180 / 422
ザッカラン防衛戦
179話
しおりを挟む
雲海の面々が、いつ何が起きてもいいように準備している頃……ザッカランにある比較的大きな家の中には、ソランタやその仲間たちの姿があった。
ザッカラン内部にいる協力者たちとの顔合わせを終わらせ、取りあえずの拠点として用意されたのがこの家だった。
「声が小さくなってきましたね」
ソランタが窓から外の様子を窺いつつ、そう呟く。
とはいえ、その口調の中には疑問の色は多くない。
先程まで起こっていた騒動は、元々ソランタたちがザッカランの中に入るのを援護するための陽動だというのを前もって聞かされていたためだ。
そうである以上、ソランタたちがザッカランの中に入り、内部協力者と簡単な打ち合わせを終えてこうして隠れ家となる家にやって来た以上、大きな騒動を起こす必要はないということなのだろう。
「俺たちがここにいる以上、もう騒いで警備兵の注意を引く必要もないからな。それよりも、大丈夫だとは思うけどあまり窓に近付きすぎて外から見られるような真似はするなよ」
「分かってますよ。その辺はしっかりと考えてやってますので、心配しないで下さい」
少し過保護では? とソランタも思わないことはなかったのだが、今回の作戦で重要なのは一にも二にもソランタの存在だ。
正確には、自分と周囲の存在を透明に出来るスキルを持つソランタの存在と表現するのが正しいだろう。
ソランタもそれは分かっているので、過保護になる仲間たちの様子も理解出来る。
「ならいい。あとの問題は、いつ行動を起こすかだが……ガリンダミア帝国軍が来るまでは、ゆっくりと休んでいるとするか。何だかんだで、こうしてゆっくりする機会ってのは、あまりなかったしな」
ガリンダミア帝国軍に所属している者としては、その言葉は正しい。
常に周辺諸国に戦いを挑み続けている以上、当然のことだが軍隊は休むということがほぼない。
もちろん、本当の意味で戦い続けるともなれば、肉体的にも精神的にも疲労は大きくなってしまい、最終的にはそれによって致命的な被害を受けることもあるので、ある程度の休息は認められている。
だが、それはあくまでもある程度で、本当の意味でゆっくりするというのは、なかなか難しい。
そういう意味では、敵地であるザッカランの中に潜んでいるという今の状況も、そんなに差はないのだろうが……それでもここにいる者達にしてみれば、休むには十分な場所と空間なのは間違いなかった。
「そうだな。いつ行動に出るように言われても、対処出来るようにしておいた方がいいけど、それまではゆっくりと休むか。幸い、酒は駄目だが食料とかは十分に用意されてるし」
いつ行動に出るか分からない以上、当然ながら酒を飲むといったことは出来ない。
大人の男として、それは非常に……本当に心の底から残念だったが、それでも今の状況を思えば仕方がないと諦めることも出来る。
今回の任務が終わったら、浴びるほどに酒を飲むぞ。
そう自分に言い聞かせながら、雑談に興じる。
すでにやるべきことは決まっており、あとは自分たちの出番が来るまでは大人しくこの家に潜んでおくだけだ。
だからこそ、ある程度広く……軽く身体を動かせる程度の庭がある、大きめの家を用意して貰ったのだから。
「そういえば、武器の方っていつくらいに運ばれてくるんだっけ?」
ソファに寝転がっていた男が、そう告げる。
ソランタの能力で透明になってザッカランの中に侵入したが、透明になれる人数……いや、正確にはソランタが透明に出来る範囲は決まっている。
そうである以上、人数を多くするためには荷物を少なくするしかない。
もちろん、最低限の武器は持ってきているが、槍やハルバードのような長物の武器を使う者は、そのような理由から持ってくることが出来ない者もいた。
そのような者たちの武器は、ザッカランにいる内通者が運び入れることになっていた。
兵士としての本能のようなものか、やはり使い慣れた自分の武器が手元にないというのは落ち着かないのだろう。
「あー……どうだったか。二日くらいって言ってなかったっけ?」
「……その二日の間に事態が動いたらどうするのやら。嫌だぞ、俺。使い慣れない武器で腕利きの探索者たちと戦うのなんて」
