったら面倒だったかも・・・そうでもないか。
「私はテレ-ズなのだ」
「おう、俺はガデムだ!」
お互い自己紹介をする?他のメンバーはどしたの?
「他のやつらは個々に用事に出かけてら、俺は暇だからここで暇つぶしだ」
「そうなんですね、僕達は今日泊まるオススメの宿をギルドに訊きに来たところです」
とお互いの状態を説明する、するとガデムは
「相変わらずしっかり者だな坊主は、兄貴も見習ったらいいのにな」
と余計なことを言って笑いだす・・・冗談のつもりで言って盛大に地雷踏みよってこのおっさん。
「しっ師匠は・・・」
「ガデムさんすみませんがその話題は・・・」
「おいおいおい?どうしたんだ二人とも?もしかしてまた大怪我でもしたのか?全くあいつは油断と無茶が多いんだよなぁ、よし!俺が注意ついでに見舞いしてやろう。今どこにいるんだ?あの魔術師の嬢ちゃんたちと一緒か?」
おおい、おっさん!勘弁してくれよ・・・・
「いえ、兄さんは・・・」
「おいおいおい、そんな暗い顔して・・・まさか」
「ししょう・・・死んじゃったんだよーーー!」
大声で泣き始めた雪鱗をテレ-ズが慌てて抱きしめてなだめる。
「おいおいおい・・・何があったんだよ、良ければ聞かせてもらってもいいか?同じ依頼を受けただけの中だがそれでも一時は戦友だった中でもあるんだ」
「あまり愉快な話じゃないですよ?」
まぁ愉快じゃないな、俺死んでるし・・・ここに生きてるけど、多分。
「愉快じゃないのは当然だろう!人の、お前にとっては肉親の死んだ話なんだから・・・話してすっきりできるかもしれないから話してくれ、頼む」
それからニコルも堰を切ったように話し出した、まぁ俺が捕らえられた経緯とかだけだけどね。
「ってことは浜で新術試してるとこを魔術倫理委員会の奴に見られて一方的に因縁つけられて返り討ちにしたら処刑されたってことか!」
「はい、兄さんは新術開発など自分の体でも平気で実験に使う方だったのでそれを見られて起きた事件だったそうです」
「くそ!あんな将来有望な冒険者を気に入らないからって殺しやがって!魔倫会の連中・・・ギルドは静観してたのか?」
「はい・・・おそらく魔倫会と揉めるよりDランク冒険者を切り捨てることを選んだんだと思います、理にはかなっていますよ・・・納得できるかは別として」
とニコルが魔力に殺気を乗せて放出し始める・・・いや殺気が乗ってる感じがするな~って雰囲気だったからノリで言ってみただけだよ?
「おいおいおい落ち着け坊主、すまんなお前に気持ちも考えず俺が感情的になっちまって」
「いえ、いいんです」
「いや、そうもいかん・・・よし今日の晩飯は俺がお前らに奢ってやろう、あいつの追悼も兼ねてだ」
「そんな・・・」
「いいんだ、やらせてくれ・・・あいつのことは嫌いじゃなかったからな、頼むよ」
「分かりました・・・ありがとう・・・ごっございます」
ニコルも感極まってきたのか声を詰まらせ始める・・・ニコルよ、俺はここにいる!って言える雰囲気じゃないのがつらい。
夕方、合流した”ファルシオン”と”ハモニアの剣”のメンツでワイワイと夜を明かした、死んだブレド・ファルシオンを悼んで・・・
俺は複雑な気分で夜を明かしたがね、遠く日本で俺を思ってくれた奴はいなかっただろうが、こっちの世界でこいつらと知り合って1年どころか”ハモニアの剣”に至っては2週間ほどの付き合いもないのにこんなに悼んでくれる。
うれしいような・・・俺死んだわけじゃないから申し訳ないような・・・
一言で言うならそうだな。
ごめんね・・・かな?
そんな変な感傷に浸らされた夜だった・・・後で思い起こすと悶えてしまう俺の黒歴史の夜となった・・・
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