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異世界へ
0116話
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「お、黎明の覇者の団長が戻ってきたって?」
「よし、交渉だ! まずは俺が交渉するから……」
「いやいや、ちょっと待ってよ。ここは普通私からでしょ。以前の借り、忘れてないわよね?」
商隊と一口で言っても、それには色々な種類の商隊がある。
一定以上の大きな商人の商隊であれば、その商人の部下たちだけで十分だろう。
だが、それ以外……商人としての規模が小さい者たちが商隊を結成するとなると、色々な商人が集まって結成することになる。
当然ながらそれぞれが別の……独立した商人である以上、その商人が誰かと契約をしても、その契約は自分だけのものだ。
だからこそ、ベヒモスの骨についての売買交渉をするのにも商隊で纏まってやるのではなく、商隊を結成している商人がそれぞれ個人で交渉しようとする。
そして当然の話だが交渉は商人が全員で一気にやる訳にはいかない以上、順番となる。
先に交渉した方が有利……とは必ずしも限らないのだが、そのように考えている者も多いらしく、自分が少しでも早く交渉をしたいと貸しであったり、商売の規模であったり、人間関係であったり……様々なことを材料に、仲間と順番争いをする。
そして、順番争いをしているのは商人たちだけではない。
「これだけ巨大な隕石を自由に落とせる魔法を使えるのだぞ? なら、その人物と会うのは私に任せて欲しい」
「あら、聞いた話だとこの隕石を落とす魔法……流星魔法を使ったのは、十代の男だとか。なら、ここはやはり女である私が交渉すべきです」
「けっ、何を言ってやがる。お前が年下好みなのはいいけど、それで隕石の件をどうにかするなんて真似は許さねえぞ」
「そうよ。どうせなら私が……私が……きゃああああああっ! 駄目よそんなこと。私たちはまだ会ったばかりなんだから、そういうのはもっと時間をかけて……」
「って、おい! そんなボサボサ頭で女らしい様子がないお前が、色気でどうにか出来る訳がないだろ! 妄想もその辺にしておけ!」
「信じらんない! 女の子にそんなことを言うなんて!」
「は、女の子だぁ? 何を寝惚けてるんだ?」
隕石を調べに来た者たちもまた、商隊と同じく自分が隕石を落としたイオと少しでも早く会いたいと、言い争いをいしている。
商隊の方ではまだしも冷静に言い争いが出来ていたのだが、隕石を調べている者たちはもっと直接的な言葉で……いや、それどころか、手足が出てもおかしくはない様子でやり取りしていた。
隕石を調べに来たのだから、その対象である隕石は是非とも確保したいのだ。
しかし、その隕石を降らせた者がいる以上、この隕石の所有権はその者にある。
本来ならこれだけの人数が集まっていない場所であれば、その隕石の所有権を主張してもおかしくはない。
この辺りにはベヒモスを倒した隕石とはまた別に、ベヒモスの素材を欲し、流星魔法を使うイオを確保しようとした勢力が多数集まっていたことがあり、そんな相手に対してイオは何度か流星魔法を使っている。
そちらの隕石もあるのだが、その隕石もこの近くにある以上は所有権云々の問題があり、確保するのは難しかった。
あるいは黎明の覇者が近くにいなければ、色々と出来た可能性もあったのだが。
その場合、実際にイオを言いくるめるなり、金で解決するなり、あるいは脅すなりといった手段が取られただろう。
しかし、黎明の覇者と一緒にいる以上はそのような真似は出来ない。
……脅すというのは、場合によっては自分たちにも隕石が降ってくるかもしれないという思いがない訳でもなかったが。
そして他の場所では……
「隊長、どうするんです?」
「どうするって言ったってな。ぶっちゃけた話、俺たちだけでベヒモスに勝てたと思うか? 見ろよ、あれ。あんな隕石を降らせて、それでようやく倒せるような相手なんだぞ?」
