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60.選ばれた人、選ばれなかった人
しおりを挟む「お前たち、本当に大丈夫なのか? 慰問交流会は明日だぞ? 真紀のやつはどうした?」
慰問交流会の段取りを確認するために、奇術部にやってきた生徒会長。
けど、肝心の部長がいなくて私が言葉を濁していると、長谷部くんがハッキリと告げる。
「真紀先輩はサボりです」
「ちょっと、長谷部くん!」
「本当のことだろ?」
「でも、用事があるって言ってたし、サボりたくてサボったわけじゃないと思うよ?」
「どうだろうな」
「長谷部くんは、真紀先輩の話が嘘だと思ってるの?」
「嘘か本当かは知らないが、真紀先輩の様子がおかしいのはわかった。どうせ、三木と何かあったんだろ?」
長谷部くんに指摘されて、私は言葉を詰まらせる。
こういう時、嘘が得意じゃない私は、すぐにバレてしまうのである。
「……やっぱりな。おかしいと思った。三木と目を合わせて喋らないし、ぎこちない感じがしたから」
「長谷部くんは鋭すぎるよ」
「で、何を言ったんだ? まさかこのタイミングで真紀先輩を振ったのか?」
「なんで知ってるの!?」
「やっぱりそうだったのか……振るなら、慰問交流会のあとにしてくれよ」
「そんなこと言ったって……」
「どうしたの? なんの話?」
私がおろおろしているのを見て、大迫くんがやってくる。
けど、真紀先輩とのことは、言えるはずもなかった。
「お前は調子がよさそうだな?」
「うん、今ならなんでも出来そうな気がするんだ。結菜のおかげだよ」
「まあ、誰かを選べば、誰かが泣きを見ることになるものだよな」
「泣きを見るって何が?」
「真紀先輩をどうやって元気にするか、考えてるんだよ」
長谷部くんの言葉に、素直な大迫くんは真面目に考え込む。
「真紀先輩はマジックが好きだから、大がかりなマジックをすれば喜ぶんじゃないかな?」
「大がかりなマジックか……今からじゃ、準備期間もないから間に合わないだろ。交流会は明日なんだぞ?」
「まさか……慰問交流会当日に、真紀先輩、休んだりしないよね?」
私が狼狽えていると、長谷部くんはため息を落とす。
「そこまで無責任なことはないと思うけど……可能性は全くないわけじゃないぞ」
「私、ちょっと真紀先輩のところに行ってくる!」
「やめとけよ」
「なんで?」
「振った相手に励まされてもな……」
「ちょっと、長谷部くん」
みんなの前で堂々と言う長谷部くんに、私だけが焦っていると、生徒会長も口を挟んでくる。
「なんだ? 真紀は振られたのか?」
「……」
「だったら、俺が行ってやるよ」
「え?」
「あいつを一番よくわかっているのは俺だからな」
「生徒会長、頼んでもいいですか?」
長谷部くんがお願いすると、生徒会長は不敵な笑みを浮かべた。
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