6 / 181
一章 貴方のスキル買い取らせて下さい
5話 仲間も食料も生き残る術もない
しおりを挟む
(俺・・・ツイてるのかどうか分からないな・・・)
まだ周りを歩いているサイクロプスにバレないように先輩傭兵の死体の横で死人のふりをする。
右には優しかった剣士の傭兵さんの上半身だけが転がっている。
左には少し厳し目だったけど、俺に気を遣ってくれた魔法使いの女性が頭を半分潰された状態で動かないでいる。
「Bofuuu・・・」
サイクロプスは馬車を引いていた馬と、馬車の中に詰め込まれていた食料を手にすると何処かへと歩いて行ってしまった。人間を食べる風習はなかったようで安心した。
「何で・・・俺だけ生き残ってるんだ」
2人の先輩傭兵の体に手を当ててみるとまだ暖かい。まだ生きていた痕跡が残っている。でももう動くことはない。心臓は既に動いていない。
馬車の中に何故かあったスコップ使い、3人分の穴を掘る。左右にいる先輩傭兵2人と、岩に叩きつけられ死んだ商人の分だ。
ザクッザクッとスコップを土に差し込む度に涙が溢れてくる。たった2時間の交流のせいで涙の理由が曖昧だ。
自分の境遇に泣いているのか、仲間の死に泣いているのか分からない。そんな自分に嫌気がさす。
3人の遺体を埋め、近くにあった木の棒2つで十字架を作り、手を合わせる。これで無事成仏してくれればいいのだが・・・。
「そういえば、剣士さんの剣・・・どうしよう」
相棒のようなものだ。置いておくべきなのだろうが、俺はここから町まで歩いて帰らなくてはならない。身を守る武器が必要だ。申し訳ないが、拝借しておこう。
鞘に納め、右腰に収める。体が剣の重みに慣れていないせいで体が右に傾く。もう少し運動しておけばよかったとここにきて後悔。
「さて、行くか・・・ん?」
今いるのは、木々が生い茂る森の中。道もサイクロプスから逃げる為必死だった為、忘れてしまった。東西南北すら分からない最悪の状態。食料は全てサイクロプスが持って行ってしまった。手元にあるのは腹を満たせない硬貨と、傭兵さんから拝借した一振りの剣のみ。
サバイバル経験無し、松明無し、既に太陽は沈みかけている。周りが暗くなるにつれて心細くなっていくのを感じ取る。
死にたくない。絶対に死にたくないという気持ちが頭の中を駆け巡る。明かりも無く、周りも怖かった俺は近くにあった木の中の空洞に入って夜をやり過ごす事にした。俺以外に何かがいるような気がして眠る事は出来ず、起きたまま、朝日が昇るのを待っていた。
その間恐らく6時間程だろうが、一週間程の時間に感じた。
まだ周りを歩いているサイクロプスにバレないように先輩傭兵の死体の横で死人のふりをする。
右には優しかった剣士の傭兵さんの上半身だけが転がっている。
左には少し厳し目だったけど、俺に気を遣ってくれた魔法使いの女性が頭を半分潰された状態で動かないでいる。
「Bofuuu・・・」
サイクロプスは馬車を引いていた馬と、馬車の中に詰め込まれていた食料を手にすると何処かへと歩いて行ってしまった。人間を食べる風習はなかったようで安心した。
「何で・・・俺だけ生き残ってるんだ」
2人の先輩傭兵の体に手を当ててみるとまだ暖かい。まだ生きていた痕跡が残っている。でももう動くことはない。心臓は既に動いていない。
馬車の中に何故かあったスコップ使い、3人分の穴を掘る。左右にいる先輩傭兵2人と、岩に叩きつけられ死んだ商人の分だ。
ザクッザクッとスコップを土に差し込む度に涙が溢れてくる。たった2時間の交流のせいで涙の理由が曖昧だ。
自分の境遇に泣いているのか、仲間の死に泣いているのか分からない。そんな自分に嫌気がさす。
3人の遺体を埋め、近くにあった木の棒2つで十字架を作り、手を合わせる。これで無事成仏してくれればいいのだが・・・。
「そういえば、剣士さんの剣・・・どうしよう」
相棒のようなものだ。置いておくべきなのだろうが、俺はここから町まで歩いて帰らなくてはならない。身を守る武器が必要だ。申し訳ないが、拝借しておこう。
鞘に納め、右腰に収める。体が剣の重みに慣れていないせいで体が右に傾く。もう少し運動しておけばよかったとここにきて後悔。
「さて、行くか・・・ん?」
今いるのは、木々が生い茂る森の中。道もサイクロプスから逃げる為必死だった為、忘れてしまった。東西南北すら分からない最悪の状態。食料は全てサイクロプスが持って行ってしまった。手元にあるのは腹を満たせない硬貨と、傭兵さんから拝借した一振りの剣のみ。
サバイバル経験無し、松明無し、既に太陽は沈みかけている。周りが暗くなるにつれて心細くなっていくのを感じ取る。
死にたくない。絶対に死にたくないという気持ちが頭の中を駆け巡る。明かりも無く、周りも怖かった俺は近くにあった木の中の空洞に入って夜をやり過ごす事にした。俺以外に何かがいるような気がして眠る事は出来ず、起きたまま、朝日が昇るのを待っていた。
その間恐らく6時間程だろうが、一週間程の時間に感じた。
468
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる