大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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一章 クソみたいな女神とクソみたいな異世界転移

第三十九話 深まる謎、パーティの絆

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「ここが自警団の集会所です。土足であがっちゃってください・・・」

 自警団の男に連れて来られたのは教会の近くのそこそこ立派な一軒家。中に入ると、武装した自警団が椅子に座って丸いテーブルを囲んでいた。

「おお、来てくれましたか冒険者さん!待っていましたよ!さあ、こちらにどうぞ」

 自警団のリーダーらしき促されて椅子に座る。テーブルの上には複数の羊皮紙が広がっていた。

「冒険者さんが来てくれたという事は我々の依頼を受けてくれるという事でよろしいですかな?」

「いえ、今回はあまりにも情報が少なすぎたのでまだ了承はしていません。今から皆さんと情報を整理してから依頼を引き受けるか考えたいと思います」

 そう言った途端、リーダーの表情が悪くなる。だが、一瞬で元の笑顔に戻り、俺にテーブルの羊皮紙を見せてきた。複数枚の羊皮紙にはアンリに関しての情報が記されていた。

「我々は狂信者アンリの情報を調べてきました。アンリ・ラパン、11月11日生まれの19歳。身長は156センチで体重は45キロ」

  淡々と語られていくアンリの詳細。幸助は羊皮紙を見ながら耳を傾ける。

「しかし、このアンリ・ラパンというのは偽名であり、フラム王国に亡命してくる際に付けたようですね」

「偽名!?ていうか彼女、フラム王国に元から住んでいたんじゃないんですか?」

「いや、違う。彼女は元は隣国の元貴族だ。12年前、戦争の影響で家が没落し、フラム王国へと亡命。亡命途中に盗賊に両親を殺されたんだ」

 突然語られる知らなかったアンリの過去。明るかった彼女からは考えらないくらい暗い過去だ。

「彼女も盗賊に攫われそうになったが、その時丁度通りかかった騎士に助けられたのだ。そしてその騎士が崇拝していたのが・・・」

「アモーラ教・・・」

「そうだ。まだ幼くて人格も完全に形成されていなかった頃にアモーラ教信者に救われた事をきっかけにアモーラ教を崇拝し始め、10歳の頃にアモーラ狂信者と遭遇。狂信者に間違った事を教えてもらった結果、彼女はアモーラ教の狂信者となってしまったのだ」

 純粋でなんにでも染まりやすい時期の少年期を利用した刷り込み。非常に下衆だが、狂信者に引き入れるなら有効な手段なのだろう。過去の出会いや出来事でここまで人は変わってしまうのかと考えると、つくづく自分は恵まれた環境に生まれたと思う。

 悲しい気持ちにはなったが、彼女の過去の話から色々と犯人の条件が絞る事ができた。

 まず、両親が死んでいることから両親がアンリの遺体を奪ったという可能性はゼロになる。一方で、狂信者の仲間がいた可能性が高くなった。そして、彼女の遺体を強奪したのは狂信者の仲間で間違いないだろう。

 仲間の遺体を力づくで奪いに来るようなヤツらだ。きっと仲間意識が高いはず。では、そんな奴らが考えるのは何だろう?・・・答えはそう、復讐だ。

 俺が狂信者アンリを殺したというニュースは既に城下町中に広がってしまっている。お陰で皆からは英雄扱いだ。ギルドの所属の者から犯罪者が出たという事でギルドの信頼は落ち、依頼は減ったが。

 とにかく、仲間も俺が殺したと当然知っているはずだ。きっと敵討ちと言って襲ってくるだろう。ならば俺は餌になれば良い。

「分かりました。依頼は引き受けます。ですが、複数人いる可能性が高いので、皆さんも協力してください」

「本当ですか!?ありがとうございます!!それで?協力とはどのような事をすればよいのでしょうか?」

「まず、俺がおとりになって犯人達をおびき寄せます。そして、犯人達がやってきたら一斉に皆で囲ってください!良いですか?」

 レベル10以上の守りを倒す犯人達でも、流石に数の暴力には勝てないだろう。勝ち目のなさそうな依頼にも勝機が見えてきた・・・・・・のはどうやら俺だけのようだ。

 自警団の表情はあまり良いモノではない。戦闘に自信が無いのだろうか?

