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選択後 壱
狼(ロー) ①
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「私は……狼を選ぶ。」
「やはりそうでしたか。……お二人は仲も良かったですからね。」
「うん、1番知ってるのは……あの馬鹿だしね!」
「馬鹿とはなんだ馬鹿とは~。」
急に頭の上から聞こえてきた聞きなれた声に振り返ると、そこにはけらけらと笑う狼の姿があった。
「……びっくりした……急に入ってこないでよ。」
「別にいいだろ、俺の方が先輩だし!細かいこと気にしてるとしわ増えるぞ~。」
「なんですって?」
「狼様……、お話に花が咲くのはわかりますので……先に書類を進めさせていただけますか?」
たまちゃんがピシャリと狼を言い落して、私にペンを差し出した。
ここのペンはガラスでできていて、ペン先にインクを引き上げて書く万年筆のようだった。
私が婚姻届を書き上げると髪は砂のようにさらさらと崩れて消えてなくなってしまった。
たまちゃんはにっこり微笑んで部屋を出て行った。
「そんじゃ、邪魔モンはいなくなったところで、はじめよーか!!」
「始めるって何を?」
「ヒヒッ、いっちょ前にとぼけて~、男と女の密室なんて……やること一つしかないだろッ。」
「え……!?」
私は聞き返したのもつかの間、私の視界は一気に狼とその背後に映る天井のみになった。
これって……まさか……そういうこと……?!
「ちょ、ッと待ってよ!!」
「焦らすなよ。」
「焦らしてないし!何よりあり得ないから!!」
私が狼を押し返すと、狼はバランスを崩して後ろに倒れこんだ。
そのすきに私は慌てて体を起こして近くのベッドに手を伸ばした。
「いってぇ……、相変わらず野蛮な女だな!!」
「あんたが野蛮なことするからでしょう!!本当、お頭ガキンチョすぎだから!!」
「ハッ、言ってくれるじゃねぇか……。」
「キャッ?!」
すると、狼は体を起こしたのもつかの間また私に襲い掛かった。
私は又すり抜けようと抗ったのに、狼の腕がびくともしない。
「抵抗しても無駄だぜ。あの時の俺とは違うんだ……、獣人と人間……なんだからな。」
その瞬間、私はやっと目の前の男が獣なんだと痛感した。
さっきまでおちゃらけてたのに、腕は人間じゃありえないほどの筋肉と体毛に覆われていて、表情は間違いなく“狼”そのものに変わっていた。
私、バカだ……。ただでさえ男の人相手で女が敵うはずないのに、獣人に本気を出されたら……。
脳内では、ここに来るまでの記憶が走馬灯のように駆け巡っていた。
獣街で転がっていた肉片みたいに噛み千切られるのか、それとも……。
「ッ何で泣いて……。」
気が付くと私の目には涙があふれていた。
狼が怯んだ隙に、私は腕を払って辛うじて体を捻って俯せにベッドに噛り付いた。
そして、とっさに首を両手で隠した。
「お前、そんなに嫌なのか?」
「そうよ!……あんたに食べられたくない。」
「はぁ?あのなぁ「好きじゃないのにそういうこともしたくないの!!」……。」
狼は、私が叫ぶと大きく舌打ちをして私の両手を無理矢理ベッドに押し付けた。
「いや……、お願い……。」
狼からの返事はない。
私、抵抗できなかったんだ……。
このまま何をされるんだろう……。
殺されるのかな……。
目を強く閉じて次の痛みに体を力ませた。
すると、首筋に熱くねっとりした感覚が這った。
「ひぅッ……。」
その感覚が狼から初めて受けた舌の感触だった。
背中が粟立ち息が漏れる。
「お願い……、痛くしないで。」
「はぁ……、何もしねぇよ。」
「……?」
私が振り返ると気まずそうに私を見上げる狼の姿があった。
「今日はしねぇ……だから舐めるくらいは妥協しろ。後、痛くしねぇんだから泣くな。」
狼は私の頭を軽く押さえてもう一度伏せさせて、またゆっくりと舌を這わせて息を吐いた。
「お前、相変わらずいい匂いすんのな。……俺のずっと好きなにおいだ。」
そう言った狼は私の髪に鼻を擦りつけた。
狼の姿はいつの間にか人間の姿に戻っていて、それに気が付いていないのか嬉しそうに私の髪に鼻を寄せる狼に「犬みたいだな」なんて思ってしまったのは黙っておくことにした。
「やはりそうでしたか。……お二人は仲も良かったですからね。」
「うん、1番知ってるのは……あの馬鹿だしね!」
「馬鹿とはなんだ馬鹿とは~。」
急に頭の上から聞こえてきた聞きなれた声に振り返ると、そこにはけらけらと笑う狼の姿があった。
「……びっくりした……急に入ってこないでよ。」
「別にいいだろ、俺の方が先輩だし!細かいこと気にしてるとしわ増えるぞ~。」
「なんですって?」
「狼様……、お話に花が咲くのはわかりますので……先に書類を進めさせていただけますか?」
たまちゃんがピシャリと狼を言い落して、私にペンを差し出した。
ここのペンはガラスでできていて、ペン先にインクを引き上げて書く万年筆のようだった。
私が婚姻届を書き上げると髪は砂のようにさらさらと崩れて消えてなくなってしまった。
たまちゃんはにっこり微笑んで部屋を出て行った。
「そんじゃ、邪魔モンはいなくなったところで、はじめよーか!!」
「始めるって何を?」
「ヒヒッ、いっちょ前にとぼけて~、男と女の密室なんて……やること一つしかないだろッ。」
「え……!?」
私は聞き返したのもつかの間、私の視界は一気に狼とその背後に映る天井のみになった。
これって……まさか……そういうこと……?!
「ちょ、ッと待ってよ!!」
「焦らすなよ。」
「焦らしてないし!何よりあり得ないから!!」
私が狼を押し返すと、狼はバランスを崩して後ろに倒れこんだ。
そのすきに私は慌てて体を起こして近くのベッドに手を伸ばした。
「いってぇ……、相変わらず野蛮な女だな!!」
「あんたが野蛮なことするからでしょう!!本当、お頭ガキンチョすぎだから!!」
「ハッ、言ってくれるじゃねぇか……。」
「キャッ?!」
すると、狼は体を起こしたのもつかの間また私に襲い掛かった。
私は又すり抜けようと抗ったのに、狼の腕がびくともしない。
「抵抗しても無駄だぜ。あの時の俺とは違うんだ……、獣人と人間……なんだからな。」
その瞬間、私はやっと目の前の男が獣なんだと痛感した。
さっきまでおちゃらけてたのに、腕は人間じゃありえないほどの筋肉と体毛に覆われていて、表情は間違いなく“狼”そのものに変わっていた。
私、バカだ……。ただでさえ男の人相手で女が敵うはずないのに、獣人に本気を出されたら……。
脳内では、ここに来るまでの記憶が走馬灯のように駆け巡っていた。
獣街で転がっていた肉片みたいに噛み千切られるのか、それとも……。
「ッ何で泣いて……。」
気が付くと私の目には涙があふれていた。
狼が怯んだ隙に、私は腕を払って辛うじて体を捻って俯せにベッドに噛り付いた。
そして、とっさに首を両手で隠した。
「お前、そんなに嫌なのか?」
「そうよ!……あんたに食べられたくない。」
「はぁ?あのなぁ「好きじゃないのにそういうこともしたくないの!!」……。」
狼は、私が叫ぶと大きく舌打ちをして私の両手を無理矢理ベッドに押し付けた。
「いや……、お願い……。」
狼からの返事はない。
私、抵抗できなかったんだ……。
このまま何をされるんだろう……。
殺されるのかな……。
目を強く閉じて次の痛みに体を力ませた。
すると、首筋に熱くねっとりした感覚が這った。
「ひぅッ……。」
その感覚が狼から初めて受けた舌の感触だった。
背中が粟立ち息が漏れる。
「お願い……、痛くしないで。」
「はぁ……、何もしねぇよ。」
「……?」
私が振り返ると気まずそうに私を見上げる狼の姿があった。
「今日はしねぇ……だから舐めるくらいは妥協しろ。後、痛くしねぇんだから泣くな。」
狼は私の頭を軽く押さえてもう一度伏せさせて、またゆっくりと舌を這わせて息を吐いた。
「お前、相変わらずいい匂いすんのな。……俺のずっと好きなにおいだ。」
そう言った狼は私の髪に鼻を擦りつけた。
狼の姿はいつの間にか人間の姿に戻っていて、それに気が付いていないのか嬉しそうに私の髪に鼻を寄せる狼に「犬みたいだな」なんて思ってしまったのは黙っておくことにした。
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