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メルリアナへ
309話
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「何だと!」
その報告を聞いたゴールスは、苛立ちも露わにテーブルを殴りつける。
若い頃は探索者としても活躍したゴールスは、犀の獣人ということもあって強い膂力を持っている。
実際、普通の獣人ならそう簡単に壊すことが出来ないだろうテーブルは、ゴールスが振り下ろした拳であっさりとへし折れてしまったのだから。
幸いだったのは、テーブルの上には特に何も置かれていなかったということか。
自分では到底無理なその行動に、報告を持ってきたネズミの獣人は怯えた様子を見せる。
今回はゴールスの苛立ちの対象がテーブルだったので、特にこれといったようなことはなかった。
だが、もし苛立ちの対象が自分になったら……そうなれば、それこそ考えるまでもなくネズミの獣人は死んでしまうだろう。
ゴールスはテーブルを壊したことで取りあえず安堵したのか、改めて報告を持ってきた獣人に視線を向かって尋ねる。
「獣牙衆はどうした? あの小娘を殺すように命じたはずだが」
「生きているのを見る限りでは、襲撃は失敗したと考えるのが妥当かと」
「妥当かと、ではない。実際にどうなっているのか、それを調べてこいと言ってるのだ。……俺を失望させるなよ?」
「ひぃっ!」
ゴールスの視線に、ネズミの獣人は必死になって何度も頷く。
もしここで対応を間違えれば、それこそ自分などあっさりと……その辺に生えている花を摘むかのように、命を摘まれてしまうのは間違いなかった。
「わ、分かりました! ただちに調べてきます!」
一刻も早くこの場から逃げたい。
そんな思いから、素早く部屋から出ていく。
「ふん」
そんなネズミの獣人の姿を一瞥すると、ゴールスは壊れたテーブルはそのままに、近くにあったソファに座る。
二百キロ近い体重を持つゴールスだったが、部屋に用意されたソファは問題なくその体重を受け止めた。
「獣牙衆め……思ったよりも使えんな。どうする? クラリスがこのデルリアにやって来てしまったぞ?」
部屋の中にはゴールス以外に誰もいない。
にもかかわらず、ゴールスは部屋の中に誰かがいるというのを前提としたように声を上げる。
そして……次の瞬間、部屋の中に一つの気配が生まれる。
「正直なところ、デルリアに到着する前にクラリスを殺して欲しかったんだがな」
そう言ったのは、背中からコウモリの羽根を生やした獣人。
もしアランがコウモリの獣人を見れば、コウモリの獣人ではなく悪魔といった風に認識してしまうだろう。
それだけ禍々しい外見をしているのだ。
ナージャという蛇の獣人は、蛇の下半身から獣人の上半身が生えているといったような外見だったが、このコウモリの獣人はそれとはまた違った意味で不気味な様子を表していた。
「俺だってそう思っていたよ。……だが、獣牙衆でも失敗したとなれば、対処は少し考えないといけないだろうな。クラリスめ、一体どこでそんな腕利きの護衛を雇った?」
「こっちに入っている報告では、裏の街道に入るまでは馬車が一台と獣人の護衛が少しといった様子だった。だが、街道を抜けてメルリアナに入ったときには、すでに多数の護衛と一緒だった。つまりこれは、報告にあった連中がクラリスに護衛として雇われたといったところだろうな」
その報告はゴールスも聞いていた。
裏の街道でクラリスたちを襲撃させたとき、何者かがそれを邪魔したというのだ。
襲撃をさせた者たちは、獣牙衆ほどではないにしろ、かなりの腕利きだった。
その相手をあっさりと撃退したのだから、腕の立つ者たちというのはゴールスも分かっていた。
しかし予想外だったのは、そんな腕利きを雇うだけの金も持っていないクラリスたちに、何故かその者たちが護衛として雇われることになったことだろう。
「どうやってそんな腕利きを雇ったんだ? そんな腕利きなら、それこそクラリスが払えるような金額で雇われるんてことはまずないだろうが」
ゴールスも腕利きの探索者だったからこそ、その辺りの事情についてはそれなりに詳しい。
もしゴールスなら、自分一人だけであってもクラリスが提案するような金額で護衛を引き受けるといったことはないだろう。
だからこそ、何故現在はそのような状況になっているのかが分からなかった。
まさかゴールスも、イルゼンが自分の行動を隠すためのカモフラージュとして、戦力の大半をクラリスの護衛に回したというのは、予想も出来ないだろう。
「そうなると、金以外の何かで雇われたと考える方がいいのではないか?」
コウモリの獣人が、ゴールスの呟きにそう返す。
とはいえ、金以外の何かと言われてもそう簡単に思い浮かぶようなことはない。
「クラリスの家に伝わっていた家宝の宝石やマジックアイテムとか、そういうのを報酬にしたのか? だが、そんなのがあるとは聞いてないがな」
可能性の一つとしてそう考えるが、少なくてもゴールスの知っている限りでは、そのような物はないはずだった。
あるいは、単純に秘宝といった感じでゴールスが知らないだけかもしれないが。
ともあれ、ゴールスとしてはクラリスがデルリアにやってきたのは、もうどうしようもない。
しかし、だからといってクラリスの存在を認める訳にはいかなかった。
「いっそ纏めて殺すか?」
「無理だな」
ゴールスの言葉に、コウモリの獣人は即座に言葉を返す。
ゴールスも、それは予想していた内容である以上、反論は出来ない。
何しろ、ゴールス自身も探索者として活動してきたのだ。
探索者だっただけに、腕利きの探索者というのがどれだけの強さを持っているのかを理解していた。
そんな探索者が大量に集まっているとなれば……それこそ極論だが、ゴールスと同等の強さを持つ者が大量にいるといった可能性も否定は出来ない。
それはゴールスが自分の強さを前提にしている話であって、中には当然ゴールスよりも弱い者がいるだろうし、ゴールスよりも強い者もいてもおかしくはない。
「で、結局どうするんだ? クラリスがやって来れば、お前にとっても決して愉快な出来事にはならないはずだが。そうなると、こちらとの契約も打ち切りということになるぞ?」
「待て」
コウモリの獣人の言葉に、ゴールスは即座にそう告げる。
コウモリの獣人が所属する組織との取引は、ゴールスにとって決して断ち切ったりは出来ない。
もしそのようなことになれば、それこそ自分は破滅だろうと、そう理解していた。
だが、それはあくまでもゴールスの都合であって、コウモリの獣人にしてみれば、ゴールスの都合を考える必要はない。
ゴールスもそれが分かっているので、反論が出来なかった。
ただし、強く拳を握り締めていたが。
それこそ、もしコウモリの獣人が取引相手の組織から派遣された者ではなく、ただの獣人の一人であれば……すぐにでも、握り締めた拳をその顔に叩き込んでいたいただろう。
「クラリスは殺す。そして一族の獣人は全て俺が使えるようにする。それで文句はないだろう?」
「そうなれば、こちらとしても文句はないな。だが、問題なのはそのような真似が出来るのか? といったことだが? あれだけ探索者が護衛として一緒にいるのを考えれば、いくらゴールスや獣牙衆がいても、それに対処出来るとは思えない」
「ぐ……それは、何とかする。別に正面から馬鹿正直に戦いを挑む訳ではない。クラリスを殺すといった手段はいくらでもある」
それは半ば強がりだったが、決して出来もしないことを言っているのではない。
このデルリアは、既に半ばがゴールスの手の内にある。
そうである以上、クラリスがデルリアに入ってくれば、それをどうにかする手段それなりにあるのは間違いなかった。
コウモリの獣人も、ゴールスのその言葉を信用出来ると思ったのか、少し考えたあとで頷く。
「分かった。では、私はもうしばらく様子を見よう。それでもしクラリスを排除出来るのなら、このまま取引を続ける。だが……注意した方がいい。クラリスを守っているのは、雲海と黄金の薔薇という腕利きのクランだ。特に心核使いが多いから、正面から戦ったら間違いなく負けるぞ」
ピクリ、と。
ゴールスはコウモリの獣人の言葉に動きを止める。
そして、数秒考えてから口を開く。
「随分と詳しいな」
「当然だ。雲海と黄金の薔薇というのはあの御方が執心されている存在。……本気になれば、いつでも捕らえることが出来るだろうに、何を考えて自由にしているのか」
「待て。なら、今回の一件は俺の失敗ではなく、お前の失敗ということではないのか?」
そう告げるゴールスの視線は、非常に鋭い。
それこそ、一つ返答を間違えば次の瞬間にはここで戦いが行われてもおかしくはないだろうと思えるほどに。
「そう言われても、私の担当ではない以上はどうとも言えないな」
ぎりっと。
コウモリの獣人の言葉に、ゴールスは怒りを堪えるように奥歯を噛みしめる。
コウモリの獣人も、ゴールスが何らかの行動に出ることが出来ないというのは、理解した上での行動だったのだろう。
そんな相手を眺めつつ、笑みすら浮かべて口を開く。
「ともあれ、忠告はした、敵は手強い。だが、クラリスだけを狙うのなら、どうとでも対処は出来るだろう。であれば、今の状況はそちらにとっても必ずしも悪いものではない。……せいぜい頑張ってくれ」
そう言うと、コウモリの獣人は身体から闇を生み出し、そして次の瞬間には闇と共にその姿は消えていた。
「畜生がっ!」
苛立ちも露わにゴールスは叫ぶ。
しかし、今の状況ではここで叫んだからといってどうにかなる訳ではない。
今のゴールスに出来るのは、結局のところクラリスを殺すということだけ。
クラリスを殺すことに成功しなければ、ゴールスは今の地位を失ってしまう。
それどころか、命までも失われてしまう可能性があるのだ。
「殺す……絶対にクラリスを殺すぞ。俺の手の内にあるんだ。なら、殺せないはずがない。護衛がいくら強くても、その連中と戦わなければいいだけだ。そうだ、俺は勝つ。絶対に生き残ってみせるぞ」
そう、叫ぶのだった。
その報告を聞いたゴールスは、苛立ちも露わにテーブルを殴りつける。
若い頃は探索者としても活躍したゴールスは、犀の獣人ということもあって強い膂力を持っている。
実際、普通の獣人ならそう簡単に壊すことが出来ないだろうテーブルは、ゴールスが振り下ろした拳であっさりとへし折れてしまったのだから。
幸いだったのは、テーブルの上には特に何も置かれていなかったということか。
自分では到底無理なその行動に、報告を持ってきたネズミの獣人は怯えた様子を見せる。
今回はゴールスの苛立ちの対象がテーブルだったので、特にこれといったようなことはなかった。
だが、もし苛立ちの対象が自分になったら……そうなれば、それこそ考えるまでもなくネズミの獣人は死んでしまうだろう。
ゴールスはテーブルを壊したことで取りあえず安堵したのか、改めて報告を持ってきた獣人に視線を向かって尋ねる。
「獣牙衆はどうした? あの小娘を殺すように命じたはずだが」
「生きているのを見る限りでは、襲撃は失敗したと考えるのが妥当かと」
「妥当かと、ではない。実際にどうなっているのか、それを調べてこいと言ってるのだ。……俺を失望させるなよ?」
「ひぃっ!」
ゴールスの視線に、ネズミの獣人は必死になって何度も頷く。
もしここで対応を間違えれば、それこそ自分などあっさりと……その辺に生えている花を摘むかのように、命を摘まれてしまうのは間違いなかった。
「わ、分かりました! ただちに調べてきます!」
一刻も早くこの場から逃げたい。
そんな思いから、素早く部屋から出ていく。
「ふん」
そんなネズミの獣人の姿を一瞥すると、ゴールスは壊れたテーブルはそのままに、近くにあったソファに座る。
二百キロ近い体重を持つゴールスだったが、部屋に用意されたソファは問題なくその体重を受け止めた。
「獣牙衆め……思ったよりも使えんな。どうする? クラリスがこのデルリアにやって来てしまったぞ?」
部屋の中にはゴールス以外に誰もいない。
にもかかわらず、ゴールスは部屋の中に誰かがいるというのを前提としたように声を上げる。
そして……次の瞬間、部屋の中に一つの気配が生まれる。
「正直なところ、デルリアに到着する前にクラリスを殺して欲しかったんだがな」
そう言ったのは、背中からコウモリの羽根を生やした獣人。
もしアランがコウモリの獣人を見れば、コウモリの獣人ではなく悪魔といった風に認識してしまうだろう。
それだけ禍々しい外見をしているのだ。
ナージャという蛇の獣人は、蛇の下半身から獣人の上半身が生えているといったような外見だったが、このコウモリの獣人はそれとはまた違った意味で不気味な様子を表していた。
「俺だってそう思っていたよ。……だが、獣牙衆でも失敗したとなれば、対処は少し考えないといけないだろうな。クラリスめ、一体どこでそんな腕利きの護衛を雇った?」
「こっちに入っている報告では、裏の街道に入るまでは馬車が一台と獣人の護衛が少しといった様子だった。だが、街道を抜けてメルリアナに入ったときには、すでに多数の護衛と一緒だった。つまりこれは、報告にあった連中がクラリスに護衛として雇われたといったところだろうな」
その報告はゴールスも聞いていた。
裏の街道でクラリスたちを襲撃させたとき、何者かがそれを邪魔したというのだ。
襲撃をさせた者たちは、獣牙衆ほどではないにしろ、かなりの腕利きだった。
その相手をあっさりと撃退したのだから、腕の立つ者たちというのはゴールスも分かっていた。
しかし予想外だったのは、そんな腕利きを雇うだけの金も持っていないクラリスたちに、何故かその者たちが護衛として雇われることになったことだろう。
「どうやってそんな腕利きを雇ったんだ? そんな腕利きなら、それこそクラリスが払えるような金額で雇われるんてことはまずないだろうが」
ゴールスも腕利きの探索者だったからこそ、その辺りの事情についてはそれなりに詳しい。
もしゴールスなら、自分一人だけであってもクラリスが提案するような金額で護衛を引き受けるといったことはないだろう。
だからこそ、何故現在はそのような状況になっているのかが分からなかった。
まさかゴールスも、イルゼンが自分の行動を隠すためのカモフラージュとして、戦力の大半をクラリスの護衛に回したというのは、予想も出来ないだろう。
「そうなると、金以外の何かで雇われたと考える方がいいのではないか?」
コウモリの獣人が、ゴールスの呟きにそう返す。
とはいえ、金以外の何かと言われてもそう簡単に思い浮かぶようなことはない。
「クラリスの家に伝わっていた家宝の宝石やマジックアイテムとか、そういうのを報酬にしたのか? だが、そんなのがあるとは聞いてないがな」
可能性の一つとしてそう考えるが、少なくてもゴールスの知っている限りでは、そのような物はないはずだった。
あるいは、単純に秘宝といった感じでゴールスが知らないだけかもしれないが。
ともあれ、ゴールスとしてはクラリスがデルリアにやってきたのは、もうどうしようもない。
しかし、だからといってクラリスの存在を認める訳にはいかなかった。
「いっそ纏めて殺すか?」
「無理だな」
ゴールスの言葉に、コウモリの獣人は即座に言葉を返す。
ゴールスも、それは予想していた内容である以上、反論は出来ない。
何しろ、ゴールス自身も探索者として活動してきたのだ。
探索者だっただけに、腕利きの探索者というのがどれだけの強さを持っているのかを理解していた。
そんな探索者が大量に集まっているとなれば……それこそ極論だが、ゴールスと同等の強さを持つ者が大量にいるといった可能性も否定は出来ない。
それはゴールスが自分の強さを前提にしている話であって、中には当然ゴールスよりも弱い者がいるだろうし、ゴールスよりも強い者もいてもおかしくはない。
「で、結局どうするんだ? クラリスがやって来れば、お前にとっても決して愉快な出来事にはならないはずだが。そうなると、こちらとの契約も打ち切りということになるぞ?」
「待て」
コウモリの獣人の言葉に、ゴールスは即座にそう告げる。
コウモリの獣人が所属する組織との取引は、ゴールスにとって決して断ち切ったりは出来ない。
もしそのようなことになれば、それこそ自分は破滅だろうと、そう理解していた。
だが、それはあくまでもゴールスの都合であって、コウモリの獣人にしてみれば、ゴールスの都合を考える必要はない。
ゴールスもそれが分かっているので、反論が出来なかった。
ただし、強く拳を握り締めていたが。
それこそ、もしコウモリの獣人が取引相手の組織から派遣された者ではなく、ただの獣人の一人であれば……すぐにでも、握り締めた拳をその顔に叩き込んでいたいただろう。
「クラリスは殺す。そして一族の獣人は全て俺が使えるようにする。それで文句はないだろう?」
「そうなれば、こちらとしても文句はないな。だが、問題なのはそのような真似が出来るのか? といったことだが? あれだけ探索者が護衛として一緒にいるのを考えれば、いくらゴールスや獣牙衆がいても、それに対処出来るとは思えない」
「ぐ……それは、何とかする。別に正面から馬鹿正直に戦いを挑む訳ではない。クラリスを殺すといった手段はいくらでもある」
それは半ば強がりだったが、決して出来もしないことを言っているのではない。
このデルリアは、既に半ばがゴールスの手の内にある。
そうである以上、クラリスがデルリアに入ってくれば、それをどうにかする手段それなりにあるのは間違いなかった。
コウモリの獣人も、ゴールスのその言葉を信用出来ると思ったのか、少し考えたあとで頷く。
「分かった。では、私はもうしばらく様子を見よう。それでもしクラリスを排除出来るのなら、このまま取引を続ける。だが……注意した方がいい。クラリスを守っているのは、雲海と黄金の薔薇という腕利きのクランだ。特に心核使いが多いから、正面から戦ったら間違いなく負けるぞ」
ピクリ、と。
ゴールスはコウモリの獣人の言葉に動きを止める。
そして、数秒考えてから口を開く。
「随分と詳しいな」
「当然だ。雲海と黄金の薔薇というのはあの御方が執心されている存在。……本気になれば、いつでも捕らえることが出来るだろうに、何を考えて自由にしているのか」
「待て。なら、今回の一件は俺の失敗ではなく、お前の失敗ということではないのか?」
そう告げるゴールスの視線は、非常に鋭い。
それこそ、一つ返答を間違えば次の瞬間にはここで戦いが行われてもおかしくはないだろうと思えるほどに。
「そう言われても、私の担当ではない以上はどうとも言えないな」
ぎりっと。
コウモリの獣人の言葉に、ゴールスは怒りを堪えるように奥歯を噛みしめる。
コウモリの獣人も、ゴールスが何らかの行動に出ることが出来ないというのは、理解した上での行動だったのだろう。
そんな相手を眺めつつ、笑みすら浮かべて口を開く。
「ともあれ、忠告はした、敵は手強い。だが、クラリスだけを狙うのなら、どうとでも対処は出来るだろう。であれば、今の状況はそちらにとっても必ずしも悪いものではない。……せいぜい頑張ってくれ」
そう言うと、コウモリの獣人は身体から闇を生み出し、そして次の瞬間には闇と共にその姿は消えていた。
「畜生がっ!」
苛立ちも露わにゴールスは叫ぶ。
しかし、今の状況ではここで叫んだからといってどうにかなる訳ではない。
今のゴールスに出来るのは、結局のところクラリスを殺すということだけ。
クラリスを殺すことに成功しなければ、ゴールスは今の地位を失ってしまう。
それどころか、命までも失われてしまう可能性があるのだ。
「殺す……絶対にクラリスを殺すぞ。俺の手の内にあるんだ。なら、殺せないはずがない。護衛がいくら強くても、その連中と戦わなければいいだけだ。そうだ、俺は勝つ。絶対に生き残ってみせるぞ」
そう、叫ぶのだった。
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