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心核の入手
023話
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無数の人形の残骸が転がっている中で、アランは念のためにとレーダーを使って周囲の様子を確認するが、動体反応はゼオンと黄金のドラゴン以外のものははない。
そのことに安堵したアランは、コックピットから出て乗降ケーブルを使って床に下りる。
「レオノーラ、もう敵はいないから、心核を解除してもいいぞ!」
そう叫ぶも、レオノーラ……正確には黄金のドラゴンとなったレオノーラは、すぐにその姿を解除するようなことはなく、巨大な頭をアランの方に向けるだけだ。
それこそ、もしアランの前にいるのがレオノーラが心核を使った姿だと知らなければ、腰を抜かしてもおかしくはないほどの迫力。
「おい、レオノーラ? どうしたんだよ? もう敵はいないぞ」
視界の端でゼオンが魔力に還っていくのを見ながら、アランはレオノーラに呼びかける。
やがて黄金のドラゴンは、そんなアランから視線を逸らすとその身体を構成していたドラゴンの肉体が魔力へと還っていく。
そうして、気が付けばゼオンの姿も完全に消えており、心核は床に落ちている。
それを拾い、声をかける。
「カロ、ありがとな。お前のおかげで、あの人形の群れをどうにか出来たよ」
「ぴ!」
アランの言葉に、嬉しそうに鳴き声を上げるカロ。
自我を持った心核の声に、アランは心核をそっと撫でる。
「ぴ? ぴぃっ! ぴぴっ! ぴぴ!」
撫でられたのが嬉しかったのか、カロは周囲に響き渡るような声で鳴いていた。
そんなカロの様子に目を細めていたアランだったが、ふとレオノーラが何とも言えない目つきで自分を見ていることに気が付く。
「レオノーラ? どうした?」
「アラン……貴方、自分で気が付いてないの?」
レオノーラの表情が真剣なものであるのを見てとったアランは、その言葉が決して何らかの冗談交じりのものではないと知り、だが何を言いたいのか分からず、不思議に思う。
「何がだ? 何かおかしいことがあったか?」
「……どうやら、本当に気が付いてないみたいね」
はぁ、と。
小さく溜息を吐くと、レオノーラは改めて口を開く。
「えーっと、何がだ?」
「ぴぃ?」
アランが首を傾げると、その動きに合わせたように、カロも疑問の声を上げる。
そんな一人と一匹――という表現が相応しいのかは疑問だが――の様子に、レオノーラは小さく笑みを浮かべたくなるのを我慢し、口を開く。
「つまり、アランの使っているゼオンは、心核としても明らかにおかしいのよ。心核として常識外れの存在。そう言っても間違いではないわ」
「……常識外れ? まぁ、カロがいる時点で……なぁ?」
「ぴ!」
何故かアランの言葉に自慢げに鳴き声を上げるカロ。
自我を持つ心核という時点で前代未聞なのは事実である以上、今さらそんなことを言われても……というのが、レオノーラの言葉に対するアランの正直な反応だった。
だが、そんなアランに対して、レオノーラは再度溜息を吐いてから、改めて口を開く。
「いい? 私が言ってるのはカロの存在もそうだけど、ゼオンの能力よ。さっきの……フェルスだったかしら。あれは一体何なのよ?」
「何って、フェルスだけど?」
そう答えるアランだったが、何故レオノーラがここまで興奮しているのか、それが分からない。
アランの手の中のカロもまた、興奮している状態のレオノーラを見て、少し怯え気味ですらある。
そんなアランたちの様子を見て、レオノーラは自分を落ち着かせるように深呼吸し……それから、口を開く。
……周囲には無数の人形の残骸があり、それこそ何も知らない者が見れば驚きや、場合によっては恐怖を感じてもおかしくはない光景なのだが、有り得ないものを見て興奮しているレオノーラや、そのレオノーラの気迫に押され気味のアランは全くそんなことに気が付いた様子はない。
