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囚われの姫君?
229話
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「……え?」
そう声を上げたのは、一体誰だったのか。
帝都からそう遠くない場所にあるこの砦を襲撃し、最初は不意を突いたということや勢いがあって自分たちが有利に戦うことが出来たので問題はなかったのだが、それでも砦の兵士たちによる迎撃が始まると、形勢が不利な状況になる。
そこに帝都からの援軍が到着したという報告で形勢は決定的なまでにレジスタンス側に不利になり……そして実際に援軍によって前後から挟まれたことにより、形勢は決定的となった。
そんな中でもレジスタンスたちが戦い続けたのは、ここで負ければ自分たちは死刑……いや、最善の結果であっても死刑という状況になるだろうと知っていたからだ。
そんな状況で、不意に背後から襲ってきたガリンダミア帝国軍の兵士たちが悲鳴を上げ……誰かがそれをやったのかと、自分たちの救世主は誰なのかと、そんな思いで見ていたレジスタンスたち。
また、砦に元いた兵士たちも一体何が起きたのかといったような疑問を抱いていたのだが……そこに、援軍の兵士たちを蹴散らしながら姿を現したのが、覆面を被った集団だったのだ。
そのような予想外の相手を見れば、間の抜けた声の一つも上がるのは当然だろう。
あるいは、やって来た集団の一人だけが覆面を被っているといった程度なら、まだ納得出来たかもしれない。
しかし、二十人以上の者たちが……それも男女問わず、全員が覆面を被っているとなると、それは一種異様な迫力を生み出す。
……もっとも、戦場に乱入してきた者たちも、自分たちが覆面を被っていることに羞恥心を覚えてはいるのだろう。
唖然として自分たちを見ているレジスタンスに対し、照れを押し殺した様子で叫ぶ。
「退路は私たちが確保したわ! 手早く撤退するわよ!」
その言葉に、ようやくレジスタンスたちは我に返る。
言われてみれば、背後から自分たちを襲っていたガリンダミア帝国軍の兵士たちは、すでにほとんど倒されており、まだ戦っている者たちも覆面を被っている者たちに圧倒されていた。
覆面を被るという、レジスタンスたちとは別の意味で怪しい者たちだったが、その実力は間違いなく一級品である。
レジスタンスたちも、覆面を被っている者たちと戦って勝てるとそう断言出来る者はいなかった。
……実際に戦うことになれば、自分たちは負けないと、そう叫ぶ者もいたんだろうが。
ともあれ、覆面たちが現在戦っているのはあくまでもガリンダミア帝国軍の兵士たちであって、レジスタンスたちは自分たちが覆面たちをと戦う必要を考えたりはしなくてもいい。
そうである以上、現在出来るのは……
「退け、退けぇっ! 撤退だ! 撤退するぞ!」
鋼の蜘蛛の一人が、そう叫ぶ。
その言葉に、レジスタンスたちが我に返って砦から脱出しようとする。
当然の話だが、砦の兵士たちは逃げるレジスタンスたちを追おうとするが……覆面の者たちが、そんな兵士たちの前に立ち塞がる。
兵士たちは、覆面の者たちがどれだけの実力を持っているのかを自分の目で見て確認している以上、迂闊に手を出すようなことは出来ない。
そんな中、覆面を被っている者の一人が口を開く。
「私たちは、これで撤退するわ。けど……追ってくるのなら、こちらも十分に対処させてもらうわ……よ!」
その言葉と共に長剣を一閃し、離れた場所から隙を窺っていた兵士の射った矢を、あっさりと斬り落とす。
その一撃の鋭さを見れば、今の自分たちではどうしようもないというのは理解出来たのだろう。少しずつ間合いを詰めていた兵士たちの足も止まる。
「ぐ……」
砦の兵士たちが、今の一撃を見て理解する。
自分たちの技量では、どうやっても勝てる相手ではないと。
それこそ、このまま戦いを挑めば全滅してしまう。
だが、敵は砦から撤退することを優先している以上、このまま見逃せば、これ以上被害は出ない。
