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守りたい
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とある日のこと、空から天使が降りてきた…そんな風に見えた。
実際には高さ10メートルのベランダから女の子が落下したのだが、テレットには写り方が違った。
それは正しく運命的な出会いだ。
名のある精霊であるテレットにとって落ちてくる女の子を受け止めるのは造作のないことだった。
30センチにも満たない小型だった体は一瞬にして180センチを超え、ふわりと女の子を受け止めた。
何故女の子がベランダから落ちてきたか、状況を把握するのに大して時間はかからなかった。
ボロボロの服を着て、意識を失っている女の子。
ベランダの上から高みの見物をしているまだ成人を迎えていないだろう女の人。
こちらを強く睨めつけながら舌を噛んでいる。
敵意丸出しだ。
それによく見ると、気を失った女の子には小さなあざや切り傷が数箇所みられた。
もう一度こちらを見下ろす女に目を向け、怒りのままに睨みつけてやった。
すると女はぷいと顔を背けて室内に入っていった。
ああ、かわいそうに。
きっとあの女に落とされたんだろうね。
女からは一切の動揺が浮かんでいなかった。この小さな女の子は日常的に痛めつけられていたのだろう。
今すぐにでも女を懲らしめてやりたかった。
でも、今はこの子を助けてあげたいという気持ちが何よりも勝っていた。
懲らしめるのはいつでもできる。
優先順位を間違えるわけにはいかない。
何故か、会ったばかりなのに。
どうしてこんなにも世話を焼きたくなるのだろう。
僕はこの子の名前だって、瞳の色さえもわからない。
だけど、僕の勘はこう言っている。
きっとこの子は僕にとって大切な何かだと思う。
今日は大人しく洞穴に帰って、看病しなければ。
女の子の傷が少しでも癒えるよう最善を尽くした。
実際には高さ10メートルのベランダから女の子が落下したのだが、テレットには写り方が違った。
それは正しく運命的な出会いだ。
名のある精霊であるテレットにとって落ちてくる女の子を受け止めるのは造作のないことだった。
30センチにも満たない小型だった体は一瞬にして180センチを超え、ふわりと女の子を受け止めた。
何故女の子がベランダから落ちてきたか、状況を把握するのに大して時間はかからなかった。
ボロボロの服を着て、意識を失っている女の子。
ベランダの上から高みの見物をしているまだ成人を迎えていないだろう女の人。
こちらを強く睨めつけながら舌を噛んでいる。
敵意丸出しだ。
それによく見ると、気を失った女の子には小さなあざや切り傷が数箇所みられた。
もう一度こちらを見下ろす女に目を向け、怒りのままに睨みつけてやった。
すると女はぷいと顔を背けて室内に入っていった。
ああ、かわいそうに。
きっとあの女に落とされたんだろうね。
女からは一切の動揺が浮かんでいなかった。この小さな女の子は日常的に痛めつけられていたのだろう。
今すぐにでも女を懲らしめてやりたかった。
でも、今はこの子を助けてあげたいという気持ちが何よりも勝っていた。
懲らしめるのはいつでもできる。
優先順位を間違えるわけにはいかない。
何故か、会ったばかりなのに。
どうしてこんなにも世話を焼きたくなるのだろう。
僕はこの子の名前だって、瞳の色さえもわからない。
だけど、僕の勘はこう言っている。
きっとこの子は僕にとって大切な何かだと思う。
今日は大人しく洞穴に帰って、看病しなければ。
女の子の傷が少しでも癒えるよう最善を尽くした。
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