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一章 クソみたいな女神とクソみたいな異世界転移
第十四話 武士の実力
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「うわぁぁぁぁん!!皆ぁ!!助けてぇぇ!!」
目と鼻から液体を垂れ流しながらこちらへと全力疾走してくる魔術師君。更にデカいコボルトもついてくるというアンハッピーセットつきだ。
「ちょちょちょ!!こっちに来ないで!!俺らも巻き添え喰らうから!!」
「最初にそっちに逃げて来いって言ったのお前だろぉぉぉ!!言った言葉には責任もてやごらぁぁ!!」
今は距離が離れているが、魔術師君とデカいコボルトの距離は段々近づいてきている。曲刀のリーチにも入っていそうだ。このままだと死ぬの確実に・・・あ、そうだ!!
「何か魔術をぶっ放せ!!さっきみたいな感じで!!自分の得意なので良いから!!」
「魔術ね!分かった!分かったよ!!」
俺はこの時、発言を数秒後に後悔した。何故なら彼の得意魔術が──────
「『ファイア』ァァァァァ!!」
よりにもよって炎の魔術だったのだから。
魔術師の少年の杖から放たれた炎の玉は真っすぐとコボルトまで飛んでいく・・・が、コボルトはハエを払うが如く火球を弾いてしまった。するとどうだろう?火球は地面へと落ちていく。地面には一面に広がる草原。草は可燃物である。これらの条件から導き出される答えはただ一つ───大炎上。
「バカやろぉぉぉぉぉ!!」
「うわぁぁぁぁ!!やっちゃったぁぁぁ!!」
魔術師君はあっと言う間に火に囲まれてしまい、身動きが取れなくなってしまった。まだ燃えていないのが奇跡であるが。魔術師君だけではなく、他の冒険者達もパニックに陥ってしまう。
「逃げろ!さもないと丸焦げだぞ!!」「違うだろー!!このハゲ!鎮火するぞ!!」「魔術師はいるか!?すぐに水の魔術を頼む!!」「火が広がり過ぎている!!僕の実力じゃできっこない!!」「弱音吐いてる暇があるなら水だせ!!このままだと俺らまで丸焦げだぞ!!」
今回のコボルト討伐に集まってきた冒険者はほとんどがまだギルドに入りたての新人冒険者。故に経験が少なく、こんなにも慌てている。一人の男を除いて。
「下がっていろ」
「武士さん?」
前に出てきたのは笠の武士。水も持っていなければ魔術も使えないただの戦士だ。しかし、彼には刀があった。彼には得物さえあれば十分だった。
「────むんっ!!」
笠の武士は刀を天高く構えると、掛け声と共に大きく振り下ろす。すると刀振った際に生じた風が火の海と化した草原を割ったのだ。その姿はまさにモーセ。それだけでは終わらない。更にもう1振り2振りと繰り返し、発生した風は、火の海はボヤ程度まで収まってしまったのだ。
「妖術使いの者達よ・・・これで鎮火できるな?」
「は、はい!ありがとうございます」
何て腕力なんだ。しかもただの刀で火をも消す風を起こすなんて・・・一体何者何だ。笠の武士さん・・・。
異常な強さに驚いていると、笠の武士さんが笠を固定している顎の紐をほどきながら近づいてきた。
「すまぬが笠を持っていてくれぬか?拙者、あやつと一対一の勝負がしたくてな・・・邪魔はしないでほしい」
「は、はい」
そう言って、俺に笠を預けてきた。笠を外して素顔がはっきりと見えるようになった笠の武士さんの顔は見入ってしまう程に美しく、女性のような顔立ちをしていた。
「Grururururururu・・・」
「さて・・・」
デカいコボルトも既に曲刀を構えて戦闘準備は万端だ。笠の武士さんも正面に立ち、刀を構える。
「・・・参る」
言葉の意味を理解しているのだろうか?デカいコボルトは「参る」の一言を火蓋に笠の武士に襲い掛かった。型もなんにも考えていない力に任せた大振り。笠の武士は右に3歩避けただけで攻撃をかわしてしまう。
「Uuuuuuu・・・Guoooooooonn!!」
自分の渾身の一撃を簡単に避けられたのが余程悔しかったのだろう。デカいコボルトは怒りの雄たけびを上げ、ド怒涛の攻撃を笠の武士にお見舞いする。しかし、笠の武士は攻撃する前から知っていたと言わんばかりに紙一重で避けていく。
(何で攻撃しないんだ。笠の武士さん・・・)
まだまだ未熟である幸助でも分かるくらい今のコボルトの行動には隙だらけで、攻撃を入れる事は容易である。しかし、笠の武士は避けるだけで攻撃を仕掛ける事は無かった。
「Guo!Guo!Guooooooonn!!」
増していくコボルトの怒り。怒りは許容範囲を超え、ついに爆発する。既にものを考える程の知性を怒りに奪われたコボルトは防御なんてお構いなしと言わんばかりに曲刀を大きく振りかぶる。その様子を見た笠の武士は何を思ったのか、刀を鞘に納めてしまった。
「なっ・・・・!!」
「おい!アンタ何やってんだ!!殺されるぞ!!」「死にてぇのか!!」
観戦者である冒険者達のヤジが飛ぶ。何も知らない人から見たら戦うのを止めたように見えたのだろう。だが、実際には違う。まだ戦う意志は存在している。その事を理解していたのは日本という昔武士や侍が覇権を握っていた国で生まれ育った幸助だけだった。
(あれは・・・間違いない・・・!!)
