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異世界へ
0093話
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空から降ってくる隕石。
今日だけで……いや、ベヒモスを倒したときから、一体何度この辺りに隕石が落ちたのか。
それこそミニメテオを含めて考えれば、確実に十回以上の隕石が落ちているだろう。
普通に考えれば、そのようなことは天災であっても起きない。
そのような状況になっているのは、当然ながらイオが流星魔法を使っているからだ。
イオの手にした杖は、ある意味で予想通りに粉々になって使い物にならなくなっている。
そうである以上、次に流星魔法を使うには新たな杖を手にする必要があるのだが、今のイオは降ってきた隕石に視線を向けているだけで、新たな杖を手にしようとはしていない。
黎明の覇者も含め、戦いに参加していた多くの者達が降ってきた隕石を見ていた。
当然ながら、それぞれに隕石を見ている感情は違う。
黎明の覇者の傭兵たちが降ってくる隕石に向ける視線には大きな希望の色がある。
それと比べると、黎明の覇者と戦っていた者たちの視線に宿るのは、絶望。
今までに何度か見てきた隕石の落下だったが、今回はかなり近くで見てしまった。
それだけではなく、今ここで行われている戦いは明らかに自分たちが不利なのだ。
そうである以上、この場にいる者たちにとって今のメテオの一撃は決定的な……心を折るには十分な威力を持った一撃。
「わ……わああああああああああ!」
今までの戦いでは何とか痩せ我慢をし、見栄を張ってでも逃げずにいた者の一人が、不意にそう叫びながらその場から逃げ出す。
自分の心の折れる音を聞いてしまった以上、もうここにはいられない。
このままここにいれば、自分は間違いなく死ぬ。
そう思ってしまい……一人がそう判断すると、当然ながら他の者たちにもその怯えは伝染する。
それこそ普段なら部下を叱りつけ、逃げ出さないように指示をする者ですら、今の自分は危険だと判断して逃げ出し始めていた。
何をどうすればいいのか。
それが分からないくらい、現在の状況ではどうしようもなかった。
それこそ、仲間が撤退……いや、逃げ出すのを見て、そのまま共に逃げ出したような者もいる。
周囲には自信満々といった様子を見せていたものの、今の自分の状況は決してよくないと理解していたのだ。
だからこそ、今となってはまず自分のこの状況をどうにかするべきだと判断し……
「前に……前に突っ込め! 隕石を落とすにしても、味方にぐべぇ」
何とか現在の状況を打破しようと、前に向かって進めと口にしようとした男の声は、次の瞬間には聞き苦しい音となって周囲に響く。
何があってそのようなことになったのかは、それこそ考えるまでもない。
必死になって指揮を執ろうとした男の存在に気が付いたソフィアが、馬を使って距離を詰め、一気に攻撃したのだ。
魔槍を使ってその一撃は、叫ぼうとした男には一切気が付かせることなく放たれ、次の瞬間には男の頭部が砕かれていた。
それによって、味方に指示を出すといった行為は途中のまま男は死んだ。
「敵は総崩れよ! 一気に倒すわ! ただし、降伏した相手には攻撃しないように!」
ソフィアの口から出たその叫びは、当然ながら黎明の覇者の傭兵たちの耳に届き……同時にそれは、黎明の覇者と敵対していた相手の耳へも届く。
正面から戦って圧倒的に押されている現状、しかも再度隕石が降ってきて、多くの者がどう行動していいのか分からなくなっている今このとき、ソフィアのその言葉は戦っている相手に対する降伏勧告でもあった。
事実、ソフィアのその言葉を比較的近くで聞いた者たちは、すぐに武器を下ろして降伏していく。
当然ながらそのような真似を許せない、あるいは許さないといった者もいた。
しかし降伏するのが許容出来ないからといって、今の状況で特に何かやるべきこと、出来るべきこともない。
