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異世界へ
0029話
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「ふぅ」
ジャミレたちから助けられた裏通りから十分離れ、表通りに戻ってきたところでイオは大きく息を吐く。
最終的には特に何の問題もなく終わったが、それでも命懸けの逃走だったのは間違いない。
純粋に命懸けの逃走というだけなら山の中でゴブリンと行っていたものの、今回イオを襲ってきたのはゴブリンとは比べものにならない強者だ。
チンピラたちも、ゴブリンを相手にした場合は容易に倒せるだけの実力があったのは間違いなかった。
そのような状況であっただけに、イオはジャミレに対して強く感謝している。
結局ジャミレがどのような存在だったのかは、イオにも分からなかったが。
(黎明の覇者の人に聞いてみれば分かるか? ……そう言えば、俺が黎明の覇者に匿われているのはギルドで知られたはずだよな? なのに、ウルフィさんの件で俺を追うのは……どうなんだ? いやまぁ、それだけウルフィさんに心酔しているのかもしれないけど)
ただ、心酔されているウルフィの方は、ありがた迷惑といった様子だったようにイオには思えた。
(どのみち、今はそのことは考えなくてもいいか。とはいえ……どこに泊まるかだよな)
イオは最初、どこかその辺の宿にでも泊まればいいと思っていた。
それこそ、先程の少年が客引きをやっていたような宿に。
もっとも客引きの少年が泊まらないかと言っていた宿は、酒は美味いものの料理はそこそこという様子だったので、イオとしてはあまり泊まる気分ではなかったが。
しかし、そのような宿に泊まった場合、先程の男が嗅ぎつけてくる可能性がある。
ジャミレたちによって注意された状態でさらにイオを襲撃――男の主張では教育――をするか? といった疑問がない訳でもなかったが、ウルフィの信奉者とも呼ぶべき男だけに、ジャミレが何を言ってもその言葉を素直に聞くとは限らなかった。
それこそ、イオを教育する試練であると認識する可能性もあるだろう。
そうである場合、もしその辺の宿に泊まっていると男が突入してきても止めることが出来るとは限らない。
だからこそ安全の面でしっかりとした宿に泊まる必要があるのだが……当然ながら、そのような宿は相応の宿泊料が必要となる。
イオがソフィアから貰った前金はそれなりの金額ではあるものの、そのような高級な宿に泊まれるかと言われれば、難しいだろう。
不可能ではないかもしれないが、そのような宿を探すのはドレミナに詳しくないイオにとっては難しい。
また、現在ドレミナには周辺の村や街から避難してきている者も多い。
そのような者たちは、知り合いがドレミナにいればそこで寝泊まり出来るだろうが、それが無理な場合は宿に泊まるしかない。
そして村や街の名士であったり金持ちであったりした場合、当然のように相応の宿に泊まることになるだろう。
つまり、現在のドレミナではイオが思っている程簡単に宿に泊まるといったことは出来ないのだ。
まだそのことについては知らないイオだったが、それでも現状で一番安全な場所がどこかと言われれば……
「イオ?」
「……え?」
どこの宿に泊まろうかと考えていたイオは、不意に自分の名前を喚ばれたことで一瞬身体を硬直させる。
もしかしたら、また先程のような男が自分の名前を呼んだのではないかと思ったのだ。
だが幸いなことに、その声を発したのはそのような人物ではなく、イオにとっても聞き覚えのある声だった。
数秒前とは別の意味でもしかしてと思ってそちらに視線を向けたイオが見たのは、予想通りの顔。
「ソフィアさん?」
馬車――イオが最初に見た黒い虎のモンスターではなく、馬が牽いていた――の窓から、ソフィアの美貌を確認することが出来る。
