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心核の入手
037話
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「魔力フィールド、解除するわ。そうすれば、すぐにまた蔦が襲ってくるけど大丈夫ね?」
「ああ、問題ない。すぐに攻撃に出る!」
レオノーラの言葉に、アランはそう答える。
そして答えると同時に魔力を調整するレオノーラの手により、ゼオリューンの周囲に存在していた魔力のフィールドが消滅する。
攻撃を防いでいた魔力のフィールドが消滅すれば、当然のようにこの空間にいるモンスターや、何よりも鉱石と蔦による攻撃が再開されることになるのだが……
「っと、ゼオリューンになって機体の大きさも微妙に変わってるから、まだ少し慣れないな」
ウイングバインダーから竜の翼へと姿を変えたそれを使いながら、アランは蔦の攻撃を回避する。
ゼオンのときは全高十八メートルだったのだが、黄金のドラゴンと合体してゼオリューンになった今は、その全高も二十メートルと二メートルほど大きくなっている。
とはいえ、ベースとなっているのがゼオンである以上、操縦感覚そのものは以前とそう変わらない。
「だからって、そう簡単にやられはしないけどな!」
叫び、ビームライフルを撃つ。
不思議なことに……あるいは当然のことなのかもしれないが、ゼオリューンになった影響でビームライフルの威力そのものも上がっていた。
放たれたビームは、蔦を消滅させ、近くにいたガーゴイルを消滅させ、そのまま壁に突き刺さって爆発を起こす。
ビームサーベルを振るい、触手を斬り裂く。
また、アランの死角となる下や後ろから迫ってきた蔦もあったが、それはゼオリューンになったことにより新たに生み出された尻尾で、あっさりと弾く。……いや、砕く。
尻尾の一撃は、強烈な鞭に似た効果を持つのか、その先端部分が触れた蔦は弾けるようにして消滅する。
また、翼も羽ばたかせることによって、風の刃を生み出すことが出来た。……もっとも、風の刃を作るためには魔力の制御する必要があり、レオノーラの協力が不可欠だったが。
「アラン、このまま雑魚を相手にしていても意味はないわ。この雑魚を産みだしている蔦の大本と鉱石の方を破壊しないと!」
「分かってる! このまま多少の無理を承知でも一気に敵の群れを突っ切ってあの鉱石を攻撃する。魔力のフィールドを展開してくれ」
魔力のフィールドは物理、魔法双方に対して強い防御力を持っているが、展開している間はゼオリューンからも攻撃は出来ない。
また、強い防御力を持っているとはいえ、それは完璧という訳でもなく、一定以上のダメージを食らうとフィールドを貫かれてしまう。
絶対視は出来ないが、それでも今のように敵の群れの中に突っ込んでその奥深くにいる相手の場所まで移動するという点では間違いなく優秀だった。
レオノーラがアランの言葉に従い、魔力フィールドを展開させたところで、アランは現状で唯一の――体当たりを入れれば別だが――攻撃手段を口に出す。
「フェルス!」
ゼオンがゼオリューンになったとき、いつの間にか消滅していたフェルスが、再び空間の波紋と共に姿を現す。
魔力フィールドの内側から攻撃出来ないのであれば、その外側から攻撃をすればいいのでは? と、そんな考えからのアランの行動だったが、それは決して間違ってはいなかった。
……唯一の計算違いは、ゼオリューンになったことにより、フェルスも三角錐の表面に黄金の竜鱗が存在していたことか。
その竜鱗が具体的にどのような効果を発揮するのかは分からないが、それでも性能が下がるといったことはないだろうと、アランはそう考える。
そうしてフェルスを動かし……
「アラン、ちょっとそれの操作をこっちに任せてくれる?」
と、不意にそんな言葉がレオノーラの口から出た。
一瞬迷ったが、元々レオノーラはアランよりも探索者としての技量は上なのだ。
また、ゼオリューンを操縦する上で魔力のコントロールも任せているということもあり、取りあえず半分ほど任せてみることにする。
「分かった、なら、十五基のフェルスを任せるけど、それでいいか?」
「ええ、構わないわ」
短いやり取りではあったが、こうしている今もアランとレオノーラはゼオリューンの操縦をしているのだ。
