その乾いた青春は

T

文字の大きさ
上 下
9 / 14
飛び降りた天使

飛び降りた天使part2

しおりを挟む
 「え、えっと、今なんて?」

 「だから、私の後に死んでっていったの!あ、でも明日死んでもらう方がいいか」

 なんなんだろう。こんなに美少女なのに頭はあっぱっぱーなのか、非常に残念だ。

 「あのさ、なんでそんなこと言われなきゃいけないのかな」

 「うん、あのね、あなたが死んだ後に私が死んだら、なんかあなたの後を追って死んだみたいじゃない!それがやなの!」

 「知らないよ!なら君こそ別の日に飛び降りてよ!」

 彼女は僕の言葉にムッとしたのか、近くによってきて顔をより近づけて言い放つ。

 「いやよ!私は今日がいいの!」

 な、なんていうわがままなやつだよ!やっぱり美少女はわがままなんだね!珍しくもない!

 「だいたいあなたね!別のところから死ねばいいじゃない!」

 「屋上が開いてる廃ビルなんてここぐらいしかないよ!僕の後に飛び降りたくないならタイムスリップでもするんだね!!」

 「こんの!とりゃ!」

 「あ!」

 なんと彼女は両手を振り上げ飛び降りようとした!
 すかさず僕は彼女の体に抱きつき飛び降りを阻止する。
 激しく動いたせいで、柵の外にあるちょっとした空間からずり落ちそうになる。

 このままじゃこいつと一緒に落ちてしまう!

 「は、はなして!はなしてよ!」

 「なに抜け駆けしようとしてるんだ!ていうか落ちるからあばれないで!」

 「いや!私の方が先に死ぬの!」

 「いいから落ち着いて!」

 僕はやっとのことで彼女を柵の内側に投げ入れた。

 「ちょっと!先に死ぬなんてずるい!あなたも中に来なさい!」

 「いやだ!」

 「きーなーーさーーーいぃぃ!」

 彼女は僕の首をわしづかみ、むりやり内側に引きずり込んだ。

 「なんなんだよ!」

 「あなたこそなんなの!!」

 僕と彼女は裸足でいがみ合っていた。
しおりを挟む

処理中です...