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メルリアナへ
296話
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「アラン君」
「あ、イルゼンさん」
四苦八苦しながら……それでも心の底から楽しそうに料理をしているクラリスを眺めていたアランは、背後から聞こえてきた声に振り向き、そこにイルゼンがいるのを見て驚く。
「どうしたんです?」
「いえ、あの子……クラリスさんの様子はどうかと思いましてね」
「見ての通りですよ。料理の腕なら俺の方が上ですね」
「子供より料理の腕が上だと喜んでどうするんですか」
呆れた様子で言いながら、イルゼンは改めてクラリスを眺める。
苦労しながら野菜の皮を剥いているクラリスだが、近くにはきちんと探索者が怪我をしないように見守っていた。
もっとも、包丁で出来るくらいの簡単な切り傷程度であれば、ポーションを使ってすぐに治療出来るのだが。
「尻尾が二本……ですか」
「そうですね。尻尾が二本もある獣人なんて、初めて見ました」
「でしょうね。尻尾が複数ある獣人というのは、非常に数が少ないですから。基本的には一族の中でも強い魔力を持つ者に現れるらしいですね」
「強い魔力ですか。……ああいう光景を見てると、ちょっとそういうのを持ってるようには思えませんけどね」
アランの視線の先では、無事に野菜の皮を剥き終わったクラリスが嬉しそうな様子で周囲にいる探索者たちに野菜を見せていた。
とてもではないが、普通の子供のようにしか見えない。
「そうですね。ですが……あの尻尾こそが、クラリスさんが襲われた理由でしょう」
「尻尾……つまり、強い魔力がですか?」
「ええ。メルリアナは小国ですが、獣人の数は多いです。そして獣人は他の獣人と一緒に暮らしている者もいれば、自分と同じ種族とだけ暮らしている者もいる。そのどちらでも変わらないのは、獣人というのはそれぞれに率いている長の一族がいることです」
イルゼンの説明を聞き、アランは微妙に嫌な予感がしてくる。
もしかして、何か非常に面倒なことに巻き込まれているのではないかと。
「長というのは、当然ながら強さであったり、周囲に対する影響力であったり……魔力であったり、それらが秀でている者が大半です」
「そうでしょうね。長となると、他の者たちを引っ張っていく必要がありますし。とてもじゃないですが、その辺の者にどうにか出来るとは思いませんし。血筋で長となるのなら、そういうこともあるかもしれませんけど」
「そういう意味では、能力重視ということで獣人たちの方が優れているのかもしれませんね」
イルゼンの言葉に、アランも納得して頷きたくなる。
血筋だけが自慢の貴族には、アランも色々と嫌な目を見てきたのだから。
「話の流れから考えると、クラリスは狐の獣人の長になるということですか?」
「可能性は高いでしょう。だからこそ、姫として扱われてきた」
「世間知らずで長が務まるとは思えませんけどね」
「その辺りは、僕にも分からないよ。こうして喋っているのも、あくまでも僕の予想でしかないんだから」
これが普通の相手の言葉であれば、アランもそこまで深く信じるといったような真似はしなかっただろう。
だが、予想を話しているのはイルゼンなのだ。
それだけで、アランがイルゼンの言葉を信じるには十分な理由があった。
「そうなると、俺たちが見つけたときに襲ってきていたのは、クラリスと次の……もしくは次の次の長を狙っている相手からの妨害行為ってところですか?」
「その可能性はあるだろうね。もちろん、もっと別の理由という可能性もあるけど」
イルゼンの言葉に、アランは改めてクラリスの方に視線を向ける。
そこでは、女の探索者に教えられながら皮を剥いた野菜を切っているクラリスの姿があった。
切っているのは、クラリスが皮を剥いた野菜だ。
皮の方に多くの身がついてはいるのだが、それでも初めて皮剥きをしたと考えれば上出来だろう。
