大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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一章 クソみたいな女神とクソみたいな異世界転移

第三十四話 心が病んでしまったメアリー

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 アモーラ教狂信者であるアンリに身体をボロボロにされてから3日が経過した。最初は元に戻るか心配だったが、僧侶の治癒の奇跡の効果はすさまじく、曲げられた指は元に戻り、アキレス腱は歩けるまで回復した。

 私を助けてくれたのはアモーラ教の教会の神父さんだった。神父さんは心底申し訳なさそうにして私の怪我を治してくれた。自分の所属する宗教から頭のおかしいヤツが現れた上に、そいつが色んな人を宗教の為にと傷つけたのだ。罪悪感を感じるのも無理はない。

 昔からアモーラ教の狂信者は他の宗教の狂信者に比べて一際狂暴で暴力をふるう人が多いと知っていた為、もうアモーラ教狂信者に驚く事はないと高を括っていたが、今回は流石に驚かされたし、大いに傷つけられてしまった。

 まさか愛と狂信が合わさる事であんなにも狂暴になるとは思わなかった。顔の皮を引きはがされる寸前でコウスケさんが助けに来てくれたお陰で失わずに済んだが、もう少し遅かったらと思うと、しっかりとある顔が愛おしく感じてしまう。

 とにかく顔を剝がされなくて本当に良かった。剝がされていたら予定が狂ってしまう所だった。

 すぐにでも助けてくれたコウスケさんにお礼を言いに行きたかった。しかし、神父さんが許してくれなかった。仕方が無いのでランマルさんと新しくパーティに入った変態僧侶のボニーさんにお願いしてコウスケさんを呼びに行ってもらう事にした。

 しかし、やってきたのはランマルさんとボニーさんだけでコウスケさんはいなかった。

 ランマルさんの話によると、一連の騒動で心に深手を負ってしまったらしく、どんなに声をかけても反応してくれないらしい。

 私はその話を聞いて激怒した。怪我をしていなかったら八つ当たりでランマルさんを殴っていたぐらいの怒りを覚えた。何故、何も悪くない彼が心に傷を負わなくてはいけないのか!ただ、私を守ってくれただけなのに!狂信者アンリは・・・あの女は何処までコウスケさんを傷つければ気が済むのだろうか!死んでも尚、愛しい彼の心に住み着きたいのか!!なんて卑しい女なんだろうか・・・。

 コウスケさんは優しい。このまま放っておいたら彼は友人であったあの狂信者の死という傷を永遠に心に刻んでいくだろう。だから、私が何とかしてその傷を癒さなくてはいけない。傲慢かもしれないが、その傷を治す事が出来るのは私だけなのだから。

 けれでも、彼は一向にやってこない。どんなにどんなに待ってもコウスケさんの姿は見えない。時間が経っていくにつれ、私は弱気になっていった。

 あの時、しっかりとランマルさんについて行ってればこんな事にはなっていなかった。

 あの時、反撃していれば、こんな事にはならなかった。

 次第に自分が悪いのでは?と思い始めるようになった。私がヘマさえしなければコウスケさんは心に傷を負わずに済んだのではないだろうか?そう考えるだけで自分が嫌になってくる。

 私はいつもそうだ。金銭面で、肉体面で、そして、精神面で周囲に迷惑ばかりかけている。?とつい考えてしまう。あの時に死んでいれば、今まで迷惑かけてきた人達も、コウスケさんも平和に暮らせていたのでは?

 私は布団に蹲り泣いた。生きていてごめんなさい。あの時死ぬべきだったのに、のこのこと生きていてごめんなさい。誰の役にも立てなくてごめんなさい・・・どうか、許して下さい・・・。

 傷は完全に癒えたのに布団から外に出る事ができない。修道女さんが持ってきてくれたごはんも食欲が無くて喉を通らない。自分から会いに行くことができるのに、怖くてコウスケさんの下に行けない。生きているのが嫌になってくる。

「メアリーさん、ご飯ここに置いておきますよ・・・」

 今日も修道女さんがご飯を持ってやってきた。声色から私の事を心配してくれている事が分かる。こんな私に心配をかけてくれるだなんてなんて良い人なんだろう。

「それと、今日もお客さんが来ましたよ。いつもの方ではない別の人が」

「別の・・・人・・・・・・っは!!ま、まさか!!」

 私は布団から出て、ベッドから下り、部屋を飛び出した。

 いつもの方ではない別の人・・・間違いない、コウスケさんだ!コウスケさんがついに来てしまったんだ!!

 私は一目散に教会の奥へと逃げた。ついこの間まではあんなにも会いたかったのに私はコウスケさんから身を隠した。

 自分の意思ではなく、無意識に部屋から逃げて奥に隠れてしまった。自分の行動に理解が出来なかった。いや、もしかしたら考えていないだけで頭の奥底ではコウスケさんに会うのが怖いのかもしれない。

 自分が原因で心に傷を負ってしまったコウスケさんに会うのがきっと怖いに違いない。だって彼は魔術師としては致命的なステゴロ癖を持っている私を仲間に引き入れてくれた私の恩人なのだから。私はそんな恩人に何を言われるのか怖くて隠れたに違いない。

 本当なら面と面を合わせて謝るべきなのに。何を言われても受け入れるべきなのに。私はなんて最低の女なんだろう。
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