何故ここにソフィアがいるのか。
そんな疑問がイオの顔に浮かんでいたのだろう。ソフィアは笑みを浮かべて自分の方に来るように手招きをする。
ソフィアにしてみれば、こうしてイオと話しているのを他の者たちに見られるのは不味いと思ったのだろう。
もちろん、その不味いというのはソフィアにとって不味いのではなく、イオにとって不味いのだが。
ソフィアの美貌は多くの者に知られている。
それこそ黎明の覇者を率いている知らない者であっても、その美貌に眼を奪われることは珍しくない。
そのようなソフィアとイオが二人で話しているのを見られれば、嫉妬から何が起きるのかは考えるまでもない。
あるいは自分も何とかしてソフィアとお近づきになりたいと考えた者がイオに擦り寄ってくる可能性もあった。
だからこそ、そのようなことにならないようにイオを馬車の中に呼んだのだ。
イオはそんなソフィアの気遣いに感謝し、素直に馬車に乗る。
ウルフィの信奉者の一件があっただけに、外でソフィアと話すのは……それも自分一人で話すのは不味いと理解したのだろう。
馬車に乗ってきたイオを見て、ソフィアは表情には出さないものの疑問を感じる。
本人は隠しているつもりなのかもしれないが、明らかにイオは疲れているように思えた。
それが精神的な疲れか肉体的な疲れなのかは、ソフィアにも分からなかったが。
(今のドレミナを思えば、何らかの揉めごとに巻き込まれたんでしょうね)
ゴブリンの軍勢の一件もあって、現在ドレミナには周辺の村や街から多くの者たちが避難してきている。
そうである以上、当然ながら騒動の種がそこら中に存在していた。
イオがそのような騒動に巻き込まれたと考えるのは、そう難しい話ではない。
「何か面倒に巻き込まれたようね」
「えっと、その……分かりますか?」
「ええ。貴方の様子を見ればそのくらいの予想は出来るわ。けど、具体的にどういう問題があったのかは分からないから、教えて貰える? ……ああ、その前に、英雄の宴亭に向かうけど構わないわよね?」
「そうですね。今夜はそうした方がいいと思います」
イオは最初英雄の宴亭に泊まるつもりはなかった。
しかし、先程の一件を考えればきちんとした宿で眠る必要がある。
「あら、意外。……本当に面倒な状況になったみたいね。もしよかったら何があったのか話してくれる?」
イオはそんなソフィアの言葉に少し考え、やがて口を開く。
ウルフィとの会話の件、そしてウルフィの信奉者による教育しようと追ってきた件、裏道で恐喝されそうになった件、そこでチンピラ達と信奉者達の間で戦いになりそうになったところでジャミレに助けて貰って件。
それらを話すと、ソフィアは難しい表情を浮かべる。
「ウルフィさんやジャミレさんって、知ってますか?」
「ええ。直接会ったことはないけど、名前は聞いたことがあるわ。特にウルフィはソロだけど腕利きの傭兵として知られているもの」
「そういう人だからこそ、ウルフィさんにはああいう人が周囲にいるんでしょうね」
「そのようね。正直なところ、ウルフィに悪いところがある訳じゃないんだけど。ただ、本人もその辺については困っているという話を聞いたことがあるわ。……ただ、私たちが保護しているイオに危害を加えようとしたのは、正直なところ面白くないわね」
ソフィアにしてみれば、イオは流星魔法の件で仲間に引き入れたいと思っている相手であると同時に、自分たちが現在庇護している相手だ。
そんなイオに危害を加えるということは、それは黎明の覇者に対する敵対行為ですらあった。
(とはいえ、この場合はウルフィではなくてイオを襲おうとした相手ね。一応ウルフィにも話を通しておく必要があるでしょうけど。それにジャミレ……何だってイオはこうも有名人と接触する機会が多いのかしら?)
