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ガリンダミア帝国との決着
420話
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放たれたギガクラッシュ。
それはアランとレオノーラの息が合い、ゼオリューンという存在となって始めて使える必殺技。
あらゆる武器の攻撃が一点に集中するその攻撃は、アポカリプスの巨体に向かって命中し……次の瞬間、その巨体の多くが爆散する。
三つある頭部のうちの二つを失い、胴体の多くを爆散されたビッシュは、当然ながらそのような状況では反撃をするといったような真似も出来ず……地上に向かって降下していく。
「ふぅ……」
「はぁ……」
アランとレオノーラは、それぞれに息を吐く。
そこにある感情の色は複雑で、明確にどれといったようなことは出来ないが、それでも安堵の色が強いというのは間違いない。
とはいえ、こうして長い間自分たちを……自分を狙っていた相手を倒したからといって、いつまでもこうしてぼうっとしているような訳にもいかなかった。
「下に行くか」
「そうね。……うん? アラン、あれ」
下に行くかという言葉に同意したレオノーラだったが、地上の様子を映し出している映像モニタを見て、ふと気が付く。
地上に倒れている、アポカリプス。
その唯一残った頭部の近くに、誰かがいたのだ。
「あれは……イルゼンさん?」
イルゼンの姿がアポカリプスの頭部の近くにあるのを見て疑問に思う。
ましてや胴体が大きく爆散したとはいえ、まだアポカリプスは生きてるのだ。
アポカリプスのすぐ側にイルゼンがいるのは危険極まりない。
漆黒のブレスを放つ……いや、そこまでいかなくても唯一残っている頭部の牙でイルゼンを噛み殺そうとすれば、間違いなく出来る状況なのだ。
「レオノーラ、地上に向かう。イルゼンさんは何を考えてるんだよ!」
慌てたようにゼオリューンを地上に向けるアランだったが、それに待ったを掛けたのはレオノーラ。
「ちょっと待って」
「レオノーラ?」
「見て」
そう言うと、レオノーラはゼオリューンの映像を拡大する。
普通なら画像を拡大すれば映像が荒くなってもおかしくないのだが、その辺がファンタジーといったところなのだろう。拡大された映像であっても、普通にしっかりと綺麗に映されていた。
そして拡大してイルゼンの姿がアップになったところで、アランも何故レオノーラが自分の行動を理解した。
何故なら、そこに表示されたイルゼンは笑っていたのだから。
それも敵対していた相手が死ぬから安堵したような笑みではなく、ましてやざまあみろといったような嘲笑の類でもない。本当に親しい相手に向けるような、そんな笑みだった。
「全く、君は本当に馬鹿ですね」
『誰……だい……?』
アポカリプスに唯一残った首の一つの側で、イルゼンはそう話しかける。
「僕を忘れたのかい? ……いや、そうか。すっかり忘れてた。これでどうかな?」
そう言うと、イルゼンは右手で顔を覆い……そして右手を外すと、そこにある顔は完全に別人のものに変わっていた。
イルゼンは中年の飄々とした男なのだが、今は二十代ほどの非常に整った顔立ちをした男の顔になっていたのだ。
アポカリプスの頭部は、閉じつつあった目を開け……その動きを止める。
『馬鹿な……ナーラッカ? そんな彼はもう……』
「死んだはず、かい? 別に僕は幽霊でも何でもないし、普通に生きてるよ」