もしここで降伏は許さないと言い、それこそ降伏した者を攻撃するといった真似をした場合、どうなるか。
当然ながら、そのような真似をした者は周囲にいる他の降伏した者たちによって攻撃されてしまうのは間違いないだろう。
結局そのような者たちに出来るのは、自分に従う者を引き連れてその場から離れることだけ。
……それでも今の状況で黎明の覇者に攻撃をするのが自殺行為だと判断出来る辺り、最低限の判断力は持っていたのだろう。
「こ……降伏する! 降伏するから助けてくれ!」
不意に戦場にいた者の一人が、手にした武器を地面に落としてそう叫ぶ。
逃げるのではなく降伏した者が出たということに、何人もの者達が視線を向ける。
その中にはふざけるなといったように睨み付けている者もいたが、話はそれだけでは終わらない。
一人が降伏したのを見ると、当然ながら他の者達もそれに続くように降伏し始めたのだ。
今の状況で確実に生き残るためには、そうした方がいい。
そう判断しての行動なのだろう。
実際に本当にそれで助かるかどうかというのは、分からない。
それこそ最後の最後まで逆らった相手だと認識され、降伏後に殺されるといったような可能性すらあるのだから。
しかし、それでも今の自分達の状況を思えばそうしなければならないと、そう思う者が多いのだろう。
これでメテオによって隕石が降ってくるといったようなことがなければ、まだ多少話は違ったかもしれない。
しかし、今の状況を思えばまともに降伏するといったようなことは、とてもではないが口に出来なかった。
そんな中で最初の一人が降伏したのだから、それに続く者が多数現れるのは当然だろう。
すでにこの場から逃げている者も多いのを考えると、降伏している者も含めて結構な数となるのは間違いない。
「逃げるな、降伏するな、戦え、戦え、戦え!」
何人かは必死にそう叫ぶも、それを聞く者はいない。
あるいはこの勢力が元々一つの集団であれば、どうにかなったのかもしれないが……生憎と、ここにいるのは複数の勢力の寄せ集めだ。
自分の本来の上官ならともかく、成り行きで手を組んだだけの相手から戦えと命令されても、とてもではないが話を聞こうとは思えない。
今のこの状況を思えば、やはりここは逃げ出した方がいい。
とてもではないが、死の未来しか待っていないような戦いに巻き込まれるのはごめんだった。
「おい、何をしている! 攻撃しろ! 攻撃しろと……」
「うるせえっ!」
ひたすらに攻撃を命じていた男は、後ろから槍を持った兵士によって胴体を貫かれ、そのまま地面に崩れ落ちる。
これが、決定的な出来事だった。
戦いの中で士気が下がり、混乱し、そして指揮官を下の者が殺す。
そのような真似をすれば当然ながら戦場は完全に崩壊する。
「逃げろ、逃げろ、逃げろぉっ!」
誰かが叫び、そして止める者もおらず……最終的に、この場の戦いはこれで終わるのだった。
「うわぁ……ほとんどソフィアさんの言った通りになってるな」
その戦場を見ていたイオの口からそんな声が漏れる。
イオの側では、レックスが興奮した様子で叫んでいた。
「凄い、凄いですよ。本当にこんな風に戦場の流れ全体を読んで、その通りに動かすなんて……戦いの規模そのものはそこまで大きくはないですが、それでもここまでやるなんて……」
元々レックスは英雄に憧れて傭兵になった経歴の持ち主だ。
そんなレックスの目から見て、この戦場を自由に動かし、当初話した通りに終わらせたその様子は、まさに英雄と呼ぶに相応しい行動だったのだろう。
普段の静かな様子とは裏腹に、興奮した様子を見せていた。
いつもなら、イオが行動してレックスがそれを止めるといったようなやり取りをする。
しかし、今は完全にそれが逆だった。
「落ち着け、レックス。今はまずこの戦いをどうにかする方が先だろ。……ここでの戦いが終わったってことは、他の場所に援軍に向かわなくてもいいんですか?」
イオはレックスに声をかけてから、自分の側にいた弓を持つ人物に尋ねる。
