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獣人を率いる者
331話
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戦いの場に姿を現したレオノーラの姿に、アランは驚く。
合流するという話だったから、ギジュの屋敷で合流するのだとばかり思っていたのだ。
だというのに、何故このような場所に姿を現すのか。
そんな疑問を抱くも、レオノーラの性格……いや、能力を考えれば、素直に納得してします一目があるのも事実だ。
(もしかして、ジャスパーさんと一緒にレオノーラも護衛をしていたとか?)
ふと思い浮かぶそんな疑問だったが、レオノーラの能力を考えれば、不思議とそれに納得出来る一面があるのは、間違いなかった。
「久しぶりね、アラン。クラリスも。私がいない間、何だか色々と大変だったみたいけど、大丈夫?」
どこかからかうように言うレオノーラだったが、クラリスはそんなレオノーラに不満そうな様子で口を開く。
「アランさんに守って貰って貰いましたから、大丈夫ですよ。それにしても、レオノーラさんは何故こんな場所にいるんですか?」
「ちょっと買い物をしていたのよ。そうしたら、騒動が起きたみたいだったから寄ってみたんだけど……正解だったみたいね」
そのような会話を交わしている間も、狼の獣人は何故かレオノーラを攻撃する様子はない。
何故か。
それは、レオノーラが会話をしながらも、狼の獣人から視線を逸らしていないためだ。
もしここで動けば、一体どうなるか。
狼の獣人は、自分が強者だからこそ、それを理解してしまった。
獣牙衆として活動してきて、自分の実力に自信はある。
だが、レオノーラを前にした瞬間、戦えば勝てないと、そう理解してしまったのだ。
レオノーラは心核使いとして高い実力を……それこそ、能力が心核使いに特化しているアランと同程度の実力の持ち主ではあるが、同時に生身での戦いにおいても非常に強い。
当然だろう。そもそもレオノーラが心核使いになったのは、アランと同時にだ。
それまでは心核使いでも何でもない、普通の探索者として活動してきた。
そして普通の探索者として、黄金の薔薇の中でも最強の実力を誇ったのだ。
そういう意味で、レオノーラは生身での戦いであっても十分な実力を持つ。
実際、獣牙衆という獣人の中でも精鋭が揃っている部隊に所属する狼の獣人は、レオノーラが出て来た瞬間には動くことが出来なくなってしまったのだから。
(勝てない。そうなると、どうにかしてここから逃げる必要がある。だが、どうする? どうやって逃げる?)
レオノーラの姿を見て、狼の獣人は逃げようと考えてはいる。
だが、逃げようしようとした瞬間に、レオノーラからは即座に牽制の気配が放たれるのだ。
レオノーラが持つ武器で何かをする訳でも、あるいは直接視線の類を向けてくる訳でもない。
そのような真似ではなく、気配を放つ。
それが一体どのような高等技術なのかは、それこそ考えるまでもないだろう。
狼の獣人は、最初クラリスを殺すことは難しくないと思っていた。
そもそも、アランが連れているのがクラリスだというのは、勘……それこそ野生の勘に近いもので、そうではないかと思ったのだ。
そんな勘に従っての行動だったが、今となっては完全に後悔している。
元々好戦的な性格をしているのは間違いないが、ジャスパーのように勝てるかどうかといったような相手と戦うのならまだしも、絶対に勝てない相手と戦うのは狼の獣人としても拒否したかった。
(逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ……今だ!)
