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心核の入手
030話
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ざわり、と。
ドーレストの正門……それこそいくつかある門の中でも最も頑丈で、最も大きなその正門の前に、ゼオンと黄金のドラゴンが降りてきたのを見た者たちはそれぞれざわめきの声を上げる。
一応先程までの戦いでモンスターに攻撃していたことから、味方だというのは理解している。しているのだが……それでも、見たこともないよう存在を前にすれば、ざわめくのも当然だった。
それでもパニックにならなかったのは、ドーレストにいる心核使いから、それぞれこの二匹も心核使いの変身した姿だと聞かされていたからだ。
現在正門前に集まっている者の人数は、数百人を超えている。
その全てが、ドーレストを守っていた者たちだ。
もちろん、守っていた全員がここにやって来ている訳ではなく、戦いが終わったあとの処理をしている者や、それ以外にも様々な仕事をしている者がいる。
ここにいるのは、あくまでも取りあえずで集めた者たちだけだ。
そんな大勢が見ている前で、黄金のドラゴンがレオノーラの姿に……そして、ゼオンのコックピットが開いて乗降ケーブルを使ってアランが地上に降りてくる。
正門の前に集まっていた者たちは、再びざわめく。
黄金のドラゴンが初めて見るような美女になったのもそうだったが、ゼオンのコックピットからアランが降りても、ゼオンがまだ心核に戻らないことにも驚いたのだ。
前者は心核使いとしては通常の行動だったが、姿を現したレオノーラの美貌に驚き、後者は心核使いとしてはありえない光景に驚いた。
そんな中で、正門前に集まっていた者たちの中から一人が進み出る。
「君たちは、一体どこに所属している者なのか……聞いてもいいかな?」
そう尋ねてきたのは、三十代前半の男。
その身体にはみっしりとした筋肉が詰まっており、身長も二メートルを超え、筋骨隆々という言葉が相応しい身体を金属の鎧で包んでいる人物だった。
「おっと、その前に私が自己紹介をする必要があるか。私はジョン。このドーレストの治安を守る防衛隊に所属する隊長の一人だ」
未知の、それも極めて強力な力を有した存在である二人の心核使い……レオノーラとアランを前にして、ジョンは全く緊張した様子も見せず、そう言ってくる。
もちろん実際には脅威だと思ってはいるのだろうが、それを表に出さないだけの胆力は防衛隊の隊長の一人だけはあるのだろう。
「ご丁寧な挨拶をありがとう。私は黄金の薔薇を率いるレオノーラ。それとこちらは雲海に所属するアランよ。ドーレストに向かう途中で、スタンピードが発生してモンスターに襲われていると聞いて、こうして先行して来たのだけど……正解だったようね」
レオノーラの言葉に、ジョンが、そして集まっているうちの多くが、安堵の表情を浮かべる。
目の前にいる二人が、全く未知の存在という訳ではなくクラン……それも黄金の薔薇や雲海という、それなりに名前の知られているクランに所属する人物であると名乗ったからだ。
……実際には、あくまでもそれはまだレオノーラが言ってるだけなのだが。
それでも未知の存在であるよりは、仮初めであってもどこに所属しているのかが判明するというのは大きい。
人とは、未知の存在をこそ恐れるものなのだから。
「黄金の薔薇に雲海か。どちらもそれなりに名前が知られているクランだね。けど……何故その二つのクランに所属している君たちが、一緒に? いや、もちろん助かったのは事実なんだけどね」
その疑問は、ジョン以外の者たちも多かれ少なかれ抱いていた疑問なのだろう。
多くの者たちの視線がレオノーラに向けられる。
「現在、黄金の薔薇と雲海は一緒に行動しているのよ。……ジョンも見たでしょう? アランの心核の異常さを」
