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心核の入手
040話
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スタンピードを終わらせた功労者。
アランとレオノーラの二人は、ドーレストでそのように持ち上げられることになってしまう。
アランとしては、最初こそちやほやされるのが嬉しかったのだが、自分に近づいてくる者たちの多くが、何らかの理由をつけて自分を利用しようとしているのだと両親に言われてしまい、微妙な気分となる。
また、英雄として言い寄ってくる女もいたのだが、レオノーラから両親と同様のことを言われてしまい、こちらも自分からどうこうという気分ではなくなってしまった。
言い寄ってくる女の中には、低位ながら貴族の娘もいれば、大きな商会を率いている商人の娘といった者達もいたのだが。
……とはいえ、女の方であっさりとそう頭を切り替えることが出来たのは、やはり身近にレオノーラという類い希な美女がいたからだろう。
言い寄ってきた女は全員が平均以上の美人ではあったのだが、最近レオノーラと行動することが多くなっていたアランにしてみれば、そこまで魅力的には感じなかった。
それは、女の方にも打算を隠し切れていなかった、というのが大きいだろう。
もしレオノーラと知り合っていなければ、そんなハニートラップに引っ掛かる可能性もあったのだが。
ともあれ、そのような接待にうんざりとしたアランは、当然のように雲海を率いるイルゼンに対して不満をこぼす。
「イルゼンさん、そろそろドーレストを出ませんか? こうも毎日のようにパーティに参加させられるのは、ごめんです」
「おや、そうですか? 最初は美味しい料理を食べられると喜んでいたじゃないですか」
「それは……」
それが事実だっただけに、アランも咄嗟に反論は出来ない。
貴族や大商人が開くパーティだけに、当然その料理も一級品の料理が出る。
アランにとって、この世界に転生してきた不満なことの一つが、その料理にあった。
日本という国は、食にかんしては間違いなく地球でも有数の国家で、この世界よりも明らかに上だったのだ。
もちろん、十年以上もこの世界で生きてきただけに、ある程度この世界の食事にも慣れてはいる。
……アランにとって幸運だったのは、雲海がそれなりに有名で実力もあるクランだったことだろう。
おかげで、食事もある程度の質と量が確保されていたのだから。
少なくても、一般的な冒険者や探索者といった者たちが食べている食事に比べれば、明らかに上質なものだった。
それでも、やはり豪華な食事というのには心惹かれていたアランだったが……
「いくら豪華な料理でも、何日も続けば飽きますよ」
イルゼンの言葉に、しみじみとそう呟く。
パーティで出された料理は、どれもが美味かった。
それこそ、日本で食べた料理よりも美味いと言い切れる料理がいくつもあったのは間違いない。
特にアランが日本で住んでいたのは、あくまでも東北の田舎だ。
東京の名店といったような店で食事をしたことがないので、それらのパーティで出て来る料理はどれもが絶品なのは事実だった。
だが、それでも……今のアランにとっては、粗食――あくまでもパーティの料理に比べての話で、この世界の平均よりは上の食事だが――で十年以上育ってきただけに、たまに食べるのならまだしも、そのような料理が連日続くと、さすがに飽きる。
「そうですか。では、こちらの用事も大体終わったことですし、そろそろドーレストを去りますか」
「……え? いいんですか?」
「いや、それがアラン君の目的だったのでは?」
驚いたように……いや、わざと驚いたといったのが分かるような意図的な驚き方にアランは若干思うところがあったのは間違いないが、それでも今の状況を考えると、不満を口に出すことは出来ない。
ここで下手に何かを言えば、『なら、ドーレストを出るのは止めましょう』と、イルゼンならそう言いかねないのだ。
「えっと、その……助かります」
