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異世界へ
0009話
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「……」
馬車から出て来た相手を見て、イオは何も言えなくなる。
正確には、馬車から出て来たの者の中にはギュンターもいたのだが、イオの視界にすでにギュンターの姿は全く映っていない。
イオの目に映されているのは、一人の女。
圧倒的なまでの美貌を持ち、太陽の光がそのまま形を成したかのような黄金の髪は背中の中程までの長さがあり、その先端は波打つような、いわゆるウェーブヘアと呼ばれるような髪型となっていた。
また、その身体も非常に……あるいは過剰にと表現してもいいくらい女らしい優雅な曲線を描いている。
イオも日本にいたとき、TVで映画の祭典の類で世界トップクラスの美貌を持つ女優を何度か見たことがあったが、目の前の女はそんな世界トップクラスの女優と比べても明らかに上の美貌を持つ。
まさに絶世のという表現が相応しい美貌の持ち主。
それでいながら女優といった様子ではなく、戦う者として先頭に立つ人物にも思えた。
(黄金の覇王)
女を見た瞬間にイオが思ったのはそのような単語で、同時に何故この傭兵団が黎明の覇者といった名前なのかを否が応でも思い知らされる。
年齢は十七歳のイオより若干上……二十歳になるかどうかといったくらいなのだが、すでに女として完成しており、それ以上に覇王としての圧倒的なカリスマ性も持っていた。
ギュンターが言っていたソフィアというのは、この女の名前なのだろう。
頭の片隅でそんな風に考えつつ、イオは女が……ソフィアが自分のいる場所まで近付いて来るのを、ただ見ていることしか出来なかった。
「貴方がイオね」
その唇から出たのは、たった一言。
しかし、その一言はイオが知っているどんな音楽よりも美しい声のように思えた。
もちろん、実際にはそんな訳はない。
ソフィアの美貌に目を奪われ、同時にソフィアの持つカリスマ性に心を揺さぶられ、結果としてイオはそのように認識したのだ。
とはいえ、実際にソフィアの声は周囲に響き渡る不思議な声質を持っていた。
本人の資質もあるのだが、傭兵団を率いて戦場で部下に指示を出すために磨かれた技能でもある。
「どうしたの?」
その声を発している本人は、自分の圧倒的なまでの魅力……もしくは存在感に気が付いていないのか、それとも気が付いても気にしてないだけなのか。
ともあれ、イオはそんなソフィアの声で我に返ると即座に頷く。
「あ、はい。イオは俺です」
「そう。……こうして見る限り、ギュンターが言ってたように戦闘訓練をしたことはないみたいね。普通よりは若干鍛えられているけど……その程度」
ソフィアのような美人にじっと見られ、イオは恥ずかしくなる。
ソフィアの美貌もそうだが、何よりも現在の自分の姿だ。
水晶によってこの世界に転移させられたときに着ていたのは、特に何の変哲もない普通の服だ。
そんな服を着ながら、山の中で数日逃げ回っていたのだ。
当然ながら服は汚れるし、枝に引っ掛けたり、木に擦ったりして破けている場所も何ヶ所かある。
川で洗うにしても、替えの服を持っていない以上は洗うことは出来ない。
下手に服を洗って裸の状態でゴブリンに襲われたりしたら、服を持って逃げるのは難しいのだから。
身体を洗うのも最低限で、率直に言って現在のイオは少し臭う。
イオにとって幸いだったのは、ソフィアがそんなイオの前に立っても気にした様子がなかったからだろう。
傭兵の最大の仕事は、当然のように戦場だ。
今回のようにモンスターの群れであったり、あるいは隣国や隣の領地との戦争といった具合に。
戦いになれば水浴びをするといったようなこともそう簡単には出来なくなる。
黎明の覇者は傭兵団としては非常に裕福で、マジックアイテムの類で洗浄をすることも可能だが、それは黎明の覇者だからだ。
