恋する騎士団

悠木全(#zen)

文字の大きさ
43 / 48

43.好きのしるし(3)

しおりを挟む

「人と付き合うのは、こうも疲れるものなのか……?」

「どうしたの? 彩弓あみ。今日はなんだか元気がないね」

 今日は千枝ちえと会う日ということで、私——彩弓あみは学校帰りに病院へ来ていた。
 
 なんだか最近、元気に見える千枝とは違い、やや暗い気持ちの私は、来客用のパイプ椅子に座りながら大きな息を吐いた。

「実は伊利亜いりあに嫌われてしまったんだ……」

 私が狼狽え気味に告げると、ベッドに座る千枝は嬉しそうな顔をする。

「え? 本当に? じゃあ、霧生きりう兄さんにもチャンスがあるってこと?」

「いや、それが……」

 私が伊利亜に怒られた経緯を話すと、千枝が珍しく怒りの形相になる。

「私、彩弓はもっと誠実な人だと思ってた」

「誠実?」

「そうだよ。伊利亜さんがいるのに、尚人さんとデートした挙句、付き合うようになるなんて……ひどいよ」

「尚人とはデートしたと言っても、サシで勝負しただけだぞ? どうして怒るんだ? それに本当に付き合っているわけではない」

「誰だって怒るよ。デートはデートだし……彩弓にはガッカリだよ。そんな風に恋人を試すような人に、やっぱり兄さんは渡せないよ」

「そうか……私が悪いのか」

「考えてもみてよ。伊利亜さんが他の女の子とデートしたら嫌でしょ?」

「伊利亜はうちの姉とよく二人で会っているが」

「彩弓のお姉さんと? なんで? 彩弓のお姉さんも伊利亜くんが好きなの?」

「いや、何かの修行だと言っていた」

「じゃあ、伊利亜くんもお互い様ってことだね」

「そうなのか?」

「だって、伊利亜くんもお姉さんとデートしてるんでしょ? 修行とか言って、何してるのかな」

「それは私も気になってはいるが、姉さんは教えてくれないんだ」

「ふうん。それは彩弓も不安になるね」

「私が不安?」

「そうでしょ? 彩弓のお姉さん、とっても綺麗だし……」

「そうだな。姉さんに何かあったら、いくら伊利亜でも許せないな」

「そっち!?」

「どっちだ?」

「彩弓はお姉さんが心配なの?」

「当たり前だ。大事な家族だからな」

「彩弓はヤキモチを妬いたりはしないの?」

「しょぼい団長じゃないからな」

「ダメだ……彩弓と話してたら頭痛くなってきたかも」

「大丈夫か? 千枝」

「私のことはいいの。それより、二人ともちゃんと向き合った方がいいと思うよ。それで、ルールも決めた方がいいと思う」

「ルール?」

「そうだよ。お互いが大切なら、自由ではいられないと思うよ。私も甚十さんと婚約したことで、たくさんルールを決めたよ」

「たとえばどんな?」

「たとえば……そうだね。どんなに忙しくても、一緒にいる時間を作るとか……あとは、相手を嫌な気持ちにさせるようなことはしない……とか?」

「それは当然のことだろう?」

「でも彩弓は、尚人さんとデートすることで、伊利亜くんを嫌な気持ちにさせたんだよ?」

「そうなのか? 友達と一緒にいることで、伊利亜は嫌な気持ちになるのか?」

「少なくとも、自分に好意がある人と一緒にいるのは良くないと思うよ」

「……好意がある人」

「尚人さんは彩弓のことが好きなんでしょ?」

「そう言っていた」

「なら、もう近づかない方がいいよ」

「尚人から距離をとれば、伊利亜は許してくれるのか?」

「うん。これから他の人と二人きりにならないって約束すれば、きっと許してくれるよ」

「そうか……そうなのか」

「頑張ってね、彩弓」

「ああ、頑張る!」

 私が今度こそ伊利亜と仲直りしようと意気込んでいたその時、個室のドアがガラガラと開いた。

 やってきたのは、両手にショッピングバックを下げた甚十じんとだった。

「千枝!」

「甚十さん」

「今日は彩弓と一緒なんだね。可愛い二人はどんな話をしていたのかな」

「もう、甚十さん……恥ずかしいから外でそういうこと言うのはやめて」

「何が恥ずかしいの? 俺は本当のことしか言わないからね」
 
 などと、甚十と千枝が良い雰囲気で見つめ合う中、またもや病室のドアが勢いよく開かれる。

 今度は両手にショッピングバックを下げた霧生だった。 

「千枝」

「あ、兄さん」

「大丈夫か? 千枝。この色ボケに何かされてないか?」

「兄さんは何を心配しているの?」

「俺はお前が心配なんだ……やっぱり、こんな男との婚約を許すんじゃなかった」