ベヒモスを追ってきた部隊を率いている男が、部下の言葉にそう返す。
そんな隊長の言葉に、どうするのかと聞いた部下は何も言えなくなる。
実際、隊長の言ってることは部下にも十分に理解出来たからだ。
もし自分たちがベヒモスと戦っていた場合、まず間違いなく負けていただろう。
それが分かるだけに、すぐには何も反論出来ない。反論出来ないのだが……
「でも、隊長。俺たちはともかく、他の連中がそれで納得するかどうかは別ですよ?」
そう言い、男は不満そうな様子を見せている者たちに視線を向ける。
この部隊に所属している者たちは、皆が同一の所属ではない。
それぞれが色々な相手に雇われていたり、別の傭兵団が揃っていたりといったような者たちだ。
だからこそ、隊長が納得しても他の者たちが納得しないとどうしようもない。
「そうだな。だが、相手は黎明の覇者だぞ? そんな相手に攻撃をするような真似をすると思うか?」
「それは……」
男はその様子を見て言葉に詰まる。
普通に考えれば、黎明の覇者を攻撃するといったような真似はそう簡単に出来る訳ではない。
もしそのような真似をしたら、最悪の結果がもたらされるだろう。
黎明の覇者にちょっかいを出した者だけが黎明の覇者に叩きのめされるだけなら問題はない。
だが、その仲間だということで他の者たち……特に隊長にも被害がくる可能性があった。
「普通に考えれば、黎明の覇者に攻撃をするとは思いません。けど、それはあくまでも普通に考えればのことです。自分たちでベヒモスを倒せると思っていたのに、もう倒されているのに納得出来ない者がいたら……」
「我慢出来ない、と? まさかそんな者がいるとは……いや、いてもおかしくはないか」
隊長の視線の先に、一応は部下となっているものの、隊長とは違う相手に雇われている者たちがいる。
その者たちが集まっているだけなら、まだ問題はない。
しかし、その苛立ちの視線が黎明の覇者に向けられているとなれば、まさかそんなことはしないだろうと思うようなことをしてもおかしくはない。
出来ればそのような真似はして欲しくない。
(あの連中が馬鹿な真似をした場合、止めるのは……難しい。もし本気で止めようとし場合、騒動になってもおかしくはない)
これが商人や研究者たちなら、騒動になってもそれは喧嘩騒ぎ程度のことですむだろう。
しかし、騒動を起こすのは戦いを本職としている者たちだ。
当然ながら、そのようなことになれば喧嘩騒ぎといった程度にはすまず、間違いなく大きな騒動となる。
当然のように隊長としてはそのようなことはごめんなのだが……
「それでも、俺たちまで黎明の覇者に睨まれるよりはいい、か」
相手の実力差も理解出来ず、黎明の覇者に絡もうとしている者たち。
傭兵団の中でもランクA傭兵団として知られている黎明の覇者。
そのどちらと揉めることになるのかと言われれば、隊長としては当然ながら前者を選ぶ。
普通に考えて、黎明の覇者と敵対するなどといったような真似はとてもではないが許容出来ない。
しかし、戦闘を仕事にしている者というのは基本的に気が荒い。
それでもせめてもの救いは、自分たちがここにやって来てからある程度時間が経っていることだ。
もし山を越えてここまで来たときにベヒモスが骨になってるのを見て、そこに黎明の覇者がいたら……一体どうなっていたことか。
正確には黎明の覇者はある程度ここに残っていたのだが、そのときはそれ以外にも黎明の覇者に降伏した者たちが多かったことから、黎明の覇者と直接ぶつかるようなことにはならなかった。
その代わりという訳でもないだろうが、黎明の覇者に降伏した者たちと軽い騒動はそれなりにあったのだが。
黎明の覇者と直接揉めるのは、隊長が何とかして止めたのだ。
(あのときと同じ苦労をもう一度……? 冗談じゃねえ)
そう思うも、実際にはもしそのようなことになったら、やらなければならないだろうとは思えた。
「とにかく、様子は見ておけ。これ以上面倒なことになったら、俺はもう帰るぞ」
「無茶を言わないで下さいよ、無茶を。出来るだけ頑張りますから、隊長もしっかりして下さい。ね?」
