318 / 422
メルリアナへ
317話
しおりを挟む
ジャスパーはアランたちのいた部屋から離れ、強敵がやってくる方に向かう。
明らかにその辺の相手とは違う、圧倒的な気配の持ち主。
そんな相手だけに、戦えるのは自分と……あとはガーウェイだけだろうと、そう思っての判断だ。
ジャスパーがガーウェイに声をかけることはなかったが、恐らくアランがガーウェイに声をかけるだろうというのは、容易に予想出来る。
そうである以上、今は少しでもあの部屋から……護衛対象のクラリスから離れた場所で、近付いてくる相手を倒す必要があった。
「こうなると、武器が長剣だけというのは少し失敗したかもしれませんね」
普段のジャスパーは、槍を武器としている。
それはリビングメイルとしての武器が槍である以上、当然のことだった。
あるいは、ジャスパーが心核を使って変身する姿がリビングメイルのように人型ではなく、もっと別の……それこそ四足歩行のモンスターだったり、植物型だったり、もしくは実体のないゴーストのような存在であれば、人型のときも別の武器を使った可能性があったが。
ともあれ、今は槍を主に使っているジャスパーにしてみれば、長剣はあまり得意ではない。
……とはいえ、それはあくまでも槍に比べればの話であって、長剣の技量も十分に一流と呼ぶに相応しいのだが。
そんな長剣を鞘から引き抜いたジャスパーの前に現れたのは……
「おう? 誰だお前は」
「これはこれは……なんとも巨大な……」
声をかけてきた相手に対し、ジャスパーはそんな声を漏らす。
当然だろう。身長三メートル近く、筋骨隆々のその巨体は猿。
言葉を発したことや服を着ていることから獣人なのは間違いないのだろうが、巨猿と呼ぶに相応しい姿だ。
「俺の道を遮るってことは、お前はクラリスとかいうガキの味方か?」
「ええ。彼女の護衛を任されている、ジャスパーといいます。……それで、貴方は?」
「この屋敷に厄介になっているギーグだ。……ガキの護衛をしてるってんなら、俺の敵だな? なら、手加減をする訳にはいかねえな!」
その言葉と共に、ギーグは前に出る。
身長三メートルの巨体とは思えぬほどに、素早い動き。
その動きで、握り締めた拳をジャスパーに向けて振るう。
命中すれば、それこそ防御しても意味がないだろうと思えるだけの一撃。
それでいながら、巨体だとは思えないような鋭さと、速度を持っている。
「やりますね!」
ジャスパーは、自分に向かって振るわれた拳を回避して叫ぶ。
防御しようとは思わない。
下手に防御をすれば、それこそ防御をあっさりと破られ、それが致命傷になるのは確実だったためだ。
そんなジャスパーの予想は、あっさりと壁を破壊したことで示される。
とはいえ、ジャスパーもギーグの攻撃を黙って見ているだけではない。
壁を破壊したギーグの腕に対し、ジャスパーは長剣を振るう。
ギィンッ、という甲高い金属音が周囲に響き、ジャスパーの表情は驚き……その隙を突くかのように、ギーグのもう片方の腕を振るうが、ジャスパーは即座に後方に跳んで回避する。
「随分と硬い毛ですね」
「そうか? 俺にとってはこれが普通なんだがな。……にしても、俺の体毛に驚きながらも、攻撃を回避したというのはなかなかだな」
ギーグにしてみれば、長剣の一撃すら防ぐ剛毛によって敵の攻撃を防ぎ、それに驚いた相手の隙を突いて攻撃するというのが、パターン化しているのだろう。
それだけに、自分の攻撃を回避したジャスパーに驚きの視線を向けたのだ。
だが、そんな視線を向けられたジャスパーは、自分の持っている長剣の刃を見てその秀麗な顔を微かに歪める。
ギーグの体毛を斬りつけた一撃で、長剣の刃が欠けていたのだ。
当然ながら、ジャスパーが使っている長剣はその辺の武器屋に売ってるような安物はない。
一流の鍛冶師が打った業物だ。
あるいは、武器が業物でも使用者の腕が悪ければその武器の本性を発揮しないといったこともあるのだが、ジャスパーの技量は一流と呼ぶに相応しい。
業物と一流の技量。
この二つが揃って攻撃したにもかかわらず、ギーグの体毛によって長剣の刃が欠けたのだ。