「ええ。……もっとも、レオノーラさんの黄金のドラゴンも、色々な意味で並外れていると思いますけどね」
「あら、ありがとう。それは褒め言葉と思っておくわ。ともあれ、詳しい話はうちのクランと雲海がこっちに合流してからにしましょうか。ここから少し……いえ、結構離れた場所で私たちの仲間が待機してるんだけど、誰か呼びに行って貰える? 駄目なら、私の方で呼びに行くけど」
「すぐに呼びに行かせます」
ジョンが即時にそう告げたのは、この場所でまた心核を使って変身されるといったことをして欲しくはなかっただろう。
そして、ジョンの言葉はすぐに実行され……レオノーラとアランの二人は、仲間たちが来るまではということで、ドーレストの中でもかなり高級な宿の応接室で待つことになるのだった。
「うーん……慣れないな」
呟きながら、アランは応接室の中にあるソファに座る。
そのソファはかなりの高級品らしく、座っているアランの身体が沈むと表現するのが相応しいほどに、柔らかなソファだった。
この世界に生まれて……いや、日本にいるときから、このようなソファを使ったことがないだけに、このようなソファを使えば寧ろ自分の身体がどこかおかしくなってしまうのではなないか。
そんな風に思ってしまう。
「あら、そう? それなりに品質の良いソファだけど、それでもこれよりも上はいくらでもあるわよ?」
「……王族の使っているソファとかと比べられてもな」
日本にいるときは、ただのゲーム好きの田舎の高校生でしかなく、この世界に転生しても探索者の子供として育ってきた。
もちろん、それが嫌だった訳ではない。
自分を育ててくれた両親や雲海の面々は、家族だと感じている。
(あ、でもイルゼンさんとかなら、お偉いさんと話すときとかもあるらしいし、こういうソファとかにも慣れてるのか?)
そう考えつつ、この部屋に案内されたときにメイドが用意してくれた紅茶を口に運ぶ。
高級な宿だけに、そこで雇われているメイドもしっかりとした作法を学んだ者たちで、アランの目から見ても優雅という言葉が相応しかった。
日本にいたときの友人の何人かは、メイドという存在を崇拝すらしていたが、アランはそこまで……言わば、メイド萌えという性癖は持っていない。
そんなアランから見ても、テーブルの上の紅茶を用意したときの仕草は慣れたもので、思わず目を奪われた。
(東京とかにはメイド喫茶とかあるらしいけど、そこにいるメイドもこのくらい優雅に……いや、何かでメイド喫茶のメイドは、普通のメイドじゃなくて、メイド喫茶のメイドとかいう、メイドの亜種だとか何とか言ってたな)
そんなことを思い出していると、何故かアランは自分の向かいのソファに座っているレオノーラが、ジト目で自分を見ているのに気が付く。
「……何だよ」
別に自分が悪いことをしているとは思っていないアランだが、それでもレオノーラのような美人にどこか責めるような視線を向けられれば、気になってしまう。
だが、レオノーラはアランの言葉に何を言うでもなく黄金の髪を掻き上げてから、紅茶を口に運ぶ。
そんな、どこか微妙に重い空気の中で、不意に扉がノックされる。
「失礼します。レオノーラ様、アラン様。黄金の薔薇と雲海の方々が到着されました」
そう言って入ってきたのは、この宿屋で働いている従業員……いや、執事。
メイドではなかったことを少し残念に思いながら、アランは座っていたソファから立ち上がる。
……取りあえず、レオノーラから向けられる視線は無視することにして。
「さ、さて。えーっと、じゃあ行くか。これからは俺たちもこのドーレストの防衛に協力するんだろうし」
レオノーラの話を少しでも誤魔化すようにしながら、アランは執事に案内されるように宿にある別の部屋に向かったのだが……
「うわ」
部屋の中に入った瞬間、アランは思わずといった様子で呟く。
当然だろう。