他の傭兵や兵士、騎士といった者たちはそんなことは出来ず、戦場において体臭が籠もるのは珍しいことではない。
また、ソフィアにしてみればイオは初めて会う相手である以上、その美しい顔を歪ませるといったようなことをするはずもなかった。
「そうですね。俺は魔法に特化してる存在だと言ってもいいでしょう。出来れば近接戦闘の能力も上げたいとは思っているんですけど。魔法に関しても、流星魔法以外の魔法を覚えたいと思っていますし」
「なるほど。上昇志向はそれなりにあるようね」
「……これを上昇志向と言ってもいいかどうか、微妙ですけどね」
この場合、上昇志向というのは今よりも高い地位にいきたいと思うことだろう。
もちろん、イオも今の状況……着の身着のままでどこの組織にも所属しておらず、何の後ろ盾がない状況よりは、街に行って相応の身分証を入手したいとは思っている。
また、イオも男だ。
金が出来ればその金で豪遊したいとも思う。
そういう意味では、上昇志向があるのは間違いではないだろう。
だが、それでも具体的な地位……この国の貴族になったり、あるいは何らかの組織のトップになったりといったような真似をしようとは思っていない。
日本で生活してきたイオにしてみれば、そんなのは面倒だとしか思えないのだ。
「ふむ、そういうものかしら。……とはいえ、ギュンターから聞いた話によると、イオはこれからどうするのかはまだ決めてないのよね?」
「そうですね」
これは実際にも嘘ではないので、素直に頷く。
そんなイオに、ソフィアは強い視線を向ける。
特に何か危害を加えるような真似はしていないのだが、ソフィアの髪と同じような金色の眼球から向けられる視線は物理的な圧力すらイオには感じられた。
「っ!?」
そのような視線を向けられながらも、イオはその場から後ろに退くことはない。
イオ本人も、何故ソフィアのその視線に自分が対抗出来ているのかは分からなかった。
しかし、ここでは退けない。
本能がそのように言ってるように思え、出来る限る強い視線をソフィアに返す。
そのまま十秒、二十秒、三十秒……そして一分ほどが経過したところで、不意にソフィアの視線から圧力が消える。
「ふぅ……」
もしここに誰もいなければ、恐らくイオは荒い息を吐いていただろう。
だが、ソフィアの前でそのようなことをしようとは思わない。
これからの自分がどうなるか。
この世界においてどう暮らしていくのかといったことを考えた場合、ここでソフィアを相手に退いていたら、間違いなく自分にとって利益にならないと思ったためだ。
「ふぅん。ここで退かないか。なかなかいいわね」
自分に視線を向けられ、それでも一歩も退かなかったイオに向かって少しだけ興味深そうな視線を向けるソフィア。
そんなソフィアと違い、周囲にいた他の傭兵たちはイオに感嘆の視線を向けている者も多い。
ソフィアと共に行動しているだけに、黎明の覇者の傭兵たちはソフィアが本気で視線に力を入れた場合、どれだけの圧力があるのかは知っている。
ここにいる者の多くが実際にそのような視線を向けられたことがあるのだから、それも当然の話だろう。
その結果としてソフィアに畏怖し、従うといった道を選んだ者もそれなりにいる。
そんな中で、外見からすれば魔法使いとしてはともかく戦士としては明らかに訓練されていないようなイオが、ソフィアの視線の圧力を受けきったのだ。
イオが魔法使いとしては強力だと理解していても、戦士としては大した腕を持っていないと侮っていた者たちにしてみれば、驚愕に値する行動だった。
……実際には、イオも自分のこれからに関係するだろう人物――ついでにとんでもない美人でもある――を前にしていたので、動悸を隠そうとしていたのだが。
「ねえ。貴方。イオと言ったわね?」
先程から何度かイオと呼んでいたのだが、ソフィアはここで再びイオの名前を聞くように尋ねる。
それは、イオという人物を本当の意味で認めたからこそなのだが……イオ本人には、そこまで分からない。
「あ、はい」
「傭兵団には興味ない?」
ざわり、と。