「すみません・・・実は我々、リーダー以外まだ入りたての新人なんです。だからまだレベルも1な上に戦闘経験も浅くて・・・」

 周りを見てみると、確かに俺と同い年ぐらいの男ばかりだ。ジョン逮捕の時はもっとベテランらしき人もいたと思うのだが──────

「ベテランの者も遺体を保管する施設の警備者と同様に、しばらくは動けなくされてしまったのだ。その数ざっと15人。自警団の約半分、戦力的な面で見たら3分の2かな?」

「そんなにやられていたんですか?というかその中に犯人達の顔を見たという人はいないんですか?」

「残念ながら、誰も見ていないというのだ。不思議だろう?だが、このまま野放しにしておくわけにはいかない」

 相手の戦力は不明だが、今の俺達よりも明らかに上なのは間違いないだろう。素人だらけではどんなに数がいてもどんな作戦を立てても勝てる気がしない。一体どうしたら──────

「ならば、拙者達も参戦するとしよう」

 悩んでいると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてくる。聞こえると安心するこの声、間違いない・・・!

「蘭丸さん!どうしてここに!」

 ギルドにいるはずの仲間、蘭丸さん、ボニーさん、そしてメアリーだった。

「では、どうして拙者達を置いていった?」

「俺の個人の感情の為に皆を巻き込まない為です」

 俺は人を縛るのは嫌いだ。だから、蘭丸さん達を置いてきた。だが、蘭丸さん達は当たり前のように来てしまった。

「そうか・・・なら、拙者達は自分の意思で依頼に参加しよう。自警団の長よ、それで良いな?」

「ワタシも回復役として参加します。皆さんの怪我の治癒は・・・・・・どうぞご安心を♪」

「わ、私も普通の魔術師みたいに遠くから魔術は打てないけど、エンチャントと近接攻撃には自信があります!」

 次々と名乗り出てくる俺の仲間達。仲間が増えた事に自警団のリーダーは喜び、サムズアップをしてみせた。

「最高だ、アンタら・・・よぉし!復讐にはもってこいの深夜に決定だぁぁぁ!!」

「「「「「うおおおおおおおおお!!!!!」」」」」

 自警団の士気が高まっていく。これだけやる気があるなら、例え素人でもこのくらいやる気があるなら、きっと本番でも頑張ってくれるだろう。

「幸助、相手の戦力は未知数だ。知りあいの冒険者にも声をかけるぞ」

 そう言って、自警団の集会所を出ようとする蘭丸を幸助は手を掴んで止めた。

「どうした?幸助?お主まさか、まだ『巻き込みたくない』とでもいうのか・・・?」

「・・・はい」

「お主にどんな過去があったかは知らんが、これは拙者達の意思でここまで来ている。気にする事はない・・・それと、めありーから言いたい事があるそうだぞ」

 服を引っ張られる感覚に襲われて、右を見ると、メアリーが俺の服の裾を膨れっ面でこちらを見つめていた。

「えっと・・・メアリー?」

「むぅ~~私達、仲間じゃなかったの?」

「いや、仲間だよ?」

「それじゃあ、頼ってよ!家族みたいにさ!!」

 メアリーは頼られなかった事に怒っていた。それはもうプンプンに。きっと俺が昨日彼女に対して言った、仲間の為なら身体張っても後悔もしないし、見返りも求めないを実行しようとしているのだろう。

 そして、俺はそれを無意識に阻止しようとしていた。彼女の行動を俺の勝手で止めようとしてしまった。それは俺の行動理念に反しているではないか。

「・・・ごめん。よろしく頼む」

「・・・うんっ!任せといて!一緒に協力して捕まえよう!!」

「「「「おおーー!!」」」」
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