虹の軍勢

神無月 紅

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46話

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「退きなさい! 今、ここで耐えるのは危険ですわ! ここは私(わたくし)に任せて、後退なさい! はああぁあっ!」

 つきることなく洞窟から姿を現す無数のゴブリン。
 異形のゴブリンの雄叫びにより、他のゴブリンの進撃する勢いは少し前までと全く違う。
 ただでさえここでゴブリンたちを削っていた麗華の仲間たちは、戦力をかなり消耗していた。
 能力を使うことすら出来なくなった者が多く、その状況で猛烈な勢いで洞窟から姿を現し続ける大量のゴブリンに対処出来るはずがない。
 本来なら洞窟から出てくるゴブリンを削りつつ、それで対処しきれなくなったら、後退していく……という予定だったのだ。
 その作戦は、当初は上手くいっていた。
 いや、白夜の闇が死体の呑み込むことが出来るということが分かってからは、むしろ上手くいきすぎすらしていたのだ。
 しかし、その作戦も異形のゴブリンが姿を現したことにより一変する。
 それこそ、麗華たちのやっていた作戦を数の力で強引に突破……いや、壊滅出来るほどに。
 そんな状況で頼れるような人物は麗華と、そしてもう一人……

「ラーーーーーーーーーーーーーー」

 敵の攻撃に動揺しないようにという効果を発揮する歌声により、パニック寸前だった者たちが多少なりとも落ち着く。
 本当にそれは多少なりともといったところだったのだが、この状況下においては非常に大きな意味を持つ。

「能力がもう使えない者は退きなさい! まだ能力を使える者は私の指示に従って殿を! それと、誰か東京にあの異形のゴブリンについて情報を知らせなさい!」

 叫びながら、麗華は連続して光の矢を放ち、次々にゴブリンの数を減らしていく。
 だが、そんな麗華の行動に興味を惹かれたのか、異形のゴブリンは酷薄な笑みを浮かべ……
 瞬間、激しい金属音が周囲に響き渡る。
 能力の使えない者が必死で後退しようとしており、それ以外にも無数に存在するゴブリンの鳴き声が周囲に響いている中、それでも誰もが聞き逃すようなことがなかった、そんな金属音。
 それどころか、金属音の発した場所……麗華の背後では、左右に分かれて盛大な土煙が上がっていた。
 それを見れば、何が起きたのか、勘の良い者であればすぐに理解出来るだろう。
 先程異形のゴブリンが殺した能力者の女に行ったのと、全く同じ攻撃をしたのだろうと。
 だが、麗華はそんな攻撃をレイピアで斬り裂いて防いだのだ。
 普通に考えれば、それこそ銃弾をレイピアで斬るのは、理屈では出来ても実際にやるのは困難を極める。
 だが、麗華が今やったのは、それに類することだ。
 もちろん異形のゴブリンが投げたのは弾丸よりも圧倒的に大きく、それだけ的も大きかったということにはなるのだが……だからといって、麗華と同じことが出来る者はそう多くない。
 むしろ、まだネクストの生徒にもかかわらず、トワイライトの隊員でも出来ないことをやるのが、ゾディアックという称号がどれだけのものなのかを示していた。

「このゴブリンは私が引きつけますわ! 皆は早く!」

 普段の余裕ある佇まいとは裏腹に、麗華は厳しい表情で異形のゴブリンを見据え、叫ぶ。
 ……真剣な麗華の表情は、それこそ普段であれば目を奪われる者が出てもおかしくはなかったのだが、命の危機の今はそのようなことに意識を向けられるはずもない。
 もっとも、ゴブリンの方は麗華のような極上の美女を前に、欲望の視線を向けていたが。

「グルララアアアアァアアオァッ!」

 異形のゴブリンの口から雄叫びが響き、麗華の姿に興奮していたゴブリンたちは大人しくなる。
 麗華は自分の獲物だと、そう主張しているのだろうことは、今の雄叫びを聞いた全員が理解した。

「白夜、貴方の能力は多数を相手にするのに向いていますわ! 貴方が主力になってゴブリンを牽制なさい!」

 レイピアを構え、光の矢を何本も生み出しては異形のゴブリンに向けて投擲しながら麗華が叫ぶ。
 真っ直ぐに突っ込んでいったその光の矢は、だが異形のゴブリンが六本の腕を振るってあっさりとそれを砕く。
 それを見た麗華は微かに笑みを浮かべる。
 もし異形のゴブリンが光の矢が直撃しても問題がないのであれば、わざわざ六本の手全てを使って防ぐといった真似はしなかっただろう。
 つまり、直撃すればダメージを受けると判断したからこそ、そのような真似をしたのだ。
 ならば、話は難しいことではない。
 遠距離から攻撃しつつ、異形のゴブリンの足止めを……いや、可能であれば倒してしまえばいい。
 そう判断すると、麗華は五十鈴に指示を出す。

「五十鈴、貴方の歌で味方の士気の回復を!」
「ゴブリンの弱体化は!?」

 意識を集中しながら尋ねる五十鈴に、麗華は異形のゴブリンへ連続して光の矢を撃ちこみながら叫ぶ。

「ゴブリンは白夜に任せる方が効率的ですわ!」
「ラアアァーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 麗華の言葉を聞き、即座に五十鈴は能力を発揮して歌い出す。
 もっとも、走りながら歌うというのはかなり大変な行為だ。
 ましてや、ここは山の中である以上、足下は道路や舞台のように目を瞑ったまま移動しても問題がないような、安定した場所ではない。
 石ころが転がっており、木の根が伸びており、下手をすれば足を挫いてしまいかねない。
 そうして足を挫いてしまえば、移動するのはかなり厳しくなる。
 それでも今は少しでも歌を歌う必要があり、多少のリスクは覚悟の上だった。
 そんな五十鈴の努力は、この場から退避する者たちの速度が上がるという形で現れる。

「我が闇により、己の罪を後悔しながら無の極地へ旅立て!」

 白夜がいつものように厨二病的な叫びを上げながら、闇の弾丸を何発も発射する。
 その闇は次々にゴブリンを貫き、貫いた部分から塵になって消えていく。
 手足を失った程度のゴブリンであれば、まだ何とか生きている。
 だが、当然頭部や胸部といった場所を塵に変えられてしまえば、その状態でゴブリンが生きていけるはずもない。

「きりがないっ!」

 それだけ強力な攻撃をしながら、それでも白夜の口から出るのは愚痴に近い悲鳴のみだ。

「落ち着け! とにかく今は、麗華様があのゴブリンを引きつけている間に、少しでも敵の数を減らすんだ!」

 風の刃を放って数匹のゴブリンに傷を負わせた男の言葉に、白夜は異形のゴブリンと戦っている麗華へ一瞬だけ視線を向ける。
 そこでは、次々に放たれる光の矢を六本の腕で防ぎながら、未だに無傷のまま麗華との距離を縮めている異形のゴブリンの姿があった。
 麗華の力を信じていない訳ではない。
 それでも、あの異形のゴブリンはとてもゴブリンとは思えないほどの強さを持つ相手なのだ。
 少なくても、白夜は自分があの異形のゴブリンとまともに戦えるとは思っていない。
 むしろ、自分が死ぬまでの時間をどれだけ引き延ばせるかといった問題になるだろう。
 白夜が出来るのは、麗華の指示通り……そしてまだ能力の行使に余裕がある者たちと共に、少しでもゴブリンの数を減らすということだけだった。
 追撃をしてくるゴブリンを少なくすることが出来るし、援軍としてやってくるトワイライトの者たちの労力を少しでも減らすことが出来る。
 そのような理由から、今は能力を限界まで使ってもいいから、可能な限りゴブリンの数を減らす必要がある。
 そんな思いで白夜は次々と攻撃をしていったのだが……それでも、数の差というのはどうしようもない。
 いくら倒しても、全くつきることなく、それこそ無限にいるのではないかと思えるほどに、洞窟からはゴブリンが出続けてきた。 
 それでも先に逃げた者たちが十分に距離を稼ぎ、この攻撃で能力を限界まで使った者もこの場から先に退避し……

「みゃーっ!」

 白夜の頭の上で、ノーラが鳴く。
 その鳴き声の意味を、白夜は間違わない。
 すでに限界だと、この場から逃げようとして……

「きゃあああっ!」

 不意にそんな声が聞こえ、白夜は半ば反射的に構える。
 そこに飛んできたのは……麗華。
 今がここまで緊急のときでなければ、白夜も手の中にある身体の柔らかさを楽しむようなことも出来ただろう。
 だが、今の状況でそのような真似が出来るはずもない。
 足を止めて麗華を受け止めたのは、白夜も後悔していない。していないが……麗華を受け止めたということは、当然今まで麗華が戦っていた異形ゴブリンの視線が白夜に向けられるということになる訳で……

「っ!?」

 異形のゴブリンの視線を向けられた瞬間、白夜は猛烈な悪寒を感じ、その場から跳躍する。
 もっとも、麗華に加えて自分の武器の金属の棍まで持っているのだ。そんな状況で跳躍しても、その距離はたかがしれたものでしかない。