部屋の中にはイルゼンや他にも雲海、黄金の薔薇の主要メンバーがいたのだが、そこにあるのは明るい雰囲気ではなく、暗い……そう、深刻と呼ぶに相応しい雰囲気だったのだから。
部屋の中にいるメンバーの中には、ロッコーモとジャスパーという、殿を任された心核使いの姿もあって、そのことにアランは安堵する。
「アラン君、レオノーラさん、無事だったようで何よりですね」
イルゼンがそんな二人に気が付き、声をかけてくる。
「イルゼンさん、一体この雰囲気は? スタンピードは解決したんですよね?」
「……いや。残念ながら、ドーレストの周辺にいたモンスターは今回スタンピードを起こした中でも先行した一部だけらしいね」
『え?』
イルゼンの言葉に、アランとレオノーラの二人は揃って声を上げる。
ゼオンと黄金のドラゴンによって蹂躙されたとはいえ、それはあくまでもその二匹が規格外の存在だったからだ。
実際、二人がここにドーレストに到着するまでは、防戦一方……それもかなり不利な状況となっていたのだ。
だというのに、それが先行した一部、つまり先遣隊でしかなかったと言われれば、それに驚くなという方が無理だろう。
「えっと、それは冗談か何か……とか、そういうことじゃないですよね?」
一応、といったように尋ねるアランだったが、イルゼンはいつもの飄々とした表情ではなく、苦い表情を浮かべたまま首を横に振る。
「残念ながらね。……正直なところ、スタンピードの規模を見誤ってしまったね。スタンピードから大人しく逃れていれば良かったと、しみじみ思うよ」
無念そうに告げるイルゼンだったが、イルゼンと付き合いの長い……それこそ、この世界に転生して生まれ変わったときからイルゼンという人物を知っているアランにしてみば、イルゼンがまだ諦めておらず、何らかの起死回生の策があるというのは、明らかだった。
とはいえ、それをはっきりと言わないということは、かなり難易度の高い……無茶なことなのだろうというのは明らかだ。
それでも、このままドーレストがスタンピードに呑まれるということは、アランの家族や仲間たちが死ぬということであり……それは、アランに到底許容出来ることではなかった。
そんなアランの視線を向けられたイルゼンは、憂鬱そうに口を開く。
「これは本当に危険なことだけれど……アラン君、遺跡の奥に行って、スタンピードを起こした原因をどうにかしてきてくれないかな」
そう、告げるのだった。
ドーレストの正門……それこそいくつかある門の中でも最も頑丈で、最も大きなその正門の前に、ゼオンと黄金のドラゴンが降りてきたのを見た者たちはそれぞれざわめきの声を上げる。
一応先程までの戦いでモンスターに攻撃していたことから、味方だというのは理解している。しているのだが……それでも、見たこともないよう存在を前にすれば、ざわめくのも当然だった。
それでもパニックにならなかったのは、ドーレストにいる心核使いから、それぞれこの二匹も心核使いの変身した姿だと聞かされていたからだ。
現在正門前に集まっている者の人数は、数百人を超えている。
その全てが、ドーレストを守っていた者たちだ。
もちろん、守っていた全員がここにやって来ている訳ではなく、戦いが終わったあとの処理をしている者や、それ以外にも様々な仕事をしている者がいる。
ここにいるのは、あくまでも取りあえずで集めた者たちだけだ。
そんな大勢が見ている前で、黄金のドラゴンがレオノーラの姿に……そして、ゼオンのコックピットが開いて乗降ケーブルを使ってアランが地上に降りてくる。
正門の前に集まっていた者たちは、再びざわめく。
黄金のドラゴンが初めて見るような美女になったのもそうだったが、ゼオンのコックピットからアランが降りても、ゼオンがまだ心核に戻らないことにも驚いたのだ。
前者は心核使いとしては通常の行動だったが、姿を現したレオノーラの美貌に驚き、後者は心核使いとしてはありえない光景に驚いた。
そんな中で、正門前に集まっていた者たちの中から一人が進み出る。
「君たちは、一体どこに所属している者なのか……聞いてもいいかな?」
そう尋ねてきたのは、三十代前半の男。
その身体にはみっしりとした筋肉が詰まっており、身長も二メートルを超え、筋骨隆々という言葉が相応しい身体を金属の鎧で包んでいる人物だった。
「おっと、その前に私が自己紹介をする必要があるか。私はジョン。このドーレストの治安を守る防衛隊に所属する隊長の一人だ」
未知の、それも極めて強力な力を有した存在である二人の心核使い……レオノーラとアランを前にして、ジョンは全く緊張した様子も見せず、そう言ってくる。
もちろん実際には脅威だと思ってはいるのだろうが、それを表に出さないだけの胆力は防衛隊の隊長の一人だけはあるのだろう。
「ご丁寧な挨拶をありがとう。私は黄金の薔薇を率いるレオノーラ。それとこちらは雲海に所属するアランよ。ドーレストに向かう途中で、スタンピードが発生してモンスターに襲われていると聞いて、こうして先行して来たのだけど……正解だったようね」
レオノーラの言葉に、ジョンが、そして集まっているうちの多くが、安堵の表情を浮かべる。
目の前にいる二人が、全く未知の存在という訳ではなくクラン……それも黄金の薔薇や雲海という、それなりに名前の知られているクランに所属する人物であると名乗ったからだ。
……実際には、あくまでもそれはまだレオノーラが言ってるだけなのだが。
それでも未知の存在であるよりは、仮初めであってもどこに所属しているのかが判明するというのは大きい。
人とは、未知の存在をこそ恐れるものなのだから。
「黄金の薔薇に雲海か。どちらもそれなりに名前が知られているクランだね。けど……何故その二つのクランに所属している君たちが、一緒に? いや、もちろん助かったのは事実なんだけどね」
その疑問は、ジョン以外の者たちも多かれ少なかれ抱いていた疑問なのだろう。
多くの者たちの視線がレオノーラに向けられる。
「現在、黄金の薔薇と雲海は一緒に行動しているのよ。……ジョンも見たでしょう? アランの心核の異常さを」
「ええ。……もっとも、レオノーラさんの黄金のドラゴンも、色々な意味で並外れていると思いますけどね」
「あら、ありがとう。それは褒め言葉と思っておくわ。ともあれ、詳しい話はうちのクランと雲海がこっちに合流してからにしましょうか。ここから少し……いえ、結構離れた場所で私たちの仲間が待機してるんだけど、誰か呼びに行って貰える? 駄目なら、私の方で呼びに行くけど」
「すぐに呼びに行かせます」
ジョンが即時にそう告げたのは、この場所でまた心核を使って変身されるといったことをして欲しくはなかっただろう。
そして、ジョンの言葉はすぐに実行され……レオノーラとアランの二人は、仲間たちが来るまではということで、ドーレストの中でもかなり高級な宿の応接室で待つことになるのだった。
「うーん……慣れないな」
呟きながら、アランは応接室の中にあるソファに座る。
そのソファはかなりの高級品らしく、座っているアランの身体が沈むと表現するのが相応しいほどに、柔らかなソファだった。
この世界に生まれて……いや、日本にいるときから、このようなソファを使ったことがないだけに、このようなソファを使えば寧ろ自分の身体がどこかおかしくなってしまうのではなないか。
そんな風に思ってしまう。
「あら、そう? それなりに品質の良いソファだけど、それでもこれよりも上はいくらでもあるわよ?」
「……王族の使っているソファとかと比べられてもな」
日本にいるときは、ただのゲーム好きの田舎の高校生でしかなく、この世界に転生しても探索者の子供として育ってきた。
もちろん、それが嫌だった訳ではない。
自分を育ててくれた両親や雲海の面々は、家族だと感じている。
(あ、でもイルゼンさんとかなら、お偉いさんと話すときとかもあるらしいし、こういうソファとかにも慣れてるのか?)