 霧生が苦々しく吐き捨てるのを見て、甚十が苦笑混じりに口を挟む。
 
「ひどいなぁ、お義兄さんは……俺ってそんなに信用ない?」

「信用があるわけないだろう?」

「俺は千枝一筋なのに……」

「お前の言うことなんて、あてになるか!」

「じゃあ、千枝のことがどれだけ好きか、お見せしますね」

 言うなり、甚十はベッドに手をついて、千枝に口付けて見せた。

「お、お前!」 

 霧生が噴火しそうになる中、甚十は満足そうにため息をついた。

「千枝は最高だよ」

「じ、甚十さん」
 
 真っ赤になって俯く千枝。

 すっかり蚊帳の外にいる私が目を丸くする中、霧生の目がつり上がる。

「甚十さん……殺す」

「えー、こんなことで俺は殺されるの? これからもっとすごいことするのに」

「絶対に許さん!」

 それから霧生は甚十を追いかけ回したが、元気な甚十は全く捕まる様子もなく、笑いながら逃げ回った。

 そしてしばらくすると、看護師さんに一喝されて二人は大人しくなった。

「ご、ごめんね。彩弓……変なところ見せちゃって。甚十さん、すぐああいうことするから…」

「最初は私も心配だったが……やはり騎士団のメンバーはいいやつばかりだ」

 ……きっと、ああすることで、千枝を安心させたいのだろう。

 私は甚十のことを全て理解しているわけではないが、なんとなく甚十の気持ちがわかったような気がした。

 看護師さんに叱られても睨み合いを続ける甚十と霧生先輩に、私は思わずほくそ笑む。

「なんだか私も伊利亜に会いたくなってきたが……会うのは少しだけ怖いな」

「彩弓……とにかく、尚人さんと付き合うふりなんて、しない方がいいよ。きっと今も不安だと思うし」

「そうか……そうだな。私はいつの間にか、伊利亜を不安にさせていたんだな」



 ***



「というわけで尚人、私はお前と付き合っているふりはしないことにした」

 ——翌朝。

 早々に登校した私は、三階の空き教室に尚人を呼び出すなり、宣言した。

「急に呼び出されたかと思えば、どうしてそんなこと言うの?」

 やはり簡単には納得してもらえないようだ。一度決めたことを曲げるのが嫌いなのは、騎士たち皆同じらしい。

 不服そうな目で見られて、私も困ってしまう。

「どうしてと言われても、私は伊利亜を不安にさせたくないからだ」

「でも、伊利亜は彩弓と距離を置きたいって言ったんでしょ?」

「だが、はっきりと別れるとは言われてないから……まだ間に合うはずだ」

「どうかな」

「とにかく、尚人とはこれから二人きりにはならないことにする」

「嫌だよ」

「嫌だと言っても、私が決めたことだ」

「俺は彩弓が好きだって言ったよね? 絶対に諦めないから」

「だが私には伊利亜がいるんだ」

「もう聞きたくないよ」

 言って、尚人は私は抱きしめる。相変わらず腕の力が強くて、私は息をするのがやっとだった。

「こら! くっつくな!」

「どうして伊利亜なの?」

「え?」

「俺だってこんなに好きなのに」

「尚人、いい加減に——」

「あ、伊利亜!」

 尚人の声にハッとして、私はゆっくりと振り返る。

 するとそこには、険しい顔をした伊利亜の姿があった。

「……お前の答えはそうか」

「え? 私の答え? ちょっと、離れろ尚人」

「嫌だ。伊利亜と別れて俺と付き合うって言ったでしょ?」

「そんなことは言ってない」

「彩弓はひどいね。あんなに愛しあったのに」

「よくわからないが、誤解だ! 伊利亜!」

 叫んでも、伊利亜は聞いているのかいないのか、去ってしまった。

「あーあ、行っちゃったね。伊利亜の気持ちはその程度だったってことだね……ん? 彩弓? 泣いてるの?」

「おい」

「え?」

「尚人はいつからそんな卑怯な人間になったんだ?」

 私は握った拳を震わせながら尚人を睨みつける。

 だが尚人は一歩も退かなかった。

「俺は彩弓が欲しいんだ」

「尚人はもっといいやつだと思っていた」

「俺はもともとこういうやつだよ。前世で団長の妹と婚約を決めた時も、多くの男たちを蹴散らしたし」

「私は騎士道に反することは許していない」

「でも俺たちはもう、騎士でもなんでもないし」

「たとえ騎士ではなくとも、私は友達としてお前に言いたい。自分のために他人を傷つけることは許せないことだ」

「恋って、自分勝手なものだよ」

「私は伊利亜を尊敬しているし、幸せになってほしいと願っている。どんなに苦しい選択でも、それこそが本物の愛だ」

