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1章 受難
5. ティアナとクラウス
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心地よい揺れと暖かさの中、ティアナは意識を取り戻した。
「気がついたか、ティアナ」
「クラウス……?」
再びクラウスに抱き抱えられていることに気づき、ティアナは焦る。
「私、歩けるから、下ろして欲しいんだけど……」
「……癒やしの途中で意識を失ったらしいな。ユーリアが心配していた」
ティアナの要求には答えず、クラウスは静かに言った。
そうだ、ユーリア。
彼女はおそらく、ティアナの全てが気に食わないのだ。
クラウスと想い合っていることも、この城に滞在していることも、評価されつつあることも。
でも、どうすればいいのだろう。
なんとなく、自分が本当に『救世の乙女』なのかも知れないと思い始めていた。
本当に魔王は復活するのかも知れない。本当に自分の力が必要なのかも知れない。
ああは言っていたものの、ユーリアも薄々感じてはいるのだろう。
だから、悪意をぶつけてはくるものの直接命を狙うようなことはしないのだ。
ただ、疎外感を与え、罵倒することでティアナの心を傷つけようとするだけで。
ティアナはほぼ無意識でクラウスの胸に縋りついていた。
「クラウス……。私、家に帰ってもいいかな……。魔王復活の前には、戻ってくるから……」
それは、思わず漏れた本音だった。
悪意に晒されるのは辛い、ここから逃げたい。
クラウスなら許してくれるだろう。
そう思っていたのに。
「……ティアナはもう魔王を倒せるだけの実力を身に着けたと、胸を張って言えるのか?」
「それは……」
「たかだか半年程度努力しただけだ。そうだろう? ……明日は何もせずにゆっくり休むといい。大怪我をしたばかりなんだからな」
逃げることは許さない、と言外に言っているに等しかった。
思わぬ拒絶にティアナは言葉を失った。
「……大丈夫だ。私がついている。誰が敵でも、私だけは絶対に、ティアナの側にいる」
こうなったクラウスが自分の意見を変えることはない。
彼の許可が降りないならば、ティアナが帰ることは叶わないのだ。
実際、その日以降、ティアナには護衛、とは名ばかりの監視がつくことになる。
ティアナは逃げることを諦め、来る日も来る日も、孤独に己を磨き続けた。
――そうして、魔王復活の日は訪れた。
「気がついたか、ティアナ」
「クラウス……?」
再びクラウスに抱き抱えられていることに気づき、ティアナは焦る。
「私、歩けるから、下ろして欲しいんだけど……」
「……癒やしの途中で意識を失ったらしいな。ユーリアが心配していた」
ティアナの要求には答えず、クラウスは静かに言った。
そうだ、ユーリア。
彼女はおそらく、ティアナの全てが気に食わないのだ。
クラウスと想い合っていることも、この城に滞在していることも、評価されつつあることも。
でも、どうすればいいのだろう。
なんとなく、自分が本当に『救世の乙女』なのかも知れないと思い始めていた。
本当に魔王は復活するのかも知れない。本当に自分の力が必要なのかも知れない。
ああは言っていたものの、ユーリアも薄々感じてはいるのだろう。
だから、悪意をぶつけてはくるものの直接命を狙うようなことはしないのだ。
ただ、疎外感を与え、罵倒することでティアナの心を傷つけようとするだけで。
ティアナはほぼ無意識でクラウスの胸に縋りついていた。
「クラウス……。私、家に帰ってもいいかな……。魔王復活の前には、戻ってくるから……」
それは、思わず漏れた本音だった。
悪意に晒されるのは辛い、ここから逃げたい。
クラウスなら許してくれるだろう。
そう思っていたのに。
「……ティアナはもう魔王を倒せるだけの実力を身に着けたと、胸を張って言えるのか?」
「それは……」
「たかだか半年程度努力しただけだ。そうだろう? ……明日は何もせずにゆっくり休むといい。大怪我をしたばかりなんだからな」
逃げることは許さない、と言外に言っているに等しかった。
思わぬ拒絶にティアナは言葉を失った。
「……大丈夫だ。私がついている。誰が敵でも、私だけは絶対に、ティアナの側にいる」
こうなったクラウスが自分の意見を変えることはない。
彼の許可が降りないならば、ティアナが帰ることは叶わないのだ。
実際、その日以降、ティアナには護衛、とは名ばかりの監視がつくことになる。
ティアナは逃げることを諦め、来る日も来る日も、孤独に己を磨き続けた。
――そうして、魔王復活の日は訪れた。
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