コボルトの曲刀が笠の武士めがけて下りてくる。命を奪わんと降ってくる。笠の武士は足に力を込め、カエルのように飛び跳ね、怒り狂うコボルトの首に一閃。
「・・・御免」
コボルトの首が身体からずり落ちる。司令塔である脳を失ったコボルトの体を前のめりになった崩れ落ち、斬られた断面からおびただしい量の血を噴水のように噴き出した。幸助はその様子を見て一言呟く。
「居合・・・」
幸助の故郷である日本に古くから伝わる抜刀術にそっくりだったのだ。戦いを一撃を笠の武士は刀に付着した血を拭いながら幸助の方へと歩いてくる。
「感謝する・・・」
「はい・・・どうぞ・・・」
幸助から笠を返した笠の武士は再び笠を固定する。再び綺麗な顔が隠れてしまう。
「さあ、皆の者。残党を始末するぞ」
「「「「「「お、おう・・・・・・」」」」」」
その後、冒険者達は残ったコボルトを全滅させる事ができたのだが、全員笠の武士の戦いを見る前よりも動きが悪くなっていた。
目と鼻から液体を垂れ流しながらこちらへと全力疾走してくる魔術師君。更にデカいコボルトもついてくるというアンハッピーセットつきだ。
「ちょちょちょ!!こっちに来ないで!!俺らも巻き添え喰らうから!!」
「最初にそっちに逃げて来いって言ったのお前だろぉぉぉ!!言った言葉には責任もてやごらぁぁ!!」
今は距離が離れているが、魔術師君とデカいコボルトの距離は段々近づいてきている。曲刀のリーチにも入っていそうだ。このままだと死ぬの確実に・・・あ、そうだ!!
「何か魔術をぶっ放せ!!さっきみたいな感じで!!自分の得意なので良いから!!」
「魔術ね!分かった!分かったよ!!」
俺はこの時、発言を数秒後に後悔した。何故なら彼の得意魔術が──────
「『ファイア』ァァァァァ!!」
よりにもよって炎の魔術だったのだから。
魔術師の少年の杖から放たれた炎の玉は真っすぐとコボルトまで飛んでいく・・・が、コボルトはハエを払うが如く火球を弾いてしまった。するとどうだろう?火球は地面へと落ちていく。地面には一面に広がる草原。草は可燃物である。これらの条件から導き出される答えはただ一つ───大炎上。
「バカやろぉぉぉぉぉ!!」
「うわぁぁぁぁ!!やっちゃったぁぁぁ!!」
魔術師君はあっと言う間に火に囲まれてしまい、身動きが取れなくなってしまった。まだ燃えていないのが奇跡であるが。魔術師君だけではなく、他の冒険者達もパニックに陥ってしまう。
「逃げろ!さもないと丸焦げだぞ!!」「違うだろー!!このハゲ!鎮火するぞ!!」「魔術師はいるか!?すぐに水の魔術を頼む!!」「火が広がり過ぎている!!僕の実力じゃできっこない!!」「弱音吐いてる暇があるなら水だせ!!このままだと俺らまで丸焦げだぞ!!」
今回のコボルト討伐に集まってきた冒険者はほとんどがまだギルドに入りたての新人冒険者。故に経験が少なく、こんなにも慌てている。一人の男を除いて。
「下がっていろ」
「武士さん?」
前に出てきたのは笠の武士。水も持っていなければ魔術も使えないただの戦士だ。しかし、彼には刀があった。彼には得物さえあれば十分だった。
「────むんっ!!」
笠の武士は刀を天高く構えると、掛け声と共に大きく振り下ろす。すると刀振った際に生じた風が火の海と化した草原を割ったのだ。その姿はまさにモーセ。それだけでは終わらない。更にもう1振り2振りと繰り返し、発生した風は、火の海はボヤ程度まで収まってしまったのだ。
「妖術使いの者達よ・・・これで鎮火できるな?」
