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4章 赤い月が昇る
48. 夢の終わり
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ノアは淡々とした口調で語った。
魔王というのは魔族の長というだけでなく、世界で発生する負のエネルギーを受け止める器としての役割を持つということ。
器としての限界が近づけば負の感情に支配され、魔力暴走を起こし完全な魔王として覚醒してしまうということ。
そして、現在ノアはその限界が近いということ――。
シャーロットはぼんやりとそれを聞いていた。
ノアが聖女としての役割を求めて自分を庇護してくれている、というのは分かっていた。
分かっていた、筈なのに。
(どうして、こんなに虚しい気持ちになるのかしら……)
利害だけで成り立っている関係だと改めて突きつけられ、シャーロットは腹の底が冷える思いがした。
始まりはそうだったとしても、なにか温かいものがノアとの間に生まれているように感じていたのは自分だけだったのだろうか。
所詮自分は「シャーロット」にはなれないのだ。
原作の二人のような、歳月を重ねることで生まれた確かな絆は自分たちには無い。
「と言ってもやり方は僕にもわからないんだ。歴代の聖女は問題なく魔王を封印していたから、必要となれば自然とわかるものだと思うけど。シャルはなにか感じたりしない?」
「……いえ、何も……」
ノアはシャーロットの反応を意に介さず話を続けている。
シャーロットは何とか返事をし、そのまま気になったことを尋ねることにした。
「……封印したら、ノアはどうなるんですか?」
「さあ、それも僕にはわからない。封印された魔王が復活したって例は過去には無いし、そのまま永遠に眠るんじゃないかな、とは思うけど。世界からとりあえず危機が去ることは確実だよ」
「そしたら、もう、会えないんですよね……?」
「多分ね」
なんでもないことのように答えるノアに、シャーロットは胸が苦しくなった。
自分が消える話をしているというのに、何故こんなにも平然としていられるのだろう。
「なんで……なんで、ノアは魔王になったんですか?」
「そう産まれたからだよ」
「別に、ノアは何も悪いことしてないじゃないですか……。なのに、なんで封印されなきゃいけないんですか……?」
「同じことさ。そう産まれたからだよ。人が老いて死ぬのと変わらない」
そう言われればそうなのかもしれない。
でも。
「……嫌です」
シャーロットは納得できなかった。
頭ではノアが間違ったことを言っていないのは分かる。
分かるが、感情がそんなことをしたくないと否定する。
「きっと、そのうち僕を封印せざるを得なくなる。シャルは聖女だからね。……できれば、僕が『悪いこと』をする前だと嬉しいけど」
少し声を和らげ、ノアはシャーロットに微笑みかけた。
シャーロットはそれに答えず、目をそらして眼の前の海を見つめる。
波の打つ音を聞きながら、シャーロットはしばらくそうして居た。
ノアもそれ以上何も言わず、ただ二人で海を見つめていた。
やがて、どちらからともなく歩き始め、二人は喧騒の中へと戻っていった。
シャーロットは港でのやり取りがなかったように振る舞い、ノアもそれに合わせた。
ただの現実逃避だと言われればそうなのかもしれない。色んなことを一旦考えずにこの日を過ごしたかった。
それに、利害だけで成り立っている薄っぺらな関係だったとしても、綺麗な思い出だけは残したかった。
魔王というのは魔族の長というだけでなく、世界で発生する負のエネルギーを受け止める器としての役割を持つということ。
器としての限界が近づけば負の感情に支配され、魔力暴走を起こし完全な魔王として覚醒してしまうということ。
そして、現在ノアはその限界が近いということ――。
シャーロットはぼんやりとそれを聞いていた。
ノアが聖女としての役割を求めて自分を庇護してくれている、というのは分かっていた。
分かっていた、筈なのに。
(どうして、こんなに虚しい気持ちになるのかしら……)
利害だけで成り立っている関係だと改めて突きつけられ、シャーロットは腹の底が冷える思いがした。
始まりはそうだったとしても、なにか温かいものがノアとの間に生まれているように感じていたのは自分だけだったのだろうか。
所詮自分は「シャーロット」にはなれないのだ。
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「と言ってもやり方は僕にもわからないんだ。歴代の聖女は問題なく魔王を封印していたから、必要となれば自然とわかるものだと思うけど。シャルはなにか感じたりしない?」
「……いえ、何も……」
ノアはシャーロットの反応を意に介さず話を続けている。
シャーロットは何とか返事をし、そのまま気になったことを尋ねることにした。
「……封印したら、ノアはどうなるんですか?」
「さあ、それも僕にはわからない。封印された魔王が復活したって例は過去には無いし、そのまま永遠に眠るんじゃないかな、とは思うけど。世界からとりあえず危機が去ることは確実だよ」
「そしたら、もう、会えないんですよね……?」
「多分ね」
なんでもないことのように答えるノアに、シャーロットは胸が苦しくなった。
自分が消える話をしているというのに、何故こんなにも平然としていられるのだろう。
「なんで……なんで、ノアは魔王になったんですか?」
「そう産まれたからだよ」
「別に、ノアは何も悪いことしてないじゃないですか……。なのに、なんで封印されなきゃいけないんですか……?」
「同じことさ。そう産まれたからだよ。人が老いて死ぬのと変わらない」
そう言われればそうなのかもしれない。
でも。
「……嫌です」
シャーロットは納得できなかった。
頭ではノアが間違ったことを言っていないのは分かる。
分かるが、感情がそんなことをしたくないと否定する。
「きっと、そのうち僕を封印せざるを得なくなる。シャルは聖女だからね。……できれば、僕が『悪いこと』をする前だと嬉しいけど」
少し声を和らげ、ノアはシャーロットに微笑みかけた。
シャーロットはそれに答えず、目をそらして眼の前の海を見つめる。
波の打つ音を聞きながら、シャーロットはしばらくそうして居た。
ノアもそれ以上何も言わず、ただ二人で海を見つめていた。
やがて、どちらからともなく歩き始め、二人は喧騒の中へと戻っていった。
シャーロットは港でのやり取りがなかったように振る舞い、ノアもそれに合わせた。
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