ソフィアの言葉を聞いた瞬間、周囲にいた他の傭兵たちやギュンターが驚きの表情を浮かべ、ざわめく。
イオは知らないことだったが、黎明の覇者という傭兵団は非常に名前の知られた傭兵団だ。
傭兵といえば金のためなら何でもする。それどころか、仕事がないときは盗賊として活動するような者もいるが、黎明の覇者はそのような有象無象の傭兵たちとは一線を画している。
その実力はランクAという傭兵団としてのランクが示しており、それを率いるのは絶世の美貌を持ち、それだけではなく傭兵としても高い実力を持つソフィア。
当然ながら、そのような傭兵団に入りたいと思っている者は多い。
だが……黎明の覇者は、入りたいからといってすぐに入れる訳ではない。
厳しい入団テストもあるし、実力がなければコネが……それこそ王族や貴族からの紹介であっても断る。
もちろん、その辺の傭兵団がそのような真似をした場合、最悪国と敵対することになってもおかしくはないのだが……黎明の覇者の場合は、そのような真似が許されるだけの実力と実績を持つ。
ソフィアが実は亡国の王女という噂もあり、それが関係している可能性も十分にあるが。
そのように黎明の覇者に入団するのは簡単なことではないのに、何故かソフィアはイオを自分の傭兵団に誘った。
ギュンターを含め、ここにいるのは黎明の覇者の中でも精鋭と呼ぶべき者たちだったし、ソフィアと付き合いの長い者も多いが、そんな中でここまであからさまにソフィアが欲した人物は数少ない。
そんな者たちは当然のようにその時点で一流……いや、一流すら超えた実力を持つ者だったのだが、イオはとてもではないがそのような実力者には見えない。
とはいえ、同時に一人でこれだけのゴブリンの軍勢を壊滅させるだけの魔法を使えるということは、黎明の覇者にとっても非常に大きな意味を持つのは事実。
魔法以外はからきしで、完全に魔法に特化した存在だったが……それは黎明の覇者に所属したあとで訓練すれば最低限――あくまでも黎明の覇者の基準だが――は身につくといった考えなのだろう。
「どうかしら?」
返事を促すソフィアに対し、イオはどう答えるべきか迷うのだった。
馬車から出て来た相手を見て、イオは何も言えなくなる。
正確には、馬車から出て来たの者の中にはギュンターもいたのだが、イオの視界にすでにギュンターの姿は全く映っていない。
イオの目に映されているのは、一人の女。
圧倒的なまでの美貌を持ち、太陽の光がそのまま形を成したかのような黄金の髪は背中の中程までの長さがあり、その先端は波打つような、いわゆるウェーブヘアと呼ばれるような髪型となっていた。
また、その身体も非常に……あるいは過剰にと表現してもいいくらい女らしい優雅な曲線を描いている。
イオも日本にいたとき、TVで映画の祭典の類で世界トップクラスの美貌を持つ女優を何度か見たことがあったが、目の前の女はそんな世界トップクラスの女優と比べても明らかに上の美貌を持つ。
まさに絶世のという表現が相応しい美貌の持ち主。
それでいながら女優といった様子ではなく、戦う者として先頭に立つ人物にも思えた。
(黄金の覇王)
女を見た瞬間にイオが思ったのはそのような単語で、同時に何故この傭兵団が黎明の覇者といった名前なのかを否が応でも思い知らされる。
年齢は十七歳のイオより若干上……二十歳になるかどうかといったくらいなのだが、すでに女として完成しており、それ以上に覇王としての圧倒的なカリスマ性も持っていた。
ギュンターが言っていたソフィアというのは、この女の名前なのだろう。
頭の片隅でそんな風に考えつつ、イオは女が……ソフィアが自分のいる場所まで近付いて来るのを、ただ見ていることしか出来なかった。
「貴方がイオね」
その唇から出たのは、たった一言。
しかし、その一言はイオが知っているどんな音楽よりも美しい声のように思えた。
もちろん、実際にはそんな訳はない。
ソフィアの美貌に目を奪われ、同時にソフィアの持つカリスマ性に心を揺さぶられ、結果としてイオはそのように認識したのだ。
とはいえ、実際にソフィアの声は周囲に響き渡る不思議な声質を持っていた。
本人の資質もあるのだが、傭兵団を率いて戦場で部下に指示を出すために磨かれた技能でもある。
「どうしたの?」
その声を発している本人は、自分の圧倒的なまでの魅力……もしくは存在感に気が付いていないのか、それとも気が付いても気にしてないだけなのか。
ともあれ、イオはそんなソフィアの声で我に返ると即座に頷く。
「あ、はい。イオは俺です」
「そう。……こうして見る限り、ギュンターが言ってたように戦闘訓練をしたことはないみたいね。普通よりは若干鍛えられているけど……その程度」
ソフィアのような美人にじっと見られ、イオは恥ずかしくなる。
ソフィアの美貌もそうだが、何よりも現在の自分の姿だ。
水晶によってこの世界に転移させられたときに着ていたのは、特に何の変哲もない普通の服だ。
そんな服を着ながら、山の中で数日逃げ回っていたのだ。
当然ながら服は汚れるし、枝に引っ掛けたり、木に擦ったりして破けている場所も何ヶ所かある。
川で洗うにしても、替えの服を持っていない以上は洗うことは出来ない。
下手に服を洗って裸の状態でゴブリンに襲われたりしたら、服を持って逃げるのは難しいのだから。
身体を洗うのも最低限で、率直に言って現在のイオは少し臭う。
イオにとって幸いだったのは、ソフィアがそんなイオの前に立っても気にした様子がなかったからだろう。
傭兵の最大の仕事は、当然のように戦場だ。
今回のようにモンスターの群れであったり、あるいは隣国や隣の領地との戦争といった具合に。
戦いになれば水浴びをするといったようなこともそう簡単には出来なくなる。
黎明の覇者は傭兵団としては非常に裕福で、マジックアイテムの類で洗浄をすることも可能だが、それは黎明の覇者だからだ。
他の傭兵や兵士、騎士といった者たちはそんなことは出来ず、戦場において体臭が籠もるのは珍しいことではない。
また、ソフィアにしてみればイオは初めて会う相手である以上、その美しい顔を歪ませるといったようなことをするはずもなかった。
「そうですね。俺は魔法に特化してる存在だと言ってもいいでしょう。出来れば近接戦闘の能力も上げたいとは思っているんですけど。魔法に関しても、流星魔法以外の魔法を覚えたいと思っていますし」
「なるほど。上昇志向はそれなりにあるようね」
「……これを上昇志向と言ってもいいかどうか、微妙ですけどね」
この場合、上昇志向というのは今よりも高い地位にいきたいと思うことだろう。
もちろん、イオも今の状況……着の身着のままでどこの組織にも所属しておらず、何の後ろ盾がない状況よりは、街に行って相応の身分証を入手したいとは思っている。
また、イオも男だ。
金が出来ればその金で豪遊したいとも思う。
そういう意味では、上昇志向があるのは間違いではないだろう。
だが、それでも具体的な地位……この国の貴族になったり、あるいは何らかの組織のトップになったりといったような真似をしようとは思っていない。
日本で生活してきたイオにしてみれば、そんなのは面倒だとしか思えないのだ。
「ふむ、そういうものかしら。……とはいえ、ギュンターから聞いた話によると、イオはこれからどうするのかはまだ決めてないのよね?」
「そうですね」
これは実際にも嘘ではないので、素直に頷く。
そんなイオに、ソフィアは強い視線を向ける。
特に何か危害を加えるような真似はしていないのだが、ソフィアの髪と同じような金色の眼球から向けられる視線は物理的な圧力すらイオには感じられた。
「っ!?」
そのような視線を向けられながらも、イオはその場から後ろに退くことはない。
イオ本人も、何故ソフィアのその視線に自分が対抗出来ているのかは分からなかった。
しかし、ここでは退けない。
本能がそのように言ってるように思え、出来る限る強い視線をソフィアに返す。
そのまま十秒、二十秒、三十秒……そして一分ほどが経過したところで、不意にソフィアの視線から圧力が消える。
「ふぅ……」