ジャミレは、黒金の誓いというランクC傭兵団を率いる団長だ。
ただし黒金の誓いは本来ならランクB相当の実力があると言われている。
それでもランクCなのは、傭兵団に色々と問題を起こす者が多いためにそのペナルティという一面があった。
ただしジャミレ本人はその強面の顔とは裏腹に義理人情に厚く、多くの傭兵に慕われている。
そんな人物だからこそ、ランクC傭兵団という多数存在するランクの傭兵団であるにもかかわらずソフィアの記憶に残っていたのだろう。
「えっと、その……まぁ、その辺はお任せします。このままだと、また俺と遭遇したときにどうするか分かりませんので」
自分を教育しようとした男に対する報復を、イオは止めない。
もしこれでイオがお人好しであったり、もしくは偽善者であったりした場合、ソフィアに報復はしないで欲しいと言ったのだろう。
だが、生憎とイオはお人好しでもなければ、偽善者でもない。
あのような相手とは二度と会いたくはないし、会った場合にはまたこちらに危害を加えようとするかもしれない。
それこそ、もしあの男たちとドレミナの外で遭遇した場合、流星魔法の実験台にしてもいいと思うくらいにはイオも思うところがあった。
「ええ、任せておきなさい。これはイオに危害を加えようとしたというのもあるけど、黎明の覇者の面子を潰したということも意味してるのだから。それを思えば、ここはしっかりとした行動を取る必要があるわ」
これはイオのためというのもあるが、それと同等……あるいはそれ以上に黎明の覇者の面子の問題でもある。
ここで何もしない場合、黎明の覇者の面子が立たない。
あるいは報復措置を行うよりも前に先程の男がイオや黎明の覇者に謝罪しに来たとなれば話は別だったが……それはウルフィに対する心酔ぶりを考えれば難しいだろう。
もちろん報復とはいえ、相手を殺すといったような真似はしない。
もしイオが殺されるといったようなことになっていれば、そのような結末もあったかもしれないが、幸か不幸かイオは特に怪我らしい怪我をしていない。
チンピラたちに絡まれた場所では危険だったが、そこはジャミレに助けられている。
だからこそ、報復は行うものの殺すような真似はしない。
金銭的な解決になるか、もしくはある程度痛めつけるか。
その辺は相手の態度にもよって変わる。
ソフィアとしては、黎明の覇者に引き入れたいイオにちょっかいを出してきた相手である以上、相応の報いを与えるつもりではあったが。
ジャミレたちから助けられた裏通りから十分離れ、表通りに戻ってきたところでイオは大きく息を吐く。
最終的には特に何の問題もなく終わったが、それでも命懸けの逃走だったのは間違いない。
純粋に命懸けの逃走というだけなら山の中でゴブリンと行っていたものの、今回イオを襲ってきたのはゴブリンとは比べものにならない強者だ。
チンピラたちも、ゴブリンを相手にした場合は容易に倒せるだけの実力があったのは間違いなかった。
そのような状況であっただけに、イオはジャミレに対して強く感謝している。
結局ジャミレがどのような存在だったのかは、イオにも分からなかったが。
(黎明の覇者の人に聞いてみれば分かるか? ……そう言えば、俺が黎明の覇者に匿われているのはギルドで知られたはずだよな? なのに、ウルフィさんの件で俺を追うのは……どうなんだ? いやまぁ、それだけウルフィさんに心酔しているのかもしれないけど)
ただ、心酔されているウルフィの方は、ありがた迷惑といった様子だったようにイオには思えた。
(どのみち、今はそのことは考えなくてもいいか。とはいえ……どこに泊まるかだよな)
イオは最初、どこかその辺の宿にでも泊まればいいと思っていた。
それこそ、先程の少年が客引きをやっていたような宿に。
もっとも客引きの少年が泊まらないかと言っていた宿は、酒は美味いものの料理はそこそこという様子だったので、イオとしてはあまり泊まる気分ではなかったが。
しかし、そのような宿に泊まった場合、先程の男が嗅ぎつけてくる可能性がある。
