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消えゆく声1
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はらりと長い指で頁が捲られる。
「――ガラスの靴を落とした姫を王子は血眼になって探しました。王子はその靴を持って歩き回り――」
美しい声で紡がれる本の朗読は、耳元で囁かれていた。ソファに横に腰掛けて、私は王子の間でもたれるように抱えられていた。
「――意地悪な姉は姫を裏手に隠し、我こそがと靴を――」
温かい体温と心地よい声。夢うつつの気分に睡魔が襲う。
また静かに頁が捲くられて、私の瞼は閉じかけていた。
『……レア』
――っ!
パチッと目が開いた。懐かしいレオンの声だった。
――……夢?
この部屋に外音が入ってきたことは今までに一度もなかった。キョロキョロと眼球を動かして見渡せど、特に異変はない。気のせいかと再び目を伏せた。
『どこにいるんだよ、お前……』
「っえ⁉︎」
流石に今度は身体を起こす。つい声も出た。
それは明らかにレオンの声で、間違いなく聞こえたはずだった。
『……レア、会いたい』
切なげに紡がれる声に、誰の膝にいるのかを忘れてキョロキョロと辺りを見渡した。
――私も……。私も会いたい。助けに来てくれたの?
淡い期待が胸を突く。
レオンは困っている時、いつも私を助けてくれたから。
けれど、そこからまた声は聞こえなくなってしまう。どうにかもう一度と身を乗り出せど、もう二度とその声が聞こえることはなかった。
「――ガラスの靴を落とした姫を王子は血眼になって探しました。王子はその靴を持って歩き回り――」
美しい声で紡がれる本の朗読は、耳元で囁かれていた。ソファに横に腰掛けて、私は王子の間でもたれるように抱えられていた。
「――意地悪な姉は姫を裏手に隠し、我こそがと靴を――」
温かい体温と心地よい声。夢うつつの気分に睡魔が襲う。
また静かに頁が捲くられて、私の瞼は閉じかけていた。
『……レア』
――っ!
パチッと目が開いた。懐かしいレオンの声だった。
――……夢?
この部屋に外音が入ってきたことは今までに一度もなかった。キョロキョロと眼球を動かして見渡せど、特に異変はない。気のせいかと再び目を伏せた。
『どこにいるんだよ、お前……』
「っえ⁉︎」
流石に今度は身体を起こす。つい声も出た。
それは明らかにレオンの声で、間違いなく聞こえたはずだった。
『……レア、会いたい』
切なげに紡がれる声に、誰の膝にいるのかを忘れてキョロキョロと辺りを見渡した。
――私も……。私も会いたい。助けに来てくれたの?
淡い期待が胸を突く。
レオンは困っている時、いつも私を助けてくれたから。
けれど、そこからまた声は聞こえなくなってしまう。どうにかもう一度と身を乗り出せど、もう二度とその声が聞こえることはなかった。
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