それは普通に考えればとてもではないが有り得ない。
「厄介ですね。……そう思いませんか?」
「ああ。何しろ相手はギーグだ。というか、何でギーグがこんな場所にいるのか、疑問だな」
ジャスパーの言葉にそう答えたのは、ガーウェイ。
ジャスパーの隣に立ち、視線の先にいるギーグを睨み付ける。
だが、殺気を込められて睨まれたギーグは、そんなガーウェイの視線など全く気にした様子もなく、獰猛な笑みを浮かべる。
「お前、ガーウェイだったな。獣牙衆が何でそっちにいるんだ? ゴールスの奴に命令されたのか?」
「ふんっ、獣牙衆はゴールスの手下じゃねえ。俺は俺の思い通りに動かさせて貰う。こっちにいるのも、それが理由だよ」
堂々とそう告げるガーウェイは、後ろ暗いところは何もないと、そう態度で示していた。
そんなガーウェイを見て、ジャスパーは疑問を抱く。
本当にこの人物が怪しいのか? と。
ジャスパーも、直接アランから話を聞いた訳ではないが、それでもアランがガーウェイを怪しんでいるというのは、態度を見れば明らかだ。
だが、先程の部屋でクラリスを守っていたことや、こうしてギーグの前に立っているのを見れば、とてもではないが何かを企んでいるようには思えない。
「なるほどな。まぁ、いい。ガーウェイが加わったところで、そう戦いに影響があるとは思えねえし」
「以前の俺と同じだと思われるのは、困るぞ」
二人の会話は、お互いが相手のことを知っているというものだ。
ジャスパーはギーグを前にしながら、一瞬だけ横目でガーウェイに視線を向ける。
その一瞬でガーウェイも自分が見られたのだと……そして、ジャスパーが何を聞きたいのかを理解し、口を開く。
「言っておくが、実はギーグの手下だった……なんてことはないから、心配するな」
「でしょうね。今のやりとりを見た限りでは、そのような友好的な関係には思えませんでしたし」
手下になるのが友好的な関係とは限らないのだが、それでもジャスパーが実はガーウェイがギーグの仲間であるという可能性は即座に却下する。
アランがガーウェイを怪しんでいるのは知っていたが、ともあれ今は心配する必要はないだろうと。
そんな風にジャスパーが思っていると、まだジャスパーが納得していないと判断したのか、ガーウェイが続けて口を開く。
「以前、俺はちょっとした理由でギーグと戦うことになったんだが、そのときは手も足も出ずに負けたんだよ。まさに惨敗って言葉が相応しいくらい圧倒的にな」
ギーグは、ガーウェイが自分に負けたことを喋っているのを見て、攻撃するのを止める。
自分に負けたガーウェイが、そのことを味方に話すのが面白いと、そのように思ったためだ。
ガーウェイもそんなギーグの様子には気が付いていたし、以前戦ったときの経験からこのような状況では自分の優位性を自慢するような性格だと理解しているので、どうギーグを攻撃するのかといったようなことを考えるためにもジャスパーとの会話を続ける。
「とはいえ、それはあくまでも以前……それもかなり昔の話だ。俺は実際に以前よりも強くなってると断言出来る。獣牙衆に入ってギーグに負けてから今まで、俺だって遊んでいた訳じゃないしな」
ガーウェイの自信に満ちた言葉に、ギーグは優越感に満ちていた表情から面白くなさそうな表情へと変える。
てっきり自分に対して苦手意識を持っているのに、それを無理矢理我慢して何かを言ってくるのかと、そのように思っていたのだ。
だというのに、今の様子を見る限りではとてもではないがそのようには思えない。
それが思い切り不満で、許せないと判断し……叫ぶ。
「おいこら、てめえ……もしかして、本当に俺に勝てるつもりでいるんじゃねえだろうな」
元々赤ら顔のギーグだが、ガーウェイの言動は許せるものではなかったらしくより一層顔を赤くして叫ぶ。
その叫びは、もし気の弱い者が聞けばし一瞬にして動けなくなってもおかしくはないような、そんな迫力を持っていた。
実際、その叫び声が聞こえたワストナやその部下の何人かは、腰を抜かしすらしていたのだから。
それだけの威力を持った叫びだったというのに、間近でその叫びを受けたジャスパーとガーウェイの二人は、特に気にした様子ない。