「じゃあ、彩弓の幸せはどうなるの?」

「は?」

「相手のことばかり考えても、きっと幸せにはなれないよ」

「そんなことはない!」

「だったら、俺に本物の愛を教えてよ」

「なんだと……?」

「伊利亜のことが本当に好きなら、俺を諦めさせてみせてよ」



 ***



「むむむ…」

 結局、尚人のことを伊利亜に弁解することができないまま帰宅した私は、リビングでひたすら唸っていた。

 すると、早くに帰ってきた姉の友梨香が、ソファに座る私の顔を覗きこんだ。

「どうしたの? 彩弓ちゃん。変な顔して」

「……実はちょっとしたトラブルがあったんだ」

「トラブル? 水道の蛇口が壊れたとか? だったら、早く業者さんを呼ばないと」

「違う! そういうことじゃなくて、尚人に手を焼いてるんだ」

「尚人くんって、彩弓ちゃんのことを好きな子ね」

「姉さんまで知っているのか?」

「健くんから聞いているわ。邪魔をするかもしれないけど、ごめんなさいって言われたのよ。それで、尚人くんがどうしたの? キスでもされたの?」

「そ、そういうわけじゃ……」

「その反応、されたのね。彩弓ちゃんはすぐ隙を見せるんだから。そういうのはよくないわよ」

「姉さんはまるで現場を見たような口ぶりだな」

「見なくてもなんとなくわかるわよ。あの子、したたかな雰囲気があるもの。それで、彩弓ちゃんはどうするの?」

「どうすると言われても……本物の愛を見せると言った以上、伊利亜との絆を見せつけなければ……」

「伊利亜くんとは仲直りしたの?」

「私が伊利亜に距離を置かれていること、なんで姉さんが知っているんだ!?」

「私は彩弓ちゃんのお姉さんだから、そのくらいは把握してるわよ。それより、このまま尚人くんといれば、伊利亜くんの気持ちが離れてしまうかもしれないわよ」

「千枝も同じようなことを言っていた。やはり、そうなんだな……どうしよう……伊利亜に会いたいのに、会いたくないんだ」

「彩弓ちゃんも、後ろめたいという気持ちを覚えたのね」

「そうか。これが後ろめたいという気持ちなのか」

「でも、彩弓ちゃんだけが悪いわけじゃないわね」

「?」

「彩弓ちゃんのことをしっかりと守らないといけないのに、距離を置くなんてとんでもないわ」

「姉さん?」

「これはちょっと、なんとかしないといけないわね」



 ***



「お呼びですか」

 彩弓が住むマンションの屋上に、呼び出された伊利亜は、給水タンク以外何もない殺風景な場所で静かに膝をつく。

 すると、伊利亜を呼び出した女性——友梨香は、腰に手を置いて伊利亜を見下ろした。

「ああ。どうだ? あれから修行は進んでいるか?」

「陛下がおっしゃる通り、例の術の習得に励んでおります」

「そうか。なら良いが……それより、彩弓ちゃんのことなんだけど」

 友梨香は尊大な態度をやめて、両手を合わせて伊利亜に詰め寄る。

 その禁句とも言える彩弓という名前に、伊利亜は片眉を上げた。

「……」

「あなたに振られて、とても落ち込んでいるわ」

「……」

「このままだと、尚人くんに取られてしまうわよ」

「あいつがそれで幸せなら、俺からは何も言うことはありません」

「あなたがそれでいいなら、いいけど。彩弓ちゃんを幸せにできるのは、彩弓ちゃん自身なのよ。それと同じく、あなたを幸せにできるのは、あなた自身だということを忘れないで」

「何が言いたいんですか?」

「彩弓ちゃんは今もあなたのことが好きなのよ」

「それはどうでしょうか」

「私は彩弓ちゃんを幸せにしてくれるなら、尚人くんでも構わないと思ってるけど——あとはあなた次第よ」

「俺はもう、あいつと距離を置くと決めたんです」

「なら、彩弓ちゃんに何があっても、絶対に手を出さないでちょうだい」

「……」

「尚人くんのことだから、これから彩弓ちゃんに何をするかわからないわよ。でも、絶対に助けたりしないで」

「……」

「彩弓ちゃんを守りたいと思うなら、生涯かけて守ってあげて。中途半端に優しくされても、きっと彩弓ちゃんは喜ばないと思うから」

「……話はそれだけですか?」

「ええ」

 友梨香が言うだけ言うと、伊利亜は無表情を装ってその場を足早に立ち去った。

「これで少しは何かが変わるかしら?」

 誰もいなくなった屋上で、友梨香は気持ちよさそうに伸びをした。

しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...