それは多くの者が分かっていた。分かっていたが……それでも、どこかの国の騎士や兵士であればまだしも、レジスタンスなどという相手に攻撃を受け、逃げられるというのが……ましてや、覆面を被った、どう考えても怪しい存在をこのまま見逃すということが出来ない者もいた。
これが、本当の意味で前線に存在する砦であれば、ここで無駄に追撃をして被害を増やすことはないという判断も出来ただろう。
だが、この砦にいるのは前線に出るのは嫌だと自分が判断し、もしくは家での方で判断され、ここに配備された……ある意味で特権階級の者たちだ。
それだけに高いプライドを持っている者もおり……そのような者たちにしてみれば、ここでレジスタンスを逃すなどといった真似は許容出来ない。
「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
そんな……間違ったプライドを持った兵士の一人が、長剣を構えて敵の戦闘にいる人物に向かって襲いかかる。
すでに覆面の者たちがやって来た場所……つまり、この砦の援軍としてきてくれた腕利きのはずの兵士たちは、全滅状態だ。
気絶して戦闘不能になっている者もいれば、手足の骨が折れてそれ以上は動けなくなっている者もいるし、不運な者にいたっては死んですらいた。
そんな状況だけに、あとはこの砦からレジスタンスたちと一気に逃げるだけ。
そんな風に思っていただけに、この状況でいきなり攻撃してくる者がいたということに、驚く。
驚くが……だからといって、その攻撃を大人しく食らったりするはずもない。
振り下ろされた長剣の一撃を呆気なく回避し、反撃の一撃を放つ。
あっさりと……それこそ、見る者が見れば一体何故ここまであっさりと? と思えるくらいにあっさりと敵を倒した人物は、唖然とした様子で今のやり取りを見ていた者たちに向かって口を開く。
「追ってこないなら、こちらもこれ以上は攻撃しないから、安心なさい」
それは敵に対するものというより、聞き分けのない子供に対するような言葉。
しかし、実際そのようなことを行えるだけの実力差があるのは明白だった。
だからこそ、兵士たちはそんな相手に……声と身体付きから女だと分かったが、何も言えない。
もしここでまた何かを言えば……それこそ、逃がさないといったようなことを言って、それなら本気で戦うと言われてしまえば、最悪砦の兵士が全滅しかねない。
すでに援軍としてやって来た精鋭が全滅――あくまでもここにいる者たちだけだが――しているのだから、余計にそう思うだろう。
「わ、分かった。追わない。約束しよう」
結局、兵士の一人はそう告げることしか出来ない。
本来なら悔しいと思ってもおかしくはないのだろうが、覆面たちの能力を見たあとであれば、そんな気持ちを抱くことも出来なかった。
……むしろ、自分たちが見逃されたと、そう感じてしまうのだから。
普通に考えれば、それは屈辱であったり、惨めであったりするのだろう。
だからといって、それが不満だと相手に攻撃をすれば、先程の二の舞にしかならない。
それを理解出来たからこそ、兵士たちは覆面の者たちを黙って見送るしか出来ないのだった。
「ふぅ……どうやら、ここまで来れば、もう安心ね」
砦からある程度距離が離れたところで、覆面たちを率いてい女がそんな声を出す。
とはいえ、恐らく現在も砦から監視はされているのだろうから、覆面を脱ぐといったような真似はしない。
砦の兵士たちは、少しでも自分たちの正体を探ろうとしてるのは、間違いのない事実なのだから。
だからといって、覆面を率いる者もそれを責めるような真似は考えていなかったが。
「その……助けてくれたのは嬉しいんだけど、あんたたちは一体誰なんです?」
砦から距離をとってようやく安心したのか、レジスタンスの一人が覆面を率いている女にそう尋ねる。
尋ねられた女の方は、その言葉に周囲を……具体的には知っている顔を見つけ、口を開く。
「鋼の蜘蛛の協力者……といったところかしら」
「協力者……?」
最初は、覆面の女が何を言ってるのか分からなかったらしく、呆然とした様子を見せるレジスタンス。
