その乾いた青春は

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恋に落ちない殺人未遂

恋に落ちない殺人未遂〈下〉解決編1

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 「おっはよ~優くん」

 「え」

 昨日あれだけ様子がおかしかったのに、1日たった今日ではもう、ケロッとしてしまっていた。それどころか

 「じゃあ優くん!今日の放課後にも調査だからね!」

 なんて言ってきてしまう。
 まったく、何なのだろうこいつ。

 「その必要はないと思いますよ」

 「「え」」

 俺達の後ろから、突然女の子の声がした。

 「おはようございます。お二方」

 振り向いたそこには花崎さんが立っていた。

 「えっと、必要ないって」

 「はい。犯人が見つかったんです。1年3組の田中くんという人で、その時間授業をサボっていて1年3組にいたらしいです」

 犯人が見つかった?

 「それではお二人とも、遅刻しますのでまた~」

 そう言って花崎さんは行ってしまう。

 ………とりあえず、事件解決?

 第4話:名推理は最初から

 「納得いかない!」

 雛はいつも道理そんなことを言う。

 「お前、本当にそればっかだなぁ」

 雛は朝の花崎さんの話を聞いてからずっと、昼休みまで、そんなことを言っていた。

 「いや、もう、こうなったら、田中くんとやらに話を聞きに行こう!ほら早く」

 「おいまて、展開についていけないっておい!」

 雛は俺の袖を掴み、引っ張っていってしまう。





 1年3組に着いた雛は大声で田中くんを、廊下に呼び出した。
 ……他の人の目がとても痛かった。

 「では田中くん。お話しをきかせて」

 雛は坊主頭の田中くんとやらに、詰め寄って聞く。

 「あ、あの」

 「ほら、雛。田中くん困ってんだろ」

 「いや、そんなことないと思うよ!ねぇ田中くん」

 「あ、あの!僕、やってないんです」

 田中くんは叫ぶ。

 「え?え?ほ、本当に?本当にやってないの!?」

 その言葉で雛のテンションは上がってしまう。

 「1年3組にいたのは本当だけど、鉢植えなんて落としてない!ただゲームしてただけなんだ!ほんとです!屋上に鍵かかってて行けなかったからそれで」

 「ふんふん、それでそれで?」

 「…そ、そしたら、ハトの鳴き声がして」

 「ハト?」

 「こら!君たち!」

 1年3組から野木先生が出てきた。

 「昼休みに何してるんだ。早く教室に戻りなさい」

 「い、いやでも先生」

 「田中、戻りなさい」

 野木先生が言うと、田中くんは教室に戻ってしまった。

 「ほら、君たちも帰りなさい」

 「で、でも先生。先生は1年4組で話てたんですよね!田中くんがいたこと知ってたんですか?」

 「ん、いや、あの事故の後すぐ職員室行ったしなー。永田先生とテニスの話をしてたから。俺はテニス部の顧問じゃないけど、テニス大好きでさぁ」

 あ、これは話長いやつか。なるほど、熱く語っていたなら、隣の教室に人がいても気づかないか。

 「で、では俺たちは帰ります」

 「ん、あ、そうか、すまんな」

 そう言って俺は雛の手を引いて教室へ戻る。

 なるほど、なんとなくわかってきた。





 「うぅ、なら、犯人は誰なのー」

 6時間目が終わるとすぐ、いつものように俺の席にやってきた雛がぼやく。
 さては授業をまともに聞いてなかったな。

 「せっかく事件がおこったのに、犯人がわからないなんてー」

 雛は自分の頭をかき回しながらぶつぶつとつぶやく。

 ……今日は掃除サボってもいいかな。

 「さて、行くか」

 「え?どこ行くの?優くん」

 俺は表情変えないように、言う。

 「事件解決にだ」

 




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