一瞬、本当に一瞬だったが、レオノーラから向けられる気配が弱くなった――気がした――瞬間、狼の獣人は素早くその場から逃げ出すべく行動に移す。
レオノーラと戦っても勝ち目はないが、それでも逃げるというだけなら出来ると思ったのだ。
だが……
「ぐわっ!」
風を切る音がしたと思った瞬間、脅威的な力で引っ張られ、地面に叩き付けられる。
それでも痛みに呻くのではなく、即座に起き上がって周囲の状況を確認するといったようなことが出来たのは、実戦慣れしているためだろう。
しかし、そんな狼の獣人の行動は絶望をもたらすことになる。
「どこに行こうとしているのかしら?」
つい数秒前まではもっと離れた場所にいたはずだったのに、気が付けば狼の獣人の前にレオノーラがいた。
ごくり、と。
そんなレオノーラの姿を見て、狼の獣人は唾を飲み込む。
今の状況では、戦っても絶対に勝てないと、そう理解しているためだろう。
狼の獣人の足には、いつの間にか鞭が巻き付いている。
一体どうやれば、自分に気が付かれないようにしてそんな真似が出来るのか。
それは狼の獣人にも分からず、だからこそ今の状況としてはどうするべきなのかが分からない。
そして、焦りという感情に支配された狼の獣人は、もっともやってはいけない選択をしてしまう。
それは、半ば反射的に敵を攻撃するという手段。
もちろん、狼の獣人も何の意味もなくそのような真似をしたのではない。
自分の足に鞭が巻き付いているということは、向こうが鞭で攻撃するにもすぐに出来るという訳ではない。
そう判断しての行動だった。
「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
半ば反射的な一撃ではあったが……いや、反射的な一撃だったからこそ、その一撃は普段の訓練の成果が出て、鋭い一撃を放つことに成功する。
しかし、狼の獣人にとっては渾身の一撃であっても、その一撃はレオノーラにとって対処するのは難しい話ではなかった。
触れた相手は間違いなく斬り裂くだろう、鋭い爪の一撃。
レオノーラはそんな一撃を地面を蹴って横に跳ぶことであっさりと回避し、一直線に伸びた狼の獣人の腕に触れ、力の流れを誘導し……
「うおっ!」
結果として、狼の獣人の男は自分の放った一撃の威力がそのまま自分が投げられる力へと変えられ、吹き飛ばされる。
それでも狼の獣人らしく、空中で体勢を整えようとし……
「ぐがぁっ!」
当然の話だが、レオノーラは相手にそんな真似をさせるはずもなく、未だに足に絡んだままだった鞭を使って狼の獣人を地面に叩き落とす。
狼の獣人……それも獣牙衆に入るだけの実力の持ち主ではある以上、本来ならそんな行動をされても咄嗟に地面に手足を使って無事に着地出来るはずだった。
だが、レオノーラの一撃は狼の獣人であっても咄嗟に防ぐといったことは出来ず、地面に身体をぶつける。
それは、レオノーラの持つ身体能力が非常に高いということを意味していた。
「ぐ……がはっ!」
地面に叩き付けられた衝撃が、かなり大きかったのだろう。
狼の獣人はその痛みで呼吸もろくに出来ない状態になる。
「さすが、レオノーラ様ですね」
万が一、何かあったとき……具体的には、狼の獣人が実は囮で別に相手がクラリスを狙っているという可能性を考えてか、アランとクラリスの近くで待機していたジャスパーが感嘆したように呟く。
実際、レオノーラの強さは見ている者にとっても十分驚愕に値するものであったために、アランもまたそんなジャスパーの言葉には同意するように頷く。
レオノーラに対し、微妙にライバル心を抱いているクラリスであっても、それは変わらない。
今回の一件は、クラリスにとってもかなり予想外のことだった。
変装している以上、自分のことは見つからないと思っていたのだ。
……それでも、まだ運がよかったのは広場で他の子供たちと遊んでいるときに襲撃されなかったということだろう。
アランたちに絡んできてアランに呆気なく負け、その仕返しにきたチンピラたちであったから、クラリスも巻き込んでも構わない……という訳ではないが、一緒に遊んだ子供たちを巻き込むよりはいいと、そう判断したのだ。
「暫く眠ってなさい」
短く言うと、レオノーラの足が地面に倒れている狼の獣人の胴体を蹴り上げ……鳩尾に気絶するほどのダメージを与えつつも、肋骨を折るといったようなことはない、絶妙な手加減を行い……それによって狼の獣人は気絶する。
