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三章 勇者探し
70話 元の世界への思い入れ
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外交はないといえども腐っても港町。どこにも人がいたので、とりあえず町外れの洞窟で話すことにした。その道中、俺の事についての質問責めにあう。
「テツロウ・・・面白い名前ですよね。顔立ちも私達と違いますし。どこの国の人なんですか?」
「ん?日本」
「ニホン?初めて聞く名前です。ここから遠いんですか?」
「遠いって言うか別の世界だけ。話してなかったけど俺、召喚されたんだ」
「召喚!?召喚されて来た人初めて見ました。元の世界はどんな世界だったんですか?平和でしたか?」
「平和・・・ではないかな。戦争は世界各地で起きてるし、内戦だって。日本では戦争はなかったけど、政治関係で色々と問題はあったし、一概に平和とは言えないかな」
「やっぱり、どの世界でも人間がいる限りは平和はないんですかね。じゃあ、逆に違いとかはありましたか?」
「魔物、魔法、ドワーフ、エルフは存在しない。全て創作物の中の話さ」
「じゃあ、ヒュームだけなんですか?魔獣人もいないんですか?」
「ああ、いないよ。だからこの世界に来てから驚きしかない。元の世界が────」
恋しいと言いかけた瞬間、言葉が詰まった。いや、言うのをやめたという方が正しいだろうか。本当に俺は元の世界を恋しがっているのか分からなかったからだ。
確かにこの世界は不便だ。科学が無いし、法整備もなっていないし、医療だって未発達だ。
けど、魔法がある。仲間はいるし、何よりも元の世界にいる時と比べて目的があるので充実感はある。
唯一の不満と言えば家族がいない事だろうか。父さん母さんが恋しい。それ以外は特にこれと言って恋しくは無い。
もしかして俺はこの世界の方が楽しいのではないんだろうか?元の世界に帰らなくていいんじゃ無いのか?
俺が旅をする最終目的は元の世界に帰る為、それが今揺らいでしまったような気がする。目的が揺らぐとやる気が失われる。
俺は元の世界に帰りたいんだろう!?元の世界に帰って父さんと母さんに会うんだろう!?
自分に言い聞かせていると、彼女が服の裾を引っ張って来た。
「あはは、難しい質問をしてすみません。着きましたよ洞窟」
「え?ああ!ごめんごめん、つい考え込んじゃった。話の途中だって言うのに」
「いえ、お気になさらず。さて、ここには誰にもいませんね。それでは存分にお話し下さい」
「うん、分かった。実は俺は、俺を召喚した人から────ん?」
ペタリペタリと湿った足音が聞こえてくる。その音は海の方から聞こえて来た。誰もいないと思っていたので思わず振り返ってみると、そこにいたのは、青い肌を持った二足歩行の謎の生き物だった。
「テツロウ・・・面白い名前ですよね。顔立ちも私達と違いますし。どこの国の人なんですか?」
「ん?日本」
「ニホン?初めて聞く名前です。ここから遠いんですか?」
「遠いって言うか別の世界だけ。話してなかったけど俺、召喚されたんだ」
「召喚!?召喚されて来た人初めて見ました。元の世界はどんな世界だったんですか?平和でしたか?」
「平和・・・ではないかな。戦争は世界各地で起きてるし、内戦だって。日本では戦争はなかったけど、政治関係で色々と問題はあったし、一概に平和とは言えないかな」
「やっぱり、どの世界でも人間がいる限りは平和はないんですかね。じゃあ、逆に違いとかはありましたか?」
「魔物、魔法、ドワーフ、エルフは存在しない。全て創作物の中の話さ」
「じゃあ、ヒュームだけなんですか?魔獣人もいないんですか?」
「ああ、いないよ。だからこの世界に来てから驚きしかない。元の世界が────」
恋しいと言いかけた瞬間、言葉が詰まった。いや、言うのをやめたという方が正しいだろうか。本当に俺は元の世界を恋しがっているのか分からなかったからだ。
確かにこの世界は不便だ。科学が無いし、法整備もなっていないし、医療だって未発達だ。
けど、魔法がある。仲間はいるし、何よりも元の世界にいる時と比べて目的があるので充実感はある。
唯一の不満と言えば家族がいない事だろうか。父さん母さんが恋しい。それ以外は特にこれと言って恋しくは無い。
もしかして俺はこの世界の方が楽しいのではないんだろうか?元の世界に帰らなくていいんじゃ無いのか?
俺が旅をする最終目的は元の世界に帰る為、それが今揺らいでしまったような気がする。目的が揺らぐとやる気が失われる。
俺は元の世界に帰りたいんだろう!?元の世界に帰って父さんと母さんに会うんだろう!?
自分に言い聞かせていると、彼女が服の裾を引っ張って来た。
「あはは、難しい質問をしてすみません。着きましたよ洞窟」
「え?ああ!ごめんごめん、つい考え込んじゃった。話の途中だって言うのに」
「いえ、お気になさらず。さて、ここには誰にもいませんね。それでは存分にお話し下さい」
「うん、分かった。実は俺は、俺を召喚した人から────ん?」
ペタリペタリと湿った足音が聞こえてくる。その音は海の方から聞こえて来た。誰もいないと思っていたので思わず振り返ってみると、そこにいたのは、青い肌を持った二足歩行の謎の生き物だった。
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