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逆襲
152話
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「地下、二十階……ですか。どうやらここが最後の階層のようですね」
イルゼンの口からそのような言葉が漏れると、その話を聞いていた皆は安堵したように、そして嬉しそうにする。
一体、大樹の遺跡に入ってから、どのくらいの時間が経ったのか。
前人未踏であった、砂漠のあった地下八階。
ほぼ一本道ではあったが、鍾乳洞だった地下九階。
そこから地下十階に進み、様々な形になっている遺跡を攻略し……そして、今こうして地下二十階に到着した。
それこそ、アランは自分がここまで来るまでの道のりを物語にすれば、相応の長さになるのではないかと、そう思えるくらいに泣いたり笑ったりした。
幸いにして、この地下二十階に到着するまでの間に、多少の怪我をした者はいるが、致命的な怪我をしたり、ましてや死んだりといった者はいない。
それも、アランやレオノーラ、ロッコーモ、カオグル、ジャスパーといった心核使いの面々がいたためだ。
もし心核使いがこれだけ揃っていなければ、無事にここまで到着で出来なかっただろう。
「それにしても……こう言うのもなんですけど、ここが本当に最後の階層なんですかね? いえ、地下二十階で切りがいいのは分かってるんですけど」
探索者の一人がそう告げる。
周囲にいた何人かから、不吉なことを言うなといったような視線を向けられはしたが、実際にこの階層が最後の階層ではないという可能性は、決して捨てきれない。
ただ、同時に……この地下二十階には天まで届くかのような巨大な樹が存在しているのも、事実なのだ。
「とにかく、ここまで来た以上は進むしかないでしょう。ここで躊躇っていては、何の意味もありませんしね」
イルゼンのその言葉に、皆が……黄金の薔薇の面々も含めて頷く。
この階層での戦いが、最後の戦いとなるのは十分に理解している。
理解はしているが、あのような大樹を前にして驚いているのも間違いのない事実なのだ。
(大樹の遺跡。……その理由って、この地下二十階の大樹が名前の由来だったりするのか? いや、けどここまでは誰も到着していないんだし、それを思えば……それとも、今は記録に残っていないだけで、実は誰かがこの階層まで降りてきたという可能性もあるのか)
遠くに存在し、それでも強烈なまでの存在感を持つ大樹を見ながら考えていたアランは、不意に頭を叩かれる。
「痛っ! ……何するんだよ、母さん」
「何するじゃないわよ。ほら、皆を見てみなさい。このままだと置いていかれるわよ」
リアの言葉に、アランは慌てて周囲を見る。
すると、気が付けば仲間たちは大樹に向かって進み始めている。
「あー……うん。ごめん」
母親に謝ると、アランも大樹に向かって足を踏み出す。
大樹のある場所まで続く道は、特に何か分かれ道がある訳でもない一本道だ。
アランたちが気が付かないような場所に、隠し通路のようなものがある可能性もある。
だが、取りあえず見える限りでは一本道だった。
正確には、森の中に踏み固められた一本の道が通っているという表現の方が正しいが。
(踏み固める。……踏み固めるか。一体誰がこの道を踏み固めたんだろうな)
道を歩きながら、アランはふとそんな疑問を抱く。
公的には、この地下二十階にやって来たのは自分たちが初めてだ。
だとすれば、一体誰が……いや、何がこの踏み固めた地面を作ったのか。
(まぁ、別に人である必要はないから、動物とかか? こうして見る限りだと、結構動物の類は多いみたいだし)
こうして歩いている間も、鳥の鳴き声だったり、それ以外にも多くの動物の鳴き声が周囲に響いている。
この地下二十階という場所で一体どれだけの生き物がいるのか、全く分からないほどに。
「この遺跡が出来てから、ずっと人の手が入らないで生態系を維持してきたのか。……とんだガラパゴスだな」
「え? 何だガラパゴスって」
アランの近くにいた探索者の男が、その口から出た言葉を聞き返す。
アランはその言葉に首を横に振る。
「いや、何でもないです。どこかで聞いた単語だよ。気にする必要はないですよ」
適当にそう誤魔化すも、ガラパゴスという言葉が気になった男は不思議そうな表情をアランに向けていたが、アランは話を誤魔化すように口を開く。
「それにしても、あの大樹……一体、何だと思います?」
「ん? ああ、大樹……あの樹か。そうだな。普通に考えれば、この遺跡はあの樹を守る為に作られたと思しき場所だ」
「そうですね。とはいえ、こんな遺跡を建造する必要があるかどうかとなると、話は別だと思いますけど」
視線の先に存在する大樹は、天を衝くような大きさという表現が相応しい。
それでも、地下二十階まで存在するような、強大な遺跡を作る必要があるのかと聞かれれば、アランとしては首を傾げざるをえない。
(もしくは、あの大樹がよっぽど貴重な存在なのかもしれないけど。……葉っぱで人を生き返らせたりは出来ないよな?)
国民的RPGにおいて、このように巨大な木の葉を使えば死んだ相手を生き返らせることが出来る。
基本的にロボットの出て来るゲームを好んだアランだったが、それでも別に他のゲームをやらなかった訳ではない。
(いや、まさかな)
とはいえ、ゲームの内容と同じような効果を持つアイテムはある筈がないと、首を横にふってその考えを否定し……自分が日本からこの世界に転生したことを思い出す。
剣と魔法の世界。
その上、心核というモンスターに変身出来るようなマジックアイテムがあり、アランの場合はそれを使えば何故か人型同兵器のゼオンに乗れるという、明らかに通常とは違う心核の使い方だったが。
そんな風に考えながら歩き続けること……数時間。
遠くに見えている大樹の姿は、一向に近付いてはこない。
一体自分たちはどこを歩いているのか。
何かの魔法的な罠に引っかかって、延々と同じ場所を歩き続けているのではないかとすら思ってしまう。
「なぁ、本当に俺たちって、あそこに近付いてるのか?」
アランの近くを歩いていた一人が、面倒臭そうに告げる。
実際、その言葉に同意する者は多く、皆が自分たちは本当に問題なく歩けているのか? と疑問を持つ者も多かった。
……とはいえ、今の状況を考えれば歩き続けるしかないのも事実。
(ゼオンで運ぶって方法もあるけど、正直なところどうだろうな)
アランにしてみれば、それが一番手っ取り早いという思いがある。
だが、砂漠のときと違って、ここは歩きにくい訳でもない。
その上で周囲は森となると、色々と危険な可能性は十分にあった。
……また、ここが最下層である可能性が高い以上、最後なんだしゼオンではなくしっかりと自分たちの足で進んだ方がいいのではないか。
そう思うのは、当然のことだった。
「こうして歩いてるんだから、間違いなく近付いてると思いますよ。……ただ、あの大樹がその言葉通り大きすぎて、距離感をしっかりと把握出来ていないという可能性はありますけど」
近付いてるのかといった男にそうアランが答えると、その男もそうかと、若干……いや、かなり面倒臭そうにしながらも、それ以上は何も言わずに歩き続ける。
本当に近付いてるかどうかというのを心配していた訳ではなく、単純に愚痴を言いたかっただけなのだろう。
アランも、あの大樹を見ればそんな風に愚痴を言いたくなる気持ちは分かる。
今までも、大きな建築物や植物というのは見たことがある。
だが、アランから見ても視線の先に存在する大樹は、明らかに巨大という表現しか出て来ないのだ。
「おい、見ろ!」
と、不意にそんな叫び声が周囲に響く。
その声を聞いた者たちは、咄嗟に声のした方に視線を向け……
「嘘だろ……」
そう呟いたのが、一体誰だったのかはアランも分からない。
ただ分かるのは、自分たちが来た方から巨大な鷲が飛んできたということだ。
そして、アランはその鷲に見覚えがあった。
「あれって、砂漠で……似てるけど違うのか?」
呆然とした呟きが漏れるも、それに答えられる者はいない。
そうこうしているうちに、巨大な鷲は次第に近付いてくる。
「カロ!」
「ピ!」
アランの言葉にカロが反応し、ゼオンを召喚しようとするが……
「待ちなさい!」
イルゼンの鋭い……それこそ、今まで聞いたこともないような、そんな叫びがアランの動きを止める。
