大嫌いなやつと結婚しました!!

石ノ森椿

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パレードと施設(山科side)

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どうも、話はアイツ…夏海から聞いてるだろうからある程度は省くぞ!!

俺は、家にいるのに飽きて…町のパレードを覗いてみることにした。

あー…ガヤガヤしてて落ち着く…。

どこの屋台にしようか迷っている時に、俺の目の前で一人の男の子が派手に転んだ。

おいおいマジかよ!!

「大丈夫か?怪我は?」
「うん゛…う、うぅ…」
あ、やべっ…これ絶対泣くヤツだよな…。

俺がオドオドしていたとき…どこからか母親がすっ飛んできた。

「希!!」
「母ちゃん!!…」
あらら…感動の再会ってか?

「大丈夫。…から!!」
ん?この声って…。

「夏海?」
俺が呼ぶと…今まで見たこと無いくらいものすごい形相でこちらを睨み付けていた。

子供は…俺から隠した。
そして…慌てたように去ろうとした。

ってか…今…『母ちゃん』って呼ばれてた?
俺から…『希くん』を離そうと…守ろうとしてる…。何で?…どんなに俺でも、知らないガキにつかみかかったりしねぇし…。

あまりに怪しくて…俺は、恐る恐るついていくことにした。
は、バカ!!ストーカーじゃねえよ!!

様子を見に行くだけ…。

え…あれって…子供を預けておく施設だよな…。
俺は、夏海が出ていくのを見計らって、施設の中に入った。

俺は受け付けに声をかけた。
「すんません…子供に寄付をしたいんですけど…。」
これが一番手っ取り早いかもな…。

「どの子ですか?」
「えっと…『片瀬希』って子です。」

そう言うと、受け付けに奥に通された。

ガチャッ…
そこにいたのは、園長だった。
「あぁ…貴方でしたか…。希くんに寄付をと言っているのは…。」 
「え、えぇ…。」

それから…すぐに手続きが始まって、最後の契約と言われて、園長と待っていると…。外から声が聞こえてきた。

「この人だよ~、足長おじさんになってくれるのは!!」
「え!誰々?」
明るい希くんの声…。

ガチャ
「いらっしゃい!!足長おじさんよ。」

ヒョコっと希は中に入ってきて、俺の方を見るなり…笑顔が消えた。

「秋羅おじちゃん。」
「あら、知ってる人だったの?」

園長がニコニコと嬉しそうに話を続けようとしたとき…希くんは手でストップを伝えた。
そして…笑顔に戻ると園長の方を向いた。

「先生たち…。オレ、この人と二人で話したいんだ!!外に出て扉を閉めてくれる?」

「え、えぇ…。」

園長は、静かに室内から出ていって、扉がしまった。

途端に、また笑顔が消えた。顔コワッ!!

俺は恐る恐る聞いてみた。
「おじちゃんと話したいことって何?」

すると…無表情のまま…何度か眉間をひくつかせた。
「スゥーー…フゥーー。」

希くんは何かを言いたそうに顔をしかめながら呼吸を整えた。
そういうところ…夏海と一緒なんだよな…。

「おじちゃん…。頭貸して。」
ん?なんだろう…。
「こうか?」
俺は頭を希くんの手に届くところに、下ろした。

その時…
ゴチッ!!
「ッ…いってえ。何すんだよいきなり!!」
「母ちゃんに謝って!!」
は?

「…何で?」
「おじちゃんが母ちゃんに魔法かけるから…母ちゃんは辛い思いしてる!!」
…話が見えないのだが…。

「母ちゃんにおじちゃんが…おじちゃんと母ちゃんとの子が出来るように魔法なんかかけるから…。」

え?
「それって…おじちゃんが希くんのお父さんって事?」

「そう!!母ちゃんは言っちゃいけないって言ってた…けど…。」
希くんは手で口をおおって、今にも泣きそうになってた…。

「マジかよ…。」
「おじちゃん!!オレ、一人で絶対におじちゃんのところにいかないからね!!」
…はい?

「オレ、母ちゃんの事守るの!!だから、母ちゃんからオレをとらないで!!」
…どうやら…俺にバレたら、希くんと離れることになると思ってるみたいだ!!

「大丈夫だぞ?俺は、母ちゃんと希くんを助けてやりたいだけだから…。」

すると…希くんはキョトンとして…俺の顔を見た…。

「なーんだ!!だったらいーや!!ヒヒッ!!」
そう言って、希くんはニコニコッと笑った。
あ、えくぼの出来る方…俺と同じ。

俺は、希の頭を優しく撫でた。
そして、連絡先を渡して、45日待つように伝えた。

1カ月半って言っても、希くんは分からないだろうしな…。
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