「安心しろ、それは誰でも嫌だから」
探索者というのは、兵士や傭兵のように戦闘に特化している訳ではない。
だがそれでも、腕利きの探索者ともなれば基本的にはとんでもない技量を持つ者も多い。
ましてや、その中に心核使いの類がいるとなれば、よけいにそう思えるだろう。
それこそ万全の状態であっても、出来れば探索者とは戦いたくないというのが、皆の正直な気持ちだろう。
だがそれでも、命令を受けた以上はそんなことを言う訳にもいかない。
ましてや、ゼオンという強力なゴーレムは、間違いなくガリンダミア帝国の利益になるのだから。
「けどさ、そのアランって奴を捕らえても……そいつが大人しく俺たちに協力すると思うか? 俺は、まず無理だと思うけどな」
「あー……それは俺もだ。集めた情報によると、心核使いに特化してるからか、本人の技量そのものは高くないらしいけど、精神力って意味じゃかなりのものらしいし。そういう奴を従えるのは、厳しいんじゃないか?」
少し面白くなさそうなのは、強いのならともかくとして、弱いのに精神力だけは強いというアランの存在が面白くないからなのだろう。
その辺りの感覚は人によって違うので、男たちの中にはそのようなアランの存在を好ましく思うという者も何人かいるのだが。
ともあれ、そのように話していた男たちだったが……次の瞬間、まるで全員――ソランタを除く――が揃ったかのように家の玄関の方に視線を向ける。
そして数秒遅れて、ソランタもその視線を追う。
誰かが近付いてくる気配を感じた男たちは、それぞれが手元にある武器を手にとり、いつ何が起こっても言いように準備を調える。
そこには、数秒前には全く存在しなかった、戦場で戦う者としての姿がある。
そして、ノックされる扉。
男たちが素早く視線で言葉を交わし、やがて一人の男が動き出す。
武器を手に、油断しない様子で玄関の方に向かう。
本来なら、この家を訪ねてくる者は誰もいない。
ザッカランの協力者たちにも、怪しまれないためにここにはやってこないようにと、そう言ってあったのだ。
だからこそ、いきなり尋ねてきた相手に男たちが警戒するのは当然だった。
「誰だ?」
『私です』
扉の向こうから聞こえてきた声は聞き覚えのある声であった。
……それこそ、ザッカランにいる協力者の声なのだから、当然だろう。
だが、よほどのことがない限りは近付いてこないようにと言っておいたにも関わらず、何故来たのか。
それも……
「お前以外に何人もいるのは、何故だ?」
警戒心を抱きながら尋ねる。
そう、扉の向こう側にいるのは、複数の相手だ。
こうして扉越しに自分に話しかけている相手だけではない。
もしかして、嵌められたでは? と考えても、おかしくはなかった。
何かったら、すぐにこの家から脱出する必要がある。
視線を居間の方に向けると、そこでは他の者たちもすぐ行動に移れるようにし、ソランタの周りに集まっている。
ソランタの自分の周囲にいる者たちを透明に出来るというスキルさえあれば、このような状況でも対処するのは難しくはない。
しかし……それでも、面倒なことになった。
そう思いながら、扉の前にいた男は向こうの返事を待つ。
『いえ、皆さんも退屈をされてるかと思い、女を用意しました』
「……は?」
一瞬、扉の向こう側にいる男が何を言ったのかと、間の抜けた声が漏れる。
そして、実は女を連れて来たというのが嘘か何かなのでは? と思いつつ、少しだけ扉を開けて様子を見たのだが……
(嘘だろ)
むしろ、男としてはそれが嘘であった方がよかった。
何故なら、扉の向こうには協力者として見覚えのある男がおり、それ以外にも見るからに娼婦と思しき女たちが複数いたのだから。
それを見れば、一体協力者の男は何を考えているのかと、そう突っ込みたくなるのも当然だろう。
自分たちは、ザッカランに遊びに来た訳ではない。
あくまでも、秘密の任務をこなすためにやって来たのだ。
それは向こうも分かっているはずだ。
だというのに、何故向こうは女を用意するなどといった真似をしたのか。
このようなときに使われる女というのは、娼婦の類が多い。