「いえいえ。アラン君には言い寄ってくる相手が必ずしも善意や好意からではないと、それを知ってもらっただけで十分ですから」
「……え?」
「おっといけない。これは秘密でしたね」
「ちょっ、イルゼンさん!?」
さすがに今の言葉は聞き逃せなかったのか、アランはイルゼンに焦った様子で尋ねる。
だが、そんなアランに対し、イルゼンはいつものような胡散臭い笑みを浮かべたまま、口を開く。
「アラン君が手にした心核は、色々な意味で特別なものです。その上で、ゼオリューンでしたか? 他の心核と合体するような、そんな特別な心核を持っていることが知られると、これからは当然のように有象無象の人たちが寄ってくるでしょう」
「まぁ……」
実際にパーティの会場でそれを実感しているだけに、アランはイルゼンに返す言葉もない。
「だからこそ、アラン君には今回のような件を体験しておいて欲しかったんですよ。それに……アラン君は今回力を見せました。アラン君が持つ規格外の心核の力は、誰であっても欲するでしょう」
「……いや、スタンピードの一件で力を見せるってのは、イルゼンさんの指示でしたよね?」
「そうとも言います」
「そうとしか言いませんよ!」
「ぴ!」
アランの言葉に同意するかのように、カロが鳴く。
先程までは黙っていたのだが、アランの言葉で動き出したのだろう。
(カロの件もな。……結局あれ以降、裏の人格? っぽいのは一切出てこないし)
何度かあの人格を表に出そうとして、レオノーラと共にカロに色々と話しかけたりしてみたのだが、結局人格が表に出て来ることはなかった。
それどころか、カロが悲しそうに鳴き声を上げるのを聞けば、それ以上のことが出来るはずもない。
「ははは。これも勉強だよ、勉強。それに、アラン君はこれからどうしてもああいうパーティに呼ばれることが多くなるだろうから、今のうちに慣れておいて欲しかったというのもあるしね」
笑いながらそう告げるイルゼンに、不満を抱きつつもアランはこれからそういうことが増えるのだろうと思えば、それ以上は何も言えなかった。
「さて、じゃあ出発はこれからにしますか。皆の準備も出来ていますし」
「……え?」
出発するとは言っていたが、それでもまさかこんなに早く出発するとは思わなかったアランが、イルゼンの言葉に唖然とする。
「えっと、その……もう本当に準備が出来ていたんですか?」
「そうですよ。アラン君の性格なら、そろそろ弱音を吐く頃だと思ってましたし。いえ、私の予想ではもう数日は早いと思ってたんですけどね。アラン君も心核使いになったことで、鍛えられたといったところでしょうか。ああ、もちろん黄金の薔薇の方にもその辺は伝えてあるので、心配しないで下さい」
そう告げるイルゼンに、アランは敵わないという思いと共に、そこまで見透かされていたことに多少の不満を抱くのだった。
イルゼンの言葉通り、出発はすぐだった。
それこそ、アランがイルゼンに出発すると告げてから、数時間と経たないうちに雲海と黄金の薔薇の面々はドーレストの外にいたのだから、それがどれくらい素早いのかは容易に予想出来るだろう。
(つまり、これって完全に俺がそろそろドーレストを出ようと言わないか、待ってたってことだよな)
馬車の中で若干不満そうにしながら、そう考えるアラン。
そんなアランに、母親のリアは面白そうに笑う。
「アラン、上流階級との付き合いはどうだったの?」
「……いや、母さんがそれを言うのかよ」
リアは雲海に所属する前は腕利きの冒険者として名前が知られていた人物だ。
基本的にこの世界においては、冒険者は探索者よりも下の存在と見なされることが多いのだが、それでも冒険者の中で腕利きと言われるようになって有名になれば、話は別だった。
リアも元はそのような冒険者であり、そうなれば当然のように今回アランが経験したような上流階級のパーティに招かれるといったこともあったのは間違いない。
だからこそ、アランが現在どんな風に思っているのかといったことがほぼ理解出来たのだ。