そう考えつつ、この部屋に案内されたときにメイドが用意してくれた紅茶を口に運ぶ。
高級な宿だけに、そこで雇われているメイドもしっかりとした作法を学んだ者たちで、アランの目から見ても優雅という言葉が相応しかった。
日本にいたときの友人の何人かは、メイドという存在を崇拝すらしていたが、アランはそこまで……言わば、メイド萌えという性癖は持っていない。
そんなアランから見ても、テーブルの上の紅茶を用意したときの仕草は慣れたもので、思わず目を奪われた。
(東京とかにはメイド喫茶とかあるらしいけど、そこにいるメイドもこのくらい優雅に……いや、何かでメイド喫茶のメイドは、普通のメイドじゃなくて、メイド喫茶のメイドとかいう、メイドの亜種だとか何とか言ってたな)
そんなことを思い出していると、何故かアランは自分の向かいのソファに座っているレオノーラが、ジト目で自分を見ているのに気が付く。
「……何だよ」
別に自分が悪いことをしているとは思っていないアランだが、それでもレオノーラのような美人にどこか責めるような視線を向けられれば、気になってしまう。
だが、レオノーラはアランの言葉に何を言うでもなく黄金の髪を掻き上げてから、紅茶を口に運ぶ。
そんな、どこか微妙に重い空気の中で、不意に扉がノックされる。
「失礼します。レオノーラ様、アラン様。黄金の薔薇と雲海の方々が到着されました」
そう言って入ってきたのは、この宿屋で働いている従業員……いや、執事。
メイドではなかったことを少し残念に思いながら、アランは座っていたソファから立ち上がる。
……取りあえず、レオノーラから向けられる視線は無視することにして。
「さ、さて。えーっと、じゃあ行くか。これからは俺たちもこのドーレストの防衛に協力するんだろうし」
レオノーラの話を少しでも誤魔化すようにしながら、アランは執事に案内されるように宿にある別の部屋に向かったのだが……
「うわ」
部屋の中に入った瞬間、アランは思わずといった様子で呟く。
当然だろう。
部屋の中にはイルゼンや他にも雲海、黄金の薔薇の主要メンバーがいたのだが、そこにあるのは明るい雰囲気ではなく、暗い……そう、深刻と呼ぶに相応しい雰囲気だったのだから。
部屋の中にいるメンバーの中には、ロッコーモとジャスパーという、殿を任された心核使いの姿もあって、そのことにアランは安堵する。
「アラン君、レオノーラさん、無事だったようで何よりですね」
イルゼンがそんな二人に気が付き、声をかけてくる。
「イルゼンさん、一体この雰囲気は? スタンピードは解決したんですよね?」
「……いや。残念ながら、ドーレストの周辺にいたモンスターは今回スタンピードを起こした中でも先行した一部だけらしいね」
『え?』
イルゼンの言葉に、アランとレオノーラの二人は揃って声を上げる。
ゼオンと黄金のドラゴンによって蹂躙されたとはいえ、それはあくまでもその二匹が規格外の存在だったからだ。
実際、二人がここにドーレストに到着するまでは、防戦一方……それもかなり不利な状況となっていたのだ。
だというのに、それが先行した一部、つまり先遣隊でしかなかったと言われれば、それに驚くなという方が無理だろう。
「えっと、それは冗談か何か……とか、そういうことじゃないですよね?」
一応、といったように尋ねるアランだったが、イルゼンはいつもの飄々とした表情ではなく、苦い表情を浮かべたまま首を横に振る。
「残念ながらね。……正直なところ、スタンピードの規模を見誤ってしまったね。スタンピードから大人しく逃れていれば良かったと、しみじみ思うよ」
無念そうに告げるイルゼンだったが、イルゼンと付き合いの長い……それこそ、この世界に転生して生まれ変わったときからイルゼンという人物を知っているアランにしてみば、イルゼンがまだ諦めておらず、何らかの起死回生の策があるというのは、明らかだった。
とはいえ、それをはっきりと言わないということは、かなり難易度の高い……無茶なことなのだろうというのは明らかだ。
それでも、このままドーレストがスタンピードに呑まれるということは、アランの家族や仲間たちが死ぬということであり……それは、アランに到底許容出来ることではなかった。
そんなアランの視線を向けられたイルゼンは、憂鬱そうに口を開く。
「これは本当に危険なことだけれど……アラン君、遺跡の奥に行って、スタンピードを起こした原因をどうにかしてきてくれないかな」
そう、告げるのだった。
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