だが、その言葉をしっかりと理解するにつれ、やがてこの場にいる鋼の蜘蛛に向けられる視線が厳しくなっていく。
当然だろう。これだけ腕の立つ協力者がいるのなら、最初から一緒に砦の襲撃に参加して貰えばよかったのだ。
そうなれば、砦を占拠するという行為も素早く行われていただろうし、自分たちにそこまで大きな被害が出るということもなかったはずだ。
なのに、鋼の蜘蛛は自分たちの戦力を温存していた。
……実際には違うのだが、現状を見ればそのように思われても仕方がないことは事実。
周囲のレジスタンスからの視線で、何を考えているのかを理解したのだろう。
覆面の女……レオノーラは、ここで鋼の蜘蛛の評判を悪くした方がいいのか、それともしない方がいいのか一瞬迷い、すぐに後者を選択する。
何しろ、自分たちの件がなくても、砦の攻撃が失敗した時点で鋼の蜘蛛の評判が悪くなるのは確実なのだ。
そうである以上、今は鋼の蜘蛛の評判の低下を少しでも減らすべく努力する必要があった。
「言っておくけど、私たちはあくまでも外部協力者で、部外者よ。今回の件も、少しでもこちらの素性を探られないように、覆面を被って顔を見られないようにしたり、使い慣れている武器を使わなかったりするくらいには」
本来なら、レオノーラが使っている武器は鞭だ。
だが、鞭という武器を使う者は皆無……という訳ではないが、かなり少ないのは間違いない。
ましてや、黄金の薔薇は当然のようにガリンダミア帝国にマークされている以上、鞭を使う女という情報を敵に与えるのは不味い。
だからこそ、使い慣れない長剣を使って戦っていたのだ。……もっとも、それはあくまでもレオノーラにとっては使い慣れないということで、砦の兵士や援軍としてやって来た兵士たちにしてみれば、十分なほどに長剣を使いこなしていたのだが。
「そんな訳で、私たちはあくまでも外部協力者であって、鋼の蜘蛛が戦力の出し惜しみをしていた訳ではないわ。少なくても、鋼の蜘蛛はこの戦い可能な限りの戦力を投入していたわ」
自分たちに知らせずにこの作戦を行ったということは説明せず、鋼の蜘蛛に貸しを一つ作るのだった。
そう声を上げたのは、一体誰だったのか。
帝都からそう遠くない場所にあるこの砦を襲撃し、最初は不意を突いたということや勢いがあって自分たちが有利に戦うことが出来たので問題はなかったのだが、それでも砦の兵士たちによる迎撃が始まると、形勢が不利な状況になる。
そこに帝都からの援軍が到着したという報告で形勢は決定的なまでにレジスタンス側に不利になり……そして実際に援軍によって前後から挟まれたことにより、形勢は決定的となった。
そんな中でもレジスタンスたちが戦い続けたのは、ここで負ければ自分たちは死刑……いや、最善の結果であっても死刑という状況になるだろうと知っていたからだ。
そんな状況で、不意に背後から襲ってきたガリンダミア帝国軍の兵士たちが悲鳴を上げ……誰かがそれをやったのかと、自分たちの救世主は誰なのかと、そんな思いで見ていたレジスタンスたち。
また、砦に元いた兵士たちも一体何が起きたのかといったような疑問を抱いていたのだが……そこに、援軍の兵士たちを蹴散らしながら姿を現したのが、覆面を被った集団だったのだ。
そのような予想外の相手を見れば、間の抜けた声の一つも上がるのは当然だろう。
あるいは、やって来た集団の一人だけが覆面を被っているといった程度なら、まだ納得出来たかもしれない。
しかし、二十人以上の者たちが……それも男女問わず、全員が覆面を被っているとなると、それは一種異様な迫力を生み出す。
……もっとも、戦場に乱入してきた者たちも、自分たちが覆面を被っていることに羞恥心を覚えてはいるのだろう。
唖然として自分たちを見ているレジスタンスに対し、照れを押し殺した様子で叫ぶ。
「退路は私たちが確保したわ! 手早く撤退するわよ!」
その言葉に、ようやくレジスタンスたちは我に返る。
言われてみれば、背後から自分たちを襲っていたガリンダミア帝国軍の兵士たちは、すでにほとんど倒されており、まだ戦っている者たちも覆面を被っている者たちに圧倒されていた。
覆面を被るという、レジスタンスたちとは別の意味で怪しい者たちだったが、その実力は間違いなく一級品である。
レジスタンスたちも、覆面を被っている者たちと戦って勝てるとそう断言出来る者はいなかった。
……実際に戦うことになれば、自分たちは負けないと、そう叫ぶ者もいたんだろうが。
ともあれ、覆面たちが現在戦っているのはあくまでもガリンダミア帝国軍の兵士たちであって、レジスタンスたちは自分たちが覆面たちをと戦う必要を考えたりはしなくてもいい。
そうである以上、現在出来るのは……
「退け、退けぇっ! 撤退だ! 撤退するぞ!」
鋼の蜘蛛の一人が、そう叫ぶ。
その言葉に、レジスタンスたちが我に返って砦から脱出しようとする。
当然の話だが、砦の兵士たちは逃げるレジスタンスたちを追おうとするが……覆面の者たちが、そんな兵士たちの前に立ち塞がる。
兵士たちは、覆面の者たちがどれだけの実力を持っているのかを自分の目で見て確認している以上、迂闊に手を出すようなことは出来ない。
そんな中、覆面を被っている者の一人が口を開く。
「私たちは、これで撤退するわ。けど……追ってくるのなら、こちらも十分に対処させてもらうわ……よ!」
その言葉と共に長剣を一閃し、離れた場所から隙を窺っていた兵士の射った矢を、あっさりと斬り落とす。
その一撃の鋭さを見れば、今の自分たちではどうしようもないというのは理解出来たのだろう。少しずつ間合いを詰めていた兵士たちの足も止まる。
「ぐ……」
砦の兵士たちが、今の一撃を見て理解する。
自分たちの技量では、どうやっても勝てる相手ではないと。
それこそ、このまま戦いを挑めば全滅してしまう。
だが、敵は砦から撤退することを優先している以上、このまま見逃せば、これ以上被害は出ない。
それは多くの者が分かっていた。分かっていたが……それでも、どこかの国の騎士や兵士であればまだしも、レジスタンスなどという相手に攻撃を受け、逃げられるというのが……ましてや、覆面を被った、どう考えても怪しい存在をこのまま見逃すということが出来ない者もいた。
これが、本当の意味で前線に存在する砦であれば、ここで無駄に追撃をして被害を増やすことはないという判断も出来ただろう。
だが、この砦にいるのは前線に出るのは嫌だと自分が判断し、もしくは家での方で判断され、ここに配備された……ある意味で特権階級の者たちだ。
それだけに高いプライドを持っている者もおり……そのような者たちにしてみれば、ここでレジスタンスを逃すなどといった真似は許容出来ない。
「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
そんな……間違ったプライドを持った兵士の一人が、長剣を構えて敵の戦闘にいる人物に向かって襲いかかる。
すでに覆面の者たちがやって来た場所……つまり、この砦の援軍としてきてくれた腕利きのはずの兵士たちは、全滅状態だ。
気絶して戦闘不能になっている者もいれば、手足の骨が折れてそれ以上は動けなくなっている者もいるし、不運な者にいたっては死んですらいた。
そんな状況だけに、あとはこの砦からレジスタンスたちと一気に逃げるだけ。
そんな風に思っていただけに、この状況でいきなり攻撃してくる者がいたということに、驚く。
驚くが……だからといって、その攻撃を大人しく食らったりするはずもない。
振り下ろされた長剣の一撃を呆気なく回避し、反撃の一撃を放つ。
あっさりと……それこそ、見る者が見れば一体何故ここまであっさりと? と思えるくらいにあっさりと敵を倒した人物は、唖然とした様子で今のやり取りを見ていた者たちに向かって口を開く。
「追ってこないなら、こちらもこれ以上は攻撃しないから、安心なさい」
それは敵に対するものというより、聞き分けのない子供に対するような言葉。
しかし、実際そのようなことを行えるだけの実力差があるのは明白だった。
だからこそ、兵士たちはそんな相手に……声と身体付きから女だと分かったが、何も言えない。
もしここでまた何かを言えば……それこそ、逃がさないといったようなことを言って、それなら本気で戦うと言われてしまえば、最悪砦の兵士が全滅しかねない。
すでに援軍としてやって来た精鋭が全滅――あくまでもここにいる者たちだけだが――しているのだから、余計にそう思うだろう。
「わ、分かった。追わない。約束しよう」
結局、兵士の一人はそう告げることしか出来ない。
本来なら悔しいと思ってもおかしくはないのだろうが、覆面たちの能力を見たあとであれば、そんな気持ちを抱くことも出来なかった。
……むしろ、自分たちが見逃されたと、そう感じてしまうのだから。
普通に考えれば、それは屈辱であったり、惨めであったりするのだろう。
だからといって、それが不満だと相手に攻撃をすれば、先程の二の舞にしかならない。
それを理解出来たからこそ、兵士たちは覆面の者たちを黙って見送るしか出来ないのだった。
「ふぅ……どうやら、ここまで来れば、もう安心ね」
砦からある程度距離が離れたところで、覆面たちを率いてい女がそんな声を出す。
とはいえ、恐らく現在も砦から監視はされているのだろうから、覆面を脱ぐといったような真似はしない。
砦の兵士たちは、少しでも自分たちの正体を探ろうとしてるのは、間違いのない事実なのだから。
だからといって、覆面を率いる者もそれを責めるような真似は考えていなかったが。
「その……助けてくれたのは嬉しいんだけど、あんたたちは一体誰なんです?」
砦から距離をとってようやく安心したのか、レジスタンスの一人が覆面を率いている女にそう尋ねる。
尋ねられた女の方は、その言葉に周囲を……具体的には知っている顔を見つけ、口を開く。
「鋼の蜘蛛の協力者……といったところかしら」
「協力者……?」
最初は、覆面の女が何を言ってるのか分からなかったらしく、呆然とした様子を見せるレジスタンス。
だが、その言葉をしっかりと理解するにつれ、やがてこの場にいる鋼の蜘蛛に向けられる視線が厳しくなっていく。
当然だろう。これだけ腕の立つ協力者がいるのなら、最初から一緒に砦の襲撃に参加して貰えばよかったのだ。
そうなれば、砦を占拠するという行為も素早く行われていただろうし、自分たちにそこまで大きな被害が出るということもなかったはずだ。
なのに、鋼の蜘蛛は自分たちの戦力を温存していた。
……実際には違うのだが、現状を見ればそのように思われても仕方がないことは事実。
周囲のレジスタンスからの視線で、何を考えているのかを理解したのだろう。
覆面の女……レオノーラは、ここで鋼の蜘蛛の評判を悪くした方がいいのか、それともしない方がいいのか一瞬迷い、すぐに後者を選択する。
何しろ、自分たちの件がなくても、砦の攻撃が失敗した時点で鋼の蜘蛛の評判が悪くなるのは確実なのだ。
そうである以上、今は鋼の蜘蛛の評判の低下を少しでも減らすべく努力する必要があった。
「言っておくけど、私たちはあくまでも外部協力者で、部外者よ。今回の件も、少しでもこちらの素性を探られないように、覆面を被って顔を見られないようにしたり、使い慣れている武器を使わなかったりするくらいには」
本来なら、レオノーラが使っている武器は鞭だ。
だが、鞭という武器を使う者は皆無……という訳ではないが、かなり少ないのは間違いない。
ましてや、黄金の薔薇は当然のようにガリンダミア帝国にマークされている以上、鞭を使う女という情報を敵に与えるのは不味い。
だからこそ、使い慣れない長剣を使って戦っていたのだ。……もっとも、それはあくまでもレオノーラにとっては使い慣れないということで、砦の兵士や援軍としてやって来た兵士たちにしてみれば、十分なほどに長剣を使いこなしていたのだが。
「そんな訳で、私たちはあくまでも外部協力者であって、鋼の蜘蛛が戦力の出し惜しみをしていた訳ではないわ。少なくても、鋼の蜘蛛はこの戦い可能な限りの戦力を投入していたわ」
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