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ザッカラン防衛戦
184話
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「何を……してるのかしら?」
そう告げるレオノーラの言葉は、冷たい。
美しいながらも冷たい美貌と評されることも多いレオノーラだったが、家督を継承出来ない貴族の次男、三男、四男……もしくは、政略結婚の駒として使われるのを嫌がった貴族の娘たちを引き連れて黄金の薔薇というクランを作ったように、面倒見がよく、優しい一面もある。
黄金の薔薇の面々はそれをよく知っていたし、黄金の薔薇と一緒に行動している雲海の中にも、レオノーラが優しいというのを知っている者は多い。
だが……今のレオノーラの言葉を聞けば、とてもではないがそれだけ優しい人物だとは思えなかっただろう。
それだけ、現在レオノーラの浮かべている表情は冷たいものだし、そして艶やかな唇から出る言葉も冷たいものだった。
まさに氷の女王……いや、氷の女神と呼ぶべき、絶対的な死のを感じさせる様子。
そんなレオノーラに一瞬固まってしまった兵士たちだったが、兵士たちも多くの修羅場を潜り抜け、将軍の地位にあるバストーレから直々に命令を受けるだけの実力の持ち主だ。
すぐに目の前にいるのが誰かを悟ると、その人物が要注意人物の一人であると理解する。
なお、この要注意人物というのは、今回アランを拉致するときに気をつけるべき相手のことで、。レオノーラ以外にも雲海を率いるイルゼンや、アランの両親のリアやニコラス、それに雲海や黄金の薔薇の心核使いといった面々が当て嵌められている。
そのような人物を相手にするだけに、今回の一件では腕利きの者たちが集められたのだ。
「散れ! アランと心核は別だ!」
兵士の一人がそう叫ぶ。
それは仲間に対する指示であると同時に、レオノーラを数秒……いや、一瞬であっても戸惑わせることを目的とした叫びだった。
そして事実、レオノーラはその声に一瞬ではあるが動きを止めてしまった。
レオノーラにとって、アランを取り戻すのは絶対の出来事だ。
だが同時に、アランが心核使いに特化している存在であり、それがない状況ではどんなに頑張っても平均程度の実力しかないというのも理解していた。
だからこそ、アランを取り戻すのが優先だと、そう理解していながらも、その動きを一瞬止めてしまったのだ。
そして、兵士の一人が懐から取り出した小瓶を地面に叩きつける。
当然のように、地面にぶつけられた小瓶は割れ……次の瞬間、周囲に黒煙を生み出す。
古代魔法文明の遺跡からそれなりに多く発掘されるマジックアイテムの一つで、小瓶の中に入っている液体は、空気と触れることによって周囲に黒煙を生み出すのだ。
その黒煙は、それこそ周囲の様子を完全に隠してしまい、視界を完全に遮ってしまう。
レオノーラもまた、当然のようにその効果はあるが……
「逃がすと思うの!?」
そう叫ぶや否や、腰の鞭を手に取り、素早く振るう。
このような状況のとき、間合いの広い鞭という武器は非常に有利だ。
レオノーラが本気で振るう鞭は、命中すれば容易く皮を破り、肉を裂き、骨を砕く。
……もちろん、そこまでの威力を発揮するのは、鞭の中でも最も威力が発揮される先端に命中すればの話ではあるのだが、今回はそこまでのことを期待してはいない。
とにかく、敵に攻撃を命中させるのが先決だった為だ。
レオノーラが鞭を振るうのには、一瞬の躊躇もない。
それこそ、もしアランに当たっても構わないとすら思っての攻撃。
これは、レオノーラの頭に血が上っていたというのは間違いないが、それよりも大きな理由としては、ここでアランを連れ去られるよりは、多少の怪我をさせてでもそれを阻止する方が先だと、そう思ったのだろう。
実際、アランにとってもここで怪我をするか、連れ去られるかのどちらかを選べと言われれば、躊躇なく前者を選ぶだろう。
「ぐあっ!」
鞭に辺り、悲鳴を上げる声が煙幕の中に響くのを聞き、レオノーラの口元に笑みが浮かぶ。
今の鞭が当たった感触からすれば、それは間違いなく鞭の先端が命中したはずだ。
それこそ、重傷になっていてもおかしくはない。
普通、鞭というのは相手に痛みを与えるのには向いているのだが、相手に本当の意味で大きなダメージを与えるというのには向いていない。
だが、それはあくまでも普通の鞭であればの話だ。
レオノーラが振るう鞭なら、その一撃は大きなダメージを相手に与えることが出来るはずだった。
そして……最初に鞭を振るってから数十秒。
やがて周辺の覆っていた黒煙は唐突に姿を消す。
風に流されたのではなく、本当に唐突に姿を消したのだ。
この辺りは、マジックアイテムだからこそなのだろう。
「え?」
そして黒煙が消え去ったあと、そこには誰の姿もない。
もしかして自分のいる方ではなく、別の場所に逃げたのか?
