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物質の解放
~みゆきの視線~
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「…"蛇のことを早くお縄にしてくれ。こっちも迷惑してんだ"って。」
「…そうか…。」
私が答えると、父親は口元にぐっと力を入れて腕を組んだ。
そして何かを考えるように少し唸った。
「…お父さん、何か知ってるんでしょ?教えて。」
「しかし、お前を危険な目に合わせるわけにはいかない。」
…危険な目?…
「なら尚更教えてよ。もう片足突っ込んでるようなもんだから。」
それに、私だって大切な人を失いたくないもん…お母さんのように。
私の覚悟が伝わったのか、父親は私の顔をじっと見て深く息を吐いた。
「"龍と蛇"はどちらもヤクザの組名だ。」
「…はッ!?」
ヤクザ!?
…意味わかんないんだけど…。
「蛇の名を出すということは、それを言ったやつはきっと龍の周辺のやつだろうな。」
「ちょっと待ってよ…あいつヤクザなの!?」
思わず大きな声が出て、父親だけでなく自分も驚いた。
「…もう少し声を抑えろ。近隣に聞かれても困る。」
「ごめんなさい…。」
私の謝罪のあと、しばらくは沈黙が流れた。
父親は至って冷静な顔をしてるけど、私が"あいつ"と言ったことが気になるのか、何かを言いたげに口を開いては閉じを繰り返している。
沈黙を破るのは…きっと私の役目だよね。
「お父さん…龍の人達捕まえるの?」
とっさに出た言葉に、父親は首を横に振った。
「俺の手で縄をかける気は無い。だがな、龍には多くの容疑がかかっているんだ。」
「容疑?」
「殺人、傷害…性被害に薬…。」
いかにもヤクザがやりそうな言葉たちに、思わず顔をしかめると、父親は言葉を続けた。
「あまりに証拠が揃いすぎているがな。犯罪行為のプロがこんなに証拠を残していくはずがない…と俺は踏んでいる。」
「証拠がないんじゃなくて…ありすぎても変なの?」
わけが分かんない…。
私が首を傾げると、父親はかわいた笑い声をあげた。
「例えばお前が憎いやつにいたずらを仕掛けたとする。」
「うん。」
「でもバレたら怒られるだろ。」
「そりゃね。私ならバレないようにするし。…あ。」
今気がついた。
そうだよね…バレたくないはずだから誤魔化すよね。
「でも隠しきれなかったとかじゃないの?」
「そうとも考えたんだが…わざわざ見える所に証拠が残りすぎていて…気味が悪い。」
わざとらしく証拠が残るなんて…まるで。
「…他の人を犯人にしようとしてるみたい。」
「お前もそう思うだろ。」
「うん。」
それから私は本来の聞きたいことを忘れて、父親と明け方まで話し込んでいた。
結局学校に行ったのは昼休みに入った頃だった。
the遅刻常習犯(´・ω・`)どや
「…そうか…。」
私が答えると、父親は口元にぐっと力を入れて腕を組んだ。
そして何かを考えるように少し唸った。
「…お父さん、何か知ってるんでしょ?教えて。」
「しかし、お前を危険な目に合わせるわけにはいかない。」
…危険な目?…
「なら尚更教えてよ。もう片足突っ込んでるようなもんだから。」
それに、私だって大切な人を失いたくないもん…お母さんのように。
私の覚悟が伝わったのか、父親は私の顔をじっと見て深く息を吐いた。
「"龍と蛇"はどちらもヤクザの組名だ。」
「…はッ!?」
ヤクザ!?
…意味わかんないんだけど…。
「蛇の名を出すということは、それを言ったやつはきっと龍の周辺のやつだろうな。」
「ちょっと待ってよ…あいつヤクザなの!?」
思わず大きな声が出て、父親だけでなく自分も驚いた。
「…もう少し声を抑えろ。近隣に聞かれても困る。」
「ごめんなさい…。」
私の謝罪のあと、しばらくは沈黙が流れた。
父親は至って冷静な顔をしてるけど、私が"あいつ"と言ったことが気になるのか、何かを言いたげに口を開いては閉じを繰り返している。
沈黙を破るのは…きっと私の役目だよね。
「お父さん…龍の人達捕まえるの?」
とっさに出た言葉に、父親は首を横に振った。
「俺の手で縄をかける気は無い。だがな、龍には多くの容疑がかかっているんだ。」
「容疑?」
「殺人、傷害…性被害に薬…。」
いかにもヤクザがやりそうな言葉たちに、思わず顔をしかめると、父親は言葉を続けた。
「あまりに証拠が揃いすぎているがな。犯罪行為のプロがこんなに証拠を残していくはずがない…と俺は踏んでいる。」
「証拠がないんじゃなくて…ありすぎても変なの?」
わけが分かんない…。
私が首を傾げると、父親はかわいた笑い声をあげた。
「例えばお前が憎いやつにいたずらを仕掛けたとする。」
「うん。」
「でもバレたら怒られるだろ。」
「そりゃね。私ならバレないようにするし。…あ。」
今気がついた。
そうだよね…バレたくないはずだから誤魔化すよね。
「でも隠しきれなかったとかじゃないの?」
「そうとも考えたんだが…わざわざ見える所に証拠が残りすぎていて…気味が悪い。」
わざとらしく証拠が残るなんて…まるで。
「…他の人を犯人にしようとしてるみたい。」
「お前もそう思うだろ。」
「うん。」
それから私は本来の聞きたいことを忘れて、父親と明け方まで話し込んでいた。
結局学校に行ったのは昼休みに入った頃だった。
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