あるいは、この器用さも獣人だからこそのものなのかもしれない。
そんな風に思うアランだったが、そんなクラリスを見ているだけに、長の後継者争い……それも次の長ではなく、次の次の長を巡っての争いと考えると、思うところがあった。
「とはいえ、僕たちに出来ることはありません。いえ、正確には僕たちが関わると、彼女たちをこちらの面倒に巻き込んでしまいかねません」
「ですよね」
たとえ、獣人の長になるだけの潜在能力がクラリスにあったとしても、だからといってアランたちがそれに関わるといったような真似は出来ない。
何しろ、もし今回の件にクラリスたちを巻き込んでしまえば、恐らく……いや、ほぼ間違いなくクラリスたちは大きな被害を受けるからだ。
怪我をする程度ならいいが、二尾を持つ狐の獣人ともなれば非常に珍しい。
であれば、ガリンダミア帝国がその希少性……そして将来性を見越して欲してもおかしくはない。
(考えようによっては、ガリンダミア帝国に保護されるってのは安全ではあるんだろうけど。俺は絶対にそういう目に遭いたくはないな。クラリスにしても、下手に捕まったりした場合、最終的に長になってもそれはガリンダミア帝国の影響が色濃く残ってしまうだろうし)
つまり、クラリスが何らかのトラブルに巻き込まれても、アランは助けることが出来ない。
「メルリアナって獣人が多いんですよね? なら、クラリスに協力する人もいるんじゃないですか?」
「どうだろうね。獣人にも色々といるから。狐の獣人というのは、それなりに数も多いと聞くけど、それ以上に数の多い獣人もいる。そのような獣人たちが、彼女を狙ってこないとも限らないだろうね」
イルゼンの説明を聞き、アランは取りあえずそれ以上その件について話すのは止めておく。
イルゼンのことだから、アランが知っている以上の情報を持っているのは間違いないだろう。
だが、それを聞いてしまえばクラリスに対して情が湧くだろうと、そう思えたためだ。
ただでさえ、今の状況でかなり情が湧いているのは間違いない。
であれば、これ以上は積極的に関わらない方がいいと思うのは当然だろう。
「アランさーん! もうそろそろご飯が出来ますからねー!」
クラリスがアランに向かってそう叫び、大きく手を振る。
そんなクラリスの感情を表すように、二本の尻尾も激しく動いていた。
少し離れた場所ではゴドフリーとロルフの二人が、そんなクラリスを見ている。
何かあったら即座に駆けつけることが出来るようにと、そう思っての行動だったのだろうが……そんな二人のことを、クラリスが気にしている様子はない。
初めての料理で興奮しているクラリスは、最初に姿を見せた時の神秘的な様子はどこにもない。
本当にただの少女のようにしか思えなかった。
アランにしてみれば、そんなクラリスの様子に色々と思うところがあったのだが……ともあれ、クラリスが作ったという料理を食べるために歩き出すのだった。
「暇だな」
「おいおい、ここは裏の街道なんだ。しかも夜ともなれば、いつ誰が襲ってきてもおかしくないんだぞ。それに、俺たちだけじゃなくて、あのお嬢ちゃんたちもいるし」
夜、野営地で見張りをしていた二人の探索者は、暇潰しの意味も含めてそんな会話をしていた。
雲海に所属している二人は、特に緊張している様子を見せていない。
裏の街道という危険な場所ではあるが、ここに出て来るような盗賊は探索者たちにしてみれば警戒すべき相手ではない。
遺跡に潜っているときに遭遇する敵の方が、よっぽど危険だった。
あるいは、この二人なら少し前に戦ったガリンダミア帝国軍の精鋭たちを思い出すか。
盗賊たちを圧倒する強さを持つだけに、むしろ暇潰しに盗賊が襲ってきてくれないかと、そんな風にすら思っている。
何しろ、盗賊が襲ってくれば盗賊が溜め込んでいるお宝を奪うことが出来るのだから。
「こういう裏の街道を通ってる連中から奪ったお宝って、やっぱり非合法の物が多いんだよな? そういうのって、処分に困りそうな気がするけど」