そう思いつつも、疑問を抱く。
まず、自分がここに立っている以上、自分がきた方向に向かって逃げ出すような真似は出来ない。
そうなると他の道を通って逃げているはずだが、アランを連れている以上は、この短時間で自分の視界から消えて逃げられるとは思えない。
思えないが……それでもここにいない以上、別のどこかに逃げたのは間違いのない事実だった。
「アラン!」
アランの名前を叫びつつ、レオノーラは今いる場所から伸びている道の一つを進む。
その道を選んだ理由は、道が曲がっているからだ。
真っ直ぐ伸びている道もあったが、そのような道であれば、アランを抱えている以上は自分の視界から完全に消えるといったような真似は出来なくてもおかしくはない。
だが、曲がっている……正確にはレオノーラの視界から少しでも早く姿を消すことが出来る道ならどうか。
それでも当然のように疑問はあるのだが、今の状況を考えればそこに逃げ込んだとしか、レオノーラには思えなかった。
そう判断したレオノーラは、すぐに地面を蹴って走り出す。
すると先程までレオノーラのいた場所は、すぐに静寂に包まれた。
周囲に聞こえてくるのは、他の通りで騒いでいる声だ。
そのような声が響く中……レオノーラがいなくなってから数十秒ほどが経ち、やがて小声が何もない空間から漏れ出る。
「ふぅ。何とかなったか。にしても、まさかあんな技量を持ってるとはな。……くそっ、骨が折れたな、こりゃ」
そう言うのはソランタの能力によって姿を隠している兵士の一人。
レオノーラが振るった鞭が命中し、その結果として腕の骨が折られたのだ。
兵士にとって不幸中の幸いだったのは、命中したのが鞭の先端ではなかったことだろう。
おかげで服諸共に皮膚が破れ、血が流れるといったようなことはなかったのだから。
ソランタの能力は、周囲にいる者を見えなくする能力だ。
だが、それはあくまでも見えなくする能力であって、見えていない者は間違いなくそこにじる。
つまり、もし男が血を流していれば、その血の臭いは周囲に漂っていたのだ。
レオノーラほどの能力の持ち主ともなれば、漂ってる血から相手のいる場所を見つけてもおかしくはない。
「んんんん! んんん!」
猿轡を嵌められ、手足も縛られて荷物のように持たれているアランに出来るのは、そう叫ぶだけだ。
ロープで縛る際によほど上手く縛ったのか、今のアランは暴れるといったことすら出来ない。
それこそ、本当に叫ぶことしか出来ないのだ。
その叫ぶのも、猿轡を嵌められており、さらにはレオノーラがいるときは猿轡の上から口を押さえられてしまっていた。
「とにかく、あの女が戻ってこないうちに一旦隠れ家に戻るぞ。ソランタ、アランを出来る限り隠す方向で頼む」
「分かりました。けど……その、大丈夫ですか?」
姿は隠れているのでしっかりと見えないが、怪我をしている相手にソランタが心配そうに尋ねる。
怪我をしている兵士は、ソランタを庇う形で怪我をしたのだ。
そのことにソランタが罪悪感を覚えるのも当然だろう。
……もっとも、兵士にしてみればソランタは自分たちにとっての切り札だ。
そうである以上、守るのは当然のことだろう。
それこそ、ここでソランタが怪我をしていれば、大変なことになるのは間違いないのだから。