寧ろ、現状でそのような会話が出来るだけ、合体前よりも余裕があると言ってもいい。
(嘘だろ)
レオノーラが操るフェルスの動きは、決してアランよりも上という訳ではない。
だが、それでもこのような遠隔操作武器の知識が何もない状態で動かしたにもかかわらず、その技量がアランよりも若干下というのは、驚くべきことだった。
アランの場合は、この手の武器のについて日本にいるときに何度となく見たりしていたので、感覚で出来たのだが、そのような下地が一切ないままで、このような状況なのだ。
それで驚くなという方が無理だった。
「アラン、操縦に集中してないわよ!」
「分かってる!」
レオノーラに注意されたことで我に返り、アランは再びゼオリューンの操縦を始める。
魔力フィールドを展開したまま、鉱石と蔦に向かって突っ込むのだ。
ウイングバインダー……ではなく、ドラゴンの翼を使って加速を得て、あるいは軌道を変え、まさに縫うような動きという表現が正しいような状況で、ハーピーやガーゴイル、それ以外にも空を飛ぶモンスターの攻撃を回避しつつ飛ぶ。
どうしても回避出来ないモンスターは、ゼオリューンの飛ぶ速度と角度を変えることで、上手い具合に弾く。
蔦はゼオリューンの身体を捕まえるのではなく、魔力フィールドそのものを蔦で受け止め、蔦で巻き付こうとするが、それらは竜鱗を得たフェルスによって、次々と破壊されていく。
竜鱗を得たフェルスは、ビーム砲やビームソードの威力も以前までと比べると明らかに上がっていた。
ゼオンのときのフェルスですら蔦は止めることが出来なかったのだから、より強化された今のフェルスを受け止めることが出来ないのは当然だった。
そうしてフェルスを使い、翼で強引に進行方向を変え、場合によってはガーゴイルのような空を飛ぶモンスターに意図的に魔力のフィールドをぶつけて軌道を変え……といったように、アランは急速に蔦の巻き付いた鉱石に近づいていく。
レオノーラもまた、アランが驚くほど見事にフェルスを操り、ゼオリューンに攻撃を仕掛けようとしてくるモンスターを次から次に撃破していく。
地上にいるモンスターの中でも、力のあるモンスターは先程ゼオンに攻撃したときのように、軽いモンスターを投げるといった真似をしているのだが、ゼオリューンになったことによって機体性能が向上しており、投げられたモンスターがゼオリューンに命中するようなことはない。
……もっとも、もし命中しても魔力フィードによって弾かれることになっていただろうが。
翼を羽ばたかせ、同時に機体各所に存在するスラスターも全開にしながら飛ぶゼオリューン。
コックピットの映像モニタには、蔦に巻き付かれている鉱石の姿が映し出され、それが急激に近づいてくる。
(どうする? これを破壊してもいいのか?)
アランは目の前の光景に、そう疑問を持つ。
だが、そんな逡巡を強引に割り切る。
蔦だけをどうにかすることで、鉱石の方が落ち着き、スタンピードが終わるのであればいい。
だが、もし違ったら。
同時に、鉱石を壊さないことでスタンピードが続いたら……と、そんな疑問すら抱いてしまう。
どちらか片方だけがここにあるのであれば、アランも躊躇するようなことはなかっただろう。
しかし、蔦と鉱石の二つがある以上、どちらかを壊すか、もしくはどちらも壊す……そのどれが正解なのか分からないのだ。
そうやってアランは迷い……
『迷うな。鉱石と蔦。その双方共に壊すことで、スタンピードは終息する』
「え?」
「今のは?」
頭の中に響いたその声に、アランは声を出し……そんなアランと同時に、レオノーラもまた同様に声を出す。
それは、頭の中に響いた今の声がレオノーラにも聞こえていたことを意味していた。
「レオノーラ、今の声が聞こえたか?」
「ええ。鉱石と蔦を双方とも破壊すればスタンピードは終息するって……けど、今の声は一体誰が?」
「分からない。ただ、そろそろ迷っていられるような時間もなくなってきてるし、あの声に従ってみるか」
次第に近づいてくる鉱石と蔦を見ながら、アランはそう決意する。
先程まで迷っていたのが、不思議なほどにすんなりと心を決めることが出来た。
そうして近くなってきた鉱石と蔦を見て……アランは、日本にいるときに見たことがあるアニメのロボットの必殺技を思い出す。
それは、現状のゼオリューンに相応しい技。
「あの鉱石と蔦がどれだけの威力を持っているのか、分からない。そうなると、接近したときの一撃で一気に勝負を決めるぞ。ギガクラッシュだ」