そう言われる隊長だったが、その言葉を素直に信じるような真似は出来ない。
……出来ないものの、それでも信じるしかないというのも、間違いのない事実だった。
「しょうがねえな。今はとにかく、それをどうにかするのを考えるしかねえか」
面倒なことになりそうな……いや、間違いなく面倒なことになるだろうと予想しつつ、隊長は頭を掻くのだった。
そして、黎明の覇者と山を越えてきた者たちとの間で交渉が開かれることになる。
大きな勢力としては、商隊、研究者、討伐隊といったところだが、実際にはそれ以外にもそれなりに黎明の覇者と交渉をしたいと希望する者もいる。
とはいえ、そのような状況であってもやはり一番交渉する力があるのは大きな集団になるのだが。
交渉の場に集まっている多くの者が、どうにかして自分たちの利益が少しでも多くなるようにと考えている。
そんな中……ソフィア、ローザ、イオ、レックス、ギュンターの五人が姿を現す。
交渉の場で相手が来るのを待ち構えていた者たちは、姿を現した者たち……もっと具体的には、ソフィアの姿を見て何も言えなくなる。
男であろうと女であろうと、問答無用で惹き付けるその美貌。
交渉をする上で、相手に大きな先制攻撃を食らわせたのは間違いないだろう。
ソフィアも自分の顔立ちが整っているのは理解しているし、こういう時にその武器を使うのに否はない。
それだけに、人からどのように見られるのかといったことを理解した上で、交渉の場に集まっていた者たちに向かって口を開く。
「さて、ベヒモスの件やそれに付随して色々と交渉をするということだけど……その前に、貴方たちには私と一緒にいるのが誰なのか分からないでしょうから、紹介しておくわ」
ソフィアのその言葉に、交渉を希望する者の多くが我に返る。
そんな相手を見ながら、ソフィアは言葉を続けた。
「私は黎明の覇者の団長をしているソフィア。そして黎明の覇者の補給や交渉を担当するローザ。ベヒモスを倒した隕石を降らせたイオに、そのイオの専属の護衛のレックス。そして私たち全体の護衛のギュンターよ」
そう告げるソフィアの言葉に、多くの者がざわめくのだった。
「よし、交渉だ! まずは俺が交渉するから……」
「いやいや、ちょっと待ってよ。ここは普通私からでしょ。以前の借り、忘れてないわよね?」
商隊と一口で言っても、それには色々な種類の商隊がある。
一定以上の大きな商人の商隊であれば、その商人の部下たちだけで十分だろう。
だが、それ以外……商人としての規模が小さい者たちが商隊を結成するとなると、色々な商人が集まって結成することになる。
当然ながらそれぞれが別の……独立した商人である以上、その商人が誰かと契約をしても、その契約は自分だけのものだ。
だからこそ、ベヒモスの骨についての売買交渉をするのにも商隊で纏まってやるのではなく、商隊を結成している商人がそれぞれ個人で交渉しようとする。
そして当然の話だが交渉は商人が全員で一気にやる訳にはいかない以上、順番となる。
先に交渉した方が有利……とは必ずしも限らないのだが、そのように考えている者も多いらしく、自分が少しでも早く交渉をしたいと貸しであったり、商売の規模であったり、人間関係であったり……様々なことを材料に、仲間と順番争いをする。
そして、順番争いをしているのは商人たちだけではない。
「これだけ巨大な隕石を自由に落とせる魔法を使えるのだぞ? なら、その人物と会うのは私に任せて欲しい」
「あら、聞いた話だとこの隕石を落とす魔法……流星魔法を使ったのは、十代の男だとか。なら、ここはやはり女である私が交渉すべきです」
「けっ、何を言ってやがる。お前が年下好みなのはいいけど、それで隕石の件をどうにかするなんて真似は許さねえぞ」
「そうよ。どうせなら私が……私が……きゃああああああっ! 駄目よそんなこと。私たちはまだ会ったばかりなんだから、そういうのはもっと時間をかけて……」
「って、おい! そんなボサボサ頭で女らしい様子がないお前が、色気でどうにか出来る訳がないだろ! 妄想もその辺にしておけ!」
