一振りの刃となって

なんてこった

文字の大きさ
119 / 130

115.王城にて

しおりを挟む

 ニコルの微笑みの後、結果的に総指揮官のちょび髭と文官2名の殺害に関与したニコルの行為を副官ハルキが場の全員に、文官がニコルの忠告を無視して魔剣に魅入られた結果起きた事件とし、ニコルも犠牲者ながら早期に解決してくれたという体にしてその場は抑えるそうだ。
 無理がある内容な気もするけどその辺はハルキが何とかするだろうってことで知らないところで世話になるから砦の修復くらい手伝ったろうとニコルと話し”カスタマイズ”を使いまくり軽く修復してやった。
 術名を口に出したらまた魔倫会に目を付けられるかもしれないので無詠唱で、まぁ詠唱なんてしたことないんだけどね。
 魔倫会か・・・


 ここ数日の回想を終えて目の前にある王の間にニコルは目を向ける、回想してたのは俺なんだけどね。
 道中あったイベントは俺を預かろうとした一般兵があんないの騎士にすんごいけんまくで怒られて話が通ってないことを知った騎士が慌ててどっかに行って、その間はその場でじっと立たされてたニコルを遠巻きでいろんな人が足を止めてみていた事かな。
 帰ってきた騎士がめっちゃ謝っていたが・・・まぁどうでもいい。
「それではこちらです、私に着いて来てください」
 と騎士がニコルにそういうと豪勢な広間に入っていく、ニコルもそれに続く。
 こういう時にレッドの体を捨てててよかったなって思うな、こんな固っ苦しいことしたくなかったし。
 そんなことを考えてると玉座に座る王っぽい・・・あれが王さんか、なんかオーラがあるな、街角で偶然見かけた芸能人みたいだ・・・見かけたことないけど。

「ニコル・ファルシオン、参上の要請にこたえてここに参上いたしました」
 ニコルがそういうと片膝をつき頭を下げる、最低限の礼は尽くさんとね。
「面をあげよ、私が神聖ハーモニア王国、現国王ハロルド・ハーモニアだ。
 そなたの此度の戦での活躍を耳にし直接声をかけたいと思い参上を要請した」
「はい」
「はっきり言うとそなた一人で一軍を退けたというのは半信半疑であるが・・・
 事実魔王軍は戦線を下げイージス砦がいまだに健在であることから嘘は少ないのだろう、多少の誇大報告はありそうだが」
 ふむ?なるほどね、呼んどいて信用はしてない・・・と。
『ニコル』
「はい」
 ニコルは立ち上がり王に背を向ける。
「どういうつもりだ!」
 周りの人間が騒ぎ出す。
「愛想が尽きました、これ以降この国が亡びるまで傍観者となることにします」
 ニコルの言葉に嘲笑が走るが・・・案内の騎士だけが蒼い顔をしている、いや?何故かふざけたことを言った王もか。
「まっまて!まだ余の話は済んでないぞ!」
「チャンスを逃しましたね、王よ。
 僕の主はあなたの僕への対応に酷くご立腹です、もはや僕の意志ではこの国に干渉することはできません。
 残念ですが・・・はい?そうですね・・・魔王軍に僕はこの国を見捨てましたと伝えるのも面白そうだと主は言っております」
 ニコルが電波なことを言いだしたがこれは一応予定していた演技の1つだ。
「まて!そなたの主とは誰だ!
 せめてその主と話をさせてはくれぬか?」
 主に食いついたか、まぁこの国に突き付けられたナイフを払える存在をちょっとした言葉で失うなんて馬鹿げてるよな。
 でもな・・・
「先ほどまであなた方のやり方に付き合って分かったことがあるのですが」
「なんだ?」
「なぜ僕があなたに従わなければならないのですか?
 僕は主の気まぐれで今回この国を救いましたが・・・あなたの民ではありません。
 貴方はこの国の王ですが、僕の主ではないんです。
 先ほどから何頭から話しかけてるんだ?おっさん!』
 最後の方は俺が声を出し周りの人間をビビらせる、まぁ演出だな。
『俺の使徒たるニコルに貴様ら先ほどから無礼が多いな?
 俺の代理たるニコルに信用ならぬと貴様らが言うなら!
 俺の力を使うニコルに見捨てられても仕方ないだろう?』
 いい感じで言葉が出た、ちょっと自分をほめたい。
「まて、まて!そなたは何者なのだ?
 我らの対応が気にいらないからと見捨てるのか?」
 王も混乱しだしているようだな、こんなこと初めてだろうし・・・ん?
「この痴れ者が!」
 何人かの騎士っぽい奴がニコルに斬りかかる・・・遅いな~。
「僕はゴブリンほど弱くないのでそんな剣にあたってあげられませんね」
 と振り下ろされる剣の横に手を添え自分に当たらないように軌道を逸らす、ついでに他の剣にぶつけながら。
 唖然とする騎士たち。
「この程度の腕しかいないなら傍観者でいる期間は少ないでしょうね。
 ではさらばです、亡国の王」
 これでもかと嫌味を言い場を後にしようとすると目の前に、
「この国を守るためなら恥も外聞もこれからの人生すらも捨てよう!
 この国を救ってくれるなら何にだってすがろう!
 頼む!この国を救ってくれないだろうか!この通りだ!」
 場は騒然となる、俺も息をのんだ・・・飲めないけど。
 ニコルの前に飛び出して両手両膝を地面につけ頭を地面にこする王の姿に一同が動揺する・・・ニコルを除いて・・・
 ニコルはそのまま歩き王の肩に右足の裏を付け、
「邪魔ですよ?歩いにくいでしょう?」
 と言って止まる、足は乗せたままで。
「貴様!」
 冷静になった騎士の1人がまた切りかかろうとするが。
『すっこんでろ三下が!』
 俺が大声をあげる、よっぽどビビったのかその騎士は尻餅をつく。
『ニコル足をどけろ』
 俺の言葉にニコルは従う。
「た・・」
『まだ顔はあげるな』
「わっ分かった・・・」
 なかなかどうして面白い奴だ。
 俺に知識にある王は生涯決して人に頭は下げないもんだったがこいつはどうだ?
 国の為なら自分の在り方なんて安いと全身で物語ってるようだ・・・ふむ、気にいったな。
『貴様の覚悟、気にいった。
 俺の剣、ニコル・ファルシオンを貸してやる。
 我が剣を用いて国を取り返すといい。
 だが肝に命じておけ?
 ニコルは貸してやるだけだ。
 貴様の物じゃない!ということを。
 わかったら顔をあげろ、俺の貸し与える剣に礼を尽くせ』
 と話をきると王、ハロルドは声にならない声でありがとうと、国を救ってくれとニコルに足に縋り呟いている。
 それに対してニコルは眉間に皺を寄せ、
「あの・・・汚いので離れてくれません?」
 と鼻水を垂らしているハロルドを引きはがした・・・
 ニコルは冷静だなぁ・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─

石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」 貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。 「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」 かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。 ときどき舞い込んでくるトラブル。 慌ててミーナを探しているルカ。 果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。 甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。 *サイトより転載になります。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...