「あら、でもアランもこれからはそういうパーティに呼ばれることは多くなると思うわよ? なら、今のうちに慣れておいた方がいいのは間違いないでしょ」
「それは、イルゼンさんに散々に言われたよ」
そう言った瞬間、ふふっ、と馬車の中に笑い声が漏れる。
その笑い声を漏らしたのは、何故か……本当に何故かこの場にいるレオノーラ。
「何だよ?」
「いえ、別に。ただ、パーティのときのアランの様子を思い出すと……ふふっ」
「あー、そうかい。というか、そもそもなんでレオノーラがこの馬車に乗ってるんだよ? これは雲海の馬車だぞ」
「あら、今は一緒に行動してるんだし、それくらいはいいでしょう? 実際、雲海の人たちの中にも、黄金の薔薇の馬車に乗ってる人はいるわよ?」
それは、間違いのない事実だった。
雲海と黄金の薔薇の面々は、接触した当初こそあまり仲が良好ではなかったのだが、スタンピードの戦いを一緒にくぐり抜けたことにより、一種戦友的な思いを抱いている者も多かった。
もちろん、全員がそうだという訳ではなく、中にはどうしてもそれぞれに気にくわない相手がいる、というのもある。
とはいえ、全体的に見ればそれぞれがそれなりに友好的な関係になったのは、間違いのない事実だった。
(そういう意味では、今回のスタンピードも意味はあった、といったところかしら)
目の前で言い争いをしているアランとレオノーラの二人を眺めつつ、リアは何となく自分の耳――ハーフエルフのために、人よりは長くエルフよりは短い――を弄りながら、そう考える。
アランにとって、レオノーラという存在は珍しく言いたいことを好きに言える相手なのだ。
基本的にアランは誰に対してもある程度言うことは言うといった性格をしているが、それでも若干の遠慮があるのは間違いない。
そういう意味では、レオノーラに対しては好き放題に自分の思うことを言う、といった真似が出来るのはリアから見ても間違いなかった。
……もっとも、レオノーラの美貌に目を奪われていたりすることもあり、そういうときは言葉を濁していたりもしたが。
(初恋以来じゃないかしら。……そう言えば、あの娘は今頃どうしているのかしらね)
馬車に揺れつつ、レオノーラとアランのやり取りを見ながらそんなことを考えるのだった。
アランとレオノーラの二人は、ドーレストでそのように持ち上げられることになってしまう。
アランとしては、最初こそちやほやされるのが嬉しかったのだが、自分に近づいてくる者たちの多くが、何らかの理由をつけて自分を利用しようとしているのだと両親に言われてしまい、微妙な気分となる。
また、英雄として言い寄ってくる女もいたのだが、レオノーラから両親と同様のことを言われてしまい、こちらも自分からどうこうという気分ではなくなってしまった。
言い寄ってくる女の中には、低位ながら貴族の娘もいれば、大きな商会を率いている商人の娘といった者達もいたのだが。
……とはいえ、女の方であっさりとそう頭を切り替えることが出来たのは、やはり身近にレオノーラという類い希な美女がいたからだろう。
言い寄ってきた女は全員が平均以上の美人ではあったのだが、最近レオノーラと行動することが多くなっていたアランにしてみれば、そこまで魅力的には感じなかった。
それは、女の方にも打算を隠し切れていなかった、というのが大きいだろう。
もしレオノーラと知り合っていなければ、そんなハニートラップに引っ掛かる可能性もあったのだが。
ともあれ、そのような接待にうんざりとしたアランは、当然のように雲海を率いるイルゼンに対して不満をこぼす。
「イルゼンさん、そろそろドーレストを出ませんか? こうも毎日のようにパーティに参加させられるのは、ごめんです」
「おや、そうですか? 最初は美味しい料理を食べられると喜んでいたじゃないですか」
「それは……」
それが事実だっただけに、アランも咄嗟に反論は出来ない。
貴族や大商人が開くパーティだけに、当然その料理も一級品の料理が出る。
アランにとって、この世界に転生してきた不満なことの一つが、その料理にあった。
日本という国は、食にかんしては間違いなく地球でも有数の国家で、この世界よりも明らかに上だったのだ。
もちろん、十年以上もこの世界で生きてきただけに、ある程度この世界の食事にも慣れてはいる。
……アランにとって幸運だったのは、雲海がそれなりに有名で実力もあるクランだったことだろう。
おかげで、食事もある程度の質と量が確保されていたのだから。
少なくても、一般的な冒険者や探索者といった者たちが食べている食事に比べれば、明らかに上質なものだった。
それでも、やはり豪華な食事というのには心惹かれていたアランだったが……
「いくら豪華な料理でも、何日も続けば飽きますよ」
イルゼンの言葉に、しみじみとそう呟く。
パーティで出された料理は、どれもが美味かった。
それこそ、日本で食べた料理よりも美味いと言い切れる料理がいくつもあったのは間違いない。
特にアランが日本で住んでいたのは、あくまでも東北の田舎だ。
東京の名店といったような店で食事をしたことがないので、それらのパーティで出て来る料理はどれもが絶品なのは事実だった。
だが、それでも……今のアランにとっては、粗食――あくまでもパーティの料理に比べての話で、この世界の平均よりは上の食事だが――で十年以上育ってきただけに、たまに食べるのならまだしも、そのような料理が連日続くと、さすがに飽きる。
「そうですか。では、こちらの用事も大体終わったことですし、そろそろドーレストを去りますか」
「……え? いいんですか?」
「いや、それがアラン君の目的だったのでは?」
驚いたように……いや、わざと驚いたといったのが分かるような意図的な驚き方にアランは若干思うところがあったのは間違いないが、それでも今の状況を考えると、不満を口に出すことは出来ない。
ここで下手に何かを言えば、『なら、ドーレストを出るのは止めましょう』と、イルゼンならそう言いかねないのだ。
「えっと、その……助かります」
「いえいえ。アラン君には言い寄ってくる相手が必ずしも善意や好意からではないと、それを知ってもらっただけで十分ですから」
「……え?」
「おっといけない。これは秘密でしたね」
「ちょっ、イルゼンさん!?」
さすがに今の言葉は聞き逃せなかったのか、アランはイルゼンに焦った様子で尋ねる。
だが、そんなアランに対し、イルゼンはいつものような胡散臭い笑みを浮かべたまま、口を開く。
「アラン君が手にした心核は、色々な意味で特別なものです。その上で、ゼオリューンでしたか? 他の心核と合体するような、そんな特別な心核を持っていることが知られると、これからは当然のように有象無象の人たちが寄ってくるでしょう」
「まぁ……」
実際にパーティの会場でそれを実感しているだけに、アランはイルゼンに返す言葉もない。
「だからこそ、アラン君には今回のような件を体験しておいて欲しかったんですよ。それに……アラン君は今回力を見せました。アラン君が持つ規格外の心核の力は、誰であっても欲するでしょう」
「……いや、スタンピードの一件で力を見せるってのは、イルゼンさんの指示でしたよね?」
「そうとも言います」
「そうとしか言いませんよ!」
「ぴ!」
アランの言葉に同意するかのように、カロが鳴く。
先程までは黙っていたのだが、アランの言葉で動き出したのだろう。
(カロの件もな。……結局あれ以降、裏の人格? っぽいのは一切出てこないし)
何度かあの人格を表に出そうとして、レオノーラと共にカロに色々と話しかけたりしてみたのだが、結局人格が表に出て来ることはなかった。
それどころか、カロが悲しそうに鳴き声を上げるのを聞けば、それ以上のことが出来るはずもない。
「ははは。これも勉強だよ、勉強。それに、アラン君はこれからどうしてもああいうパーティに呼ばれることが多くなるだろうから、今のうちに慣れておいて欲しかったというのもあるしね」
笑いながらそう告げるイルゼンに、不満を抱きつつもアランはこれからそういうことが増えるのだろうと思えば、それ以上は何も言えなかった。
「さて、じゃあ出発はこれからにしますか。皆の準備も出来ていますし」
「……え?」
出発するとは言っていたが、それでもまさかこんなに早く出発するとは思わなかったアランが、イルゼンの言葉に唖然とする。
「えっと、その……もう本当に準備が出来ていたんですか?」
「そうですよ。アラン君の性格なら、そろそろ弱音を吐く頃だと思ってましたし。いえ、私の予想ではもう数日は早いと思ってたんですけどね。アラン君も心核使いになったことで、鍛えられたといったところでしょうか。ああ、もちろん黄金の薔薇の方にもその辺は伝えてあるので、心配しないで下さい」
そう告げるイルゼンに、アランは敵わないという思いと共に、そこまで見透かされていたことに多少の不満を抱くのだった。
イルゼンの言葉通り、出発はすぐだった。
それこそ、アランがイルゼンに出発すると告げてから、数時間と経たないうちに雲海と黄金の薔薇の面々はドーレストの外にいたのだから、それがどれくらい素早いのかは容易に予想出来るだろう。
(つまり、これって完全に俺がそろそろドーレストを出ようと言わないか、待ってたってことだよな)
馬車の中で若干不満そうにしながら、そう考えるアラン。
そんなアランに、母親のリアは面白そうに笑う。
「アラン、上流階級との付き合いはどうだったの?」
「……いや、母さんがそれを言うのかよ」
リアは雲海に所属する前は腕利きの冒険者として名前が知られていた人物だ。
基本的にこの世界においては、冒険者は探索者よりも下の存在と見なされることが多いのだが、それでも冒険者の中で腕利きと言われるようになって有名になれば、話は別だった。
リアも元はそのような冒険者であり、そうなれば当然のように今回アランが経験したような上流階級のパーティに招かれるといったこともあったのは間違いない。
だからこそ、アランが現在どんな風に思っているのかといったことがほぼ理解出来たのだ。
「あら、でもアランもこれからはそういうパーティに呼ばれることは多くなると思うわよ? なら、今のうちに慣れておいた方がいいのは間違いないでしょ」
「それは、イルゼンさんに散々に言われたよ」
そう言った瞬間、ふふっ、と馬車の中に笑い声が漏れる。
その笑い声を漏らしたのは、何故か……本当に何故かこの場にいるレオノーラ。
「何だよ?」
「いえ、別に。ただ、パーティのときのアランの様子を思い出すと……ふふっ」
「あー、そうかい。というか、そもそもなんでレオノーラがこの馬車に乗ってるんだよ? これは雲海の馬車だぞ」
「あら、今は一緒に行動してるんだし、それくらいはいいでしょう? 実際、雲海の人たちの中にも、黄金の薔薇の馬車に乗ってる人はいるわよ?」
それは、間違いのない事実だった。
雲海と黄金の薔薇の面々は、接触した当初こそあまり仲が良好ではなかったのだが、スタンピードの戦いを一緒にくぐり抜けたことにより、一種戦友的な思いを抱いている者も多かった。
もちろん、全員がそうだという訳ではなく、中にはどうしてもそれぞれに気にくわない相手がいる、というのもある。
とはいえ、全体的に見ればそれぞれがそれなりに友好的な関係になったのは、間違いのない事実だった。
(そういう意味では、今回のスタンピードも意味はあった、といったところかしら)
目の前で言い争いをしているアランとレオノーラの二人を眺めつつ、リアは何となく自分の耳――ハーフエルフのために、人よりは長くエルフよりは短い――を弄りながら、そう考える。
アランにとって、レオノーラという存在は珍しく言いたいことを好きに言える相手なのだ。
基本的にアランは誰に対してもある程度言うことは言うといった性格をしているが、それでも若干の遠慮があるのは間違いない。
そういう意味では、レオノーラに対しては好き放題に自分の思うことを言う、といった真似が出来るのはリアから見ても間違いなかった。
……もっとも、レオノーラの美貌に目を奪われていたりすることもあり、そういうときは言葉を濁していたりもしたが。
(初恋以来じゃないかしら。……そう言えば、あの娘は今頃どうしているのかしらね)
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