「いい、よく聞くのよ。普通なら、心核を使ったときの形態が変化するという事はないのよ。実力不足で使えなかった能力を、心核を使いこなすことで使えるようになるということはあってもね」
そんなレオノーラの言葉を聞けば、アランにも何を言いたいのかが理解出来た。
「つまり、フェルスのことか? けど、それなら今レオノーラが言ったように、ゼオンの能力を使いこなせかった俺が、使えるようになった。……それだけじゃないのか?」
「違うわ。そもそもの話、アランはゼオンにフェルスだったかしら。そういう攻撃方法があるというのを知っていたの?」
「いや」
フェルスについては、アランも全く知らなかったのだから、素直に首を横に振って否定する。
「でしょう? 私が知ってる限りではだけど、普通なら心核を使ったときにその使い方……そして心核を使ったあとの姿で使えるスキルというのは、最初から分かっているのよ。それが実際に使えるか使えないかは別にして」
「……そう言えば、俺もそんな話を聞いたことがあったような……」
アランが所属する雲海の心核使いのうち、オーガの姿になれる男から以前似たような話を聞いたことがあったような……と、思い出す。
もしそれが本当なのだとすれば、確かにフェルスの件は色々とおかしかった、とアランも納得する。
もっともおかしいというのであれば、肝心の心核がカロのような存在になっているのだから、そこからして、明らかにおかしかったのだが。
「でしょう? つまり、アランの心核は……そう、進化とも成長とも取れる能力を持っていることになるわ。私も王女として、そして黄金の薔薇を率いる者として心核の使い手をかなりの数見てきたけど、少なくても私が知ってる中にそんな能力を持ってる人はいなかったわ」
「あー……まぁ、カロが普通の心核じゃないってのは、同意するけど」
「ぴぃ?」
そうなの? とカロはアランの手の中で鳴き声を上げる。
アランにしてみれば、何でその辺を心核のお前が知らないんだという思いがあるのだが、もしカロがその辺りの事情を知っていても、基本的に『ぴ』としか口に出来ない以上、事情の説明のしようがないのだが。
「アラン、やっぱり貴方は色々な意味で特別よ」
「そう言われてもな。いや、もちろん嬉しいことは嬉しいんだけど」
特別。
それは、この世界に転生という手段やって来たにもかかわらず、武器も魔法もどんなに頑張っても平均に届くかどうかといった程度の才能しかないアランにしてみれば、甘い……そう、非常に甘い言葉だ。
特別という言葉が嬉しくない訳でもないのだが、それでもその言葉が有頂天になれるかどうかと言われれば、それは否だった。
この世界に生まれてからの修行を続けてきた時間が、アランの増長を防ぐ。
それでも、なお自分の中にある思いを受け止めるかのようにそっとカロを握るアランを見て、レオノーラは再び口を開く。
「ねぇ、アラン。もう一度言うわ。……雲海を抜けて、黄金の薔薇に入らない? 当然だけど、わざわざこちらが誘った以上、アランが満足するだけの報酬を支払うつもりはあるわ」
「……いや、それはいい。改めて誘って貰って嬉しくない訳じゃないけど、それでも今の俺は雲海に所属する身として、そこを抜けるつもりはないよ」
そう、と。
アランの言葉に小さく呟くレオノーラだったが、その表情には言葉ほどに残念そうな色はない。
恐らく、そう言われて断られるだろうというのは予想していたのだろう。
いや、むしろここで自分が誘ったことであっさりと生まれ育ったクランを捨てるようなことがあれば、信用は出来ても信頼は出来ない。
信じて用いることは出来ても、信じて頼ることは出来ないと、そう思っていたはずだった。
「とにかく、この遺跡の件も色々と謎だけど、カロやゼオン、それにフェルスだったかしら? それについても……本当に謎が多いわね」
その全ての謎が、最終的にはアランという人物に集中するのだ。
それが分かっているだけに、アランも何とも言えない微妙な表情を浮かべることになる。