ジャミレたちによって注意された状態でさらにイオを襲撃――男の主張では教育――をするか? といった疑問がない訳でもなかったが、ウルフィの信奉者とも呼ぶべき男だけに、ジャミレが何を言ってもその言葉を素直に聞くとは限らなかった。
それこそ、イオを教育する試練であると認識する可能性もあるだろう。
そうである場合、もしその辺の宿に泊まっていると男が突入してきても止めることが出来るとは限らない。
だからこそ安全の面でしっかりとした宿に泊まる必要があるのだが……当然ながら、そのような宿は相応の宿泊料が必要となる。
イオがソフィアから貰った前金はそれなりの金額ではあるものの、そのような高級な宿に泊まれるかと言われれば、難しいだろう。
不可能ではないかもしれないが、そのような宿を探すのはドレミナに詳しくないイオにとっては難しい。
また、現在ドレミナには周辺の村や街から避難してきている者も多い。
そのような者たちは、知り合いがドレミナにいればそこで寝泊まり出来るだろうが、それが無理な場合は宿に泊まるしかない。
そして村や街の名士であったり金持ちであったりした場合、当然のように相応の宿に泊まることになるだろう。
つまり、現在のドレミナではイオが思っている程簡単に宿に泊まるといったことは出来ないのだ。
まだそのことについては知らないイオだったが、それでも現状で一番安全な場所がどこかと言われれば……
「イオ?」
「……え?」
どこの宿に泊まろうかと考えていたイオは、不意に自分の名前を喚ばれたことで一瞬身体を硬直させる。
もしかしたら、また先程のような男が自分の名前を呼んだのではないかと思ったのだ。
だが幸いなことに、その声を発したのはそのような人物ではなく、イオにとっても聞き覚えのある声だった。
数秒前とは別の意味でもしかしてと思ってそちらに視線を向けたイオが見たのは、予想通りの顔。
「ソフィアさん?」
馬車――イオが最初に見た黒い虎のモンスターではなく、馬が牽いていた――の窓から、ソフィアの美貌を確認することが出来る。
何故ここにソフィアがいるのか。
そんな疑問がイオの顔に浮かんでいたのだろう。ソフィアは笑みを浮かべて自分の方に来るように手招きをする。
ソフィアにしてみれば、こうしてイオと話しているのを他の者たちに見られるのは不味いと思ったのだろう。
もちろん、その不味いというのはソフィアにとって不味いのではなく、イオにとって不味いのだが。
ソフィアの美貌は多くの者に知られている。
それこそ黎明の覇者を率いている知らない者であっても、その美貌に眼を奪われることは珍しくない。
そのようなソフィアとイオが二人で話しているのを見られれば、嫉妬から何が起きるのかは考えるまでもない。
あるいは自分も何とかしてソフィアとお近づきになりたいと考えた者がイオに擦り寄ってくる可能性もあった。
だからこそ、そのようなことにならないようにイオを馬車の中に呼んだのだ。
イオはそんなソフィアの気遣いに感謝し、素直に馬車に乗る。
ウルフィの信奉者の一件があっただけに、外でソフィアと話すのは……それも自分一人で話すのは不味いと理解したのだろう。
馬車に乗ってきたイオを見て、ソフィアは表情には出さないものの疑問を感じる。
本人は隠しているつもりなのかもしれないが、明らかにイオは疲れているように思えた。
それが精神的な疲れか肉体的な疲れなのかは、ソフィアにも分からなかったが。
(今のドレミナを思えば、何らかの揉めごとに巻き込まれたんでしょうね)
ゴブリンの軍勢の一件もあって、現在ドレミナには周辺の村や街から多くの者たちが避難してきている。
そうである以上、当然ながら騒動の種がそこら中に存在していた。
イオがそのような騒動に巻き込まれたと考えるのは、そう難しい話ではない。
「何か面倒に巻き込まれたようね」
「えっと、その……分かりますか?」
「ええ。貴方の様子を見ればそのくらいの予想は出来るわ。けど、具体的にどういう問題があったのかは分からないから、教えて貰える? ……ああ、その前に、英雄の宴亭に向かうけど構わないわよね?」
「そうですね。今夜はそうした方がいいと思います」
イオは最初英雄の宴亭に泊まるつもりはなかった。
しかし、先程の一件を考えればきちんとした宿で眠る必要がある。
「あら、意外。……本当に面倒な状況になったみたいね。もしよかったら何があったのか話してくれる?」
イオはそんなソフィアの言葉に少し考え、やがて口を開く。
ウルフィとの会話の件、そしてウルフィの信奉者による教育しようと追ってきた件、裏道で恐喝されそうになった件、そこでチンピラ達と信奉者達の間で戦いになりそうになったところでジャミレに助けて貰って件。
それらを話すと、ソフィアは難しい表情を浮かべる。
「ウルフィさんやジャミレさんって、知ってますか?」
「ええ。直接会ったことはないけど、名前は聞いたことがあるわ。特にウルフィはソロだけど腕利きの傭兵として知られているもの」
「そういう人だからこそ、ウルフィさんにはああいう人が周囲にいるんでしょうね」
「そのようね。正直なところ、ウルフィに悪いところがある訳じゃないんだけど。ただ、本人もその辺については困っているという話を聞いたことがあるわ。……ただ、私たちが保護しているイオに危害を加えようとしたのは、正直なところ面白くないわね」
ソフィアにしてみれば、イオは流星魔法の件で仲間に引き入れたいと思っている相手であると同時に、自分たちが現在庇護している相手だ。
そんなイオに危害を加えるということは、それは黎明の覇者に対する敵対行為ですらあった。
(とはいえ、この場合はウルフィではなくてイオを襲おうとした相手ね。一応ウルフィにも話を通しておく必要があるでしょうけど。それにジャミレ……何だってイオはこうも有名人と接触する機会が多いのかしら?)
ジャミレは、黒金の誓いというランクC傭兵団を率いる団長だ。
ただし黒金の誓いは本来ならランクB相当の実力があると言われている。
それでもランクCなのは、傭兵団に色々と問題を起こす者が多いためにそのペナルティという一面があった。
ただしジャミレ本人はその強面の顔とは裏腹に義理人情に厚く、多くの傭兵に慕われている。
そんな人物だからこそ、ランクC傭兵団という多数存在するランクの傭兵団であるにもかかわらずソフィアの記憶に残っていたのだろう。
「えっと、その……まぁ、その辺はお任せします。このままだと、また俺と遭遇したときにどうするか分かりませんので」
自分を教育しようとした男に対する報復を、イオは止めない。
もしこれでイオがお人好しであったり、もしくは偽善者であったりした場合、ソフィアに報復はしないで欲しいと言ったのだろう。
だが、生憎とイオはお人好しでもなければ、偽善者でもない。
あのような相手とは二度と会いたくはないし、会った場合にはまたこちらに危害を加えようとするかもしれない。
それこそ、もしあの男たちとドレミナの外で遭遇した場合、流星魔法の実験台にしてもいいと思うくらいにはイオも思うところがあった。
「ええ、任せておきなさい。これはイオに危害を加えようとしたというのもあるけど、黎明の覇者の面子を潰したということも意味してるのだから。それを思えば、ここはしっかりとした行動を取る必要があるわ」
これはイオのためというのもあるが、それと同等……あるいはそれ以上に黎明の覇者の面子の問題でもある。
ここで何もしない場合、黎明の覇者の面子が立たない。
あるいは報復措置を行うよりも前に先程の男がイオや黎明の覇者に謝罪しに来たとなれば話は別だったが……それはウルフィに対する心酔ぶりを考えれば難しいだろう。
もちろん報復とはいえ、相手を殺すといったような真似はしない。
もしイオが殺されるといったようなことになっていれば、そのような結末もあったかもしれないが、幸か不幸かイオは特に怪我らしい怪我をしていない。
チンピラたちに絡まれた場所では危険だったが、そこはジャミレに助けられている。
だからこそ、報復は行うものの殺すような真似はしない。
金銭的な解決になるか、もしくはある程度痛めつけるか。
その辺は相手の態度にもよって変わる。
ソフィアとしては、黎明の覇者に引き入れたいイオにちょっかいを出してきた相手である以上、相応の報いを与えるつもりではあったが。
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