ジャスパーにとっては、遺跡の中で遭遇するような相手に比べれば、ギーグという存在は警戒すべき相手ではあるが、まともに戦っても多少の時間はかかるものの、自分が勝てると、そう思っていたのだ。
ガーウェイは、先程自分が言ったように以前ギーグに負けてから鍛え直し、このような叫びでどうにかなるようなことはない。
「はっ、どうした? でかい声で叫ぶだけか? ……なら、いい加減お前の悪臭に耐えるのも限界だったし、そろそろ倒させて貰うぞ!」
叫び、ガーウェイはギーグとの距離を詰める。
ガーウェイの手に握られているのは、短剣。
一流の品を見慣れているジャスパーの目から見ても、間違いなく一級品と断言出来るだけの品だ。
獣牙衆だという精鋭だからこそ入手出来た品なのは間違いだろうが……
「ギーグの体毛は硬いですよ!」
自分の一撃をギーグが特に何か防具を使ったりせず、それこそ腕の体毛だけで防いだのを思い出して叫ぶジャスパーだったが、ガーウェイは当然のようにそんなギーグの能力は知っている。
何しろ、一度負けた相手なのだ。
そのときも短剣での一撃はあっさりと体毛によって防がれ、効果的な攻撃を行えなかった。
あとから考えれば、体毛に覆われていないような場所もあったはずなのだが、とにかく最初に戦ったときは驚きでどうしようもなく、結果としてギーグにはいいようにしてやられてしまった。
「分かってる! それよりも続け! こいつはとにかかくここで倒す! 狙うのは、毛で覆われていない場所だ!」
そんな叫びと共に、ガーウェイは高い場所にあるギーグの眼球に向かい、鋭く短剣を投擲するのだった。
明らかにその辺の相手とは違う、圧倒的な気配の持ち主。
そんな相手だけに、戦えるのは自分と……あとはガーウェイだけだろうと、そう思っての判断だ。
ジャスパーがガーウェイに声をかけることはなかったが、恐らくアランがガーウェイに声をかけるだろうというのは、容易に予想出来る。
そうである以上、今は少しでもあの部屋から……護衛対象のクラリスから離れた場所で、近付いてくる相手を倒す必要があった。
「こうなると、武器が長剣だけというのは少し失敗したかもしれませんね」
普段のジャスパーは、槍を武器としている。
それはリビングメイルとしての武器が槍である以上、当然のことだった。
あるいは、ジャスパーが心核を使って変身する姿がリビングメイルのように人型ではなく、もっと別の……それこそ四足歩行のモンスターだったり、植物型だったり、もしくは実体のないゴーストのような存在であれば、人型のときも別の武器を使った可能性があったが。
ともあれ、今は槍を主に使っているジャスパーにしてみれば、長剣はあまり得意ではない。
……とはいえ、それはあくまでも槍に比べればの話であって、長剣の技量も十分に一流と呼ぶに相応しいのだが。
そんな長剣を鞘から引き抜いたジャスパーの前に現れたのは……
「おう? 誰だお前は」
「これはこれは……なんとも巨大な……」
声をかけてきた相手に対し、ジャスパーはそんな声を漏らす。
当然だろう。身長三メートル近く、筋骨隆々のその巨体は猿。
言葉を発したことや服を着ていることから獣人なのは間違いないのだろうが、巨猿と呼ぶに相応しい姿だ。
「俺の道を遮るってことは、お前はクラリスとかいうガキの味方か?」
「ええ。彼女の護衛を任されている、ジャスパーといいます。……それで、貴方は?」
「この屋敷に厄介になっているギーグだ。……ガキの護衛をしてるってんなら、俺の敵だな? なら、手加減をする訳にはいかねえな!」
その言葉と共に、ギーグは前に出る。
身長三メートルの巨体とは思えぬほどに、素早い動き。
その動きで、握り締めた拳をジャスパーに向けて振るう。
命中すれば、それこそ防御しても意味がないだろうと思えるだけの一撃。
それでいながら、巨体だとは思えないような鋭さと、速度を持っている。
「やりますね!」
ジャスパーは、自分に向かって振るわれた拳を回避して叫ぶ。
防御しようとは思わない。
下手に防御をすれば、それこそ防御をあっさりと破られ、それが致命傷になるのは確実だったためだ。