「さて……また、アランは随分と面倒に巻き込まれているわね。というか、護衛対象をこうして街中に連れ出すなんて、何を考えているのかしら?」
一段落したと判断したのか、レオノーラはアランに向かって責めるような視線を向ける。
普通に考えれば、護衛対象……それも確実に命を狙われている護衛対象を街中に連れ出すというのは、自殺行為以外でしかない。
何故そんな真似をしたのかと、レオノーラはアランを詰問する。
「待って下さい!」
そんなアランを庇うように、クラリスが前に出る。
以前にも何度かレオノーラと言い合いをしてはいたのだが、今こうして目の前にいるレオノーラは、そんなときのレオノーラとは違い、強い迫力がある。
それこそ、もしここで自分が何かを言っても聞いてくれるかどうかは分からない。
そんな、圧倒的なまでの迫力が。
それはクラリスも理解していたが、それでも黙っている訳にはいかなかった。
元々、今回の一件はクラリスが無理を言ってアランを連れて街中に出たのだ。
そうである以上、アランが責められるのなら自分が前に立つべきだと、そう判断しての行動だった
「一応、ジャスパーさんも戦力として用意はしていました。それに、今回の件は私が無理を言ってアランさんに頼んだことです」
「それでも、今回の一件はあくまでもアランが責任を持つことになるのよ。それが護衛を任された人物としては、当然のことだもの。……違う?」
「いや、違わない」
アランはレオノーラの言葉に対し、そう告げる。
実際、もしクラリスの身を守ることを最優先とするのであれば、街中に出るといったような真似はせず、ギジュの屋敷に閉じ籠もっていればいいのだから。
「……まぁ、私がいなくてもジャスパーがいたから、いざとなれば何とかなったとは思うけど」
アランが素直に自分の非を認めたためか、レオノーラの口調は若干柔らかくなる。
そんなレオノーラの行動に、ジャスパーは安堵した様子を見せた。
自分がいたからこそ、アランは外に出るという決断をしたのだ。
そうである以上、今回の話が無事に収まったのは、ジャスパーにとっても助かることではあった。
合流するという話だったから、ギジュの屋敷で合流するのだとばかり思っていたのだ。
だというのに、何故このような場所に姿を現すのか。
そんな疑問を抱くも、レオノーラの性格……いや、能力を考えれば、素直に納得してします一目があるのも事実だ。
(もしかして、ジャスパーさんと一緒にレオノーラも護衛をしていたとか?)
ふと思い浮かぶそんな疑問だったが、レオノーラの能力を考えれば、不思議とそれに納得出来る一面があるのは、間違いなかった。
「久しぶりね、アラン。クラリスも。私がいない間、何だか色々と大変だったみたいけど、大丈夫?」
どこかからかうように言うレオノーラだったが、クラリスはそんなレオノーラに不満そうな様子で口を開く。
「アランさんに守って貰って貰いましたから、大丈夫ですよ。それにしても、レオノーラさんは何故こんな場所にいるんですか?」
「ちょっと買い物をしていたのよ。そうしたら、騒動が起きたみたいだったから寄ってみたんだけど……正解だったみたいね」
そのような会話を交わしている間も、狼の獣人は何故かレオノーラを攻撃する様子はない。
何故か。
それは、レオノーラが会話をしながらも、狼の獣人から視線を逸らしていないためだ。
もしここで動けば、一体どうなるか。
狼の獣人は、自分が強者だからこそ、それを理解してしまった。
獣牙衆として活動してきて、自分の実力に自信はある。
だが、レオノーラを前にした瞬間、戦えば勝てないと、そう理解してしまったのだ。
レオノーラは心核使いとして高い実力を……それこそ、能力が心核使いに特化しているアランと同程度の実力の持ち主ではあるが、同時に生身での戦いにおいても非常に強い。
当然だろう。そもそもレオノーラが心核使いになったのは、アランと同時にだ。
それまでは心核使いでも何でもない、普通の探索者として活動してきた。
そして普通の探索者として、黄金の薔薇の中でも最強の実力を誇ったのだ。
そういう意味で、レオノーラは生身での戦いであっても十分な実力を持つ。
実際、獣牙衆という獣人の中でも精鋭が揃っている部隊に所属する狼の獣人は、レオノーラが出て来た瞬間には動くことが出来なくなってしまったのだから。
(勝てない。そうなると、どうにかしてここから逃げる必要がある。だが、どうする? どうやって逃げる?)
