一振りの刃となって

なんてこった

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111.砦の攻防

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 神聖ハーモニア王国首都、王都ハーモニアに続くハーモニア街道は北のホクブ森林と南のセイブ山脈に挟まれるように伸びている街道でありホクブ森林を横断できない魔王軍が王都ハーモニアに進軍するための現在唯一の道でもある。
 割と長いその街道にはところどころで広場と呼べるような場所がありそこで迎え撃つという構えをとっての戦闘で今まで何回かは耐え凌いだのだが、兵の質がヒューマンがほとんどの神国側とデモン種で構成されてる魔王軍ではその戦闘力の差が著しく数で押していてもしばらくすると盛り返され結果後退、そんな無意味に兵を消耗させるような戦いで今、ハーモニア街道にある文字通り最後の砦である”ハーモニアの門”と呼ばれるかつてこの世界に来た勇者の発案がふんだんに盛り込まれた砦、その名もイージス砦にまで神国側は追い込まれている。
 神国側の貴族などのお偉い連中は喉元に食いつかれた今になって慌てだす、どうしてこうなったのかと、どうしたらいいのかと。
 慌ててももうどうにもならないところまで来てしまっている、国を裏切り魔王軍側につこうとした者たちもいたが次の日にはその首が馬車に詰め込まれて送り返された。
 ”敗北は死あるのみ”開戦後少したってから届けられていた書状に、この一文があったと告げられていたことを彼らは思いだす。
 どうせすぐ軍を維持できず泣き帰るだろうと高をくくっていた彼らは恐怖と絶望に沈む、が、どうせ助からないのなら意地を見せ時だとこの国の最高権力者神聖ハーモニア王国現国王ハロルド・ハーモニアの言葉にその場に居合わせた者たちは奮い立ち自分が自分がと戦場に発っていった。
 結果は惨敗に近かったのだがそれでも彼らの戦いは彼らにとっての希望が到着するための時間を稼ぐことができたのだった。

「そこ!登らせるな!」
 砦に掛けられた梯子からよじ登ってくる敵兵を見て現場にて指揮を執っているホースが指示を出す、この砦が落ちれば後ろにあるのは王都、人がより良く住むことに力を注いだ町並みは戦場になればたちまち火の海になるだろう。
 彼の家族も王都に今は住んでいる。
 この砦は決して落とさせない、その思いでこの砦にいる者たちは決死の思いでここ数日の攻防を続けている。
 当初は打って出るだけの戦力があったのだが日がたつにつれて目減りしてゆく戦友たち、援軍も何度か来ているが散発的な少数投入での援軍の為にすぐに敵に踏みにじられていった。
 なぜこうも好い様にされているのか前線で脳筋を発揮しているホースには分からない、兵の錬度の問題なのかもしれないがそんな事指揮官が承知してて当然だと思っている。
 昼も夜も波状攻撃してくるからなのか?デモン種には夜になった方が実力を発揮する者たちも多い、むしろ夜の攻防の方が激しいくらいだ、がこちらも昼夜で部隊を分けて対処していた、夜の攻防で戦線離脱する者の数は昼の二倍を超えるがそれでもまだ耐えきっている。
 昨日はまだ耐えきれていた、こんな風によじ登ってきた者たちをまだ冷静に対処できていた。
 しかし今日、ついに敵兵がこの砦の壁に足の裏を付けて立ってしまっている。
 そこからどんどん敵兵が補充されてくる。
「おしもどせ!これ以上登らせるな!」
 ホースの言葉に兵たちは我先にと敵兵に群がっていくがそのほとんどが返り討ちに会う・・・この兵の強さは異常だ。
 そう判断しても仕方がない、本来種族的には最弱なヒューマンとはいえ鍛えればそれもあまり気にはならなくなるくらいにはなる、筋肉などはエルフ達よりはつくくらいだ。
 だが、先ほどからこの敵兵一人一人になすすべなく蹂躙されている。
 昨日までの兵とは全然強さが違うのだ。
「種族差があるとはいえこれはおかしい・・・」
 考えながらも押し続けるよう指示を出し死体の山を作らせ続けるホースは自分の無能さに歯噛みし自らも戦闘という名の蹂躙劇に参加し・・・その命を散らした。

「ついにこの砦も落とせそうですね」
 そう不敵に笑いながら話す男に。
「大分持った方だろう・・・ヒューマンにしてはな」
 と返す銀髪の男、彼こそこの魔王軍のハーモニア侵攻を指揮する大将フォウルである。
「だが油断なくいけ、窮鼠猫を噛むというように無駄に噛みついて来て貴重な靭帯などを噛みきられないようにな!」
 とフォウルが指示を飛ばす彼は慎重であるがそれでも彼からしたらヒューマンたちの評価はネズミなのである。
「それにしても先ほど壁によじ登っていったデーモンソルジャーは圧倒的ですな」
 フォウルの横に控えていたもう一人の男が感心しながらデーモンソルジャーの感想を言う。
「ソフィア様から預かった貴重な悪魔だ10体しかいないから投入も慎重にしなければいけなかった。
 それまで兵たちに無理をさせねばならんのが歯がゆかったのだが・・・それも今日でひと段落だな、此処さえ落ちれば後は・・・なんだ?」
 話している最中にフォウルは東の空から何かが戦線に近づいているのを目撃する。
 それが何か分かった時にはデーモンソルジャーの布陣していた場所に強力な”ブレス”が放たれた後だった。
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