もしここに誰もいなければ、恐らくイオは荒い息を吐いていただろう。
だが、ソフィアの前でそのようなことをしようとは思わない。
これからの自分がどうなるか。
この世界においてどう暮らしていくのかといったことを考えた場合、ここでソフィアを相手に退いていたら、間違いなく自分にとって利益にならないと思ったためだ。
「ふぅん。ここで退かないか。なかなかいいわね」
自分に視線を向けられ、それでも一歩も退かなかったイオに向かって少しだけ興味深そうな視線を向けるソフィア。
そんなソフィアと違い、周囲にいた他の傭兵たちはイオに感嘆の視線を向けている者も多い。
ソフィアと共に行動しているだけに、黎明の覇者の傭兵たちはソフィアが本気で視線に力を入れた場合、どれだけの圧力があるのかは知っている。
ここにいる者の多くが実際にそのような視線を向けられたことがあるのだから、それも当然の話だろう。
その結果としてソフィアに畏怖し、従うといった道を選んだ者もそれなりにいる。
そんな中で、外見からすれば魔法使いとしてはともかく戦士としては明らかに訓練されていないようなイオが、ソフィアの視線の圧力を受けきったのだ。
イオが魔法使いとしては強力だと理解していても、戦士としては大した腕を持っていないと侮っていた者たちにしてみれば、驚愕に値する行動だった。
……実際には、イオも自分のこれからに関係するだろう人物――ついでにとんでもない美人でもある――を前にしていたので、動悸を隠そうとしていたのだが。
「ねえ。貴方。イオと言ったわね?」
先程から何度かイオと呼んでいたのだが、ソフィアはここで再びイオの名前を聞くように尋ねる。
それは、イオという人物を本当の意味で認めたからこそなのだが……イオ本人には、そこまで分からない。
「あ、はい」
「傭兵団には興味ない?」
ざわり、と。
ソフィアの言葉を聞いた瞬間、周囲にいた他の傭兵たちやギュンターが驚きの表情を浮かべ、ざわめく。
イオは知らないことだったが、黎明の覇者という傭兵団は非常に名前の知られた傭兵団だ。
傭兵といえば金のためなら何でもする。それどころか、仕事がないときは盗賊として活動するような者もいるが、黎明の覇者はそのような有象無象の傭兵たちとは一線を画している。
その実力はランクAという傭兵団としてのランクが示しており、それを率いるのは絶世の美貌を持ち、それだけではなく傭兵としても高い実力を持つソフィア。
当然ながら、そのような傭兵団に入りたいと思っている者は多い。
だが……黎明の覇者は、入りたいからといってすぐに入れる訳ではない。
厳しい入団テストもあるし、実力がなければコネが……それこそ王族や貴族からの紹介であっても断る。
もちろん、その辺の傭兵団がそのような真似をした場合、最悪国と敵対することになってもおかしくはないのだが……黎明の覇者の場合は、そのような真似が許されるだけの実力と実績を持つ。
ソフィアが実は亡国の王女という噂もあり、それが関係している可能性も十分にあるが。
そのように黎明の覇者に入団するのは簡単なことではないのに、何故かソフィアはイオを自分の傭兵団に誘った。
ギュンターを含め、ここにいるのは黎明の覇者の中でも精鋭と呼ぶべき者たちだったし、ソフィアと付き合いの長い者も多いが、そんな中でここまであからさまにソフィアが欲した人物は数少ない。
そんな者たちは当然のようにその時点で一流……いや、一流すら超えた実力を持つ者だったのだが、イオはとてもではないがそのような実力者には見えない。
とはいえ、同時に一人でこれだけのゴブリンの軍勢を壊滅させるだけの魔法を使えるということは、黎明の覇者にとっても非常に大きな意味を持つのは事実。
魔法以外はからきしで、完全に魔法に特化した存在だったが……それは黎明の覇者に所属したあとで訓練すれば最低限――あくまでも黎明の覇者の基準だが――は身につくといった考えなのだろう。
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