「イルゼンさん? けどっ!」
このままだと一方的に攻撃される。
そう言おうとしたアランだったが、イルゼンはそんなアランを落ち着かせるように口を開く。
「大丈夫ですよ。……ほら」
イルゼンがそう言いながら、巨大な鷲を指さす。
巨大な鷲は、イルゼンの言った通り地上にいるアラン達を攻撃するようなことは全くなく、そのまま空を飛んで大樹に向かって飛んでいく。
「……何で攻撃してこないって分かったんですか?」
アランは、イルゼンに向かってそう尋ねる。
アランにしてみれば、空を飛んでいた巨大な鷲は明確に自分たちの敵であると同時に、頭部を切断しても何故か死なないという、とてもではないが生き物には思えない相手だ。
そんな相手が自分たちの上空を飛んでいたのなら、当然のようにそこには攻撃してくるだろうと予想してもおかしな話ではない。
そのような状況で、何故イルゼンがあの巨大な鷲が攻撃してこないと判断したのか。
アランはそれが気になった。
「そうですね。特にこれといった理由はないのですが……強いて言えば勘ですか」
「……は? 勘?」
それは、アランにとって完全に予想外の言葉。
何か明確な理由があって攻撃してこないと判断したのかと思いきや、その理由が勘。
「言っておきますが、勘というのは別に何となくそう思ったとかそういう訳ではなく、これまで生きて来た経験や、自分でも気が付いていない諸々の理由からそう判断した……と、そう言うのが正しいんですよ」
そう言われれば、勘と言われても何となく納得出来ような気がしない訳でもないアランだったが、それでもそれだけで素直に納得出来るかどうかは、また別の話だ。
「それよりも先を急ぎましょう。あの巨大な鷲は大樹の方に向かって飛んで行きましたし」
その言葉に、皆が表情を厳しくするのだった。
イルゼンの口からそのような言葉が漏れると、その話を聞いていた皆は安堵したように、そして嬉しそうにする。
一体、大樹の遺跡に入ってから、どのくらいの時間が経ったのか。
前人未踏であった、砂漠のあった地下八階。
ほぼ一本道ではあったが、鍾乳洞だった地下九階。
そこから地下十階に進み、様々な形になっている遺跡を攻略し……そして、今こうして地下二十階に到着した。
それこそ、アランは自分がここまで来るまでの道のりを物語にすれば、相応の長さになるのではないかと、そう思えるくらいに泣いたり笑ったりした。
幸いにして、この地下二十階に到着するまでの間に、多少の怪我をした者はいるが、致命的な怪我をしたり、ましてや死んだりといった者はいない。
それも、アランやレオノーラ、ロッコーモ、カオグル、ジャスパーといった心核使いの面々がいたためだ。
もし心核使いがこれだけ揃っていなければ、無事にここまで到着で出来なかっただろう。
「それにしても……こう言うのもなんですけど、ここが本当に最後の階層なんですかね? いえ、地下二十階で切りがいいのは分かってるんですけど」
探索者の一人がそう告げる。
周囲にいた何人かから、不吉なことを言うなといったような視線を向けられはしたが、実際にこの階層が最後の階層ではないという可能性は、決して捨てきれない。
ただ、同時に……この地下二十階には天まで届くかのような巨大な樹が存在しているのも、事実なのだ。
「とにかく、ここまで来た以上は進むしかないでしょう。ここで躊躇っていては、何の意味もありませんしね」
イルゼンのその言葉に、皆が……黄金の薔薇の面々も含めて頷く。
この階層での戦いが、最後の戦いとなるのは十分に理解している。
理解はしているが、あのような大樹を前にして驚いているのも間違いのない事実なのだ。
(大樹の遺跡。……その理由って、この地下二十階の大樹が名前の由来だったりするのか? いや、けどここまでは誰も到着していないんだし、それを思えば……それとも、今は記録に残っていないだけで、実は誰かがこの階層まで降りてきたという可能性もあるのか)
遠くに存在し、それでも強烈なまでの存在感を持つ大樹を見ながら考えていたアランは、不意に頭を叩かれる。
「痛っ! ……何するんだよ、母さん」
「何するじゃないわよ。ほら、皆を見てみなさい。このままだと置いていかれるわよ」
リアの言葉に、アランは慌てて周囲を見る。
すると、気が付けば仲間たちは大樹に向かって進み始めている。
「あー……うん。ごめん」
母親に謝ると、アランも大樹に向かって足を踏み出す。
大樹のある場所まで続く道は、特に何か分かれ道がある訳でもない一本道だ。
アランたちが気が付かないような場所に、隠し通路のようなものがある可能性もある。
だが、取りあえず見える限りでは一本道だった。
正確には、森の中に踏み固められた一本の道が通っているという表現の方が正しいが。
(踏み固める。……踏み固めるか。一体誰がこの道を踏み固めたんだろうな)
道を歩きながら、アランはふとそんな疑問を抱く。
公的には、この地下二十階にやって来たのは自分たちが初めてだ。
だとすれば、一体誰が……いや、何がこの踏み固めた地面を作ったのか。
(まぁ、別に人である必要はないから、動物とかか? こうして見る限りだと、結構動物の類は多いみたいだし)
こうして歩いている間も、鳥の鳴き声だったり、それ以外にも多くの動物の鳴き声が周囲に響いている。
この地下二十階という場所で一体どれだけの生き物がいるのか、全く分からないほどに。
「この遺跡が出来てから、ずっと人の手が入らないで生態系を維持してきたのか。……とんだガラパゴスだな」
「え? 何だガラパゴスって」
アランの近くにいた探索者の男が、その口から出た言葉を聞き返す。
アランはその言葉に首を横に振る。
「いや、何でもないです。どこかで聞いた単語だよ。気にする必要はないですよ」
適当にそう誤魔化すも、ガラパゴスという言葉が気になった男は不思議そうな表情をアランに向けていたが、アランは話を誤魔化すように口を開く。
「それにしても、あの大樹……一体、何だと思います?」
「ん? ああ、大樹……あの樹か。そうだな。普通に考えれば、この遺跡はあの樹を守る為に作られたと思しき場所だ」
「そうですね。とはいえ、こんな遺跡を建造する必要があるかどうかとなると、話は別だと思いますけど」
視線の先に存在する大樹は、天を衝くような大きさという表現が相応しい。
それでも、地下二十階まで存在するような、強大な遺跡を作る必要があるのかと聞かれれば、アランとしては首を傾げざるをえない。
(もしくは、あの大樹がよっぽど貴重な存在なのかもしれないけど。……葉っぱで人を生き返らせたりは出来ないよな?)