そして娼婦の中には口が軽い者も多い。
それこそ、この場所に自分たちがいるという話すら、何かの拍子に誰かにもたらす可能性がある。 当然の話だが、男たちにはそれが許容出来ない。
情報を流さないように頼んだとしても、それが守られるかどうかというのは、絶対に分からないからだ。
だとすれば、今の状況でどうするべきか。
いや、答えは出ているのだ。
だが、それをやるべき決断が出来ない。
現在自分たちがここにいることを、絶対にドットリオン王国軍に……いや、雲海に知られる訳にはいかない以上、やるべきことをやるしかない。
一瞬だけ仕事が終わるまでこの家に監禁しておけばいいのでは? と思ったが、そのような真似をして逃げられてしまえば、間違いになく情報が流されてしまう。
だとすれば、やはり取るべき手段は一つ。……つまり、この家に来た全ての女の口封じをしてしまうことだ。
「やるぞ」
男は半ば無理矢理自分の感情と動揺を押し殺し、そう告げる。
他の者たちも、そんな男と同じ気持ちだったのか、苦々しい表情を浮かべながらも頷く。
ソランタもまた、スラム街で暮らしていただけに人が死ぬということには慣れていたために、緊張した様子を浮かべはしているものの、動揺は表情に出してはいない。
皆が頷いたのを確認し、男は扉を開く。
「入ってくれ。あまり人に見られたくはない」
無駄な死人を作るという仕事をさせられることになった苛立ちを無理矢理押さえ、扉を開いてそう告げる。
女たちを連れて来た男は、自分の手柄は確実だという笑みを浮かべつつ家の中に入り……数時間後、家に入ったときはまるで違う人物ではないかと思えるほどに消耗して、一人だけ家から出て来るのだった。
ザッカラン内部にいる協力者たちとの顔合わせを終わらせ、取りあえずの拠点として用意されたのがこの家だった。
「声が小さくなってきましたね」
ソランタが窓から外の様子を窺いつつ、そう呟く。
とはいえ、その口調の中には疑問の色は多くない。
先程まで起こっていた騒動は、元々ソランタたちがザッカランの中に入るのを援護するための陽動だというのを前もって聞かされていたためだ。
そうである以上、ソランタたちがザッカランの中に入り、内部協力者と簡単な打ち合わせを終えてこうして隠れ家となる家にやって来た以上、大きな騒動を起こす必要はないということなのだろう。
「俺たちがここにいる以上、もう騒いで警備兵の注意を引く必要もないからな。それよりも、大丈夫だとは思うけどあまり窓に近付きすぎて外から見られるような真似はするなよ」
「分かってますよ。その辺はしっかりと考えてやってますので、心配しないで下さい」
少し過保護では? とソランタも思わないことはなかったのだが、今回の作戦で重要なのは一にも二にもソランタの存在だ。
正確には、自分と周囲の存在を透明に出来るスキルを持つソランタの存在と表現するのが正しいだろう。
ソランタもそれは分かっているので、過保護になる仲間たちの様子も理解出来る。
「ならいい。あとの問題は、いつ行動を起こすかだが……ガリンダミア帝国軍が来るまでは、ゆっくりと休んでいるとするか。何だかんだで、こうしてゆっくりする機会ってのは、あまりなかったしな」
ガリンダミア帝国軍に所属している者としては、その言葉は正しい。
常に周辺諸国に戦いを挑み続けている以上、当然のことだが軍隊は休むということがほぼない。
もちろん、本当の意味で戦い続けるともなれば、肉体的にも精神的にも疲労は大きくなってしまい、最終的にはそれによって致命的な被害を受けることもあるので、ある程度の休息は認められている。
だが、それはあくまでもある程度で、本当の意味でゆっくりするというのは、なかなか難しい。
そういう意味では、敵地であるザッカランの中に潜んでいるという今の状況も、そんなに差はないのだろうが……それでもここにいる者達にしてみれば、休むには十分な場所と空間なのは間違いなかった。
「そうだな。いつ行動に出るように言われても、対処出来るようにしておいた方がいいけど、それまではゆっくりと休むか。幸い、酒は駄目だが食料とかは十分に用意されてるし」