気安くそう告げるイルゼン……いや、ナーラッカと呼ばれた男は、笑みを浮かべてとう言葉を返す。
『そんな……君が、君がいてくれれば、僕はこんな……ルーダーの復活にも……』
「悪いね、ドロテア。……いや、今はビッシュだったかな。僕はルーダーを復活させるつもりなんてない。それに、今更ルーダーを復活させてどうする? ルーダーの生き残りは、僕と君だけだ。そんな状況でルーダーを復活させても、それに何か意味があると思うのかい?」
『な……何故……』
ビッシュは、ナーラッカの言葉を理解出来ないといった様子で唖然とする。
何故自分と同じルーダーの生き残りであるナーラッカが、ルーダーの復活を拒否するのか。
それは一体何がどうなってそのようなことになっているのか、全く理解出来ないことだった。
「ビッシュ、君はルーダーに誇りを持っている。それは私も同じだ。しかし、だからといってすでに滅びた……それもここ最近滅びたのではなく、古代魔法文明と呼ばれるくらい昔に滅びたそんな文明を復活させる必要はないだろう?」
『何故……何故、君がそんなことを言うんだ!』
すでに死ぬ寸前であるとは思えないほどの勢いで叫ぶビッシュ。
しかし、そんなビッシュにナーラッカは言い聞かせるように口を開く。
「いいかい? 君が生きてきたのはこの時代だ。なら、ルーダーの復活に拘るような真似はせず、この時代を生ればよかったのさ。僕のようにね」
『そんな……だって、ルーダーは……ルーダーは……』
先程の大きな念話が、残り少ないビッシュの生命力をさらに奪ったのだろう。
今の念話は、急速にビッシュの生命力を消費しつつあった。
「いまさら……本当にいまさらかもしれない。けど、もっと早く君の正体に気が付いていれば違う道もあったのかもしれないね。……けど、これだけの騒ぎになってしまった以上、もうどうしようもない」
呟きつつ、ナーラッカは目の光が消えつつあるビッシュの……アポカリプスの最後に残った頭部にそっと手を触れ……
「もう休みなさい。永久の眠りを」
その言葉と共に、ナーラッカの手がアポカリプスの頭部から生命力を吸収し……そして、アポカリプスは目を閉じ、ナーラッカが言ったように永久の眠りにつく。
「さて……これでルーダーの生き残りは私一人ですか」
呟きつつ、ナーラッカは自分の顔に手を当て、すると次の瞬間にはナーラッカの顔は飄々とした中年といったイルゼンの顔に姿を変える。
「ビッシュ、君はゆっくりと眠るといい」
そう言い、ビッシュ……かつてルーダーが存在したときはドロテアと呼んでいた人物が死んだのを確認すると、上空に存在するゼオリューンを一瞥してからその場を立ち去るのだった。
「……どういうことだと思う?」
一連のやり取りは、声までは聞こえなくても空中にいるゼオリューンのコックピットではしっかりと見えていた。
具体的にどのような話をしていたのかというのは、まだ分からない。分からないが、それでも今の状況を思えば、ビッシュとイルゼンに何らかの関係があるのは間違いない。
そして何より……
「イルゼンは変装しているの?」
そう、ナーラッカとしての顔を見せたイルゼンについては、当然ながら空中にいたアランたちにもしっかりと見えていたのだ。
そうである以上、イルゼンが変装しているというレオノーラの言葉も否定は出来ない。
(いや、そもそも変装ですむのか? 完全に顔が変わっていたぞ? だとすれば、俺たちが知ってるイルゼンさんは、イルゼンさんじゃなかったってことにならないか?)