「信じらんない! 女の子にそんなことを言うなんて!」
「は、女の子だぁ? 何を寝惚けてるんだ?」
隕石を調べに来た者たちもまた、商隊と同じく自分が隕石を落としたイオと少しでも早く会いたいと、言い争いをいしている。
商隊の方ではまだしも冷静に言い争いが出来ていたのだが、隕石を調べている者たちはもっと直接的な言葉で……いや、それどころか、手足が出てもおかしくはない様子でやり取りしていた。
隕石を調べに来たのだから、その対象である隕石は是非とも確保したいのだ。
しかし、その隕石を降らせた者がいる以上、この隕石の所有権はその者にある。
本来ならこれだけの人数が集まっていない場所であれば、その隕石の所有権を主張してもおかしくはない。
この辺りにはベヒモスを倒した隕石とはまた別に、ベヒモスの素材を欲し、流星魔法を使うイオを確保しようとした勢力が多数集まっていたことがあり、そんな相手に対してイオは何度か流星魔法を使っている。
そちらの隕石もあるのだが、その隕石もこの近くにある以上は所有権云々の問題があり、確保するのは難しかった。
あるいは黎明の覇者が近くにいなければ、色々と出来た可能性もあったのだが。
その場合、実際にイオを言いくるめるなり、金で解決するなり、あるいは脅すなりといった手段が取られただろう。
しかし、黎明の覇者と一緒にいる以上はそのような真似は出来ない。
……脅すというのは、場合によっては自分たちにも隕石が降ってくるかもしれないという思いがない訳でもなかったが。
そして他の場所では……
「隊長、どうするんです?」
「どうするって言ったってな。ぶっちゃけた話、俺たちだけでベヒモスに勝てたと思うか? 見ろよ、あれ。あんな隕石を降らせて、それでようやく倒せるような相手なんだぞ?」
ベヒモスを追ってきた部隊を率いている男が、部下の言葉にそう返す。
そんな隊長の言葉に、どうするのかと聞いた部下は何も言えなくなる。
実際、隊長の言ってることは部下にも十分に理解出来たからだ。
もし自分たちがベヒモスと戦っていた場合、まず間違いなく負けていただろう。
それが分かるだけに、すぐには何も反論出来ない。反論出来ないのだが……
「でも、隊長。俺たちはともかく、他の連中がそれで納得するかどうかは別ですよ?」
そう言い、男は不満そうな様子を見せている者たちに視線を向ける。
この部隊に所属している者たちは、皆が同一の所属ではない。
それぞれが色々な相手に雇われていたり、別の傭兵団が揃っていたりといったような者たちだ。
だからこそ、隊長が納得しても他の者たちが納得しないとどうしようもない。
「そうだな。だが、相手は黎明の覇者だぞ? そんな相手に攻撃をするような真似をすると思うか?」
「それは……」
男はその様子を見て言葉に詰まる。
普通に考えれば、黎明の覇者を攻撃するといったような真似はそう簡単に出来る訳ではない。
もしそのような真似をしたら、最悪の結果がもたらされるだろう。
黎明の覇者にちょっかいを出した者だけが黎明の覇者に叩きのめされるだけなら問題はない。
だが、その仲間だということで他の者たち……特に隊長にも被害がくる可能性があった。
「普通に考えれば、黎明の覇者に攻撃をするとは思いません。けど、それはあくまでも普通に考えればのことです。自分たちでベヒモスを倒せると思っていたのに、もう倒されているのに納得出来ない者がいたら……」
「我慢出来ない、と? まさかそんな者がいるとは……いや、いてもおかしくはないか」
隊長の視線の先に、一応は部下となっているものの、隊長とは違う相手に雇われている者たちがいる。
その者たちが集まっているだけなら、まだ問題はない。
しかし、その苛立ちの視線が黎明の覇者に向けられているとなれば、まさかそんなことはしないだろうと思うようなことをしてもおかしくはない。
出来ればそのような真似はして欲しくない。
(あの連中が馬鹿な真似をした場合、止めるのは……難しい。もし本気で止めようとし場合、騒動になってもおかしくはない)
これが商人や研究者たちなら、騒動になってもそれは喧嘩騒ぎ程度のことですむだろう。