ここにやってきた敵の数が明らかに少ないと、戦いが始まる前にソフィアが言っていたのを覚えていたからだ。
それでもここが本陣であり、他の陣地……具体的には黎明の覇者に降伏した勢力が用意した陣地に戦力が向かっているとしても、明らかにここよりは少ないはずだった。
ここと同じくらい、あるいはこれ以上の戦力が移動していれば、その時点で察知されていただろう。
それでも、この場で黎明の覇者が勝利したのは、あくまでもソフィアたちが強かったからに他ならない。
降伏してきた勢力の大半は、ランクの低い――あくまでも黎明の覇者と比べてだが――傭兵団となる。
正確にはドレミナの騎士団がいたように、流星魔法を求めてここにやって来たのはその全てが傭兵団という訳ではないのだが……それも形式は傭兵団ではないというだけで、戦力であるという点では傭兵団とそう違いはない。
「そうだな。そっちの方にも黎明の覇者から何人か派遣しているのは間違いない。であれば、問題はないはずだ。それに……ここでの戦いも勝負がついた。こちらからさらに戦力を派遣するこになれば、他の陣地を攻めている相手がいても、対処するのは難しくはないだろう」
イオとレックスの側にいた傭兵の一人が、そう話しかけてくる。
今の状況を思えば、何とか戦力を用意する必要があるというのは理解出来ているのだろう。
……正確には、何とかとまではいかずとも、容易に戦力を派遣出来るのだが。
「俺たちは、そっちに向かわなくてもいいんですか? いえ、俺が行っても殆ど役に立つとは思えませんけど」
実際、イオがそちらに向かったとしても、出来るのは流星魔法くらいだ。
メテオは当然のように使う訳にもいかないので、そうなると実際に使うのはミニメテオとなるだろう。
そのミニメテオも、規模こそ小さいものの、殺傷力という点では十分以上に高い。
だからこそ、今回の一件を考えるとイオはある意味で過剰戦力でもあった。
……何よりも、手加減を出来ないというのが非常に大きい。
そんなイオを送るのであれば、それこそ普通の傭兵たちを送った方がいい。
イオも自分の能力を冷静に判断して、傭兵にそう言うのだった。
今日だけで……いや、ベヒモスを倒したときから、一体何度この辺りに隕石が落ちたのか。
それこそミニメテオを含めて考えれば、確実に十回以上の隕石が落ちているだろう。
普通に考えれば、そのようなことは天災であっても起きない。
そのような状況になっているのは、当然ながらイオが流星魔法を使っているからだ。
イオの手にした杖は、ある意味で予想通りに粉々になって使い物にならなくなっている。
そうである以上、次に流星魔法を使うには新たな杖を手にする必要があるのだが、今のイオは降ってきた隕石に視線を向けているだけで、新たな杖を手にしようとはしていない。
黎明の覇者も含め、戦いに参加していた多くの者達が降ってきた隕石を見ていた。
当然ながら、それぞれに隕石を見ている感情は違う。
黎明の覇者の傭兵たちが降ってくる隕石に向ける視線には大きな希望の色がある。
それと比べると、黎明の覇者と戦っていた者たちの視線に宿るのは、絶望。
今までに何度か見てきた隕石の落下だったが、今回はかなり近くで見てしまった。
それだけではなく、今ここで行われている戦いは明らかに自分たちが不利なのだ。
そうである以上、この場にいる者たちにとって今のメテオの一撃は決定的な……心を折るには十分な威力を持った一撃。
「わ……わああああああああああ!」
今までの戦いでは何とか痩せ我慢をし、見栄を張ってでも逃げずにいた者の一人が、不意にそう叫びながらその場から逃げ出す。
自分の心の折れる音を聞いてしまった以上、もうここにはいられない。
このままここにいれば、自分は間違いなく死ぬ。
そう思ってしまい……一人がそう判断すると、当然ながら他の者たちにもその怯えは伝染する。
それこそ普段なら部下を叱りつけ、逃げ出さないように指示をする者ですら、今の自分は危険だと判断して逃げ出し始めていた。