「大丈夫だ。それよりもソランタは何も問題はないな? お前が怪我をしたら、これからの行動に支障が出る」
「はい、問題ありません。……ただ、出来れば早くザッカランを出たいんですけどね」
そう告げるソランタの言葉の奥には、畏怖がある。
ソランタも、スラム街で育ってきた以上は人の死に対してそれなりに耐性がある。
まだバストーレに見いだされて軍に所属するようになってからは、強い相手というのはそれこそいくらでも見てきた。
だが……そんなソランタであっても、怒り狂ったレオノーラを前にしたときは、圧倒的な死を間近に感じてしまった。
そうである以上、出来ればそのレオノーラがいて、自分たちを探し回っているこのザッカランからは、少しでも早く逃げ出したいと思うのは当然だった。
そんなソランタの意見には他の者も賛成したのだが、怪我人を抱えている以上、そう簡単にはできない。
まずは一度隠れ家に戻り、ポーションを使って怪我をした者の回復をする方が先だった。
「とにかく、これからどうするにしてもここから動く方が先だ。このままここにいれば、またレオノーラが戻ってこないとも限らない」
姿を消したのだから、何らかの手段でこの場から逃げ出したと判断して走り出したレオノーラだたったが、当然のようにソランタたちは姿を消してこの場に残っている。
そうである以上、どこまで追いかけても手がかりの一つもなく、それを怪しいと思ってここに戻ってくる……という可能性は、決して否定出来ない事実なのだ。
その可能性がある以上、今はまず出来る限り早くここから放れるというのは、誰にとっても文句はない。
当然のように、この一団の最重要人物たるソランタもその意見には賛成し、すぐにその場をあとにして隠れ家となる場所に向かう。
……そうしてソランタたちが移動してから数分後、兵士の一人が予想したようにレオノーラがこの場に戻って来たが、当然のようにそこにはもう誰の姿もなかった。
そう告げるレオノーラの言葉は、冷たい。
美しいながらも冷たい美貌と評されることも多いレオノーラだったが、家督を継承出来ない貴族の次男、三男、四男……もしくは、政略結婚の駒として使われるのを嫌がった貴族の娘たちを引き連れて黄金の薔薇というクランを作ったように、面倒見がよく、優しい一面もある。
黄金の薔薇の面々はそれをよく知っていたし、黄金の薔薇と一緒に行動している雲海の中にも、レオノーラが優しいというのを知っている者は多い。
だが……今のレオノーラの言葉を聞けば、とてもではないがそれだけ優しい人物だとは思えなかっただろう。
それだけ、現在レオノーラの浮かべている表情は冷たいものだし、そして艶やかな唇から出る言葉も冷たいものだった。
まさに氷の女王……いや、氷の女神と呼ぶべき、絶対的な死のを感じさせる様子。
そんなレオノーラに一瞬固まってしまった兵士たちだったが、兵士たちも多くの修羅場を潜り抜け、将軍の地位にあるバストーレから直々に命令を受けるだけの実力の持ち主だ。
すぐに目の前にいるのが誰かを悟ると、その人物が要注意人物の一人であると理解する。
なお、この要注意人物というのは、今回アランを拉致するときに気をつけるべき相手のことで、。レオノーラ以外にも雲海を率いるイルゼンや、アランの両親のリアやニコラス、それに雲海や黄金の薔薇の心核使いといった面々が当て嵌められている。