しかし、騒動を起こすのは戦いを本職としている者たちだ。
当然ながら、そのようなことになれば喧嘩騒ぎといった程度にはすまず、間違いなく大きな騒動となる。
当然のように隊長としてはそのようなことはごめんなのだが……
「それでも、俺たちまで黎明の覇者に睨まれるよりはいい、か」
相手の実力差も理解出来ず、黎明の覇者に絡もうとしている者たち。
傭兵団の中でもランクA傭兵団として知られている黎明の覇者。
そのどちらと揉めることになるのかと言われれば、隊長としては当然ながら前者を選ぶ。
普通に考えて、黎明の覇者と敵対するなどといったような真似はとてもではないが許容出来ない。
しかし、戦闘を仕事にしている者というのは基本的に気が荒い。
それでもせめてもの救いは、自分たちがここにやって来てからある程度時間が経っていることだ。
もし山を越えてここまで来たときにベヒモスが骨になってるのを見て、そこに黎明の覇者がいたら……一体どうなっていたことか。
正確には黎明の覇者はある程度ここに残っていたのだが、そのときはそれ以外にも黎明の覇者に降伏した者たちが多かったことから、黎明の覇者と直接ぶつかるようなことにはならなかった。
その代わりという訳でもないだろうが、黎明の覇者に降伏した者たちと軽い騒動はそれなりにあったのだが。
黎明の覇者と直接揉めるのは、隊長が何とかして止めたのだ。
(あのときと同じ苦労をもう一度……? 冗談じゃねえ)
そう思うも、実際にはもしそのようなことになったら、やらなければならないだろうとは思えた。
「とにかく、様子は見ておけ。これ以上面倒なことになったら、俺はもう帰るぞ」
「無茶を言わないで下さいよ、無茶を。出来るだけ頑張りますから、隊長もしっかりして下さい。ね?」
そう言われる隊長だったが、その言葉を素直に信じるような真似は出来ない。
……出来ないものの、それでも信じるしかないというのも、間違いのない事実だった。
「しょうがねえな。今はとにかく、それをどうにかするのを考えるしかねえか」
面倒なことになりそうな……いや、間違いなく面倒なことになるだろうと予想しつつ、隊長は頭を掻くのだった。
そして、黎明の覇者と山を越えてきた者たちとの間で交渉が開かれることになる。
大きな勢力としては、商隊、研究者、討伐隊といったところだが、実際にはそれ以外にもそれなりに黎明の覇者と交渉をしたいと希望する者もいる。
とはいえ、そのような状況であってもやはり一番交渉する力があるのは大きな集団になるのだが。
交渉の場に集まっている多くの者が、どうにかして自分たちの利益が少しでも多くなるようにと考えている。
そんな中……ソフィア、ローザ、イオ、レックス、ギュンターの五人が姿を現す。
交渉の場で相手が来るのを待ち構えていた者たちは、姿を現した者たち……もっと具体的には、ソフィアの姿を見て何も言えなくなる。
男であろうと女であろうと、問答無用で惹き付けるその美貌。
交渉をする上で、相手に大きな先制攻撃を食らわせたのは間違いないだろう。
ソフィアも自分の顔立ちが整っているのは理解しているし、こういう時にその武器を使うのに否はない。
それだけに、人からどのように見られるのかといったことを理解した上で、交渉の場に集まっていた者たちに向かって口を開く。
「さて、ベヒモスの件やそれに付随して色々と交渉をするということだけど……その前に、貴方たちには私と一緒にいるのが誰なのか分からないでしょうから、紹介しておくわ」
ソフィアのその言葉に、交渉を希望する者の多くが我に返る。
そんな相手を見ながら、ソフィアは言葉を続けた。
「私は黎明の覇者の団長をしているソフィア。そして黎明の覇者の補給や交渉を担当するローザ。ベヒモスを倒した隕石を降らせたイオに、そのイオの専属の護衛のレックス。そして私たち全体の護衛のギュンターよ」
そう告げるソフィアの言葉に、多くの者がざわめくのだった。
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