国民的RPGにおいて、このように巨大な木の葉を使えば死んだ相手を生き返らせることが出来る。
基本的にロボットの出て来るゲームを好んだアランだったが、それでも別に他のゲームをやらなかった訳ではない。
(いや、まさかな)
とはいえ、ゲームの内容と同じような効果を持つアイテムはある筈がないと、首を横にふってその考えを否定し……自分が日本からこの世界に転生したことを思い出す。
剣と魔法の世界。
その上、心核というモンスターに変身出来るようなマジックアイテムがあり、アランの場合はそれを使えば何故か人型同兵器のゼオンに乗れるという、明らかに通常とは違う心核の使い方だったが。
そんな風に考えながら歩き続けること……数時間。
遠くに見えている大樹の姿は、一向に近付いてはこない。
一体自分たちはどこを歩いているのか。
何かの魔法的な罠に引っかかって、延々と同じ場所を歩き続けているのではないかとすら思ってしまう。
「なぁ、本当に俺たちって、あそこに近付いてるのか?」
アランの近くを歩いていた一人が、面倒臭そうに告げる。
実際、その言葉に同意する者は多く、皆が自分たちは本当に問題なく歩けているのか? と疑問を持つ者も多かった。
……とはいえ、今の状況を考えれば歩き続けるしかないのも事実。
(ゼオンで運ぶって方法もあるけど、正直なところどうだろうな)
アランにしてみれば、それが一番手っ取り早いという思いがある。
だが、砂漠のときと違って、ここは歩きにくい訳でもない。
その上で周囲は森となると、色々と危険な可能性は十分にあった。
……また、ここが最下層である可能性が高い以上、最後なんだしゼオンではなくしっかりと自分たちの足で進んだ方がいいのではないか。
そう思うのは、当然のことだった。
「こうして歩いてるんだから、間違いなく近付いてると思いますよ。……ただ、あの大樹がその言葉通り大きすぎて、距離感をしっかりと把握出来ていないという可能性はありますけど」
近付いてるのかといった男にそうアランが答えると、その男もそうかと、若干……いや、かなり面倒臭そうにしながらも、それ以上は何も言わずに歩き続ける。
本当に近付いてるかどうかというのを心配していた訳ではなく、単純に愚痴を言いたかっただけなのだろう。
アランも、あの大樹を見ればそんな風に愚痴を言いたくなる気持ちは分かる。
今までも、大きな建築物や植物というのは見たことがある。
だが、アランから見ても視線の先に存在する大樹は、明らかに巨大という表現しか出て来ないのだ。
「おい、見ろ!」
と、不意にそんな叫び声が周囲に響く。
その声を聞いた者たちは、咄嗟に声のした方に視線を向け……
「嘘だろ……」
そう呟いたのが、一体誰だったのかはアランも分からない。
ただ分かるのは、自分たちが来た方から巨大な鷲が飛んできたということだ。
そして、アランはその鷲に見覚えがあった。
「あれって、砂漠で……似てるけど違うのか?」
呆然とした呟きが漏れるも、それに答えられる者はいない。
そうこうしているうちに、巨大な鷲は次第に近付いてくる。
「カロ!」
「ピ!」
アランの言葉にカロが反応し、ゼオンを召喚しようとするが……
「待ちなさい!」
イルゼンの鋭い……それこそ、今まで聞いたこともないような、そんな叫びがアランの動きを止める。
「イルゼンさん? けどっ!」
このままだと一方的に攻撃される。
そう言おうとしたアランだったが、イルゼンはそんなアランを落ち着かせるように口を開く。
「大丈夫ですよ。……ほら」
イルゼンがそう言いながら、巨大な鷲を指さす。
巨大な鷲は、イルゼンの言った通り地上にいるアラン達を攻撃するようなことは全くなく、そのまま空を飛んで大樹に向かって飛んでいく。
「……何で攻撃してこないって分かったんですか?」
アランは、イルゼンに向かってそう尋ねる。
アランにしてみれば、空を飛んでいた巨大な鷲は明確に自分たちの敵であると同時に、頭部を切断しても何故か死なないという、とてもではないが生き物には思えない相手だ。
そんな相手が自分たちの上空を飛んでいたのなら、当然のようにそこには攻撃してくるだろうと予想してもおかしな話ではない。
そのような状況で、何故イルゼンがあの巨大な鷲が攻撃してこないと判断したのか。
アランはそれが気になった。
「そうですね。特にこれといった理由はないのですが……強いて言えば勘ですか」
「……は? 勘?」
それは、アランにとって完全に予想外の言葉。
何か明確な理由があって攻撃してこないと判断したのかと思いきや、その理由が勘。
「言っておきますが、勘というのは別に何となくそう思ったとかそういう訳ではなく、これまで生きて来た経験や、自分でも気が付いていない諸々の理由からそう判断した……と、そう言うのが正しいんですよ」
そう言われれば、勘と言われても何となく納得出来ような気がしない訳でもないアランだったが、それでもそれだけで素直に納得出来るかどうかは、また別の話だ。
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