何をどうすればいいのか。
それが分からないくらい、現在の状況ではどうしようもなかった。
それこそ、仲間が撤退……いや、逃げ出すのを見て、そのまま共に逃げ出したような者もいる。
周囲には自信満々といった様子を見せていたものの、今の自分の状況は決してよくないと理解していたのだ。
だからこそ、今となってはまず自分のこの状況をどうにかするべきだと判断し……
「前に……前に突っ込め! 隕石を落とすにしても、味方にぐべぇ」
何とか現在の状況を打破しようと、前に向かって進めと口にしようとした男の声は、次の瞬間には聞き苦しい音となって周囲に響く。
何があってそのようなことになったのかは、それこそ考えるまでもない。
必死になって指揮を執ろうとした男の存在に気が付いたソフィアが、馬を使って距離を詰め、一気に攻撃したのだ。
魔槍を使ってその一撃は、叫ぼうとした男には一切気が付かせることなく放たれ、次の瞬間には男の頭部が砕かれていた。
それによって、味方に指示を出すといった行為は途中のまま男は死んだ。
「敵は総崩れよ! 一気に倒すわ! ただし、降伏した相手には攻撃しないように!」
ソフィアの口から出たその叫びは、当然ながら黎明の覇者の傭兵たちの耳に届き……同時にそれは、黎明の覇者と敵対していた相手の耳へも届く。
正面から戦って圧倒的に押されている現状、しかも再度隕石が降ってきて、多くの者がどう行動していいのか分からなくなっている今このとき、ソフィアのその言葉は戦っている相手に対する降伏勧告でもあった。
事実、ソフィアのその言葉を比較的近くで聞いた者たちは、すぐに武器を下ろして降伏していく。
当然ながらそのような真似を許せない、あるいは許さないといった者もいた。
しかし降伏するのが許容出来ないからといって、今の状況で特に何かやるべきこと、出来るべきこともない。
もしここで降伏は許さないと言い、それこそ降伏した者を攻撃するといった真似をした場合、どうなるか。
当然ながら、そのような真似をした者は周囲にいる他の降伏した者たちによって攻撃されてしまうのは間違いないだろう。
結局そのような者たちに出来るのは、自分に従う者を引き連れてその場から離れることだけ。
……それでも今の状況で黎明の覇者に攻撃をするのが自殺行為だと判断出来る辺り、最低限の判断力は持っていたのだろう。
「こ……降伏する! 降伏するから助けてくれ!」
不意に戦場にいた者の一人が、手にした武器を地面に落としてそう叫ぶ。
逃げるのではなく降伏した者が出たということに、何人もの者達が視線を向ける。
その中にはふざけるなといったように睨み付けている者もいたが、話はそれだけでは終わらない。
一人が降伏したのを見ると、当然ながら他の者達もそれに続くように降伏し始めたのだ。
今の状況で確実に生き残るためには、そうした方がいい。
そう判断しての行動なのだろう。
実際に本当にそれで助かるかどうかというのは、分からない。
それこそ最後の最後まで逆らった相手だと認識され、降伏後に殺されるといったような可能性すらあるのだから。
しかし、それでも今の自分達の状況を思えばそうしなければならないと、そう思う者が多いのだろう。
これでメテオによって隕石が降ってくるといったようなことがなければ、まだ多少話は違ったかもしれない。
しかし、今の状況を思えばまともに降伏するといったようなことは、とてもではないが口に出来なかった。
そんな中で最初の一人が降伏したのだから、それに続く者が多数現れるのは当然だろう。
すでにこの場から逃げている者も多いのを考えると、降伏している者も含めて結構な数となるのは間違いない。
「逃げるな、降伏するな、戦え、戦え、戦え!」
何人かは必死にそう叫ぶも、それを聞く者はいない。
あるいはこの勢力が元々一つの集団であれば、どうにかなったのかもしれないが……生憎と、ここにいるのは複数の勢力の寄せ集めだ。