そんなジャスパーの予想は、あっさりと壁を破壊したことで示される。
とはいえ、ジャスパーもギーグの攻撃を黙って見ているだけではない。
壁を破壊したギーグの腕に対し、ジャスパーは長剣を振るう。
ギィンッ、という甲高い金属音が周囲に響き、ジャスパーの表情は驚き……その隙を突くかのように、ギーグのもう片方の腕を振るうが、ジャスパーは即座に後方に跳んで回避する。
「随分と硬い毛ですね」
「そうか? 俺にとってはこれが普通なんだがな。……にしても、俺の体毛に驚きながらも、攻撃を回避したというのはなかなかだな」
ギーグにしてみれば、長剣の一撃すら防ぐ剛毛によって敵の攻撃を防ぎ、それに驚いた相手の隙を突いて攻撃するというのが、パターン化しているのだろう。
それだけに、自分の攻撃を回避したジャスパーに驚きの視線を向けたのだ。
だが、そんな視線を向けられたジャスパーは、自分の持っている長剣の刃を見てその秀麗な顔を微かに歪める。
ギーグの体毛を斬りつけた一撃で、長剣の刃が欠けていたのだ。
当然ながら、ジャスパーが使っている長剣はその辺の武器屋に売ってるような安物はない。
一流の鍛冶師が打った業物だ。
あるいは、武器が業物でも使用者の腕が悪ければその武器の本性を発揮しないといったこともあるのだが、ジャスパーの技量は一流と呼ぶに相応しい。
業物と一流の技量。
この二つが揃って攻撃したにもかかわらず、ギーグの体毛によって長剣の刃が欠けたのだ。
それは普通に考えればとてもではないが有り得ない。
「厄介ですね。……そう思いませんか?」
「ああ。何しろ相手はギーグだ。というか、何でギーグがこんな場所にいるのか、疑問だな」
ジャスパーの言葉にそう答えたのは、ガーウェイ。
ジャスパーの隣に立ち、視線の先にいるギーグを睨み付ける。
だが、殺気を込められて睨まれたギーグは、そんなガーウェイの視線など全く気にした様子もなく、獰猛な笑みを浮かべる。
「お前、ガーウェイだったな。獣牙衆が何でそっちにいるんだ? ゴールスの奴に命令されたのか?」
「ふんっ、獣牙衆はゴールスの手下じゃねえ。俺は俺の思い通りに動かさせて貰う。こっちにいるのも、それが理由だよ」
堂々とそう告げるガーウェイは、後ろ暗いところは何もないと、そう態度で示していた。
そんなガーウェイを見て、ジャスパーは疑問を抱く。
本当にこの人物が怪しいのか? と。
ジャスパーも、直接アランから話を聞いた訳ではないが、それでもアランがガーウェイを怪しんでいるというのは、態度を見れば明らかだ。
だが、先程の部屋でクラリスを守っていたことや、こうしてギーグの前に立っているのを見れば、とてもではないが何かを企んでいるようには思えない。
「なるほどな。まぁ、いい。ガーウェイが加わったところで、そう戦いに影響があるとは思えねえし」
「以前の俺と同じだと思われるのは、困るぞ」
二人の会話は、お互いが相手のことを知っているというものだ。
ジャスパーはギーグを前にしながら、一瞬だけ横目でガーウェイに視線を向ける。
その一瞬でガーウェイも自分が見られたのだと……そして、ジャスパーが何を聞きたいのかを理解し、口を開く。
「言っておくが、実はギーグの手下だった……なんてことはないから、心配するな」
「でしょうね。今のやりとりを見た限りでは、そのような友好的な関係には思えませんでしたし」
手下になるのが友好的な関係とは限らないのだが、それでもジャスパーが実はガーウェイがギーグの仲間であるという可能性は即座に却下する。
アランがガーウェイを怪しんでいるのは知っていたが、ともあれ今は心配する必要はないだろうと。
そんな風にジャスパーが思っていると、まだジャスパーが納得していないと判断したのか、ガーウェイが続けて口を開く。
「以前、俺はちょっとした理由でギーグと戦うことになったんだが、そのときは手も足も出ずに負けたんだよ。まさに惨敗って言葉が相応しいくらい圧倒的にな」
ギーグは、ガーウェイが自分に負けたことを喋っているのを見て、攻撃するのを止める。
自分に負けたガーウェイが、そのことを味方に話すのが面白いと、そのように思ったためだ。
ガーウェイもそんなギーグの様子には気が付いていたし、以前戦ったときの経験からこのような状況では自分の優位性を自慢するような性格だと理解しているので、どうギーグを攻撃するのかといったようなことを考えるためにもジャスパーとの会話を続ける。
「とはいえ、それはあくまでも以前……それもかなり昔の話だ。俺は実際に以前よりも強くなってると断言出来る。獣牙衆に入ってギーグに負けてから今まで、俺だって遊んでいた訳じゃないしな」
ガーウェイの自信に満ちた言葉に、ギーグは優越感に満ちていた表情から面白くなさそうな表情へと変える。
てっきり自分に対して苦手意識を持っているのに、それを無理矢理我慢して何かを言ってくるのかと、そのように思っていたのだ。
だというのに、今の様子を見る限りではとてもではないがそのようには思えない。
それが思い切り不満で、許せないと判断し……叫ぶ。
「おいこら、てめえ……もしかして、本当に俺に勝てるつもりでいるんじゃねえだろうな」
元々赤ら顔のギーグだが、ガーウェイの言動は許せるものではなかったらしくより一層顔を赤くして叫ぶ。
その叫びは、もし気の弱い者が聞けばし一瞬にして動けなくなってもおかしくはないような、そんな迫力を持っていた。
実際、その叫び声が聞こえたワストナやその部下の何人かは、腰を抜かしすらしていたのだから。
それだけの威力を持った叫びだったというのに、間近でその叫びを受けたジャスパーとガーウェイの二人は、特に気にした様子ない。
ジャスパーにとっては、遺跡の中で遭遇するような相手に比べれば、ギーグという存在は警戒すべき相手ではあるが、まともに戦っても多少の時間はかかるものの、自分が勝てると、そう思っていたのだ。
ガーウェイは、先程自分が言ったように以前ギーグに負けてから鍛え直し、このような叫びでどうにかなるようなことはない。
「はっ、どうした? でかい声で叫ぶだけか? ……なら、いい加減お前の悪臭に耐えるのも限界だったし、そろそろ倒させて貰うぞ!」
叫び、ガーウェイはギーグとの距離を詰める。
ガーウェイの手に握られているのは、短剣。
一流の品を見慣れているジャスパーの目から見ても、間違いなく一級品と断言出来るだけの品だ。
獣牙衆だという精鋭だからこそ入手出来た品なのは間違いだろうが……
「ギーグの体毛は硬いですよ!」
自分の一撃をギーグが特に何か防具を使ったりせず、それこそ腕の体毛だけで防いだのを思い出して叫ぶジャスパーだったが、ガーウェイは当然のようにそんなギーグの能力は知っている。
何しろ、一度負けた相手なのだ。
そのときも短剣での一撃はあっさりと体毛によって防がれ、効果的な攻撃を行えなかった。
あとから考えれば、体毛に覆われていないような場所もあったはずなのだが、とにかく最初に戦ったときは驚きでどうしようもなく、結果としてギーグにはいいようにしてやられてしまった。
「分かってる! それよりも続け! こいつはとにかかくここで倒す! 狙うのは、毛で覆われていない場所だ!」
そんな叫びと共に、ガーウェイは高い場所にあるギーグの眼球に向かい、鋭く短剣を投擲するのだった。
0
あなたにおすすめの小説
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ
O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。
それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。
ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。
彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。
剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。
そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる