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異世界へ
0108話
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十分にドレミナから離れたものの、騎士や兵士は未だに黎明の覇者を追ってくる。
向こうは大多数が馬に乗っている訳ではなく歩きでの移動なので、そういう意味では全員が馬車に乗って移動する黎明の覇者なら、その気になれば置き去りにすることも出来るだろう。
だが、それでも今のような状態でそのような真似をしないのは、ここで置いていってもどこまでも追ってくると思えたためだ。
ここで下手に置いていった場合、そうして追ってきて……その先でどこかの勢力と敵になった場合、挟撃をしてくる可能性が高い。
「つまり、俺の出番ですね」
「そうなるわね。メテオをお願い」
杖を手にしたイオに、ソフィアはそう頼む。
イオの使うメテオを脅しの一撃とはいえ間近で見た場合……それでも騎士たちが追ってくるかどうかは微妙だろう。
あるいはその状況でも追ってきた場合、今度は本当の意味でメテオをぶつけることになるだろうが。
イオとしては、出来ればそのようなことにはなって欲しくない。
騎士の中には住人のことを考えている者もいたのだから。
とはいえ、だからといって敵が追ってくるというのに手加減をするといった真似も出来ない。
……そもそもも話、メテオを使うのに手加減をするといった真似は出来ないのだが。
あるいは将来的にイオがもっと本格的に流星魔法を使いこなせるとようになれば、手加減をするようなことも出来るかもしれない。
しかし、今のイオにはまだそこまでのことは出来なかった。
「じゃあ……まずは脅し、いきます」
呟き、イオは杖を手にして呪文を唱え始める。
『空に漂いし岩よ。我が思うがままにその姿を現し、我が前に立ち塞がる敵を滅ぼせ……メテオ』
呪文が発動すると同時に、イオの持つ杖は砕ける。
「え?」
驚きの声を発したのは、ローザ。
メテオを使えば杖が壊れるというのは聞いていた。
しかし、こうして実際にそれを間近で見るのは初めてなので、驚きの声を発したのだ。
イオにしてみれば、これまで何度も杖は破壊されてきたこともあり、この程度ではもう驚くようなことはないので、寧ろそんなローザの反応こそが新鮮だったが。
「ローザ、空を見て」
そんなローザに、ソフィアが言う。
その声に空を見たローザは、やがて天から降ってくる隕石の姿に気が付く。
真っ直ぐに降ってきたその隕石は、当然だが黎明の覇者でもなく……そしてついてきている騎士や兵士ではなく、かなり離れた場所に着弾する。
イオが唱えたメテオの呪文は、落ちた隕石の被害を出来るだけ押さえるようにとアレンジされた呪文だった。
しかし……それでも、降ってきた隕石は地上にぶつかると巨大な爆発があったかのような音が周囲に響き渡り、その衝撃で隕石が落ちた地面は砕かれ、周囲には強烈な爆風が巻き起こる。
本来なら、その衝撃によって馬車は吹き飛ばされもおかしくはない。
しかしイオがアレンジした呪文だったので、その効果範囲はそこまで広くはないのでその被害は限定的だ。
もっとも、それはあくまでも効果範囲外にいる者だからこそ、被害は限定的だと言えるのだろうが。
もし直接隕石が自分に落ちてこなくても、その衝撃が伝わる効果範囲内にいたらどうなるか……それは、ゴブリンの軍勢がどのような未来を辿ったのかが証明している。
イオとソフィア、レックスの三人は間近でメテオを見たことはあったが、ここにいる他の者達は、そのほとんどがここまで間近でメテオを見るのは初めてだ。
ベヒモスの一件で援軍としてやってきた面々は、その後の戦いで何度もメテオを見たのだが。
そういう意味では、騎士や兵士たちと同様に黎明の覇者の者たちも今回イオが使ったメテオを間近で見たことによって、大きな衝撃を受けていたのは間違いないだろう。
ただし、追ってきた騎士や兵士達との違いはそのメテオが自分たちに向けられているのかどうかだろう。
……実際には今回放ったメテオは騎士や兵士を狙ったとはいえ、命中させた訳ではない。
あくまでも今の一撃は脅しで、騎士や兵士たちにこのまま自分たちを追ってきたらどうなるのかを示すための一撃というのが大きかった。
「どう……なったの?」
メテオの衝撃から復活したローザが、恐る恐るといった様子で尋ねる。
今の一撃の威力がどうなったのか。それを素直に聞きたかったのだろう。
その口調が普段と違うのは、それだけイオの放ったメテオの効果がもの凄かったということか。
ローザにしてみれば、話には聞いていた。しかし、話に聞いていたと実際に自分の目で見るのとでは大きく違ったのだ。
そんなローザに、ソフィアは笑みを浮かべて口を開く。
「イオの使ったメテオは、問題なく目的の場所……追ってきた騎士や兵士から離れた場所に命中したわ。あとは、これで大人しく向こうが引いてくれるかどうかだけど……どうかしらね」
「さすがに自分たちに直撃しなくても、イオが流星魔法を使えるのならこのまま撤退すると思うけど。でないと、次はさっきの隕石が自分たちに降ってくるかもしれないんでしょう?」
普通に考えた場合、そのような攻撃を自分に使われたいとは思わない。
もしそのようなことがあったら、それこそ自殺願望の持ち主なのではないかとすら思ってしまうだろう。
とはいえ、先程の騎士の様子から考えると、上からの命令だからということで退いたりしない可能性は十分にあったが。
「それで、このまま向こうが撤退しない場合は……どうするの? もう一度流星魔法を使うにしても、杖が……」
イオが流星魔法を使えば杖が砕けるという話はローザも聞いていたものの、こうして実際にそれを見ればメテオとはまた違った意味での驚きがあった。
何しろ杖が本当に砕けたのだから。
そして杖がなければ、当然ながら流星魔法を使うことは出来ない。
もっとも、イオもメテオを使えば杖が壊れるのは予想していた。
だからこそ杖は予備として持ってきている。
それを使えば、また新たなメテオを使うことが出来るのだが……
(俺がメテオを使えば、杖が壊れるというのを知られると厄介なことになりそうだよな。今のところ、そっちについての情報はそこまで広まっていないが)
イオが流星魔法を使うというのは、すでに多くの者が知っている。
しかし、メテオを使えば杖が破壊されるというのは、まだ知られていない。
とはいえ、この手の情報はそう遠くないうちに広がるだろうとイオには思えた。
何しろイオが流星魔法で杖が壊れるというのは、黎明の覇者に所属する者ならすでに知っている情報だ。
現在はベヒモスのいるところに集まっている黎明の覇者の精鋭、あるいは盗賊の討伐のために行った見習い組といった者たちなら全員がその件を知っている。
その中には、イオを嫌っている者も多い。
そうである以上。イオの情報が他の場所に流れてもおかしくはなかった。
とはいえ、もし実際にそのような真似をしたらただですまないというのは予想出来るのだろうが。
「取りあえず、今のイオの一撃で追跡している相手が怯んだのは間違いないわ。今のうちに、少しでも離れておきましょう。これで向こうがイオの力を思い知って、追跡してくるのを諦めてくれるといいんだけど」
ソフィアがそう言いながら、自分の乗っている馬車の御者に……そして他の馬車にも、移動速度を上げるようにと指示を出す。
ここで黎明の覇者がゆっくりと移動している場合、それを見て追ってきている騎士や兵士たちも、自分たちの仕事をしっかりとこなさなければならないと、そう思ってもおかしくはないのだから。
そうならないように……自分たちを追うのを諦めさせるためには、ここで一気に距離を稼ぐ必要があった。
とはいえ……
「何人か追ってきてるわね。しかもこの速さからすると、馬に乗ってるわ。だとすると騎士かしら」
馬車が速度を上げて少し経つと、ソフィアがそう呟く。
間近でメテオを見て、それでも追ってくるのを止めなかったらしい。
イオにしてみれば、そんな相手が何を考えているのかはよく分からない。