そんな疑問を抱くも、取りあえず今はその前にやるべきことをやる必要があった。
「帝都の方からは、援軍が出て来る様子はないよな?」
「ええ。……何でかしら。こうして私たちと戦った戦力が、帝都に残っていた戦力の全てだったとか?」
「さすがにそれはないと思うけど」
警備兵の類であったり、皇帝の近衛騎士団といった者たち、そして予備兵力の類があってもおかしくはない。
そのような戦力があれば、ガリンダミア帝国軍がこうして殲滅――殺したのはほとんどがビッシュだが――するのを見ても、黙って見ていらえる訳はないはずだ。
そうなると、やはり帝都の様子には疑問を抱かざるをえなかった。
「とにかく、帝都から援軍が出て来ないのなら、こっちも楽でいいでしょ。……けど、そうなるとこれからどう話を持っていくのかが問題ね」
「どうって言ってもな。帝都に戦力がなければ、それこそ降伏するしかないんじゃないか?」
アランにしてみれば、ガリンダミア帝国軍にはもう戦力はほとんど残っていない。
ここで降伏という選択をしない限り、それこそレジスタンス連合に……そして今も迫っているだろう周辺諸国の連合軍によって、帝都を蹂躙される可能性が高い。
そうである以上、降伏するしかないと判断するのは当然だろう。
「ガリンダミア帝国の上層部……皇族や貴族たちが、素直に降伏すると思う? もし降伏したら、それこそ自分たちは身の破滅よ?」
「降伏しなくても、身の破滅だと思うけど?」
「それでも帝都が蹂躙されるまで、時間はかかるでしょう。その間に、何とか帝都から逃げ出すといった手段を選ぶ可能性はある」
「それは……そこまでするか? いやそこまでしてもおかしくはないのか」
アランが今まで会ってきた貴族の中には、立派な貴族もいれば、身勝手な貴族も多かった。
そして割合で考えた場合、身勝手な貴族の方がどうしても多くなるのだ。
だとすれば、レオノーラが言うようなことになってもおかしくはないし、身勝手なだけに他の貴族の様子を気にする必要はないといった行動をする可能性は高かった。
「なら、いっそのこと俺達で帝都に向かうのはどうだ? 逃げ出す前に貴族の屋敷や城を占領してしまえば、向こうは妙な行動は出来ないと思うし」
「それはやりすぎよ。そうすれば、ガリンダミア帝国側で降伏する際に余計意固地になるわ」
レオノーラの言葉に、アランはそういうものか? と疑問に思いつつも、改めて自分の会った貴族たちのことを考えれば、そう間違ってもいないのかと納得する。
「なら、一度下に下りるか? あの竜人の件もあるし」
「……動いてないわよ」
そう告げ、レオノーラは映像モニタに竜人のいた場所を映す。
するとそこにはレオノーラの言葉通りに全く動いていない竜人の姿。
「あれ? まだ生きてたよな?」
「ビッシュが眷属と言っていたでしょ? 眷属だというくらいだから、その主人が死ねば……」
「眷属も死ぬ、か。可能性はない訳でもないな。あれだけこっちを手こずらせた奴にしてみれば、呆気ない最後だったけど」
そう告げ、アランは取りあえずこのまま上空にいても意味はないだろうと判断し、ゼオリューンを地上に向かって降下させるのだった。
それはアランとレオノーラの息が合い、ゼオリューンという存在となって始めて使える必殺技。
あらゆる武器の攻撃が一点に集中するその攻撃は、アポカリプスの巨体に向かって命中し……次の瞬間、その巨体の多くが爆散する。
三つある頭部のうちの二つを失い、胴体の多くを爆散されたビッシュは、当然ながらそのような状況では反撃をするといったような真似も出来ず……地上に向かって降下していく。
「ふぅ……」
「はぁ……」
アランとレオノーラは、それぞれに息を吐く。
そこにある感情の色は複雑で、明確にどれといったようなことは出来ないが、それでも安堵の色が強いというのは間違いない。
とはいえ、こうして長い間自分たちを……自分を狙っていた相手を倒したからといって、いつまでもこうしてぼうっとしているような訳にもいかなかった。
「下に行くか」
「そうね。……うん? アラン、あれ」
下に行くかという言葉に同意したレオノーラだったが、地上の様子を映し出している映像モニタを見て、ふと気が付く。
地上に倒れている、アポカリプス。
その唯一残った頭部の近くに、誰かがいたのだ。
「あれは……イルゼンさん?」
イルゼンの姿がアポカリプスの頭部の近くにあるのを見て疑問に思う。
ましてや胴体が大きく爆散したとはいえ、まだアポカリプスは生きてるのだ。
アポカリプスのすぐ側にイルゼンがいるのは危険極まりない。
漆黒のブレスを放つ……いや、そこまでいかなくても唯一残っている頭部の牙でイルゼンを噛み殺そうとすれば、間違いなく出来る状況なのだ。
「レオノーラ、地上に向かう。イルゼンさんは何を考えてるんだよ!」
慌てたようにゼオリューンを地上に向けるアランだったが、それに待ったを掛けたのはレオノーラ。
「ちょっと待って」
「レオノーラ?」
「見て」
そう言うと、レオノーラはゼオリューンの映像を拡大する。
普通なら画像を拡大すれば映像が荒くなってもおかしくないのだが、その辺がファンタジーといったところなのだろう。拡大された映像であっても、普通にしっかりと綺麗に映されていた。
そして拡大してイルゼンの姿がアップになったところで、アランも何故レオノーラが自分の行動を理解した。
何故なら、そこに表示されたイルゼンは笑っていたのだから。
それも敵対していた相手が死ぬから安堵したような笑みではなく、ましてやざまあみろといったような嘲笑の類でもない。本当に親しい相手に向けるような、そんな笑みだった。
「全く、君は本当に馬鹿ですね」
『誰……だい……?』
アポカリプスに唯一残った首の一つの側で、イルゼンはそう話しかける。
「僕を忘れたのかい? ……いや、そうか。すっかり忘れてた。これでどうかな?」
そう言うと、イルゼンは右手で顔を覆い……そして右手を外すと、そこにある顔は完全に別人のものに変わっていた。
イルゼンは中年の飄々とした男なのだが、今は二十代ほどの非常に整った顔立ちをした男の顔になっていたのだ。
アポカリプスの頭部は、閉じつつあった目を開け……その動きを止める。
『馬鹿な……ナーラッカ? そんな彼はもう……』
「死んだはず、かい? 別に僕は幽霊でも何でもないし、普通に生きてるよ」
気安くそう告げるイルゼン……いや、ナーラッカと呼ばれた男は、笑みを浮かべてとう言葉を返す。
『そんな……君が、君がいてくれれば、僕はこんな……ルーダーの復活にも……』
「悪いね、ドロテア。……いや、今はビッシュだったかな。僕はルーダーを復活させるつもりなんてない。それに、今更ルーダーを復活させてどうする? ルーダーの生き残りは、僕と君だけだ。そんな状況でルーダーを復活させても、それに何か意味があると思うのかい?」
『な……何故……』
ビッシュは、ナーラッカの言葉を理解出来ないといった様子で唖然とする。
何故自分と同じルーダーの生き残りであるナーラッカが、ルーダーの復活を拒否するのか。
それは一体何がどうなってそのようなことになっているのか、全く理解出来ないことだった。
「ビッシュ、君はルーダーに誇りを持っている。それは私も同じだ。しかし、だからといってすでに滅びた……それもここ最近滅びたのではなく、古代魔法文明と呼ばれるくらい昔に滅びたそんな文明を復活させる必要はないだろう?」
『何故……何故、君がそんなことを言うんだ!』
すでに死ぬ寸前であるとは思えないほどの勢いで叫ぶビッシュ。
しかし、そんなビッシュにナーラッカは言い聞かせるように口を開く。
「いいかい? 君が生きてきたのはこの時代だ。なら、ルーダーの復活に拘るような真似はせず、この時代を生ればよかったのさ。僕のようにね」
『そんな……だって、ルーダーは……ルーダーは……』
先程の大きな念話が、残り少ないビッシュの生命力をさらに奪ったのだろう。
今の念話は、急速にビッシュの生命力を消費しつつあった。
「いまさら……本当にいまさらかもしれない。けど、もっと早く君の正体に気が付いていれば違う道もあったのかもしれないね。……けど、これだけの騒ぎになってしまった以上、もうどうしようもない」
呟きつつ、ナーラッカは目の光が消えつつあるビッシュの……アポカリプスの最後に残った頭部にそっと手を触れ……
「もう休みなさい。永久の眠りを」
その言葉と共に、ナーラッカの手がアポカリプスの頭部から生命力を吸収し……そして、アポカリプスは目を閉じ、ナーラッカが言ったように永久の眠りにつく。
「さて……これでルーダーの生き残りは私一人ですか」
呟きつつ、ナーラッカは自分の顔に手を当て、すると次の瞬間にはナーラッカの顔は飄々とした中年といったイルゼンの顔に姿を変える。
「ビッシュ、君はゆっくりと眠るといい」
そう言い、ビッシュ……かつてルーダーが存在したときはドロテアと呼んでいた人物が死んだのを確認すると、上空に存在するゼオリューンを一瞥してからその場を立ち去るのだった。
「……どういうことだと思う?」
一連のやり取りは、声までは聞こえなくても空中にいるゼオリューンのコックピットではしっかりと見えていた。
具体的にどのような話をしていたのかというのは、まだ分からない。分からないが、それでも今の状況を思えば、ビッシュとイルゼンに何らかの関係があるのは間違いない。
そして何より……
「イルゼンは変装しているの?」
そう、ナーラッカとしての顔を見せたイルゼンについては、当然ながら空中にいたアランたちにもしっかりと見えていたのだ。
そうである以上、イルゼンが変装しているというレオノーラの言葉も否定は出来ない。
(いや、そもそも変装ですむのか? 完全に顔が変わっていたぞ? だとすれば、俺たちが知ってるイルゼンさんは、イルゼンさんじゃなかったってことにならないか?)
そんな疑問を抱くも、取りあえず今はその前にやるべきことをやる必要があった。
「帝都の方からは、援軍が出て来る様子はないよな?」
「ええ。……何でかしら。こうして私たちと戦った戦力が、帝都に残っていた戦力の全てだったとか?」
「さすがにそれはないと思うけど」
警備兵の類であったり、皇帝の近衛騎士団といった者たち、そして予備兵力の類があってもおかしくはない。
そのような戦力があれば、ガリンダミア帝国軍がこうして殲滅――殺したのはほとんどがビッシュだが――するのを見ても、黙って見ていらえる訳はないはずだ。
そうなると、やはり帝都の様子には疑問を抱かざるをえなかった。
「とにかく、帝都から援軍が出て来ないのなら、こっちも楽でいいでしょ。……けど、そうなるとこれからどう話を持っていくのかが問題ね」
「どうって言ってもな。帝都に戦力がなければ、それこそ降伏するしかないんじゃないか?」
アランにしてみれば、ガリンダミア帝国軍にはもう戦力はほとんど残っていない。
ここで降伏という選択をしない限り、それこそレジスタンス連合に……そして今も迫っているだろう周辺諸国の連合軍によって、帝都を蹂躙される可能性が高い。
そうである以上、降伏するしかないと判断するのは当然だろう。
「ガリンダミア帝国の上層部……皇族や貴族たちが、素直に降伏すると思う? もし降伏したら、それこそ自分たちは身の破滅よ?」
「降伏しなくても、身の破滅だと思うけど?」
「それでも帝都が蹂躙されるまで、時間はかかるでしょう。その間に、何とか帝都から逃げ出すといった手段を選ぶ可能性はある」
「それは……そこまでするか? いやそこまでしてもおかしくはないのか」
アランが今まで会ってきた貴族の中には、立派な貴族もいれば、身勝手な貴族も多かった。
そして割合で考えた場合、身勝手な貴族の方がどうしても多くなるのだ。
だとすれば、レオノーラが言うようなことになってもおかしくはないし、身勝手なだけに他の貴族の様子を気にする必要はないといった行動をする可能性は高かった。
「なら、いっそのこと俺達で帝都に向かうのはどうだ? 逃げ出す前に貴族の屋敷や城を占領してしまえば、向こうは妙な行動は出来ないと思うし」
「それはやりすぎよ。そうすれば、ガリンダミア帝国側で降伏する際に余計意固地になるわ」
レオノーラの言葉に、アランはそういうものか? と疑問に思いつつも、改めて自分の会った貴族たちのことを考えれば、そう間違ってもいないのかと納得する。
「なら、一度下に下りるか? あの竜人の件もあるし」
「……動いてないわよ」
そう告げ、レオノーラは映像モニタに竜人のいた場所を映す。
するとそこにはレオノーラの言葉通りに全く動いていない竜人の姿。
「あれ? まだ生きてたよな?」
「ビッシュが眷属と言っていたでしょ? 眷属だというくらいだから、その主人が死ねば……」
「眷属も死ぬ、か。可能性はない訳でもないな。あれだけこっちを手こずらせた奴にしてみれば、呆気ない最後だったけど」
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