いつ行動に出るか分からない以上、当然ながら酒を飲むといったことは出来ない。
大人の男として、それは非常に……本当に心の底から残念だったが、それでも今の状況を思えば仕方がないと諦めることも出来る。
今回の任務が終わったら、浴びるほどに酒を飲むぞ。
そう自分に言い聞かせながら、雑談に興じる。
すでにやるべきことは決まっており、あとは自分たちの出番が来るまでは大人しくこの家に潜んでおくだけだ。
だからこそ、ある程度広く……軽く身体を動かせる程度の庭がある、大きめの家を用意して貰ったのだから。
「そういえば、武器の方っていつくらいに運ばれてくるんだっけ?」
ソファに寝転がっていた男が、そう告げる。
ソランタの能力で透明になってザッカランの中に侵入したが、透明になれる人数……いや、正確にはソランタが透明に出来る範囲は決まっている。
そうである以上、人数を多くするためには荷物を少なくするしかない。
もちろん、最低限の武器は持ってきているが、槍やハルバードのような長物の武器を使う者は、そのような理由から持ってくることが出来ない者もいた。
そのような者たちの武器は、ザッカランにいる内通者が運び入れることになっていた。
兵士としての本能のようなものか、やはり使い慣れた自分の武器が手元にないというのは落ち着かないのだろう。
「あー……どうだったか。二日くらいって言ってなかったっけ?」
「……その二日の間に事態が動いたらどうするのやら。嫌だぞ、俺。使い慣れない武器で腕利きの探索者たちと戦うのなんて」
「安心しろ、それは誰でも嫌だから」
探索者というのは、兵士や傭兵のように戦闘に特化している訳ではない。
だがそれでも、腕利きの探索者ともなれば基本的にはとんでもない技量を持つ者も多い。
ましてや、その中に心核使いの類がいるとなれば、よけいにそう思えるだろう。
それこそ万全の状態であっても、出来れば探索者とは戦いたくないというのが、皆の正直な気持ちだろう。
だがそれでも、命令を受けた以上はそんなことを言う訳にもいかない。
ましてや、ゼオンという強力なゴーレムは、間違いなくガリンダミア帝国の利益になるのだから。
「けどさ、そのアランって奴を捕らえても……そいつが大人しく俺たちに協力すると思うか? 俺は、まず無理だと思うけどな」
「あー……それは俺もだ。集めた情報によると、心核使いに特化してるからか、本人の技量そのものは高くないらしいけど、精神力って意味じゃかなりのものらしいし。そういう奴を従えるのは、厳しいんじゃないか?」
少し面白くなさそうなのは、強いのならともかくとして、弱いのに精神力だけは強いというアランの存在が面白くないからなのだろう。
その辺りの感覚は人によって違うので、男たちの中にはそのようなアランの存在を好ましく思うという者も何人かいるのだが。
ともあれ、そのように話していた男たちだったが……次の瞬間、まるで全員――ソランタを除く――が揃ったかのように家の玄関の方に視線を向ける。
そして数秒遅れて、ソランタもその視線を追う。
誰かが近付いてくる気配を感じた男たちは、それぞれが手元にある武器を手にとり、いつ何が起こっても言いように準備を調える。
そこには、数秒前には全く存在しなかった、戦場で戦う者としての姿がある。
そして、ノックされる扉。
男たちが素早く視線で言葉を交わし、やがて一人の男が動き出す。
武器を手に、油断しない様子で玄関の方に向かう。
本来なら、この家を訪ねてくる者は誰もいない。
ザッカランの協力者たちにも、怪しまれないためにここにはやってこないようにと、そう言ってあったのだ。
だからこそ、いきなり尋ねてきた相手に男たちが警戒するのは当然だった。
「誰だ?」
『私です』
扉の向こうから聞こえてきた声は聞き覚えのある声であった。
……それこそ、ザッカランにいる協力者の声なのだから、当然だろう。
だが、よほどのことがない限りは近付いてこないようにと言っておいたにも関わらず、何故来たのか。
それも……
「お前以外に何人もいるのは、何故だ?」
警戒心を抱きながら尋ねる。
そう、扉の向こう側にいるのは、複数の相手だ。