「きゃっ! ちょっ!? 何、何ですの!?」

 跳躍し、着地したその衝撃で白夜の腕の中で麗華が暴れ出す。
 麗華の身体を抱いた白夜は気が付いていなかったが、異形のゴブリンの一撃で麗華は意識を失っていたのだ。
 それが気が付けば白夜の……男の腕に抱かれている状態だったのだから、乙女として麗華が一瞬であっても混乱するのは当然だろう。

「白夜!? 貴方、私に一体何を……」
「本当なら今の麗華先輩をからかったりして遊びたいところですけど、それどころじゃないですね」

 そう言いながら、白夜は抱いていた麗華を下ろす。
 ……腕の中にあった、麗華の柔らかな肢体の感触がなくなることを残念に思いながら。
 麗華のような、いわゆる高貴な出の女を抱くなどという真似は、それこそこの先もう二度と経験出来ないかもしれない。
 もっとも、その感触を惜しんで死ぬような真似を選ぶという選択肢は、当然白夜にはない。

「……少し厄介ですわね」

 白夜の手の中から降りた麗華は、すぐに冷静さを取り戻すと、周囲の様子を見ながら微かに眉を顰める。
 麗華愛用のレイピアは少し離れた場所に転がっており、白夜の手には金属の棍が、そして頭部にはノーラが乗っていた。
 そんな二人の周囲には……洞窟から出て来たゴブリンが周囲を囲む。
 少し離れた場所では、異形のゴブリンがゆっくりと、一歩ずつ白夜と麗華に方に向かって近づいてくる。

「そうですね」

 短く返事をしながら、少し離れた場所……先程白夜がいた場所に視線を向けるが、すでにそこには誰の姿もない。
 それは元々の予定だったので、特に残念な思いはないが、自分と麗華だけでこの場から脱出しなければならないことが明らかになったのも間違いなかった。
 今の状況で戦おうとしても、曲がりなりにも異形のゴブリンと戦っていた麗華は武器を手放しており、戦力半減……とまではいかないが、戦力低下は否めない。
 白夜は金属の棍も持っているし、能力を使うだけの余裕もまだある。
 だが、白夜の場合は異形のゴブリンと戦うには、純粋に能力が足りない。
 もし白夜が異形のゴブリンと戦えば、間違いなく白夜の死という結果が待っているだろう。
 ノーラも毛針での攻撃はまだ可能だったが、それでも四本腕のゴブリンはまだしも、異形のゴブリンに効果があるとは思えない。

(さて、どうしたものかな)

 焦燥感はある。
 だが、それでも白夜は生き残ることを諦めてはいない。
 諦めこそが自分の命を消すことになると、そう理解しているからだ。
 もっとも、どうするかと考えても、取れる手段は多くはない。
 異形のゴブリンと曲がりなりにも戦うことが出来るのは、あくまでも麗華だけだ。
 そうである以上、麗華を主力として、レイピアを失った分の戦力を白夜がフォローしながら、何とかここから逃げ出す方法を考えるしかない。

「麗華先輩、俺が他のゴブリンを牽制しながら麗華先輩の援護をしてあの異形のゴブリンと戦いつつ、包囲網を突破する。……出来ると思いますか?」

 周囲で自分たちの様子をみながら動きを止めているゴブリンたちを見ながら、白夜は麗華に尋ねる。
 それは、問いかけではあったが、同時に半ば挑発でもあった。……尋ねた本人は、全く理解していなかったが。
 麗華の持つ光と対の闇の能力。
 それを持っており、このような状況であっても混乱した様子を見せない――本心はどうあれ表情や態度には表さない――白夜のそんな言葉に、麗華が自分はこれ以上戦えない……などと、言えるはずもない。

「問題ありませんわ。私がいる以上、この程度はピンチでもなんでもありませんもの」

 自分に気合いを入れ直すように答え、麗華は周囲に光の矢を生み出す。
 これまでの戦いでかなり能力を使っているにもかかわらず、それでも尚これだけの余裕があるというのは、さすがゾディアックの一員ということなのだろう。

「さすが麗華先輩ですね」

 白夜の方も、麗華ほどではないにしろ、まだ能力の行使には余裕がある。
 麗華の光の矢よりは少ないが、闇の矢を次々と作り出す。

「では……いきますわよ!」

 麗華の声と同時に白夜も闇の矢を放ち、光と闇の矢がゴブリンたちに襲いかかるのだった。
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