自分の本来の上官ならともかく、成り行きで手を組んだだけの相手から戦えと命令されても、とてもではないが話を聞こうとは思えない。
今のこの状況を思えば、やはりここは逃げ出した方がいい。
とてもではないが、死の未来しか待っていないような戦いに巻き込まれるのはごめんだった。
「おい、何をしている! 攻撃しろ! 攻撃しろと……」
「うるせえっ!」
ひたすらに攻撃を命じていた男は、後ろから槍を持った兵士によって胴体を貫かれ、そのまま地面に崩れ落ちる。
これが、決定的な出来事だった。
戦いの中で士気が下がり、混乱し、そして指揮官を下の者が殺す。
そのような真似をすれば当然ながら戦場は完全に崩壊する。
「逃げろ、逃げろ、逃げろぉっ!」
誰かが叫び、そして止める者もおらず……最終的に、この場の戦いはこれで終わるのだった。
「うわぁ……ほとんどソフィアさんの言った通りになってるな」
その戦場を見ていたイオの口からそんな声が漏れる。
イオの側では、レックスが興奮した様子で叫んでいた。
「凄い、凄いですよ。本当にこんな風に戦場の流れ全体を読んで、その通りに動かすなんて……戦いの規模そのものはそこまで大きくはないですが、それでもここまでやるなんて……」
元々レックスは英雄に憧れて傭兵になった経歴の持ち主だ。
そんなレックスの目から見て、この戦場を自由に動かし、当初話した通りに終わらせたその様子は、まさに英雄と呼ぶに相応しい行動だったのだろう。
普段の静かな様子とは裏腹に、興奮した様子を見せていた。
いつもなら、イオが行動してレックスがそれを止めるといったようなやり取りをする。
しかし、今は完全にそれが逆だった。
「落ち着け、レックス。今はまずこの戦いをどうにかする方が先だろ。……ここでの戦いが終わったってことは、他の場所に援軍に向かわなくてもいいんですか?」
イオはレックスに声をかけてから、自分の側にいた弓を持つ人物に尋ねる。
ここにやってきた敵の数が明らかに少ないと、戦いが始まる前にソフィアが言っていたのを覚えていたからだ。
それでもここが本陣であり、他の陣地……具体的には黎明の覇者に降伏した勢力が用意した陣地に戦力が向かっているとしても、明らかにここよりは少ないはずだった。
ここと同じくらい、あるいはこれ以上の戦力が移動していれば、その時点で察知されていただろう。
それでも、この場で黎明の覇者が勝利したのは、あくまでもソフィアたちが強かったからに他ならない。
降伏してきた勢力の大半は、ランクの低い――あくまでも黎明の覇者と比べてだが――傭兵団となる。
正確にはドレミナの騎士団がいたように、流星魔法を求めてここにやって来たのはその全てが傭兵団という訳ではないのだが……それも形式は傭兵団ではないというだけで、戦力であるという点では傭兵団とそう違いはない。
「そうだな。そっちの方にも黎明の覇者から何人か派遣しているのは間違いない。であれば、問題はないはずだ。それに……ここでの戦いも勝負がついた。こちらからさらに戦力を派遣するこになれば、他の陣地を攻めている相手がいても、対処するのは難しくはないだろう」
イオとレックスの側にいた傭兵の一人が、そう話しかけてくる。
今の状況を思えば、何とか戦力を用意する必要があるというのは理解出来ているのだろう。
……正確には、何とかとまではいかずとも、容易に戦力を派遣出来るのだが。
「俺たちは、そっちに向かわなくてもいいんですか? いえ、俺が行っても殆ど役に立つとは思えませんけど」
実際、イオがそちらに向かったとしても、出来るのは流星魔法くらいだ。
メテオは当然のように使う訳にもいかないので、そうなると実際に使うのはミニメテオとなるだろう。
そのミニメテオも、規模こそ小さいものの、殺傷力という点では十分以上に高い。
だからこそ、今回の一件を考えるとイオはある意味で過剰戦力でもあった。
……何よりも、手加減を出来ないというのが非常に大きい。
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