お互いの間にある圧倒的な力の差というのは、向こうにも十分に理解しているはずなのだが。
それにある程度の集団であればまだしも、数人程度で黎明の覇者をどうにか出来るはずもない。
「だとすれば、攻撃をするつもりではなく、純粋に偵察目的とかでしょうか?」
レックスのその疑問には、イオもなるほどと納得する。
この状況で敵が引き返すといった真似をしないのは、当然ながら相応の理由があるのは間違いない。
であれば、その理由として一番簡単なのは偵察が目的なのは間違いないだろうと。
とはいえ、それはそれで面倒なことに違いはない。
「メテオ……じゃなくて、ミニメテオを使いますか? メテオほどではないにしろ、こっちを尾行してきている相手を牽制するという意味ではそれが最適だと思いますけど」
馬車に用意されてあった新しい杖を手にし、イオが尋ねる。
ミニメテオは威力こそメテオには遠く及ばないものの、それだけに気軽に使える流星魔法なのは間違いない。
また、メテオには及ばずとも、命中すれば相手を殺すことが出来る程度の威力は持っている。
尾行する方にしてみれば、とてもではないがそんな魔法を使われるのは嫌だろう。
「そうね。じゃあ、お願い出来る?」
ソフィアもミニメテオについては分かっているので、気安くそう言ってくる。
さきほど使われたメテオと違い、ただのメテオはそこまでの威力はない。
だからこそ、こうして気安く言えるのだ。
「え? ちょっと、いいの? メテオってさっきの魔法でしょ?」
ローザが知ってる魔法はメテオだけに、そんなにあっさりと頼んで……そして頷いてもいいのかというのは分からない。
ミニメテオは、ベヒモスの骨のある場所で起こって戦いでイオが新たに生み出した魔法なのだから当然だろう。
「使うのはメテオじゃなくて、ミニメテオだから大丈夫ですよ」
ローザにそう言い、イオは杖を手に呪文を唱え始める。
『空に漂いし小さな石よ、我の意思にしたがい小さなその姿を我が前に現し、我が敵を射貫け……ミニメテオ』
呪文を唱え終え……そして少しのタイムラグのあとで、小さな隕石が空中から降ってくるのだった。
向こうは大多数が馬に乗っている訳ではなく歩きでの移動なので、そういう意味では全員が馬車に乗って移動する黎明の覇者なら、その気になれば置き去りにすることも出来るだろう。
だが、それでも今のような状態でそのような真似をしないのは、ここで置いていってもどこまでも追ってくると思えたためだ。
ここで下手に置いていった場合、そうして追ってきて……その先でどこかの勢力と敵になった場合、挟撃をしてくる可能性が高い。
「つまり、俺の出番ですね」
「そうなるわね。メテオをお願い」
杖を手にしたイオに、ソフィアはそう頼む。
イオの使うメテオを脅しの一撃とはいえ間近で見た場合……それでも騎士たちが追ってくるかどうかは微妙だろう。
あるいはその状況でも追ってきた場合、今度は本当の意味でメテオをぶつけることになるだろうが。
イオとしては、出来ればそのようなことにはなって欲しくない。
騎士の中には住人のことを考えている者もいたのだから。
とはいえ、だからといって敵が追ってくるというのに手加減をするといった真似も出来ない。
……そもそもも話、メテオを使うのに手加減をするといった真似は出来ないのだが。
あるいは将来的にイオがもっと本格的に流星魔法を使いこなせるとようになれば、手加減をするようなことも出来るかもしれない。
しかし、今のイオにはまだそこまでのことは出来なかった。
「じゃあ……まずは脅し、いきます」
呟き、イオは杖を手にして呪文を唱え始める。
『空に漂いし岩よ。我が思うがままにその姿を現し、我が前に立ち塞がる敵を滅ぼせ……メテオ』
呪文が発動すると同時に、イオの持つ杖は砕ける。
「え?」
驚きの声を発したのは、ローザ。
メテオを使えば杖が壊れるというのは聞いていた。
しかし、こうして実際にそれを間近で見るのは初めてなので、驚きの声を発したのだ。
