いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太

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最終章 悪魔の契約

163話 前門の虎後門の狼

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「逃げてくださいまし!逃げてくださいまし!そして、テツロウはさっさと起きてください!」

 騒ぎを聞きつけてしまったのだろう。他の悪魔達が集まってきてしまった。後ろから追いかけてきている悪魔の数は驚異の200人以上。

 今は逃げきれているが、体力は無限ではない。いつ追いつかれるかは分からない。

「突き当たりを右に回る!そしたら出口だ!!」

 ただ出鱈目に走っていたわけではない。しっかりと外に出れるように計算して走っていたのだ。体力もつきかけていた中でこの発言は騎士達に元気を与える。

「「「うぉおおおおお!!」」」

 城の出入り口である門が見えてきた。達成感と共に城から抜け出すと、目の前にいたのは、追ってきた悪魔の数よりも遥かに多い悪魔達であった。

「うそ・・・だろぉ・・・そんなのってないだろぉ・・・」

 一難去ってまた一難。そもそも、今は戦争中。逃げきれたからって休めるとは限らないのだ。

 イリスも観念したのか、短剣を抜き構える。

「お前達も構えろ!もう逃げても無駄だ!誇り高きコンパス人ならば、最後まで戦って死のうじゃないか!」

「「「お、おぉぉぉぉぉ!!」」」

 騎士達は半泣きだった。どんなに鍛えてきて誇り高い精神を持った人間でもやはり死ぬ時というのはとても怖い。王女であり、戦士ではないイリスはもっと怖いだろう。

 足が生まれたての小鹿のように震えている。虚勢がバレない為、ドレスを着ていてよかったと心の底から思う。

「な、なら・・・俺も戦わせてくれ・・・」

 声が聞こえてきたのはニアの背中からだった。掠れていて明らかに疲れている声。その声の持ち主は哲郎だった。

「テツロウ!ようやく起きたか!この馬鹿者め!」

「ああ、ごめん。少し血を出しすぎちゃったぼくてね。今も視界がグラグラしてるよ。ニア、悪いんだけど支えてくれないかな?」

「ええ、分かりましたわ」

 ニアの背中から降りて、肩を貸してもらいながら立ち上がる。顔色は土色になっており、今にも倒れてしまいそうだ。

 とてもじゃないが戦わせるような体調ではない。この場に医者がいれば即座にドクターストップがかかっている事だろう。

 しかし、悪魔に塗れた今のコンパス城と城下町で1番頼りになるのは哲郎しかいなかった。

「やっちまえ!相手は瀕死だ!デコピンでも殺せるぞ!」

「「「「ひゃっはあぁぁぁぁぁ!!」」」」

 前後から一斉に襲いかかってくる悪魔達。誰もが焦る状況の中、哲郎は落ち着きながら言葉を紡ぐ。

「スキル解放『聖女の光』。光魔法『シャイン』・・・」

 か細い声紡がれたスキル解放と魔法名。次の瞬間には、眩い光と共に浄化属性が付与された光が悪魔達を襲う。

 哲郎を殺そうと襲いかかってきていた悪魔達は数秒後には地面に伏していた。
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