レオノーラの姿を見て、狼の獣人は逃げようと考えてはいる。
だが、逃げようしようとした瞬間に、レオノーラからは即座に牽制の気配が放たれるのだ。
レオノーラが持つ武器で何かをする訳でも、あるいは直接視線の類を向けてくる訳でもない。
そのような真似ではなく、気配を放つ。
それが一体どのような高等技術なのかは、それこそ考えるまでもないだろう。
狼の獣人は、最初クラリスを殺すことは難しくないと思っていた。
そもそも、アランが連れているのがクラリスだというのは、勘……それこそ野生の勘に近いもので、そうではないかと思ったのだ。
そんな勘に従っての行動だったが、今となっては完全に後悔している。
元々好戦的な性格をしているのは間違いないが、ジャスパーのように勝てるかどうかといったような相手と戦うのならまだしも、絶対に勝てない相手と戦うのは狼の獣人としても拒否したかった。
(逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ……今だ!)
一瞬、本当に一瞬だったが、レオノーラから向けられる気配が弱くなった――気がした――瞬間、狼の獣人は素早くその場から逃げ出すべく行動に移す。
レオノーラと戦っても勝ち目はないが、それでも逃げるというだけなら出来ると思ったのだ。
だが……
「ぐわっ!」
風を切る音がしたと思った瞬間、脅威的な力で引っ張られ、地面に叩き付けられる。
それでも痛みに呻くのではなく、即座に起き上がって周囲の状況を確認するといったようなことが出来たのは、実戦慣れしているためだろう。
しかし、そんな狼の獣人の行動は絶望をもたらすことになる。
「どこに行こうとしているのかしら?」
つい数秒前まではもっと離れた場所にいたはずだったのに、気が付けば狼の獣人の前にレオノーラがいた。
ごくり、と。
そんなレオノーラの姿を見て、狼の獣人は唾を飲み込む。
今の状況では、戦っても絶対に勝てないと、そう理解しているためだろう。
狼の獣人の足には、いつの間にか鞭が巻き付いている。
一体どうやれば、自分に気が付かれないようにしてそんな真似が出来るのか。
それは狼の獣人にも分からず、だからこそ今の状況としてはどうするべきなのかが分からない。
そして、焦りという感情に支配された狼の獣人は、もっともやってはいけない選択をしてしまう。
それは、半ば反射的に敵を攻撃するという手段。
もちろん、狼の獣人も何の意味もなくそのような真似をしたのではない。
自分の足に鞭が巻き付いているということは、向こうが鞭で攻撃するにもすぐに出来るという訳ではない。
そう判断しての行動だった。
「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
半ば反射的な一撃ではあったが……いや、反射的な一撃だったからこそ、その一撃は普段の訓練の成果が出て、鋭い一撃を放つことに成功する。
しかし、狼の獣人にとっては渾身の一撃であっても、その一撃はレオノーラにとって対処するのは難しい話ではなかった。
触れた相手は間違いなく斬り裂くだろう、鋭い爪の一撃。
レオノーラはそんな一撃を地面を蹴って横に跳ぶことであっさりと回避し、一直線に伸びた狼の獣人の腕に触れ、力の流れを誘導し……
「うおっ!」
結果として、狼の獣人の男は自分の放った一撃の威力がそのまま自分が投げられる力へと変えられ、吹き飛ばされる。
それでも狼の獣人らしく、空中で体勢を整えようとし……
「ぐがぁっ!」
当然の話だが、レオノーラは相手にそんな真似をさせるはずもなく、未だに足に絡んだままだった鞭を使って狼の獣人を地面に叩き落とす。
狼の獣人……それも獣牙衆に入るだけの実力の持ち主ではある以上、本来ならそんな行動をされても咄嗟に地面に手足を使って無事に着地出来るはずだった。