そのような人物を相手にするだけに、今回の一件では腕利きの者たちが集められたのだ。
「散れ! アランと心核は別だ!」
兵士の一人がそう叫ぶ。
それは仲間に対する指示であると同時に、レオノーラを数秒……いや、一瞬であっても戸惑わせることを目的とした叫びだった。
そして事実、レオノーラはその声に一瞬ではあるが動きを止めてしまった。
レオノーラにとって、アランを取り戻すのは絶対の出来事だ。
だが同時に、アランが心核使いに特化している存在であり、それがない状況ではどんなに頑張っても平均程度の実力しかないというのも理解していた。
だからこそ、アランを取り戻すのが優先だと、そう理解していながらも、その動きを一瞬止めてしまったのだ。
そして、兵士の一人が懐から取り出した小瓶を地面に叩きつける。
当然のように、地面にぶつけられた小瓶は割れ……次の瞬間、周囲に黒煙を生み出す。
古代魔法文明の遺跡からそれなりに多く発掘されるマジックアイテムの一つで、小瓶の中に入っている液体は、空気と触れることによって周囲に黒煙を生み出すのだ。
その黒煙は、それこそ周囲の様子を完全に隠してしまい、視界を完全に遮ってしまう。
レオノーラもまた、当然のようにその効果はあるが……
「逃がすと思うの!?」
そう叫ぶや否や、腰の鞭を手に取り、素早く振るう。
このような状況のとき、間合いの広い鞭という武器は非常に有利だ。
レオノーラが本気で振るう鞭は、命中すれば容易く皮を破り、肉を裂き、骨を砕く。
……もちろん、そこまでの威力を発揮するのは、鞭の中でも最も威力が発揮される先端に命中すればの話ではあるのだが、今回はそこまでのことを期待してはいない。
とにかく、敵に攻撃を命中させるのが先決だった為だ。
レオノーラが鞭を振るうのには、一瞬の躊躇もない。
それこそ、もしアランに当たっても構わないとすら思っての攻撃。
これは、レオノーラの頭に血が上っていたというのは間違いないが、それよりも大きな理由としては、ここでアランを連れ去られるよりは、多少の怪我をさせてでもそれを阻止する方が先だと、そう思ったのだろう。
実際、アランにとってもここで怪我をするか、連れ去られるかのどちらかを選べと言われれば、躊躇なく前者を選ぶだろう。
「ぐあっ!」
鞭に辺り、悲鳴を上げる声が煙幕の中に響くのを聞き、レオノーラの口元に笑みが浮かぶ。
今の鞭が当たった感触からすれば、それは間違いなく鞭の先端が命中したはずだ。
それこそ、重傷になっていてもおかしくはない。
普通、鞭というのは相手に痛みを与えるのには向いているのだが、相手に本当の意味で大きなダメージを与えるというのには向いていない。
だが、それはあくまでも普通の鞭であればの話だ。
レオノーラが振るう鞭なら、その一撃は大きなダメージを相手に与えることが出来るはずだった。
そして……最初に鞭を振るってから数十秒。
やがて周辺の覆っていた黒煙は唐突に姿を消す。
風に流されたのではなく、本当に唐突に姿を消したのだ。
この辺りは、マジックアイテムだからこそなのだろう。
「え?」
そして黒煙が消え去ったあと、そこには誰の姿もない。
もしかして自分のいる方ではなく、別の場所に逃げたのか?
そう思いつつも、疑問を抱く。
まず、自分がここに立っている以上、自分がきた方向に向かって逃げ出すような真似は出来ない。
そうなると他の道を通って逃げているはずだが、アランを連れている以上は、この短時間で自分の視界から消えて逃げられるとは思えない。
思えないが……それでもここにいない以上、別のどこかに逃げたのは間違いのない事実だった。
「アラン!」
アランの名前を叫びつつ、レオノーラは今いる場所から伸びている道の一つを進む。
その道を選んだ理由は、道が曲がっているからだ。
真っ直ぐ伸びている道もあったが、そのような道であれば、アランを抱えている以上は自分の視界から完全に消えるといったような真似は出来なくてもおかしくはない。
だが、曲がっている……正確にはレオノーラの視界から少しでも早く姿を消すことが出来る道ならどうか。
それでも当然のように疑問はあるのだが、今の状況を考えればそこに逃げ込んだとしか、レオノーラには思えなかった。
そう判断したレオノーラは、すぐに地面を蹴って走り出す。
すると先程までレオノーラのいた場所は、すぐに静寂に包まれた。
周囲に聞こえてくるのは、他の通りで騒いでいる声だ。
そのような声が響く中……レオノーラがいなくなってから数十秒ほどが経ち、やがて小声が何もない空間から漏れ出る。
「ふぅ。何とかなったか。にしても、まさかあんな技量を持ってるとはな。……くそっ、骨が折れたな、こりゃ」
そう言うのはソランタの能力によって姿を隠している兵士の一人。
レオノーラが振るった鞭が命中し、その結果として腕の骨が折られたのだ。
兵士にとって不幸中の幸いだったのは、命中したのが鞭の先端ではなかったことだろう。
おかげで服諸共に皮膚が破れ、血が流れるといったようなことはなかったのだから。
ソランタの能力は、周囲にいる者を見えなくする能力だ。
だが、それはあくまでも見えなくする能力であって、見えていない者は間違いなくそこにじる。
つまり、もし男が血を流していれば、その血の臭いは周囲に漂っていたのだ。
レオノーラほどの能力の持ち主ともなれば、漂ってる血から相手のいる場所を見つけてもおかしくはない。
「んんんん! んんん!」
猿轡を嵌められ、手足も縛られて荷物のように持たれているアランに出来るのは、そう叫ぶだけだ。
ロープで縛る際によほど上手く縛ったのか、今のアランは暴れるといったことすら出来ない。
それこそ、本当に叫ぶことしか出来ないのだ。
その叫ぶのも、猿轡を嵌められており、さらにはレオノーラがいるときは猿轡の上から口を押さえられてしまっていた。
「とにかく、あの女が戻ってこないうちに一旦隠れ家に戻るぞ。ソランタ、アランを出来る限り隠す方向で頼む」
「分かりました。けど……その、大丈夫ですか?」
姿は隠れているのでしっかりと見えないが、怪我をしている相手にソランタが心配そうに尋ねる。
怪我をしている兵士は、ソランタを庇う形で怪我をしたのだ。
そのことにソランタが罪悪感を覚えるのも当然だろう。
……もっとも、兵士にしてみればソランタは自分たちにとっての切り札だ。
そうである以上、守るのは当然のことだろう。
それこそ、ここでソランタが怪我をしていれば、大変なことになるのは間違いないのだから。
「大丈夫だ。それよりもソランタは何も問題はないな? お前が怪我をしたら、これからの行動に支障が出る」
「はい、問題ありません。……ただ、出来れば早くザッカランを出たいんですけどね」
そう告げるソランタの言葉の奥には、畏怖がある。
ソランタも、スラム街で育ってきた以上は人の死に対してそれなりに耐性がある。
まだバストーレに見いだされて軍に所属するようになってからは、強い相手というのはそれこそいくらでも見てきた。
だが……そんなソランタであっても、怒り狂ったレオノーラを前にしたときは、圧倒的な死を間近に感じてしまった。
そうである以上、出来ればそのレオノーラがいて、自分たちを探し回っているこのザッカランからは、少しでも早く逃げ出したいと思うのは当然だった。
そんなソランタの意見には他の者も賛成したのだが、怪我人を抱えている以上、そう簡単にはできない。
まずは一度隠れ家に戻り、ポーションを使って怪我をした者の回復をする方が先だった。
「とにかく、これからどうするにしてもここから動く方が先だ。このままここにいれば、またレオノーラが戻ってこないとも限らない」
姿を消したのだから、何らかの手段でこの場から逃げ出したと判断して走り出したレオノーラだたったが、当然のようにソランタたちは姿を消してこの場に残っている。
そうである以上、どこまで追いかけても手がかりの一つもなく、それを怪しいと思ってここに戻ってくる……という可能性は、決して否定出来ない事実なのだ。
その可能性がある以上、今はまず出来る限り早くここから放れるというのは、誰にとっても文句はない。
当然のように、この一団の最重要人物たるソランタもその意見には賛成し、すぐにその場をあとにして隠れ家となる場所に向かう。
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