「あー……うん。取りあえず俺が気になってるのは、心核の件もそうだけどこの空間だな」
「ここに転移する前に、声が聞こえたと言ってたわよね?」
「ああ」
アランが頷いたのを見て、レオノーラは何かを考え……やがて、その美しい眉を顰める。
「もしかして……」
「何か思いついたのか?」
「あるのは状況証拠だけだけどね。……アランと私が手に入れた心核のあった遺跡は、この周辺では最も大きな遺跡だった。それはいいわね?」
確認を求めるように尋ねてくるレオノーラの言葉に、アランは頷く。
今は真剣に話し合いをするべきだと判断したのか、カロも特に鳴き声を上げず、黙ったままだ。
「そして心核を手に入れた私とアラン……いえ、声が聞こえていたのはアランだけで、私は違うのかもしれないけど。とにかく、私たちがこの遺跡に入った瞬間、この場所に転移させられた。そして間髪いれずに魔法の人形が襲ってきて、結果としてアランのゼオンには新しい……それこそ、最初はなかったはずの能力が目覚めた」
「能力が目覚めたというよりも、新しい武器を手に入れたって表現の方が正しいと思うんだけどな」
「そう、別にそっちでも構わないわ。とにかくゼオンの一件を考えると、この遺跡はもしかして……」
そこで一旦言葉を切ったレオノーラは、アランに視線を向ける。
アランもまた、ここまでの話を聞けばレオノーラが何を言いたいのかは理解出来た。
「つまり、この遺跡は俺を鍛えるため……正確にはあの遺跡から手に入れた心核を持つ者を鍛えるための遺跡だった、と?」
「ええ。その可能性は十分にあるわ」
「……偶然に偶然が重なった結果だけど、色々無理があるんじゃないか?」
心核を手にしたアランとレオノーラがこの遺跡に来たのは、本当に偶然でしかない。
レオノーラの説明では、納得出来ないところが多い。
レオノーラもアランの言いたいことは分かっているのか、頷いてから口を開く。
「もし、このような訓練場所になっているのが、この遺跡だけじゃなく……この周辺にある他の遺跡も同じだったら?」
「それは……」
レオノーラの言葉に、アランはそれ以上何も言うことが出来ず……そんな二人を、転移の光が覆うのだった。
そのことに安堵したアランは、コックピットから出て乗降ケーブルを使って床に下りる。
「レオノーラ、もう敵はいないから、心核を解除してもいいぞ!」
そう叫ぶも、レオノーラ……正確には黄金のドラゴンとなったレオノーラは、すぐにその姿を解除するようなことはなく、巨大な頭をアランの方に向けるだけだ。
それこそ、もしアランの前にいるのがレオノーラが心核を使った姿だと知らなければ、腰を抜かしてもおかしくはないほどの迫力。
「おい、レオノーラ? どうしたんだよ? もう敵はいないぞ」
視界の端でゼオンが魔力に還っていくのを見ながら、アランはレオノーラに呼びかける。
やがて黄金のドラゴンは、そんなアランから視線を逸らすとその身体を構成していたドラゴンの肉体が魔力へと還っていく。
そうして、気が付けばゼオンの姿も完全に消えており、心核は床に落ちている。
それを拾い、声をかける。
「カロ、ありがとな。お前のおかげで、あの人形の群れをどうにか出来たよ」
「ぴ!」
アランの言葉に、嬉しそうに鳴き声を上げるカロ。
自我を持った心核の声に、アランは心核をそっと撫でる。
「ぴ? ぴぃっ! ぴぴっ! ぴぴ!」
撫でられたのが嬉しかったのか、カロは周囲に響き渡るような声で鳴いていた。
そんなカロの様子に目を細めていたアランだったが、ふとレオノーラが何とも言えない目つきで自分を見ていることに気が付く。
「レオノーラ? どうした?」
「アラン……貴方、自分で気が付いてないの?」
レオノーラの表情が真剣なものであるのを見てとったアランは、その言葉が決して何らかの冗談交じりのものではないと知り、だが何を言いたいのか分からず、不思議に思う。
「何がだ? 何かおかしいことがあったか?」
「……どうやら、本当に気が付いてないみたいね」
はぁ、と。
小さく溜息を吐くと、レオノーラは改めて口を開く。
「えーっと、何がだ?」
「ぴぃ?」
アランが首を傾げると、その動きに合わせたように、カロも疑問の声を上げる。
そんな一人と一匹――という表現が相応しいのかは疑問だが――の様子に、レオノーラは小さく笑みを浮かべたくなるのを我慢し、口を開く。
「つまり、アランの使っているゼオンは、心核としても明らかにおかしいのよ。心核として常識外れの存在。そう言っても間違いではないわ」
「……常識外れ? まぁ、カロがいる時点で……なぁ?」
「ぴ!」
何故かアランの言葉に自慢げに鳴き声を上げるカロ。
自我を持つ心核という時点で前代未聞なのは事実である以上、今さらそんなことを言われても……というのが、レオノーラの言葉に対するアランの正直な反応だった。
だが、そんなアランに対して、レオノーラは再度溜息を吐いてから、改めて口を開く。
「いい? 私が言ってるのはカロの存在もそうだけど、ゼオンの能力よ。さっきの……フェルスだったかしら。あれは一体何なのよ?」
「何って、フェルスだけど?」
そう答えるアランだったが、何故レオノーラがここまで興奮しているのか、それが分からない。
アランの手の中のカロもまた、興奮している状態のレオノーラを見て、少し怯え気味ですらある。
そんなアランたちの様子を見て、レオノーラは自分を落ち着かせるように深呼吸し……それから、口を開く。
……周囲には無数の人形の残骸があり、それこそ何も知らない者が見れば驚きや、場合によっては恐怖を感じてもおかしくはない光景なのだが、有り得ないものを見て興奮しているレオノーラや、そのレオノーラの気迫に押され気味のアランは全くそんなことに気が付いた様子はない。
「いい、よく聞くのよ。普通なら、心核を使ったときの形態が変化するという事はないのよ。実力不足で使えなかった能力を、心核を使いこなすことで使えるようになるということはあってもね」
そんなレオノーラの言葉を聞けば、アランにも何を言いたいのかが理解出来た。
「つまり、フェルスのことか? けど、それなら今レオノーラが言ったように、ゼオンの能力を使いこなせかった俺が、使えるようになった。……それだけじゃないのか?」
「違うわ。そもそもの話、アランはゼオンにフェルスだったかしら。そういう攻撃方法があるというのを知っていたの?」
「いや」
フェルスについては、アランも全く知らなかったのだから、素直に首を横に振って否定する。
「でしょう? 私が知ってる限りではだけど、普通なら心核を使ったときにその使い方……そして心核を使ったあとの姿で使えるスキルというのは、最初から分かっているのよ。それが実際に使えるか使えないかは別にして」
「……そう言えば、俺もそんな話を聞いたことがあったような……」
アランが所属する雲海の心核使いのうち、オーガの姿になれる男から以前似たような話を聞いたことがあったような……と、思い出す。
もしそれが本当なのだとすれば、確かにフェルスの件は色々とおかしかった、とアランも納得する。
もっともおかしいというのであれば、肝心の心核がカロのような存在になっているのだから、そこからして、明らかにおかしかったのだが。
「でしょう? つまり、アランの心核は……そう、進化とも成長とも取れる能力を持っていることになるわ。私も王女として、そして黄金の薔薇を率いる者として心核の使い手をかなりの数見てきたけど、少なくても私が知ってる中にそんな能力を持ってる人はいなかったわ」
「あー……まぁ、カロが普通の心核じゃないってのは、同意するけど」
「ぴぃ?」
そうなの? とカロはアランの手の中で鳴き声を上げる。
アランにしてみれば、何でその辺を心核のお前が知らないんだという思いがあるのだが、もしカロがその辺りの事情を知っていても、基本的に『ぴ』としか口に出来ない以上、事情の説明のしようがないのだが。
「アラン、やっぱり貴方は色々な意味で特別よ」
「そう言われてもな。いや、もちろん嬉しいことは嬉しいんだけど」
特別。
それは、この世界に転生という手段やって来たにもかかわらず、武器も魔法もどんなに頑張っても平均に届くかどうかといった程度の才能しかないアランにしてみれば、甘い……そう、非常に甘い言葉だ。
特別という言葉が嬉しくない訳でもないのだが、それでもその言葉が有頂天になれるかどうかと言われれば、それは否だった。
この世界に生まれてからの修行を続けてきた時間が、アランの増長を防ぐ。
それでも、なお自分の中にある思いを受け止めるかのようにそっとカロを握るアランを見て、レオノーラは再び口を開く。
「ねぇ、アラン。もう一度言うわ。……雲海を抜けて、黄金の薔薇に入らない? 当然だけど、わざわざこちらが誘った以上、アランが満足するだけの報酬を支払うつもりはあるわ」
「……いや、それはいい。改めて誘って貰って嬉しくない訳じゃないけど、それでも今の俺は雲海に所属する身として、そこを抜けるつもりはないよ」
そう、と。
アランの言葉に小さく呟くレオノーラだったが、その表情には言葉ほどに残念そうな色はない。
恐らく、そう言われて断られるだろうというのは予想していたのだろう。
いや、むしろここで自分が誘ったことであっさりと生まれ育ったクランを捨てるようなことがあれば、信用は出来ても信頼は出来ない。
信じて用いることは出来ても、信じて頼ることは出来ないと、そう思っていたはずだった。
「とにかく、この遺跡の件も色々と謎だけど、カロやゼオン、それにフェルスだったかしら? それについても……本当に謎が多いわね」
その全ての謎が、最終的にはアランという人物に集中するのだ。
それが分かっているだけに、アランも何とも言えない微妙な表情を浮かべることになる。
「あー……うん。取りあえず俺が気になってるのは、心核の件もそうだけどこの空間だな」
「ここに転移する前に、声が聞こえたと言ってたわよね?」
「ああ」
アランが頷いたのを見て、レオノーラは何かを考え……やがて、その美しい眉を顰める。
「もしかして……」
「何か思いついたのか?」
「あるのは状況証拠だけだけどね。……アランと私が手に入れた心核のあった遺跡は、この周辺では最も大きな遺跡だった。それはいいわね?」
確認を求めるように尋ねてくるレオノーラの言葉に、アランは頷く。
今は真剣に話し合いをするべきだと判断したのか、カロも特に鳴き声を上げず、黙ったままだ。
「そして心核を手に入れた私とアラン……いえ、声が聞こえていたのはアランだけで、私は違うのかもしれないけど。とにかく、私たちがこの遺跡に入った瞬間、この場所に転移させられた。そして間髪いれずに魔法の人形が襲ってきて、結果としてアランのゼオンには新しい……それこそ、最初はなかったはずの能力が目覚めた」
「能力が目覚めたというよりも、新しい武器を手に入れたって表現の方が正しいと思うんだけどな」
「そう、別にそっちでも構わないわ。とにかくゼオンの一件を考えると、この遺跡はもしかして……」
そこで一旦言葉を切ったレオノーラは、アランに視線を向ける。
アランもまた、ここまでの話を聞けばレオノーラが何を言いたいのかは理解出来た。
「つまり、この遺跡は俺を鍛えるため……正確にはあの遺跡から手に入れた心核を持つ者を鍛えるための遺跡だった、と?」
「ええ。その可能性は十分にあるわ」
「……偶然に偶然が重なった結果だけど、色々無理があるんじゃないか?」
心核を手にしたアランとレオノーラがこの遺跡に来たのは、本当に偶然でしかない。
レオノーラの説明では、納得出来ないところが多い。
レオノーラもアランの言いたいことは分かっているのか、頷いてから口を開く。
「もし、このような訓練場所になっているのが、この遺跡だけじゃなく……この周辺にある他の遺跡も同じだったら?」
「それは……」
レオノーラの言葉に、アランはそれ以上何も言うことが出来ず……そんな二人を、転移の光が覆うのだった。
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