だが、レオノーラの一撃は狼の獣人であっても咄嗟に防ぐといったことは出来ず、地面に身体をぶつける。
それは、レオノーラの持つ身体能力が非常に高いということを意味していた。
「ぐ……がはっ!」
地面に叩き付けられた衝撃が、かなり大きかったのだろう。
狼の獣人はその痛みで呼吸もろくに出来ない状態になる。
「さすが、レオノーラ様ですね」
万が一、何かあったとき……具体的には、狼の獣人が実は囮で別に相手がクラリスを狙っているという可能性を考えてか、アランとクラリスの近くで待機していたジャスパーが感嘆したように呟く。
実際、レオノーラの強さは見ている者にとっても十分驚愕に値するものであったために、アランもまたそんなジャスパーの言葉には同意するように頷く。
レオノーラに対し、微妙にライバル心を抱いているクラリスであっても、それは変わらない。
今回の一件は、クラリスにとってもかなり予想外のことだった。
変装している以上、自分のことは見つからないと思っていたのだ。
……それでも、まだ運がよかったのは広場で他の子供たちと遊んでいるときに襲撃されなかったということだろう。
アランたちに絡んできてアランに呆気なく負け、その仕返しにきたチンピラたちであったから、クラリスも巻き込んでも構わない……という訳ではないが、一緒に遊んだ子供たちを巻き込むよりはいいと、そう判断したのだ。
「暫く眠ってなさい」
短く言うと、レオノーラの足が地面に倒れている狼の獣人の胴体を蹴り上げ……鳩尾に気絶するほどのダメージを与えつつも、肋骨を折るといったようなことはない、絶妙な手加減を行い……それによって狼の獣人は気絶する。
「さて……また、アランは随分と面倒に巻き込まれているわね。というか、護衛対象をこうして街中に連れ出すなんて、何を考えているのかしら?」
一段落したと判断したのか、レオノーラはアランに向かって責めるような視線を向ける。
普通に考えれば、護衛対象……それも確実に命を狙われている護衛対象を街中に連れ出すというのは、自殺行為以外でしかない。
何故そんな真似をしたのかと、レオノーラはアランを詰問する。
「待って下さい!」
そんなアランを庇うように、クラリスが前に出る。
以前にも何度かレオノーラと言い合いをしてはいたのだが、今こうして目の前にいるレオノーラは、そんなときのレオノーラとは違い、強い迫力がある。
それこそ、もしここで自分が何かを言っても聞いてくれるかどうかは分からない。
そんな、圧倒的なまでの迫力が。
それはクラリスも理解していたが、それでも黙っている訳にはいかなかった。
元々、今回の一件はクラリスが無理を言ってアランを連れて街中に出たのだ。
そうである以上、アランが責められるのなら自分が前に立つべきだと、そう判断しての行動だった
「一応、ジャスパーさんも戦力として用意はしていました。それに、今回の件は私が無理を言ってアランさんに頼んだことです」
「それでも、今回の一件はあくまでもアランが責任を持つことになるのよ。それが護衛を任された人物としては、当然のことだもの。……違う?」
「いや、違わない」
アランはレオノーラの言葉に対し、そう告げる。
実際、もしクラリスの身を守ることを最優先とするのであれば、街中に出るといったような真似はせず、ギジュの屋敷に閉じ籠もっていればいいのだから。
「……まぁ、私がいなくてもジャスパーがいたから、いざとなれば何とかなったとは思うけど」
アランが素直に自分の非を認めたためか、レオノーラの口調は若干柔らかくなる。
そんなレオノーラの行動に、ジャスパーは安堵した様子を見せた。
自分がいたからこそ、アランは外に出るという決断をしたのだ。
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