そう言った瞬間、その技を理解しているのはあくまでも日本で暮らしていたという前世を持つアランだけにしか分からないだろうと思いつく。
改めてレオノーラにギガクラッシュがどういうものなのかを説明しようとしたアランだったが……
「分かったわ、ギガクラッシュね。フェルスを動かしながら魔力によって行動を同期させるから、アランの判断で発動してちょうだい」
「……え?」
レオノーラの口からそんな声が出たことに、アランは自分でも分かるほどに間の抜けた声が出る。
だが、それも当然だろう。
そもそもの話、ギガクラッシュという必殺技は日本でやっていたロボットもののアニメに出て来た技だ。
あるいはアランが知らないだけで、この世界にもギガクラッシュという必殺技があるのかもしれないとも思ったが、フェルスを魔力で同期させる……と、アランが知っているギガクラッシュの前準備としか思えないような言葉を発している。
「驚くのはあとにして。今は、とにかくあの鉱石と蔦を破壊するのが最優先よ」
数秒唖然としたアランに、鋭くレオノーラが叫ぶ。
その言葉で我に返ったアランが見たのは、それこそもう十秒と経たないうちに射程距離に入る鉱石と蔦の姿。
半ば反射的に頭を切り替えたアランが、機体を制御し、ビームライフルと腹部拡散ビーム砲の発射準備をしながら叫ぶ。
「ギガクラッシュ、発射」
アランの叫びと共に、今はすでに三十基全てのフェルスを操作しているレオノーラが、一斉にビーム砲を放つ。
それも、魔力のコントロールに長けているだけあって、そのビーム砲は全てが一点に集中していた。
一撃の威力は弱くても、三十基のフェルスが一点に攻撃をすれば、その威力は絶大なものとなる。
ましてや、そのフェルスの砲撃が当たらないように接近したゼオリューンが、至近距離でビームライフルを連射し、腹部ビーム砲を撃ち込むといった真似をすれば、その威力は極めて強力なものとなり……次の瞬間、蔦と鉱石は爆散するのだった。
「ああ、問題ない。すぐに攻撃に出る!」
レオノーラの言葉に、アランはそう答える。
そして答えると同時に魔力を調整するレオノーラの手により、ゼオリューンの周囲に存在していた魔力のフィールドが消滅する。
攻撃を防いでいた魔力のフィールドが消滅すれば、当然のようにこの空間にいるモンスターや、何よりも鉱石と蔦による攻撃が再開されることになるのだが……
「っと、ゼオリューンになって機体の大きさも微妙に変わってるから、まだ少し慣れないな」
ウイングバインダーから竜の翼へと姿を変えたそれを使いながら、アランは蔦の攻撃を回避する。
ゼオンのときは全高十八メートルだったのだが、黄金のドラゴンと合体してゼオリューンになった今は、その全高も二十メートルと二メートルほど大きくなっている。
とはいえ、ベースとなっているのがゼオンである以上、操縦感覚そのものは以前とそう変わらない。
「だからって、そう簡単にやられはしないけどな!」
叫び、ビームライフルを撃つ。
不思議なことに……あるいは当然のことなのかもしれないが、ゼオリューンになった影響でビームライフルの威力そのものも上がっていた。
放たれたビームは、蔦を消滅させ、近くにいたガーゴイルを消滅させ、そのまま壁に突き刺さって爆発を起こす。
ビームサーベルを振るい、触手を斬り裂く。
また、アランの死角となる下や後ろから迫ってきた蔦もあったが、それはゼオリューンになったことにより新たに生み出された尻尾で、あっさりと弾く。……いや、砕く。
尻尾の一撃は、強烈な鞭に似た効果を持つのか、その先端部分が触れた蔦は弾けるようにして消滅する。
また、翼も羽ばたかせることによって、風の刃を生み出すことが出来た。……もっとも、風の刃を作るためには魔力の制御する必要があり、レオノーラの協力が不可欠だったが。
「アラン、このまま雑魚を相手にしていても意味はないわ。この雑魚を産みだしている蔦の大本と鉱石の方を破壊しないと!」
「分かってる! このまま多少の無理を承知でも一気に敵の群れを突っ切ってあの鉱石を攻撃する。魔力のフィールドを展開してくれ」
魔力のフィールドは物理、魔法双方に対して強い防御力を持っているが、展開している間はゼオリューンからも攻撃は出来ない。
また、強い防御力を持っているとはいえ、それは完璧という訳でもなく、一定以上のダメージを食らうとフィールドを貫かれてしまう。
絶対視は出来ないが、それでも今のように敵の群れの中に突っ込んでその奥深くにいる相手の場所まで移動するという点では間違いなく優秀だった。
レオノーラがアランの言葉に従い、魔力フィールドを展開させたところで、アランは現状で唯一の――体当たりを入れれば別だが――攻撃手段を口に出す。
「フェルス!」
ゼオンがゼオリューンになったとき、いつの間にか消滅していたフェルスが、再び空間の波紋と共に姿を現す。
魔力フィールドの内側から攻撃出来ないのであれば、その外側から攻撃をすればいいのでは? と、そんな考えからのアランの行動だったが、それは決して間違ってはいなかった。
……唯一の計算違いは、ゼオリューンになったことにより、フェルスも三角錐の表面に黄金の竜鱗が存在していたことか。
その竜鱗が具体的にどのような効果を発揮するのかは分からないが、それでも性能が下がるといったことはないだろうと、アランはそう考える。
そうしてフェルスを動かし……
「アラン、ちょっとそれの操作をこっちに任せてくれる?」
と、不意にそんな言葉がレオノーラの口から出た。
一瞬迷ったが、元々レオノーラはアランよりも探索者としての技量は上なのだ。
また、ゼオリューンを操縦する上で魔力のコントロールも任せているということもあり、取りあえず半分ほど任せてみることにする。
「分かった、なら、十五基のフェルスを任せるけど、それでいいか?」
「ええ、構わないわ」
短いやり取りではあったが、こうしている今もアランとレオノーラはゼオリューンの操縦をしているのだ。
寧ろ、現状でそのような会話が出来るだけ、合体前よりも余裕があると言ってもいい。
(嘘だろ)
レオノーラが操るフェルスの動きは、決してアランよりも上という訳ではない。
だが、それでもこのような遠隔操作武器の知識が何もない状態で動かしたにもかかわらず、その技量がアランよりも若干下というのは、驚くべきことだった。
アランの場合は、この手の武器のについて日本にいるときに何度となく見たりしていたので、感覚で出来たのだが、そのような下地が一切ないままで、このような状況なのだ。
それで驚くなという方が無理だった。
「アラン、操縦に集中してないわよ!」
「分かってる!」
レオノーラに注意されたことで我に返り、アランは再びゼオリューンの操縦を始める。
魔力フィールドを展開したまま、鉱石と蔦に向かって突っ込むのだ。
ウイングバインダー……ではなく、ドラゴンの翼を使って加速を得て、あるいは軌道を変え、まさに縫うような動きという表現が正しいような状況で、ハーピーやガーゴイル、それ以外にも空を飛ぶモンスターの攻撃を回避しつつ飛ぶ。
どうしても回避出来ないモンスターは、ゼオリューンの飛ぶ速度と角度を変えることで、上手い具合に弾く。
蔦はゼオリューンの身体を捕まえるのではなく、魔力フィールドそのものを蔦で受け止め、蔦で巻き付こうとするが、それらは竜鱗を得たフェルスによって、次々と破壊されていく。
竜鱗を得たフェルスは、ビーム砲やビームソードの威力も以前までと比べると明らかに上がっていた。
ゼオンのときのフェルスですら蔦は止めることが出来なかったのだから、より強化された今のフェルスを受け止めることが出来ないのは当然だった。
そうしてフェルスを使い、翼で強引に進行方向を変え、場合によってはガーゴイルのような空を飛ぶモンスターに意図的に魔力のフィールドをぶつけて軌道を変え……といったように、アランは急速に蔦の巻き付いた鉱石に近づいていく。
レオノーラもまた、アランが驚くほど見事にフェルスを操り、ゼオリューンに攻撃を仕掛けようとしてくるモンスターを次から次に撃破していく。
地上にいるモンスターの中でも、力のあるモンスターは先程ゼオンに攻撃したときのように、軽いモンスターを投げるといった真似をしているのだが、ゼオリューンになったことによって機体性能が向上しており、投げられたモンスターがゼオリューンに命中するようなことはない。
……もっとも、もし命中しても魔力フィードによって弾かれることになっていただろうが。
翼を羽ばたかせ、同時に機体各所に存在するスラスターも全開にしながら飛ぶゼオリューン。
コックピットの映像モニタには、蔦に巻き付かれている鉱石の姿が映し出され、それが急激に近づいてくる。
(どうする? これを破壊してもいいのか?)
アランは目の前の光景に、そう疑問を持つ。
だが、そんな逡巡を強引に割り切る。
蔦だけをどうにかすることで、鉱石の方が落ち着き、スタンピードが終わるのであればいい。
だが、もし違ったら。
同時に、鉱石を壊さないことでスタンピードが続いたら……と、そんな疑問すら抱いてしまう。
どちらか片方だけがここにあるのであれば、アランも躊躇するようなことはなかっただろう。
しかし、蔦と鉱石の二つがある以上、どちらかを壊すか、もしくはどちらも壊す……そのどれが正解なのか分からないのだ。
そうやってアランは迷い……
『迷うな。鉱石と蔦。その双方共に壊すことで、スタンピードは終息する』
「え?」
「今のは?」
頭の中に響いたその声に、アランは声を出し……そんなアランと同時に、レオノーラもまた同様に声を出す。
それは、頭の中に響いた今の声がレオノーラにも聞こえていたことを意味していた。
「レオノーラ、今の声が聞こえたか?」
「ええ。鉱石と蔦を双方とも破壊すればスタンピードは終息するって……けど、今の声は一体誰が?」
「分からない。ただ、そろそろ迷っていられるような時間もなくなってきてるし、あの声に従ってみるか」
次第に近づいてくる鉱石と蔦を見ながら、アランはそう決意する。
先程まで迷っていたのが、不思議なほどにすんなりと心を決めることが出来た。
そうして近くなってきた鉱石と蔦を見て……アランは、日本にいるときに見たことがあるアニメのロボットの必殺技を思い出す。
それは、現状のゼオリューンに相応しい技。
「あの鉱石と蔦がどれだけの威力を持っているのか、分からない。そうなると、接近したときの一撃で一気に勝負を決めるぞ。ギガクラッシュだ」
そう言った瞬間、その技を理解しているのはあくまでも日本で暮らしていたという前世を持つアランだけにしか分からないだろうと思いつく。
改めてレオノーラにギガクラッシュがどういうものなのかを説明しようとしたアランだったが……
「分かったわ、ギガクラッシュね。フェルスを動かしながら魔力によって行動を同期させるから、アランの判断で発動してちょうだい」
「……え?」
レオノーラの口からそんな声が出たことに、アランは自分でも分かるほどに間の抜けた声が出る。
だが、それも当然だろう。
そもそもの話、ギガクラッシュという必殺技は日本でやっていたロボットもののアニメに出て来た技だ。
あるいはアランが知らないだけで、この世界にもギガクラッシュという必殺技があるのかもしれないとも思ったが、フェルスを魔力で同期させる……と、アランが知っているギガクラッシュの前準備としか思えないような言葉を発している。
「驚くのはあとにして。今は、とにかくあの鉱石と蔦を破壊するのが最優先よ」
数秒唖然としたアランに、鋭くレオノーラが叫ぶ。
その言葉で我に返ったアランが見たのは、それこそもう十秒と経たないうちに射程距離に入る鉱石と蔦の姿。
半ば反射的に頭を切り替えたアランが、機体を制御し、ビームライフルと腹部拡散ビーム砲の発射準備をしながら叫ぶ。
「ギガクラッシュ、発射」
アランの叫びと共に、今はすでに三十基全てのフェルスを操作しているレオノーラが、一斉にビーム砲を放つ。
それも、魔力のコントロールに長けているだけあって、そのビーム砲は全てが一点に集中していた。
一撃の威力は弱くても、三十基のフェルスが一点に攻撃をすれば、その威力は絶大なものとなる。
ましてや、そのフェルスの砲撃が当たらないように接近したゼオリューンが、至近距離でビームライフルを連射し、腹部ビーム砲を撃ち込むといった真似をすれば、その威力は極めて強力なものとなり……次の瞬間、蔦と鉱石は爆散するのだった。
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