「盗賊なら、裏の商人とも関わり合いがあるから大丈夫なんだろうけど、俺たちはな。ああ、でもイルゼンさんがいるから、どうとでもなりそうな気がしないか?」
その言葉には、強い説得力があった。
普通なら、そのようなことを言われても素直に信じるような真似は出来ない。
探索者は色々と後ろ暗いことをする者もいるので、そのような者であれば怪しげな商人との伝手があってもおかしくはないか、雲海は基本的に後ろ暗いことはしない。
それでもきちんと全員が食べていけるだけの実力を持ったクランだ。
そのような雲海であっても、イルゼンであればそのような商人との伝手があってもおかしくはないだろう、と。
「イルゼンさんだしな」
「ああ、イルゼンさんだし」
その言葉でお互いに納得し……次の瞬間、二人同時に長剣と槍というそれぞれの武器を構える。
「噂をすれば何とやら……ってのはアランが言ってたんだったか?」
「そう言えば言っていたな。それにしては、盗賊とは思えないくらいに強いぞ? 俺たちがここまで近付くまで気配を察知出来なかったんだからな。そんな訳で出てこい。俺たちのいた方に来たのが不運だったな」
野営地の見張りとはいえ、当然ながらこの二人だけで二百人以上いる野営地全ての見張りをしている訳ではない。
野営地に等間隔で雲海と黄金の薔薇の探索者たちが見張りをしている。
そんな中で、野営地に近付いてきた者たちはこの二人に察知されてしまったのだ。
そういう意味では、不運ではあったのだが……
「さて、不運なのはどちらだろうな」
そう言い、闇から姿を現したのは三人の男……いや、獣人。
狼、虎、豹。
見るからに戦闘向きに思われるその探索者は、二人の探索者を前にして姿を隠すつもりもなく、堂々と姿を現した。
それだけ自分の実力に自信があるということなのだろう。
「一応聞いておくが、お前達は敵という認識でいいんだな? あのクラリスとかいうお嬢ちゃんを狙っているって意味で」
クラリスという名前に、三人の獣人は反応する。
そして……そこから三人の獣人は無言で見張りの探索者たちに襲いかかっていくのだった。
「あ、イルゼンさん」
四苦八苦しながら……それでも心の底から楽しそうに料理をしているクラリスを眺めていたアランは、背後から聞こえてきた声に振り向き、そこにイルゼンがいるのを見て驚く。
「どうしたんです?」
「いえ、あの子……クラリスさんの様子はどうかと思いましてね」
「見ての通りですよ。料理の腕なら俺の方が上ですね」
「子供より料理の腕が上だと喜んでどうするんですか」
呆れた様子で言いながら、イルゼンは改めてクラリスを眺める。
苦労しながら野菜の皮を剥いているクラリスだが、近くにはきちんと探索者が怪我をしないように見守っていた。
もっとも、包丁で出来るくらいの簡単な切り傷程度であれば、ポーションを使ってすぐに治療出来るのだが。
「尻尾が二本……ですか」
「そうですね。尻尾が二本もある獣人なんて、初めて見ました」
「でしょうね。尻尾が複数ある獣人というのは、非常に数が少ないですから。基本的には一族の中でも強い魔力を持つ者に現れるらしいですね」
「強い魔力ですか。……ああいう光景を見てると、ちょっとそういうのを持ってるようには思えませんけどね」
アランの視線の先では、無事に野菜の皮を剥き終わったクラリスが嬉しそうな様子で周囲にいる探索者たちに野菜を見せていた。
とてもではないが、普通の子供のようにしか見えない。
「そうですね。ですが……あの尻尾こそが、クラリスさんが襲われた理由でしょう」
「尻尾……つまり、強い魔力がですか?」
「ええ。メルリアナは小国ですが、獣人の数は多いです。そして獣人は他の獣人と一緒に暮らしている者もいれば、自分と同じ種族とだけ暮らしている者もいる。そのどちらでも変わらないのは、獣人というのはそれぞれに率いている長の一族がいることです」
イルゼンの説明を聞き、アランは微妙に嫌な予感がしてくる。
もしかして、何か非常に面倒なことに巻き込まれているのではないかと。
「長というのは、当然ながら強さであったり、周囲に対する影響力であったり……魔力であったり、それらが秀でている者が大半です」
「そうでしょうね。長となると、他の者たちを引っ張っていく必要がありますし。とてもじゃないですが、その辺の者にどうにか出来るとは思いませんし。血筋で長となるのなら、そういうこともあるかもしれませんけど」
「そういう意味では、能力重視ということで獣人たちの方が優れているのかもしれませんね」
イルゼンの言葉に、アランも納得して頷きたくなる。
血筋だけが自慢の貴族には、アランも色々と嫌な目を見てきたのだから。
「話の流れから考えると、クラリスは狐の獣人の長になるということですか?」
「可能性は高いでしょう。だからこそ、姫として扱われてきた」
「世間知らずで長が務まるとは思えませんけどね」
「その辺りは、僕にも分からないよ。こうして喋っているのも、あくまでも僕の予想でしかないんだから」
これが普通の相手の言葉であれば、アランもそこまで深く信じるといったような真似はしなかっただろう。
だが、予想を話しているのはイルゼンなのだ。
それだけで、アランがイルゼンの言葉を信じるには十分な理由があった。
「そうなると、俺たちが見つけたときに襲ってきていたのは、クラリスと次の……もしくは次の次の長を狙っている相手からの妨害行為ってところですか?」
「その可能性はあるだろうね。もちろん、もっと別の理由という可能性もあるけど」
イルゼンの言葉に、アランは改めてクラリスの方に視線を向ける。
そこでは、女の探索者に教えられながら皮を剥いた野菜を切っているクラリスの姿があった。
切っているのは、クラリスが皮を剥いた野菜だ。
皮の方に多くの身がついてはいるのだが、それでも初めて皮剥きをしたと考えれば上出来だろう。
あるいは、この器用さも獣人だからこそのものなのかもしれない。
そんな風に思うアランだったが、そんなクラリスを見ているだけに、長の後継者争い……それも次の長ではなく、次の次の長を巡っての争いと考えると、思うところがあった。
「とはいえ、僕たちに出来ることはありません。いえ、正確には僕たちが関わると、彼女たちをこちらの面倒に巻き込んでしまいかねません」
「ですよね」
たとえ、獣人の長になるだけの潜在能力がクラリスにあったとしても、だからといってアランたちがそれに関わるといったような真似は出来ない。
何しろ、もし今回の件にクラリスたちを巻き込んでしまえば、恐らく……いや、ほぼ間違いなくクラリスたちは大きな被害を受けるからだ。
怪我をする程度ならいいが、二尾を持つ狐の獣人ともなれば非常に珍しい。
であれば、ガリンダミア帝国がその希少性……そして将来性を見越して欲してもおかしくはない。
(考えようによっては、ガリンダミア帝国に保護されるってのは安全ではあるんだろうけど。俺は絶対にそういう目に遭いたくはないな。クラリスにしても、下手に捕まったりした場合、最終的に長になってもそれはガリンダミア帝国の影響が色濃く残ってしまうだろうし)
つまり、クラリスが何らかのトラブルに巻き込まれても、アランは助けることが出来ない。
「メルリアナって獣人が多いんですよね? なら、クラリスに協力する人もいるんじゃないですか?」
「どうだろうね。獣人にも色々といるから。狐の獣人というのは、それなりに数も多いと聞くけど、それ以上に数の多い獣人もいる。そのような獣人たちが、彼女を狙ってこないとも限らないだろうね」
イルゼンの説明を聞き、アランは取りあえずそれ以上その件について話すのは止めておく。
イルゼンのことだから、アランが知っている以上の情報を持っているのは間違いないだろう。
だが、それを聞いてしまえばクラリスに対して情が湧くだろうと、そう思えたためだ。
ただでさえ、今の状況でかなり情が湧いているのは間違いない。
であれば、これ以上は積極的に関わらない方がいいと思うのは当然だろう。