イオにしてみれば、これまで何度も杖は破壊されてきたこともあり、この程度ではもう驚くようなことはないので、寧ろそんなローザの反応こそが新鮮だったが。
「ローザ、空を見て」
そんなローザに、ソフィアが言う。
その声に空を見たローザは、やがて天から降ってくる隕石の姿に気が付く。
真っ直ぐに降ってきたその隕石は、当然だが黎明の覇者でもなく……そしてついてきている騎士や兵士ではなく、かなり離れた場所に着弾する。
イオが唱えたメテオの呪文は、落ちた隕石の被害を出来るだけ押さえるようにとアレンジされた呪文だった。
しかし……それでも、降ってきた隕石は地上にぶつかると巨大な爆発があったかのような音が周囲に響き渡り、その衝撃で隕石が落ちた地面は砕かれ、周囲には強烈な爆風が巻き起こる。
本来なら、その衝撃によって馬車は吹き飛ばされもおかしくはない。
しかしイオがアレンジした呪文だったので、その効果範囲はそこまで広くはないのでその被害は限定的だ。
もっとも、それはあくまでも効果範囲外にいる者だからこそ、被害は限定的だと言えるのだろうが。
もし直接隕石が自分に落ちてこなくても、その衝撃が伝わる効果範囲内にいたらどうなるか……それは、ゴブリンの軍勢がどのような未来を辿ったのかが証明している。
イオとソフィア、レックスの三人は間近でメテオを見たことはあったが、ここにいる他の者達は、そのほとんどがここまで間近でメテオを見るのは初めてだ。
ベヒモスの一件で援軍としてやってきた面々は、その後の戦いで何度もメテオを見たのだが。
そういう意味では、騎士や兵士たちと同様に黎明の覇者の者たちも今回イオが使ったメテオを間近で見たことによって、大きな衝撃を受けていたのは間違いないだろう。
ただし、追ってきた騎士や兵士達との違いはそのメテオが自分たちに向けられているのかどうかだろう。
……実際には今回放ったメテオは騎士や兵士を狙ったとはいえ、命中させた訳ではない。
あくまでも今の一撃は脅しで、騎士や兵士たちにこのまま自分たちを追ってきたらどうなるのかを示すための一撃というのが大きかった。
「どう……なったの?」
メテオの衝撃から復活したローザが、恐る恐るといった様子で尋ねる。
今の一撃の威力がどうなったのか。それを素直に聞きたかったのだろう。
その口調が普段と違うのは、それだけイオの放ったメテオの効果がもの凄かったということか。
ローザにしてみれば、話には聞いていた。しかし、話に聞いていたと実際に自分の目で見るのとでは大きく違ったのだ。
そんなローザに、ソフィアは笑みを浮かべて口を開く。
「イオの使ったメテオは、問題なく目的の場所……追ってきた騎士や兵士から離れた場所に命中したわ。あとは、これで大人しく向こうが引いてくれるかどうかだけど……どうかしらね」
「さすがに自分たちに直撃しなくても、イオが流星魔法を使えるのならこのまま撤退すると思うけど。でないと、次はさっきの隕石が自分たちに降ってくるかもしれないんでしょう?」
普通に考えた場合、そのような攻撃を自分に使われたいとは思わない。
もしそのようなことがあったら、それこそ自殺願望の持ち主なのではないかとすら思ってしまうだろう。
とはいえ、先程の騎士の様子から考えると、上からの命令だからということで退いたりしない可能性は十分にあったが。
「それで、このまま向こうが撤退しない場合は……どうするの? もう一度流星魔法を使うにしても、杖が……」
イオが流星魔法を使えば杖が砕けるという話はローザも聞いていたものの、こうして実際にそれを見ればメテオとはまた違った意味での驚きがあった。
何しろ杖が本当に砕けたのだから。
そして杖がなければ、当然ながら流星魔法を使うことは出来ない。
もっとも、イオもメテオを使えば杖が壊れるのは予想していた。
だからこそ杖は予備として持ってきている。
それを使えば、また新たなメテオを使うことが出来るのだが……
(俺がメテオを使えば、杖が壊れるというのを知られると厄介なことになりそうだよな。今のところ、そっちについての情報はそこまで広まっていないが)
イオが流星魔法を使うというのは、すでに多くの者が知っている。
しかし、メテオを使えば杖が破壊されるというのは、まだ知られていない。
とはいえ、この手の情報はそう遠くないうちに広がるだろうとイオには思えた。
何しろイオが流星魔法で杖が壊れるというのは、黎明の覇者に所属する者ならすでに知っている情報だ。
現在はベヒモスのいるところに集まっている黎明の覇者の精鋭、あるいは盗賊の討伐のために行った見習い組といった者たちなら全員がその件を知っている。
その中には、イオを嫌っている者も多い。
そうである以上。イオの情報が他の場所に流れてもおかしくはなかった。
とはいえ、もし実際にそのような真似をしたらただですまないというのは予想出来るのだろうが。
「取りあえず、今のイオの一撃で追跡している相手が怯んだのは間違いないわ。今のうちに、少しでも離れておきましょう。これで向こうがイオの力を思い知って、追跡してくるのを諦めてくれるといいんだけど」
ソフィアがそう言いながら、自分の乗っている馬車の御者に……そして他の馬車にも、移動速度を上げるようにと指示を出す。
ここで黎明の覇者がゆっくりと移動している場合、それを見て追ってきている騎士や兵士たちも、自分たちの仕事をしっかりとこなさなければならないと、そう思ってもおかしくはないのだから。
そうならないように……自分たちを追うのを諦めさせるためには、ここで一気に距離を稼ぐ必要があった。
とはいえ……
「何人か追ってきてるわね。しかもこの速さからすると、馬に乗ってるわ。だとすると騎士かしら」
馬車が速度を上げて少し経つと、ソフィアがそう呟く。
間近でメテオを見て、それでも追ってくるのを止めなかったらしい。
イオにしてみれば、そんな相手が何を考えているのかはよく分からない。
お互いの間にある圧倒的な力の差というのは、向こうにも十分に理解しているはずなのだが。
それにある程度の集団であればまだしも、数人程度で黎明の覇者をどうにか出来るはずもない。
「だとすれば、攻撃をするつもりではなく、純粋に偵察目的とかでしょうか?」
レックスのその疑問には、イオもなるほどと納得する。
この状況で敵が引き返すといった真似をしないのは、当然ながら相応の理由があるのは間違いない。
であれば、その理由として一番簡単なのは偵察が目的なのは間違いないだろうと。
とはいえ、それはそれで面倒なことに違いはない。
「メテオ……じゃなくて、ミニメテオを使いますか? メテオほどではないにしろ、こっちを尾行してきている相手を牽制するという意味ではそれが最適だと思いますけど」
馬車に用意されてあった新しい杖を手にし、イオが尋ねる。
ミニメテオは威力こそメテオには遠く及ばないものの、それだけに気軽に使える流星魔法なのは間違いない。
また、メテオには及ばずとも、命中すれば相手を殺すことが出来る程度の威力は持っている。
尾行する方にしてみれば、とてもではないがそんな魔法を使われるのは嫌だろう。
「そうね。じゃあ、お願い出来る?」
ソフィアもミニメテオについては分かっているので、気安くそう言ってくる。
さきほど使われたメテオと違い、ただのメテオはそこまでの威力はない。
だからこそ、こうして気安く言えるのだ。
「え? ちょっと、いいの? メテオってさっきの魔法でしょ?」
ローザが知ってる魔法はメテオだけに、そんなにあっさりと頼んで……そして頷いてもいいのかというのは分からない。
ミニメテオは、ベヒモスの骨のある場所で起こって戦いでイオが新たに生み出した魔法なのだから当然だろう。
「使うのはメテオじゃなくて、ミニメテオだから大丈夫ですよ」
ローザにそう言い、イオは杖を手に呪文を唱え始める。
『空に漂いし小さな石よ、我の意思にしたがい小さなその姿を我が前に現し、我が敵を射貫け……ミニメテオ』
呪文を唱え終え……そして少しのタイムラグのあとで、小さな隕石が空中から降ってくるのだった。
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