「は、はい!ありがとうございます」
何て腕力なんだ。しかもただの刀で火をも消す風を起こすなんて・・・一体何者何だ。笠の武士さん・・・。
異常な強さに驚いていると、笠の武士さんが笠を固定している顎の紐をほどきながら近づいてきた。
「すまぬが笠を持っていてくれぬか?拙者、あやつと一対一の勝負がしたくてな・・・邪魔はしないでほしい」
「は、はい」
そう言って、俺に笠を預けてきた。笠を外して素顔がはっきりと見えるようになった笠の武士さんの顔は見入ってしまう程に美しく、女性のような顔立ちをしていた。
「Grururururururu・・・」
「さて・・・」
デカいコボルトも既に曲刀を構えて戦闘準備は万端だ。笠の武士さんも正面に立ち、刀を構える。
「・・・参る」
言葉の意味を理解しているのだろうか?デカいコボルトは「参る」の一言を火蓋に笠の武士に襲い掛かった。型もなんにも考えていない力に任せた大振り。笠の武士は右に3歩避けただけで攻撃をかわしてしまう。
「Uuuuuuu・・・Guoooooooonn!!」
自分の渾身の一撃を簡単に避けられたのが余程悔しかったのだろう。デカいコボルトは怒りの雄たけびを上げ、ド怒涛の攻撃を笠の武士にお見舞いする。しかし、笠の武士は攻撃する前から知っていたと言わんばかりに紙一重で避けていく。
(何で攻撃しないんだ。笠の武士さん・・・)
まだまだ未熟である幸助でも分かるくらい今のコボルトの行動には隙だらけで、攻撃を入れる事は容易である。しかし、笠の武士は避けるだけで攻撃を仕掛ける事は無かった。
「Guo!Guo!Guooooooonn!!」
増していくコボルトの怒り。怒りは許容範囲を超え、ついに爆発する。既にものを考える程の知性を怒りに奪われたコボルトは防御なんてお構いなしと言わんばかりに曲刀を大きく振りかぶる。その様子を見た笠の武士は何を思ったのか、刀を鞘に納めてしまった。
「なっ・・・・!!」
「おい!アンタ何やってんだ!!殺されるぞ!!」「死にてぇのか!!」
観戦者である冒険者達のヤジが飛ぶ。何も知らない人から見たら戦うのを止めたように見えたのだろう。だが、実際には違う。まだ戦う意志は存在している。その事を理解していたのは日本という昔武士や侍が覇権を握っていた国で生まれ育った幸助だけだった。
(あれは・・・間違いない・・・!!)
コボルトの曲刀が笠の武士めがけて下りてくる。命を奪わんと降ってくる。笠の武士は足に力を込め、カエルのように飛び跳ね、怒り狂うコボルトの首に一閃。
「・・・御免」
コボルトの首が身体からずり落ちる。司令塔である脳を失ったコボルトの体を前のめりになった崩れ落ち、斬られた断面からおびただしい量の血を噴水のように噴き出した。幸助はその様子を見て一言呟く。
「居合・・・」
幸助の故郷である日本に古くから伝わる抜刀術にそっくりだったのだ。戦いを一撃を笠の武士は刀に付着した血を拭いながら幸助の方へと歩いてくる。
「感謝する・・・」
「はい・・・どうぞ・・・」
幸助から笠を返した笠の武士は再び笠を固定する。再び綺麗な顔が隠れてしまう。
「さあ、皆の者。残党を始末するぞ」
「「「「「「お、おう・・・・・・」」」」」」
その後、冒険者達は残ったコボルトを全滅させる事ができたのだが、全員笠の武士の戦いを見る前よりも動きが悪くなっていた。
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