「アランさーん! もうそろそろご飯が出来ますからねー!」
クラリスがアランに向かってそう叫び、大きく手を振る。
そんなクラリスの感情を表すように、二本の尻尾も激しく動いていた。
少し離れた場所ではゴドフリーとロルフの二人が、そんなクラリスを見ている。
何かあったら即座に駆けつけることが出来るようにと、そう思っての行動だったのだろうが……そんな二人のことを、クラリスが気にしている様子はない。
初めての料理で興奮しているクラリスは、最初に姿を見せた時の神秘的な様子はどこにもない。
本当にただの少女のようにしか思えなかった。
アランにしてみれば、そんなクラリスの様子に色々と思うところがあったのだが……ともあれ、クラリスが作ったという料理を食べるために歩き出すのだった。
「暇だな」
「おいおい、ここは裏の街道なんだ。しかも夜ともなれば、いつ誰が襲ってきてもおかしくないんだぞ。それに、俺たちだけじゃなくて、あのお嬢ちゃんたちもいるし」
夜、野営地で見張りをしていた二人の探索者は、暇潰しの意味も含めてそんな会話をしていた。
雲海に所属している二人は、特に緊張している様子を見せていない。
裏の街道という危険な場所ではあるが、ここに出て来るような盗賊は探索者たちにしてみれば警戒すべき相手ではない。
遺跡に潜っているときに遭遇する敵の方が、よっぽど危険だった。
あるいは、この二人なら少し前に戦ったガリンダミア帝国軍の精鋭たちを思い出すか。
盗賊たちを圧倒する強さを持つだけに、むしろ暇潰しに盗賊が襲ってきてくれないかと、そんな風にすら思っている。
何しろ、盗賊が襲ってくれば盗賊が溜め込んでいるお宝を奪うことが出来るのだから。
「こういう裏の街道を通ってる連中から奪ったお宝って、やっぱり非合法の物が多いんだよな? そういうのって、処分に困りそうな気がするけど」
「盗賊なら、裏の商人とも関わり合いがあるから大丈夫なんだろうけど、俺たちはな。ああ、でもイルゼンさんがいるから、どうとでもなりそうな気がしないか?」
その言葉には、強い説得力があった。
普通なら、そのようなことを言われても素直に信じるような真似は出来ない。
探索者は色々と後ろ暗いことをする者もいるので、そのような者であれば怪しげな商人との伝手があってもおかしくはないか、雲海は基本的に後ろ暗いことはしない。
それでもきちんと全員が食べていけるだけの実力を持ったクランだ。
そのような雲海であっても、イルゼンであればそのような商人との伝手があってもおかしくはないだろう、と。
「イルゼンさんだしな」
「ああ、イルゼンさんだし」
その言葉でお互いに納得し……次の瞬間、二人同時に長剣と槍というそれぞれの武器を構える。
「噂をすれば何とやら……ってのはアランが言ってたんだったか?」
「そう言えば言っていたな。それにしては、盗賊とは思えないくらいに強いぞ? 俺たちがここまで近付くまで気配を察知出来なかったんだからな。そんな訳で出てこい。俺たちのいた方に来たのが不運だったな」
野営地の見張りとはいえ、当然ながらこの二人だけで二百人以上いる野営地全ての見張りをしている訳ではない。
野営地に等間隔で雲海と黄金の薔薇の探索者たちが見張りをしている。
そんな中で、野営地に近付いてきた者たちはこの二人に察知されてしまったのだ。
そういう意味では、不運ではあったのだが……
「さて、不運なのはどちらだろうな」
そう言い、闇から姿を現したのは三人の男……いや、獣人。
狼、虎、豹。
見るからに戦闘向きに思われるその探索者は、二人の探索者を前にして姿を隠すつもりもなく、堂々と姿を現した。
それだけ自分の実力に自信があるということなのだろう。
「一応聞いておくが、お前達は敵という認識でいいんだな? あのクラリスとかいうお嬢ちゃんを狙っているって意味で」
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