こうして扉越しに自分に話しかけている相手だけではない。
もしかして、嵌められたでは? と考えても、おかしくはなかった。
何かったら、すぐにこの家から脱出する必要がある。
視線を居間の方に向けると、そこでは他の者たちもすぐ行動に移れるようにし、ソランタの周りに集まっている。
ソランタの自分の周囲にいる者たちを透明に出来るというスキルさえあれば、このような状況でも対処するのは難しくはない。
しかし……それでも、面倒なことになった。
そう思いながら、扉の前にいた男は向こうの返事を待つ。
『いえ、皆さんも退屈をされてるかと思い、女を用意しました』
「……は?」
一瞬、扉の向こう側にいる男が何を言ったのかと、間の抜けた声が漏れる。
そして、実は女を連れて来たというのが嘘か何かなのでは? と思いつつ、少しだけ扉を開けて様子を見たのだが……
(嘘だろ)
むしろ、男としてはそれが嘘であった方がよかった。
何故なら、扉の向こうには協力者として見覚えのある男がおり、それ以外にも見るからに娼婦と思しき女たちが複数いたのだから。
それを見れば、一体協力者の男は何を考えているのかと、そう突っ込みたくなるのも当然だろう。
自分たちは、ザッカランに遊びに来た訳ではない。
あくまでも、秘密の任務をこなすためにやって来たのだ。
それは向こうも分かっているはずだ。
だというのに、何故向こうは女を用意するなどといった真似をしたのか。
このようなときに使われる女というのは、娼婦の類が多い。
そして娼婦の中には口が軽い者も多い。
それこそ、この場所に自分たちがいるという話すら、何かの拍子に誰かにもたらす可能性がある。 当然の話だが、男たちにはそれが許容出来ない。
情報を流さないように頼んだとしても、それが守られるかどうかというのは、絶対に分からないからだ。
だとすれば、今の状況でどうするべきか。
いや、答えは出ているのだ。
だが、それをやるべき決断が出来ない。
現在自分たちがここにいることを、絶対にドットリオン王国軍に……いや、雲海に知られる訳にはいかない以上、やるべきことをやるしかない。
一瞬だけ仕事が終わるまでこの家に監禁しておけばいいのでは? と思ったが、そのような真似をして逃げられてしまえば、間違いになく情報が流されてしまう。
だとすれば、やはり取るべき手段は一つ。……つまり、この家に来た全ての女の口封じをしてしまうことだ。
「やるぞ」
男は半ば無理矢理自分の感情と動揺を押し殺し、そう告げる。
他の者たちも、そんな男と同じ気持ちだったのか、苦々しい表情を浮かべながらも頷く。
ソランタもまた、スラム街で暮らしていただけに人が死ぬということには慣れていたために、緊張した様子を浮かべはしているものの、動揺は表情に出してはいない。
皆が頷いたのを確認し、男は扉を開く。
「入ってくれ。あまり人に見られたくはない」
無駄な死人を作るという仕事をさせられることになった苛立ちを無理矢理押さえ、扉を開いてそう告げる。
女たちを連れて来た男は、自分の手柄は確実だという笑みを浮かべつつ家の中に入り……数時間後、家に入ったときはまるで違う人物ではないかと思えるほどに消耗して、一人だけ家から出て来るのだった。
0
あなたにおすすめの小説
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ
O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。
それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。
ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。
彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。
剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。
そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる